平成22年度・図書館学課程@富山短期大学《情報サービス概説》オンライン・ドキュメント
[作成:吉田惠吉(「高屋敷の十字路」管理人)]
インターネットを利用して各国の図書館にアクセス(「図書館紹介@アクセスポイント集」)できるようになってきていますが、国内にはどのような図書館があり、それぞれが収集・蓄積した資料(情報)を使ってどのようなサービスを実施しているか眺めてみよう。
「2001年春現在、日本には自治体に設置された公共図書館が2600館、大学に基盤をもつ図書館が1500館、企業や官庁、博物館、研究所や公益法人に所属する図書館(専門図書館)が2000館存在している。」(根本彰著『情報基盤としての図書館』勁草書房、2002年、この続編が2004年2月刊行)といわれているが、まず、「日本の図書館統計」(日本図書館協会)を見て、近年の国内の公共図書館や大学図書館の数や規模のおおよそを掴んでおこう。それから専門図書館協議会の「専門情報機関の現状」のページや、「ACADEMIC RESOURCE GUIDE リンク集-専門図書館」を見ると、さすが専門を名乗るだけあって、さまざまな図書館があるようだ。これまでに皆さんがどんなふうに利用してきたのか、ちょっと気になる学校図書館については、「学校図書館の現状に関する調査結果(概要)」(平成16年/文部科学省初等中等教育局)を見ておきたい。最後に、国立国会図書館というのが控えているんだけど、どれくらい知ってたかな?、というようなところから、図書館の情報サービス@インターネット・ツアーを始めよう。耳慣れない言葉や略語、分からない図書館業界独特の言い回しに出会ったら、あいにく手元に「図書館用語集」がなくても、オンラインネットワークが使えるようだと「図書館用語集」(四天王寺大学)などで調べられるからね。
ところで、5タイプに別れそれぞれの図書館がサービスしている「情報」って何だろう。そのものズバリの「情報の定義」ってのを見比べても、人それぞれの見方が交差するあたりで、考えながら見定めていくしかないようだ。神奈川の高校生が、情報やコミュニケーションの変遷について、歴史的に眺めている「Hand Down To The Future」を読んだり、皆が何を手がかりにある事柄を見つけだして物事の判断に役立てたりしているか、日常の行動をそれぞれ振り返った手触りから「情報」の目鼻立ちを掴んでみよう。
それぞれの図書館において、さまざまな情報(資料)が収集され、整理作業によって組織化され、蓄積されたコレクションによるサービスが行われているが、それらに携わることによって生計を営む業種が成り立つに至った、日本の産業構造が高次化した現在を、“消費社会”と言ったり、“情報社会”とか“ICT社会”とか呼んだりしている実態は、どのようになっているのだろう?
ひとつの見方として産業構造がどうなっているか、「人口動態と産業構造」(The World Compass(三井物産戦略研究所機関誌)2005年7-8月号掲載)あたりを見ると、第3次産業が主体になった社会に生きる人々に対応できる、図書館の情報サービスのこれからを考える手がかりがありはしないか。
分業化し対象化された労働が場所を変更する交通の分野における技術革新によって、第3次産業にたずさわる人たちがもっとも多くなり、肉体労働と精神労働の区別が曖昧になった「高度情報化社会」において〈情報〉はどのように位置づけられるか?
コンピュータ通信ネットワークによるダウンロードのように、情報・文化・教育など純粋な情報の形でコンテンツをやりとりできるようになり、「歴史から見る次世代産業−第四次産業としての「創造産業」」(読売ADリポートojo 2005年7-8月号掲載 連載「経済を読み解く」第59回)に見られるように、「情報」の形で価値を残す第4次産業が具体的になり、第5〜n次産業が予測される日本の高次産業社会のイメージを射程に入れた図書館の情報サービスのこれからが問われるようになってきている。
下宿探しや、見たいもの、聴きたいもの、読みたいものを探すとき、何かを手がかりにしてますね。新聞のアパート広告だったり、CDやDVDのタイトルだったり、漫画家の名前だったり、ベストセラー本の書名だったり、とにかく求めている本体の題名や、書いたり歌ったりした人の名前などで探していないかい。
いろんな「情報」の本体がそれぞれ具体的な形になって流通している媒体、ここでは新聞や電子メデイアや本の形をした資料の姿をしてますが、それらを識別したり評価するのに共通する基本的な仕組みはどうなっているのだろう。
皆さんが、いま読んでるウェブ・ページも「情報」の入れ物のひとつだけど、「「図書館メディア」の基本形と情報(資料)次数」を説明している図に見られる三つの要素に注目してくれると、説明しやすいのだが。
このシンプルな構造に基づいて、実際に図書館で「1次文献」と呼ばれている資料の識別や提供サービスが行われているだけじゃなく、これから理解してもらう2次や3次といった資料(情報)サービスの仕組みも、どこまでも増え続ける1次資料それぞれの三要素からさまざまな手がかりを取り集めることによって発展しつつあるっていうこと、これが「情報」を見つけだすポイントだからね。
“Header”の部分には、題(タイトル)名や著作(責任)者名が含まれ、それぞれの固有名を1次資料(情報)を識別する手がかりとして取りだし書誌事項を加えて編集したものが、題(タイトル)名や作(責任)者名で調べる索引としての2次資料(情報)になるんだ。
“Body”が本体で、資料(情報)の中味というか内容そのものの主題を要約して「抄録」に取りまとめたり、その主題を表すキーワード(件名)を切り出すか与えるかして、固有の主題から1次資料(情報)を識別できるように書誌事項を加えて編集したものが、それぞれ抄録索引やキーワード(件名)索引と呼ばれる2次資料(情報)として、とくに医学・生命科学や化学分野のなくてはならない検索ツールとして使われている。
“Footer”の部分には、著作(責任)者が本体の作成にあたって、引用したり参照したりした文献のリストなどが含まれる。科学雑誌に掲載された論文の引用文献を編集対象とした、引用文献索引も2次資料(情報)のひとつとして、既知の文献に類似した最新の主題を扱った最新の「1次文献」の書誌事項をを見つけだす手がかりにもなるんだ。
この文献の基本形を、さまざまな形をした資料(情報)に共通した構造と見なせば、2次資料(情報)の本体にあたるのが、「1次文献」の書誌事項を集めた情報だということも分かるよね。では、いろんな2次資料(情報)の書誌事項を集めた情報を内容とした資料(情報)はなんと呼べばいいかな?
