24GHz Band


24GHzは、つい最近までなかなかQRV出来なかったSHFの最上位バンドです。
市販の機器も無く、自作に頼るしかなかったからでしょう。
自作も10GHzまでは、何とか勘とハッタリの検出計だけででも制作が可能ですが、ここまで上がってくるとなかなか困難です。
しかし最近になって、マキ電機製のトランスバーターが発売された事によって、急激にQRVされる方が出てきたバンドです。
それまでは、QRVされる方も少なくせいぜい200km程度のQSOが関の山だったのですが、世界記録の400kmを超えるQSOがなされたのもつい近年です。(最近は更に長距離の記録がヨーロッパで作られました。)
世界記録が狙えるBandでもあります。
                                           
しかし、24GHz帯はアンテナとコンディションに大きく左右され、なかなか一筋縄では行きません。
10GHzまではあまり気にすることの無かった、気温・水分等の気象条件がQSOの成否を握ってきます。
EHFの入り口バンドで、ミリ波的な要素も多く見られますから、ミリ波の入門バンドと言えるかもしれません。
 
24GHz帯の伝播は、10GHzまでとはガラッと様相が変わっていると言えます。                                                
一言でいうと「気難しい24GHzBand」と言えます。
でも、おもしろいですょ・・・・hi

どこが、「気難しい」の?   
@アンテナ
このバンドでの空中線も、ほとんどパラボラ系のアンテナが標準的です。
しかし、その放射部は波長がより短くなったことでダイポールを持ったようなシュペルタイプの放射器の制作は困難になり、出力OUTから直接導波管系の放射部分に放り込んだ形式になってしまいます。
この周波数からは、電波の出入り口はどうしても導波管系に頼らざる得ません。
また、カセグレンなどの放射形式もこのバンドから効力が発揮されます。(MWACのATIタイプ(逸見OM製)はカセグレンです。)

24GHzに改造したBSアンテナ

北陸マイクロウェーブでは、市販のパイプを利用した安価で製作しやすいスリット(スリットアンテナとは違います。)放射器を製作し、良い結果を得ています。
ただシュペルと同様に、波長がより短くなることで、給電部の調整が更に精度と熟練?が必要になりまた、固定方法も十分考慮しないと良い結果が得られません。

業務のジャンク品等を利用すると一番簡単かもしれませんが、やはり給電部に導波管が使用されているのが通常であり、トランスジューサーと呼ばれる変換器が必要となり、この部分の自作を強いられます。
色々なANTを経験してみましょう。
交信相手の電波が聞こえるも、聞こえないもアンテナ次第です。

Aシャープな指向性が面白い?
大きな出力が得られないのでよけい感じるのでしょうが、大変指向性が鋭く感じられます。
余り大きなアンテナではともすれば、小さい径のアンテナより目的とした相手を見つけることが出来ないかもしれません。
慣れるまでは、50cm程度のアンテナでもシビアで、出来れば30cm程度からの実験をお勧めします。(近距離では大丈夫)
また、いきなりの長距離実験は困難を極め、出来る限り5Gや10Gでsub回線を確立してから、24Gを実験すると成功するでしょう。
24Gだけで、いきなり200kmを超えるような実験は、ほぼ確実に失敗すると言ってもよく、準備もばんたんに行いたいものです。
また、小物としての方位磁石や事前の地図でのルート調査も大切になってきます。
山岳回折・反射(ビル)・雲回折・散乱・ダクト伝播
OH伝播等もも可能ですが、通常は難しいでしょう。
ただ、ダクト伝播は存在します(何度も経験済み)。発生頻度自体は、10Gまでのバンドよりは少なそうで、大気の伝播ロス(酸素分子・水素分子による減衰)や降雨等の影響も非常に大きくなることから、長距離のQSOを行うには経験と根気よく実験を繰り返すことに有ると思います。
また、最近レインスキャッターと見られる現象も報告されるようになり、このバンドでもレインスキャッターによるDXQSOの可能性を予見されています。
B非常に大きな伝播路等の減衰
周波数が高くなるにつれて、減衰量が多くなるのですが、このバンドでの減推量は10Gまでとは比べものにならないようです。
10Gが59+++で来ていても24Gが全くダメという事もしょちゅうです。
前述のように色々な減衰がありますが、気候による影響が非常に大きいのも特徴でしょう。
長距離通信は、出来れば春先や晩秋の気温が比較的低く湿度が低くて更にダクトが発生しそうな日(こんな日は1年に数日)に行うのが最も良いとされていますが、夏場がまったくダメとも言い切れないと思われます。
わたしとしては、10Gが59++で来ていたら24Gにトライしてみるべきだと思っています。
         
Cしかし面白い24G
Bまで読むとなぁ〜んだぜんぜん飛ばないバンドなんだと思われるかもしれません。
しかし、実際はそうとも言い切れないかもしれないのです、この周波数あたりからは20dbmを越えるパワーは、簡単に得ることが困難な現状があります。
市販の物も出力は20dbm(100mW)程度でロスを考えればアンテナから50mWも出ていれば良いほうでしょう。
この現状を鑑みると、今後空中線の改良と、HPAと呼ばれるより高出力のAmpの出現が有れば、もっとよく飛ぶのかもしれません。一部海外で販売されているようなHPAの出現が待たれます。

DB6NTのFBなHPA out30dbm以上

200mW程度の出力が有れば、快適な長距離QSOも可能と思われ、あなたが世界記録を作ることも出来るでしょう。
最近では、MMICを利用して500mW程度のampも製作できるようになってきましたが、デバイスが高価で二の足を踏んでしまいます。
しかし、24Gで400kmを越えるQSOには必需品かも知れません。富士通のMMICを使って27dbmのampを作ってみたところ、パーツだけで45Kくらい掛かってしまいました。  hi

                 
          高見沢氏設計のマルチ              マキ電機の3段Amp