農業から見た現在・レジメ

***講座「吉本隆明・農業論」***

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吉本隆明講演「農 業 か ら み た 現 在」レジメ(模造紙9枚)メモ

    一九九一年十一月十日 中越高等学校会議室

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(一)ソ連問題

 (i)政変
      91(平成3)年
                19日○ヤナーエフ大統領
                    ルキャノフ最高会議長

              8月20日 新連邦条約調印予定

○モスクワ南部の戦車部隊・空挺部隊  ○国家非常事態委
                    臨時政府
○レニングラード市議会前にバリケード  

○サハリン・カムチャッカ軍隊     ○エリツィンロシア共和国大統領の
                    報道官「国家クーデター」声明
○ブッシュ米大統領19日夜新政府は   
 「クーデター」によるもので認めない。○エリツィン クーデター不支持を訴える

                   ○ロシア共和国指導部
                    政府建物を守るよう呼びかけ。
    
          
            
結果

(1)ソ連共産党は国家権力を失った

(2)国家社会主義理念の敗北

(3)ソ連邦の半解体、各共和国主権の調整機関としての国家    

   ○新連邦条約草案(自由主権共和国連邦)

   ○経済同盟条約草案(非農企業・市場・保障) 

(4)農業・土地・軍事問題(未決のまま進行)

  例1.ロシア共和国

     ○民主主義・複数政党制

     ○経済的活動の自由

     ○所有形態の多様性
         個人所有
         組合所有
         国家、公有

  例2.カザフ共和国の例

    1.家畜の私有を認める

    2.農地の相続権つき50年間賃貸
     アルアマタ(首都)の東80キロ
       サタロフ・ソフホーズの例
       970世帯(5千3百人)
          17世帯 自営農に転ずる。
          50世帯以上が新たに自営申請

       問題点

       ○農産物価格 公的規制
       ○肥料農材の高騰
       ○農産物と工業製品の価格ギャップ

  例3.ウラジィミル・アレクサンドロヴィチ・チホーノフの指摘
                         (国家経済アカデミー教授)
 i農業部門では実質的に戦時共産主義時代の食料徴発型の関係が支配していた。

 (イ)国家機関が何を蒔くか指示
       農産物の価格をきめる
 意欲、   機材・肥料の値段をきめる
       農民は択ぶ権利なく、生産物は指示通り引渡さなけれ 
 利潤、   ばならない
       土地所有の実質的な国家独占
 競争、   企業は技術と生産構造に有利な農機具しか造ろうとしない。        

 (ロ)歴史的にいえば農業集団化は銃口と恐怖の下に行われた。(コルホーズ化)    
       コルホーズは農家の法的自由と経営的自由を前提としていた。
       それを国家独占資本主義にして独占価格による強制買上の形態
       29年ー33年までに2百76ー300万の農家が撲滅された。

 スターリン 一戸平均家族数7.5人
 の     300万×7=2千100万人
 最大の   ラーゲリ銃殺
 犯罪    32年に人為的飢饉(スターリンの穀物備蓄)
           600万以上死
       ウクライナ・ドン川ステップ地帯クバン地方
       沿ヴォルガ地方・北カザフ

 提 案

 (i)土地を農民に返し、自主的利用経営権を与えること。

 (ii)小さな協同組合・個人農・コルホーズ・ソフホズ内に小集団の経営などあ
      らゆる形態を認めること

 (iii)国は土地を農民に貸し、農民から地代をとる。土地貸与の期間制限な
      し。
      シベリアでは農民は進んで土地を借り8ー10人の協同組合経営をやっ
      ている。

 (iv)12%ー15%の赤字コルホーズ・ソフホーズは破産する。
     30%ー35%のコルホーズは一定期間存続する

 (v)現行の農業・土地体制は1929年にスターリンが農民に仕掛けた市民戦争
     の結果である。

(二)アメリカ問題

 (1)中東(湾岸)戦争

    90年(平成2年) 8月2日 イラクのクエート侵攻
                   ヨルダン川西のイスラエル軍
                   レバノンにおけるシリア軍
 
    91年(平成3年) 1月15日 国連武力行使期限

    91年(平成3年) 2月27日 停戦
       日本(国連協力法案)
         (国連平和協力軍)
         (90億ドルの軍事費)

 (2)日米構造協議(日本改造案)
    90年3月23日(4月2ー3日ワシントン)

   (i)農業関係

     イ、農業や地方公共事業費を減らし都市・国際輸送・情報ネットワークへ向ける

     ロ、農地とそれ以外の土地の評価の乖離を都市部で少なくする

     ハ、都市部の農地に対する免税を廃止

     ニ、不動産の移転の制限の廃止
       土地所有者の住居売却の所得免税(一回)
       遊休地と生産の高い土地の売却税率
       土地の譲渡売却の税率を低く

   (ii)バブル経済関係

     イ、反競争の疑いある系列取引きに対する公取委の調査と処罰調査対象
       ○企業グループの「社長会」などの月例会
       ○系列取引のパターン化
       ○低利融資・株式の持ち合い

(三)日本問題

   (i)米(コメ)自由化の影響
       (東京大学森島賢ら「米政策研究会」)

     イ、コスト      耐えられる農家戸数
       現行コスト       95・5%
       50%低下        3・1%
       60%低下        0・3%

     ロ、技術進歩によるコスト低下
       2000年  2007年   2010年
        6・5%   9・5%   10・8%

     ハ、作付規模 
       19・31ha 14・02ha 12・50ha
       現行0・9ha 40%

     註

      ○海外の高級ジャポニカ種は自主流通米B

      ○コストを低減するには技術進歩と大規模化

      ○自由化で輸入米に置き換わる

       コメの生産量は637万t(全生産量の65%)

       日本の生産量は356万t
           価格低下は5割以下

       海外米が上質になれば117万tまで減少(約1/10)

       離農米単・準軍36・1%

       米作専従者(男)7割近い

○コメの日本とアメリカの価格
日    本 アメリカ
政府米自主流通米
生産者価格279.050332.65347689
(円/t)<5.9><7.0><1>
小売価格368230791642
(円/積算10kg)<2.2><3.1><1>

◎都市規模と産業構成関係
都 市 人 口 規 模
50万以上30-50万未満20-30万未満10-20万未満5-10万未満3-5万未満1-3万未満0.5-1万未満0.3-0.5万未満
第一次産業2.19.314.016.427.340.155.362.764.2
農   業1.88.712.815.325.239.551.157.154.3
第二次産業43.938.831.935.232.826.119.116.315.9
第三次産業54.051.954.048.434.833.825.721.019.9

              長岡 第一次産業人口比 20〜32%
                 人口流入超過   0.0〜5.1%
                        規模 3〜10万人

                                                         
○食料の自給率
自給率84年
供給熱量48%
主食穀物68%
農産物総合30%


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