「1次文献」を構成する三つの要素からその識別子を取りだし、それぞれの書誌事項を加え編集加工したのが2次資料(情報)だから、2次資料(情報)を識別するために編集加工したものは3次資料(情報)、ということになるよね。
図書館の情報サービスを代表するレファレンスや情報検索といったサービスの主要なツール(道具)として、実際にどのようなものが使われているか、筑波大学附属図書館の「レファレンスデスク」の「一般的な文献探索の流れ」の「二次資料による文献の探索」が集めている[もちろん「二次資料を探すための資料(三次資料)」も集めている]資料(情報)の数の多さに驚くだけじゃなく、実際に本物を図書館で見つけたら手で触ってみたり、必要な時に適切な資料(情報)が閃くようにならないとね。
適切な調べ方――資料(情報)の特徴はどうなっていて、資料(情報)を見定めて所在を確認するツール(道具)をどう使い、資料(情報)を入手するにはどうしたらいいか――を知っていると、図書館業務としての情報サービス現場だけじゃなく、いろんな仕事の現場や実生活で調べなきゃならない場面でも何かと便利。
図書館利用の現状では、まず冊子体あるいはそれ以外のメディアで提供されているさまざまな2次資料(情報)のフロアで、探し求めている資料(情報)の書誌事項を調べ、その所蔵の有無を確かめてから、目的の雑誌や図書などが置いてある所で現物を見つけだすまでの流れが、情報サービスの基本線なんだ。図書館が収集する資料(情報)の書誌情報と所蔵情報をコントロールし、そのコレクションにその高次化情報を付加するのが情報管理業務であって、それとは逆向きに、付加された高次化情報を低次化するように、利用者が求める資料(情報)にアクセスできるようにするのが情報サービス業務になるんだよ。どのように資料(情報)を、高次化したり、低次化したりするか、これこそが「情報」を扱うポイントだよ。
日々増え続ける一方の資料(情報)の中から必要なものをいつでも取りだせるようにしておく、なんて事はとても一人の手に負えないけど、社会的に解決できるように定められた、情報サービスに関する条文を見ておこう。
公共図書館の情報サービスについては、「図書館法(図書館法施行規則)」[図書館法改正関係資料]の第3条の3項や7項が該当するようだが、具体的にどのようなサービスを行うかは、それぞれの自治体にまかされている。平成20年の法改正で削除された第18条に基づく「公共図書館の設置及び運営に関する基準について(報告)」[平成4年5月21日 生涯学習審議会 社会教育分科審議会施設部会図書館専門委員会]があって、「「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」についての報告(案)」(平成20年/文部科学省)[国立情報学研究所のサイトで「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」が読めます。]の「これからの図書館サービスに求められる新たな視点」などから、公立図書館の情報サービスにかかわる指摘が読み取れるよ。この「報告(案)」に先だつ作業として、情報にかかわる社会状況や制度的変化にともなう新たな課題に図書館がどう対応すべきか、「これからの図書館像−地域を支える情報拠点をめざして−(報告)」(平成18年3月 これからの図書館の在り方検討協力者会議)における提言や事例から、新たな情報サービスの見通しが検討されていた。
耳慣れない「レファレンスサービス」や「レフェラルサービス」、そして「情報の提供」といった事柄を受け、それぞれの自治体の図書館設置条例のもとに、例えば「成田市立図書館の管理及び運営に関する規則」の第2条の(4)、(7)および(8)のように、情報サービスの項目を定めている公共図書館もある。図書館の情報サービスの目玉とされるレファレンスサービスとはどうのようなものか、都道府県の図書館サービスをバックアップしている「国立国会図書館リサーチ・ナビ」の「『「調べ方案内」利用ガイド』」にアクセスして、実際に試してみよう。
このように位置づけられているレファレンスサービスがどのように研究されているか、「レファレンスサービスの新しい潮流:研究文献レビュー」(「カレントアウェアネス」No.283 2005.3.20)で、ネットワーク環境下での新しい動向もうかがえるね。また、地域の情報サービスの利用状況については、「地域情報化に関するアンケート調査結果について」(北陸総合通信局 平成18年3月22日)によって、もっとも活用されている「地域公共ネットワークの利活用」として、「図書館の蔵書検索・予約」が約80%で1位、となっていることがわかる。いわゆるICT技術の進展を踏まえて可能となる、具体的な図書館の情報サービスの在り方については、「地域の情報ハブとしての図書館−課題解決型の図書館を目指して−」(平成17年1月28日 図書館をハブとしたネットワークの在り方に関する研究会)において、地域の情報拠点としての公共図書館ネットワークの形成を情報基盤とした、いろんな情報提供とさまざまな利用者サービスがイメージされている。
平成16年度から、「国立大学法人法」等の施行に伴い、その第6条で「国立大学に、附属図書館を置く。」と定めていた「国立学校設置法」が廃止(「国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案要綱」)されたが、大学図書館の情報サービスにかかわる規定としては、「大学設置基準」(昭和31年10月22日/文部省令第28号)の第38条の2や4を見るべきだ。「短期大学設置基準」(昭和五十年四月二十八日/文部省令第二十一号)の第29条でも、同じように書かれているね。
