はじめに
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昨秋のドイツの憲法である基本法に続き、連邦選挙法をアップする。
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今回もザールブリュッケン大学にある独仏対訳版にならった。ドイツ連邦議会のサイトのものもオリジナルとしてリンクしておく。
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今回は、公式英訳が不明なので、3カ国語対訳とは銘打ってみたが、英訳部分は AltaVista Translation Service で機械が訳したもの、フランス語からの英訳とドイツ語からの英訳の両訳併記としておいた。私の、生活体験ではない、英語力による英訳よりも公平であろうと考えたからである。各章概観の目次における英文はフランス語版からの英訳を用いた。
各ページにおける英訳部分では、上がフランス語からの訳であり、下がドイツ語からの訳である。
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何れの英訳も、機械訳の哀しさで、元の言語特有の語順を完全には英語の語順に修正できていないようである。
ドイツ語からのものに例をとれば、動詞部が文の前後に別れて枠のように囲むラーメン構造 Rahmenbau がそのままの語順で、単に英単語に置換されただけ、というものが多々ある。センテンスの最後にある動詞は文初の助動詞などの後ろへ移動させて読まれるようお願いしたい。
フランス語からのものでは形容詞が名詞の後へきている。
何れ、公式英訳などが入手できれば、差し替えたいと思う。
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日本語訳については、1956年(昭和31年)5月7日公布のものを、翌年、衆議院法制局が刊行した、土屋正三氏訳をベースとした。この入手に際しては、石川1区選出の奥田建衆議院議員およびそのスタッフの手を煩わせた。この場を借りて謝意を述べたい。
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ただ、矢張り、40年を超える年月の間に追加・修正・削除された箇所も多く、その部分について珍訳・迷訳も多かろうと思うが、原文や英文との比較の中で読んで頂ければ幸いである。また、ご指摘を頂戴できれば、早急に修正を加えたいとも思う。
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こうした、追加条項の中で一部、金沢大学独文の志村恵氏に助けて頂いた箇所もあり、篤くお礼を申し上げる。全般的な珍訳・誤訳は当方の訳であり、志村氏の監修をうけたわけではないことを、氏の名誉のために付け加えておきたい。
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前回の基本法では「ラント」、「諸ラント」と訳した Land あるいは複数形の Länder であるが、今回は土屋氏訳の「邦」を「州」に替えて統一した。
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土屋氏訳では「投票管理委員会」と訳されている Wahlvorstand であるが、英文では「投票所」ではないかと思われ、そのようにした箇所もあるが、何れどちらかに統一する予定である。
また、郵便投票に関連した条項において、土屋氏訳では、Briefwahl と Wahlbrief の何れも「郵便投票」と同じ訳語が用いられているが、この点でも、訳し分けるべきかと考えている。
何れも、ご教示いただければ幸いです。
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第32条第2項は、他の多くの条項と同様に新たに追加されたものであるが、些かニュアンスの違いがあろうかとも迷ったが、原文の婉曲な表現よりも日本語で通常用いられている「出口調査」を以て訳にあてた。第49a条において、また同じ。
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第51条の「選挙統計」の条文は、ザールブリュッケン大学のものでは削除されたことになっているが、連邦議会の方では記載されているので、後者に従った。故に、フランス語からの英訳はない。
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なお、ドイツでは、この連邦選挙法 Bundeswahlgesetz 以外にも選挙法 Wahlgesetz が16以上ある。即ち、連邦を構成する各州の選挙法である。州レベル以下の選挙に関しては、これら各州の選挙法によることになるが、これらについては、手が回りかねる。何れか1つを選んで対訳版をだせれば、と思っている。
(例:ザールラント州議会の Landtagswahlgesetz、ラインラントプファルツ州の市町村議会のための Kommunalwahlgesetz)
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外国の選挙法で、日本語訳をインターネットで閲覧できるものに、同じゲルマンの国、スウェーデンの公職選挙法が、専修大学・菱木昭八朗氏のサイトにあるので、比較しうるよう日本の公職選挙法と共に紹介リンクしておきたい。
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当サイト内のページで、連邦選挙法の各条文へリンクしているものとして、悠々会討議レポート、政治の秩序構想があります。
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在日ドイツ大使館の「ドイツの実情」で選挙制度が概説されております。
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第12条第4項第1号における Flaggenrechtsgesetz の訳語は、直訳すれば「旗権法」なのかもしれないが、意味不明なので「船舶の旗の権利に関する法律」としておいた。然るべき日本語名があれば、ご教示願いたい。
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第6条第2項はドント式の計算方法を廃して設けられた条項の様であるが、その条項中の Zahlenbruchteilen は、幾つか見る辞書にも乗っていない。文脈から Quotient、即ち割り算の「商」をもって訳にあてた。ドイツ語からみた外来語をさけた表現と推察する。
(同様の例として同条6項で5%は 5 Prozent ではなく、5 vom Hundert とされている)
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2000/05/01 中川 恒雄