1990年代の学内LANの整備拡充とインターネットの普及にともない、各大学図書館の情報サービス拡充の指針となったのが、「大学図書館機能の強化・高度化の推進について(報告)」[平成5年12月16日 学術審議会学術情報資料分科会学術情報部会]に続く「大学図書館における電子図書館的機能の充実・強化について(建議)」[平成8年7月29日 学術審議会]ということになる。
「大学図書館と学内及び学外との連携協力」によりそれぞれの大学が所蔵する情報資源の有効な活用システムを整備し、「ネットワークと電子化情報の活用」を推進し、大学内外の「新しいニーズへの対応」を目指して、「大学図書館のサービス機能を強化・活用する必要がある」というように、「学術研究情報流通体制の整備の一環として」の「学術情報システムにおける大学図書館の役割」を持ち出してきているあたりが、公共図書館の場合とは大きな違いじゃないかな。ひき続き、そのような方策を強力に推し進める一手段として、大学図書館の電子的機能の充実と強化が推進され、現在に至っている。
電子的な図書館の情報サービスを支える、「学術情報の流通基盤の充実について(審議のまとめ)」[平成14年3月12日科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会情報科学技術委員会 デジタル研究情報基盤ワーキング・グループ]において、学術情報の電子化という状況を踏まえ、当面の具体的方策として掲げられた「電子ジャーナル等の体系的収集」や「大学等からの学術情報発信機能の強化」などが、大学図書館の情報サービスの課題とされ、それに続く「学術情報発信に向けた大学図書館機能の改善について(報告書)[第1章のみ]」(平成15年3月17日 文部科学省研究振興局情報課)によって具体案が示され、その後「SPARC Japan: 国際学術情報流通基盤整備事業」(国立情報学研究所国際学術情報流通基盤整備事業推進室)といったプロジェクト事業も進行している。
そのほか大学の中の図書館をめぐる新しい動きについては、「【討議資料】大学図書館をめぐる動き」(大学図書館問題研究会)などから、どのような議論が交わされてかうかがい知ることもできる。
大学図書館の法的根拠そのものについては、「国立大学図書館の管理・運営に関するガイドブック」(平成12年4月/国立大学図書館協議会図書館組織・機構特別委員会)の第1章第1節のような位置づけができなくなり、例えば「国立大学附属図書館のゆくえ 法人化の課題と現実」(寒川 登)で指摘されているような事柄が検討されてきている。これまで大学にとってなくてはならないものとして位置づけられてきた大学図書館のそれぞれが、現状では「東京大学附属図書館事務部各課事務分掌規程」に見られるように、事務分掌として情報サービスを位置づけている。
国であれ、地方自治体であれ、学校法人であれ、設置者がどのように変わろうが、図書館は“資料(情報)を蓄積し流通させる”という共通の基盤にたつことによって、公的な資料(情報)へのアクセスを保証している一例として、「著作権法」第31条の「図書館等における(著作物の)複製」という条項があることも知っておこう。
法的な位置づけのもと、設立主体を異にする図書館活動における情報サービスをどう評価するかについては、高次産業社会におけるネットワークサービスの高度化という指標も、組み入れなければならない状況になっている。
小学校、中学校、そして高等学校には「学校図書館を設けなければならない」と定めている「学校図書館法」も、その改正に際し、学習情報センターとしての機能を推進し、情報機器の整備に努めることなどが明文化されていたんだよ。皆さんが通った現場は、いまどう変わりつつあるのだろう。
国立国会図書館の、他の図書館や一般大衆に対する情報サービスについては、「国立国会図書館法」の第21条に定められている。国内の官庁の図書館、地方議会の図書室及び民間企業、各種団体、大学、調査研究機関の専門図書館が行う情報サービスについては、それぞれの所属組織が定める諸規則に従っている。
法的な約束事に先立って日々情報が飛び交っている社会的な現実があるんだけど、近年のインターネット社会では諸個人がさまざまな次元の資料(情報)に直に触れられるようになってきている現在、図書館の情報サービスを見直す「公共図書館の可能性と課題」(常世田 良「これからの図書館の在り方検討協力者会議」(第5回)配付資料 )については、利用者という他者の視線を組み入れるようにしないといけなくなってきている。
これまで見てきたように法的な位置づけの違いがあるから、「デジタル・レファレンス・サービス実施館:Digital Reference Service (DRS)」の表のような、質問や利用の範囲も館種に沿ったものとなっている。専門図書館の場合も、「建設関連図書館利用規則一覧」のように、それぞれ設立母体によって違う。
さて、レファレンスとは何ぞや?その例を「市川市立図書館 レファレンス事例集」を紹介している「レファレンスサービスとは」に見ておこう。館種を超えたレファレンスの事例を、「岐阜県図書館レファレンス事例集(レファレンスDB、事例集へのリンク集)」が集めているけど、関心のある具体例が見つかったかな。
慶応義塾の図書館の「レファレンスサービス」からうかがえるように、「レファレンス質問申込フォーム」への対応も、来館だけじゃなく、手紙やFAXのような文書、そして電話やWebフォームや電子メールといった通信も受け付けていて、「レファレンス・カウンター」に限定しない間口の広さがあたりまえになっている。目立たないようだけど、「レファレンス・ルーム」(国際基督教大学図書館)に配架する「レファレンス・ブック」をはじめとしたレファレンス資料(「レファレンス資料とは?」淑徳大学みずほ台図書館案内B-1-1利用ガイドシリーズ〔PDF〕)を収集し、図書館の設立目的にそったレファレンスコレクションを編成したり、必要な情報機器環境の整備など情報サービス窓口を裏で支える、間接的なレファレンス業務も見落としちゃいけないぞ。
大学図書館のレファレンスワークとして、公共図書館ではあまり見られない、効果的な資料(情報)入手のための図書館の利用案内が行われているようだが、そこから一歩も二歩も踏み込んだレファレンスサービスを実現するには、日本の大学図書館におけるレファレンス事例データベース作成にかかわる「モニター意見(まとめ)」の[(データベース作成以前の)日本の大学図書館におけるレファレンス・サービスの諸問題]が、インサービス・トレーニングに頼るしかないと指摘しているよ。「採用までの図書館員教育課程には、改善をすぐには期待できない」とも書かれているけど、司書課程の授業で「参考業務」のイロハは学んでいるが、これだけでは図書館員の養成現場とレファレンス現場との落差が縮まりそうにないって事なんだろうね。教える側の姿勢も、「レファレンスサービスの基本」[担当講師:小田 光宏]のように、レファレンスサービスから情報サービスへと徐々にシフトしているようなんだが。「レファレンス・ライブラリアン募集広告(米国)」(松下)を眺めると、日米におけるレファレンス・ライブラリアンの要件、待遇(給料、地位)等の違い以上に、図書館のレファレンスサービスそのもの社会的な位置づけの違いが大きいようだ。
利用指導(案内)と資料(情報)提供という、「レファレンス・サービス」(沖縄国際大学図書館)の二つの顔があって、いずれも「レファレンスツール」を把握し、「レファレンスインタビュー」[PDF](アツムラ)にはじまるレファレンスプロセスで、そのレファレンスに答えられるような、例えば「インターネットでの情報源(特にレファレンス・サイト)」(市川市中央図書館)を見きわめ、場合によっては「代行検索」(筑波大学附属図書館)もこなせるような、情報サービス部門の基礎体力を養っておかなければできないね。個々の図書館の現場で、レファレンスその他の業務マニュアルや事例を整備したり、とりわけ「利用者を手ぶらで帰さない」姿勢を保つためのトレーニグが必要になるわけだ。
レファレンスの形態としては、たとえば明治学院大学の「レファレンス利用ガイド」にあるように、利用者からの相談や質問を、「事項調査」や「所蔵調査」に切り分けながら図書館のレファレンスデスクやカウンターで受付けている。受付館のみで答えられない質問にどう対処しているのかわかりにくいが、九州地区大学図書館協議会では「レファレンス事例DBシステム」を運用したり、レファレンスサービス実施館相互の協力体制にむけての試行もあったのだが。
公共図書館はどうしているかというと、県内のすべての図書館や公民館図書室が十分なレファレンスサービスを行う体制にないから、 例えば山口県立図書館の「レファレンスサービスガイド」にに見られる「協力レファレンス」 のように、市町村立図書館等から県立図書館へのレファレンスが受付けられている。
それぞれの図書館および各地域の図書館協力によっても解決しなかった事項や資料については、国立国会図書館がレファレンスを受付けている。といっても、「国立国会図書館レファレンスサービス」(国立国会図書館)となっているから、個人が質問しても相手にされないよ。インターネットの普及によってレファレンスがどのように変化しつつあるか、海外では「米国におけるデジタルレファレンスサービスの動向」(「カレントアウェアネス」No.281 2004.12.20)が参考になるね。
どんな規模の図書館だって、単独で利用者の要求をすべて満たせないように、レファレンスでも自館で提供できない資料(情報)については、館外にある書誌その他の情報源に頼らざるを得ないから、「フロアガイド1階(レファレンス室)」(関西大学図書館)のレファレンスカウンターで見られるように、「図書館に所蔵しない資料の利用と入手」に関連したレフェラルサービスをやっている。東京都立図書館の「専門図書館ガイド」が、"専門分野に関する資料を所蔵し、文献・情報提供サービスを行っている専門情報機関のうち、公開性のある機関"を調査して紹介してくれている。今日的には、業務に欠かせない資料(情報)源の調査や収集も冊子体だけじゃなく、オンラインで利用できる「インターネット・リソース」(東京大学情報基盤センター電子図書館部門作成)も参照できるようにしておかないと、サービスに“モレ”が生じそう。とりわけ学術情報を扱う図書館の場合は、日頃から準備している専門分野のリソースファイルの更新に努めていないと、充実した対応ができない。類縁機関の水先案内にしても、「諸外国の公的機関&国際組織のホームページ(略号からも検索できます)」(京都大学大学院法学研究科附属国際法政文献資料センター)みたいに、それぞれの地域や分野に特化されたものが公開されるようになると便利なんだが。
カレントアウェアネス(「Current Awareness Portal:図書館に関する情報ポータル」国立国会図書館)サービスを代表する、特定雑誌の最新目次情報サービスのひとつ、新着雑誌のコンテンツサービスも、農林水産省試験研究「機関間コンテンツサービスの変更について」にみられるように、シートから電子媒体へと提供形態が変わってきている。学術雑誌の出版社のサイトが目次情報を公開したり、「コンテンツシートサービスの高度化」によって外国雑誌のコンテンツサービスを導入できるようになったことが変化をもたらしたんだ。特定主題分野の利用者の最新情報要求に対する書誌情報サービスは、図書館の情報サービスの枠内にとどまらず、「文献情報提供サービスサイト」による「SDIサービスについて」(科学技術振興機構)のように、有料の最新情報予約サービスとして提供されている。
利用者がすばやく求める資料(情報)を入手できるように、図書館はいろんな情報サービスを提供しているけど、検索サービスというとコンピュータによる「オンライン検索・CDーROM検索・OPAC検索」(『資料検索法テキスト』第4章「情報検索の方法」2001年2月28日現在 2002年10月03日追加 文責 : 高山正也、岸田和明 )が常識になっている。マニュアル検索と違って、いずれもランニングコストを見込まねばならないから、利用傾向に見合った導入とアフターケアが必要だよ。
そのほか利用対象や主題を絞ったサービスとしては、「国際子ども図書館」(国立国会図書館)や、「ビジネス支援サービス〜都立図書館でビジネス情報力をアップする〜」(東京都立図書館)といった公共図書館のサービスなどが行われている。
図書館に就職したとしたら、とりあえず最初にやっておくべきことは何だと思う?新人のうちに休憩時間はもちろん、暇を見つけては館内をひたすら歩き回って、どこに何があるかを確かめながら、とにかく手に取って触っておくのだ。レファレンスコレクションみたいに貸出禁止になっている資料の状態などを見ると、利用傾向までうかがえそう。
あちこちの書架に配架された蔵書全体を眺め下ろした見取り図が見えはじめ、それぞれの書架の資料(情報)の形態や次数の高低によって立体化されたイメージマップが描けるようになったらしめたもの。縦軸に資料(情報)次数を、横軸に資料(情報)媒体をあてはめると、あらゆる資料(情報)が表せるようにならないかい。
| 次数 \ 媒体 | B 単行本 | J 雑誌 | M 会議録 | D 学位論文 | N 新聞 | R レポート | その他 |
| 3〜高次 | 参考図書 | 総説雑誌 | |||||
| 2次(意味子、参照子) | 抄録索引 | ||||||
| 2次(識別子) | 目録 | 目録 | 目録 | 目録 | 目録 | 目録 | |
| 1次 | 原文 | 雑誌論文 | 会議録 | 学位論文 | 新聞 | レポート |
既存の資料(情報)はもちろん、冊子とか電子化とかの形態にとらわれないで、これからも現れるどのような情報源もおおよそこの図のどこかに当てはまるはずだ。
情報サービスの拠りどころとなる情報源を次数と媒体できちっと捉えられるようになれば、館内でなぜ資料(情報)が別置されるのかも説明できるだろう。どの次数のどんな資料(情報)を低書架に並べたり、帯出禁止扱いなどの運用法も見当がつくよね。
予算不足になったりすると真っ先に2次資料(情報)がカットされがちだけど、収集対象になっている分野のコレクションを構成する資料(情報)の次数のバランスが崩れると、意外なところで情報サービスのコストが増えたりする。
インターネット検索サイトの「資料と情報源」(gooカテゴリー検索)や「各種資料と情報源」(YAHOO! Japan)、そして「情報源と資料」(@nifty@search category:ネットの厳選リンク集)を見ると主題項目別にリソースが集められているのが分かるけど、例えば次数と媒体によれば、インターネット上の図書館関連リソースだって、「情報探索デスク:The Internet Guide to Research of Online Resources」みたいな図によって表せる。図書館のコレクションに隣接する情報サービスの領域をうめる、資料(情報)や書誌の情報源が、社会の産業構造の高度化を支える情報技術の進歩とともに、従来の図書館という壁を取っ払ったみたいに浸透してきているね。
| コレクション+目録・索引+利用者 | 伝統的図書館サービス |
| コレクション+OPAC+データベース検索+利用者 | 図書館情報サービス |
| コンテンツ+コンピューティング・ネットワーキング+利用者 | 電子図書館サービス |
情報サービスに必要な情報源が“コレクション”から“コンテンツ”へと変容し、時空の制約を超えてあらゆる資料(情報)をシームレスに利用できる情報環境の実現を目指す動きが見えてきたかな。
高度情報化社会になって図書館のコンピュータ化が進み、情報サービス、資料提供サービス、そしてレファレンスサービスそれぞれの輪郭がはっきりしなくなった反面、印刷媒体や電子メディアその他の媒体であれ、図書館が利用者の情報行動を予測して必要とされる情報源を収集し、組織化して提供できる体制を強化しなければならない。
インターネットを下敷きにした図書館の情報サービスについては、「公共図書館における情報サービスの課題と問題点」(東京大学 根本 彰)で、「レファレンス情報サービスとしてのネットワーク情報資源の導入」を前提とした情報システム図の「コレクション」にある「上記以外のネットワーク情報資源」の具体例のひとつが「『市川市中央図書館 情報源リンク集』(特にレファレンス・サイト)」ということになる。
公共図書館職員が評価するレファレンスツールを調べた「レファレンスツールの評価」(PDF)[2003 年度 JLA 中堅職員ステップアップ研修 2004 年 2 月 2日(第 9 回)吉田昭子(東京都立中央図書館)領域2:高度かつ専門的な図書館の知識・技術の向上(区分 B1)]を見ると、1999年と2002年および2003年の冊子体のランキングしか分からないが、今日的にはインターネット情報源が百科事典的な使われ方をしているんじゃないかという傾向はうかがえそう。インターネット上の情報資源の組織化については、納本制度審議会による答申「ネットワーク系電子出版物の収集に関する制度の在り方について」(平成16年12月9日)において、国立国会図書館の納本制度に組み入れないで別の組織による収集に委ねられることとなった。
国内の大学図書館によるインターネット情報源へのゲートウェイサービスの先行例ともいうべき、「理工学系ネットワーク情報資源へのゲートウェイ(別画面表示)」[尾城孝一(東京工業大学附属図書館)/ACADEMIC RESOURCE GUIDE[ARG-030]1999年05月25日]で、「単にネットワークリソースのメタデータの組織化だけに留まらず、リソースそのものの保存庫(アーカイブ)としての役割も担っていく必要があるかもしれません。」というように、新たにネットワーク上のリソースも図書館の情報資源としてコレクションの対象にされてきたことがわかるだろう。
国内のインターネット資源をアーカイブする試みとしては、ウェブや電子雑誌のコレクションを目的にした、国立国会図書館の「WARP」や「Dnavi」、そして国立情報学研究所の「GeNii [ジーニイ] :NII学術コンテンツ・ポータル 」が公開されるようになったが、インターネット上に散在する情報源(データベース)について書誌情報(メタデータ)を作成し、それぞれのサイトへ誘導するサービスが、“インターネット情報資源ユーティリティ”としてなくてはならないものになってきている。
オンラインで調べられる参考図書情報としては、国立国会図書館が1995年4月以降に受け入れた参考図書のデータを、分類別・最近3ヶ月以内の図書の受入順に紹介する「参考図書紹介」や、辞典協会の「優良辞典・六法目録」などがある。総合的な参考図書の解題書誌を含むガイドとしては、『参考図書の解題書誌作成:慶應義塾文学部図書館・情報学科1996年度卒業論文』(古屋牧子氏作成)のような試みもあるが、とにかくこまめに印刷媒体の情報源を調べないといけないね。
富山短期大学では、図書館学課程が経営情報学科内に設けてあるけど、無料を原則としている図書館の情報サービスの基盤として、利用者が資料(情報)と出会う場はどのように考えられてきたのだろうか?
図書館の経営管理について日本やアメリカでどれくらい考察が積み重ねられてきているか、それぞれの雑誌記事の数をインターネットで調べられるよ。上のフレームにリンクしてある「情報探索デスク」の「雑誌文献情報」収載リソース、「NDL-OPAC(雑誌記事索引の検索/申込み)」や「Ingenta」で、キーワードはそれぞれ日本語と英語を使って、今すぐ検索してみよう。
比較にならないくらい日本語の文献が少ないようだが、「情報の科学と技術」のバックナンバー目次に「特集=図書館のマーケティング」があったり、「日本情報の国際共有に関する研究 文部省科学研究費補助金国際共同研究(課題番号10044018)平成11年度報告」には「情報サービスのマーケティングと情報管理の品質:Marketing and Quality of Information Management」[エリザベート・ジモーン (Elisabeth SIMON, Hon FLA) ]というのもあるから、図書館の情報サービスの基盤を見直そうとする動きがまったく無いということではなさそうだね。
「平成17年度大学図書館職員長期研修講義要綱 目次」を見ても、図書館のマーケティング関連講義が行われていたり、大学でも「図書館・情報センター経営論」(担当教官 金 容媛) が開講されたりしてきているが、これからの図書館の情報サービスのあり方に関わるマーケティングとはどのようなものなのか。地域の“IT革命”のかけ声だけじゃなく、これから議論が積み重ねられ、情報サービスの基盤についての社会的な政策基準が明確にされていくなかで、図書館のレファレンス(情報)サービスの動向がどう変化し、レファレンスの理論や技法がどのように見直されていくのだろうか。
図書館のネットワークサービスの草分けというか、図書館の情報サービスを代表するOPACにもようやく新しい動き、「WorldCatのローカライズ版”WorldCat Local”」(CA-R@国立国会図書館)が現われたようだ。「WorldCat Local、ワシントン大学図書館が提供開始」(CA-R@国立国会図書館)によれば、ワシントン大学図書館のOPAC検索で、館内所蔵資料やオンライン提供資料だけでなく、同館所属コンソーシアム参加館についでその他の館の所蔵資料の順に検索結果が配列され、その一覧表示で当該資料の配置・利用状況を確認し、資料の請求(相互貸借を含む)まで可能とのこと。WorldCat.orgに追加された4つの雑誌記事索引データベース(ArticleFirst、GPO、ERIC、MEDLINE)もWorldCat Localの検索対象になったらしい。同館が印刷媒体または全文データベースで購読契約している資料についても、資料請求または全文データへのリンクが表示されるようになっているというから、関連情報を1箇所で簡単に見つけられるユニバーサルOPACの第一歩といえそう。
2000年から2004年までのレファレンスサービスに関する日本語の研究文献をレビューした「レファレンスサービスの新しい潮流」(小田 光宏/『カレントアウェアネス』No.283 2005.3.20)が、近年の研究状況をはっきりさせ、“新しい”動向に目をむけて整理してくれているよ。
2005年あたりから「Library2.0」という業界用語が登場してきていて、「Web2.0」のツールを利用した図書館の情報サービスの展開がどう根付きつつあるのか、その動向が図書館のマーケティングにどのように関わっているか、「図書館とWeb2.0」(「情報の科学と技術」Vol. 56 (2006), No.11)といった特集記事が組まれるようになってきている。
大学図書館におけるレファレンスサービスがどのように行われているか、例えば「図書館のすすめ - 大学図書館利用ガイド -」(東北地区大学図書館協議会)から、その具体例がうかがえる。
学生が与えられた課題に対してどう対処し、どのような手順でレポートを作成すべきか、ひとつの例として「愛知淑徳大学パスファインダー:レファレンス」を読めば、「レファレンス」に関する事柄を調べる際の手順としてだけでなく、いろんな事柄を調べるレファレンス作業に共通する過程が見えてこないかい。図書館の情報サービスにおける、レファレンス・ツールの一つとして位置づけられつつあるパスファインダーを作成・公開している「パスファインダーをつかって情報検索のコツを覚えよう」(横浜市立大学学術情報センター)、「東洋学園大学図書館パスファインダー」、「三重大学附属図書館 パスファインダー一覧」、「愛知淑徳大学図書館パスファインダー」、「情報への道しるべ:パスファインダー」(名古屋大学附属図書館)や、それらを収集・登録している「Pathfinder Bank 」(私立大学図書館協会東地区部会研究部研究分科会.企画広報研究分科会)などを参考に、各自で考えた検索テーマにふさわしい「ひな形」を作成してみよう。(参考:「パスファインダ講習会」報告(於:岐阜県図書館)、パスファインダー[はてなアンテナ - 図書館の孔 ]、雛形−1&2@図書館講座|「情報メディアの活用〜パスファインダー入門」 )
実際のレファレンスサービスの場合は、まず最初にしっかりした「レファレンスインタビューの方法」(PDF)[2005年度中堅職員ステップアップ研修領域2区分B2 2005・11・14 斎藤誠一]によって、利用者の質問の意図を正確に掴まないことには、図書館の数あるレファレンス・ツールの中から何をどのように使って調べるか選べないし、その時々のレファレンス・ワークを確かなものとするには、その図書館が現実的に持ち合わせている情報サービス環境がどのような状態にあるかを知っておかなければならない。
利用者からもっとも尋ねられやすいのが、「所蔵調査」(筑波大学電子図書館レファレンスデスク)ということになる。最初から聞いてくる場合から、自力で探したけど見つからないというのまで、とにかく正確な書誌情報の確認が大前提になる。事項調査の質問を受け、「あることがらについて調べるには」(筑波大学電子図書館レファレンスデスク)どんな資料(情報)を参照するか、レファレンスツールを選択して使いこなさなきゃならない。冊子体からオンラインまで、いろんなツールのどれを使うべきか選択眼が必要とされるのは文献調査の場合も同じだけれど、大学図書館においては、「資料・文献の探し方」(秋田大学附属図書館)のような利用指導を行い、自力開発した「GACoS」(東京大学情報基盤センター)で利用者(学生)自身に調べさせたり、利用者(研究者)に代わって図書館員が有料のデータベースを「代行検索」(筑波大学電子図書館レファレンスデスク)したりしている例もある。
課題図書の中から選んだ感想文だとけっこう集まるが、何でもいいから一冊読んで感想文を出しなさいというと、なかなか集まらない。自分で書店や図書館に出かけ、まず読む本を見つけなければならないからだ。レポートや卒論だけじゃなく、社会に出てから職場で報告書や企画書をまとめる場合も、まず自分で資料(情報)を探しださないことには前に進めないね。
実践女子大学の図書館利用案内に見られるように、資料(情報)源を使い分けた「論文の探し方」を“実践”できるのは、キャンパスライフを逃したら二度とめぐってこない。
入学時に「図書館を上手に使うには」(「高屋敷の十字路」2001.4.16)どうしたらいいかを身につけ、それぞれが選択した課程に関わる「 情報と資料の種類」(『資料検索法テキスト』第3章 2001年2月28日現在 2002年10月03日追加 文責 : 高山正也、岸田和明 )の扱い方を身につけて卒業してくれたら、というのが現役図書館員の頃の願いだったかな。
インターネット上でいろんなデータベースサービスが展開されている現在、以前は図書館でないと得られなかった資料(情報)が、実社会に出てからも簡単に手に入るようになってきているが、「文献の検索法」(『資料検索法テキスト』第5章 2001年2月28日現在 2002年10月03日追加 文責 : 高山正也、岸田和明 )から「データベースサービス(インターネット/オンライン)」(BOOKS KINOKUNIYA)を含む「インターネットによる図書館関連情報の探し方」(作成当時そのままで、URLそのほか未更新のWeb教材です)まで、社会的な情報探索の窓口は時と所を選ばないで展開しつつある。なかでも、よく整理されていて統制が行き届いた蓄積情報を提供しているのが「商用データベース」(WING HEAD)ということになる。
情報探索ツールのひとつであるサーチエンジンについては、例えば「Google の秘密 - PageRank 徹底解説」(Hajime BABA, Ph.D/Department of Astronomy, Kyoto University)を読んでみたり、「検索デスク」(searchdesk.com)などに定期的にアクセスし、インターネット検索の最新の動向や使い方に関する知識を新しいものにしておくように。
長いこと図書館で働いてみて、驚きそして感心せざるを得ないのは、大抵のことはどこかで誰かが既に書き記しているかもしれないし、誰かが思いつくようなことが以前に考えつくされていたりすることだ。調べることと考えることの見分けもはっきりしなくなるくらい積み重ねられた資料(情報)の断面を抉るように、インターネット上で図書館が資料(情報)の活用を例示してくれている。
1990年代の半ばから競うように図書館もホームページを立ち上げ、今じゃ利用者にとって図書館の第一印象がそれぞれのコンテンツで決まったりする、というようなことも珍しくなくなってきている。
いくつかの図書館のウェブ・ページを訪れ、どのように資料(情報)源が紹介されているか見比べ、それぞれの情報サービス姿勢の特色や違いを眺めてみよう。
それぞれの図書館の情報サービス・ページにおける資料(情報)の活用ガイドに、何を見たいかに関わる資料(情報)媒体の違いや、どのようなことを調べたいかに関わる資料(情報)の次数が、どのように反映されているかを学習のポイントにしなさい。
| 「関西大学図書館」図書館活用術/文献の探し方 | (http://www.kansai-u.ac.jp/library/how_to/bunken/) |
| 「東京都立図書館」あなたの仕事・健康・暮らしを支えます〜都立図書館の情報サービス〜 | (http://www.library.metro.tokyo.jp/15/15k004.html) |
| 「文献の探し方」(一橋大学図書館) | (http://www.lib.hit-u.ac.jp/retrieval/search/index.html) |
| 「リサーチ・ナビ」(国立国会図書館) | (http://rnavi.ndl.go.jp/rnavi/) |
| 「図書・雑誌探索ページ」(実践女子大学) | (http://www.jissen.ac.jp/library/frame/) |
| 「筑波大学電子図書館:資料の探し方」 | (https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/portal/howto.php) |
これから図書館の資料(情報)サービスを利用する人たちにむけ、図書や雑誌のような冊子体、CD-ROMなどの電子媒体、そしてネットワークなどの情報源別に、さらに分野別に、どのようなガイドが必要か、それぞれが図書館の情報サービス利用説明会の担当者になったつもりで企画してみよう。
インターネットを使って誰でも自由に資料(情報)源を利用できる「ヴァーチャル・ライブラリ」(Internet Virtual Library)の試みとしては、草分けとしての「ipl2」((c) 1995 - 2008The Regents of the University of Michigan, (c) 2009 Drexel University)や「The WWW Virtual Library(別画面表示)」( I.C.Y. Publishing)、2003年の春に公開された「Internet Virtual Library : Intel-Wing」(出版文化研究会 + TN de Lamancha )などがある。
さまざまな資料(情報)のオンライン化が進んでいるように見えても、例えば国内の大学図書館が所蔵する図書の書誌・所蔵情報のデータベース化(国立情報学研究所が運営するNACSIS-CATには2007年までに1,188 の機関が参加し、1985年にサービスをはじめてから、約800万件の書誌レコード、約9,000万件の所蔵レコードから成る書誌・所蔵データベースが形成されてきた)は2割強という具合だ。まだまだカード目録や冊子体目録に頼らざるを得ない場合もあるし、国書については「江戸時代以前の本を探すためのツール」(秋田大学附属図書館)や、「『国書総目録』の使い方−和書の所在を調査する−」(中之島図書館)に見られるような特別な資料(情報)の使い方を知っていないと探せない。そのほか、どのような資料(情報)源がどのような情報の探索に役立つのか、サーチャー向けの「参考書」(SEARCHER-CLUB)などにも、図書館の情報サービス担当者のトレーニングツールとして欠かせないものがある。
履修生がレポートしてくれた図書館の探訪先のほとんどが公共図書館だったけど、筆者が大学図書館で働きはじめた1960年代に全国で800館しかなかった公共図書館が1980年代から急に増えはじめ、21世紀に入った現在では3,126館を数えるという。
かって大橋図書館(「大橋図書館について」)で、少年時代の「川上澄生(かわかみすみお 1985−1972)」や「芥川 竜之介(作家別作品リスト:No.879)」が読書や調べ物に時を費やしたような近代図書館の姿が遠のく一方で、図書館不在だった地方自治体にあたかも行政サービス機関のように図書館が普及し、情報技術の進歩を取り込んだシステム化に支えられた現代図書館の姿が整いつつある。戦後の占領軍の指導(「占領期における図書館政策の推移―CIE関係文書による」[根本 彰、三浦太郎、中村百合子、古賀 崇(東京大学大学院教育学研究科)])に始まった公共図書館の時代を経て、図書館のイメージも「司書」(「司書資格取得のために大学において履修すべき図書館に関する科目の在り方について(報告)」文部科学省)の姿も様変わりを強いられつつ、今日に至っているわけだ。
国内の公共サービスとしての図書館の情報サービスの運営主体がどのようになってきているか、「図書館の様々な運営形態:研究文献レビュー」(「カレントアウェアネス」No.287 2006年3月20日)を参考に、司書の情報サービス業務の民間化、あるいはパートタイマー化ともいうべき現象を、高次産業社会における職場と就業構造の変容にかかわらせながら、派遣を含めた対応業務の担い手の今日的な様相がどうなっているか眺めておこう。
アメリカ人司書が運営していたと言われる占領下の日本のCIE図書館のことが大江健三郎(大江健三郎ファン倶楽部)の小説に出てきたり、村上春樹の小説『海辺のカフカ』(イメージの中の甲村図書館salon de“kafka”)で私立図書館が重要な舞台となったりしているが、図書館で働く人(司書)については、映画や漫画に出てくるその姿が一般的なイメージに近いかな。
「図書館映画データベース」の主宰者による「図書館映画への招待」(お話 和光大学附属梅根記念図書館 市村省二)で指摘されている図書館(員)像から、「漫画にみる図書館職員の人物像(1990年代以降)」(沖縄国際大学総合文化学部日本文化学科 山口真也)で集約されている図書館員(司書)の職業的イメージまで、しっかり定着している姿からどのような情報サービスの姿勢が感じとれるだろうか。
このようなイメージを流布させている図書館の窓口の内側を目指す「司書への道:図書館で働くために」といったアドバイス、そして「21世紀の大学図書館と求められる司書の能力」( 大城善盛/『教育文化』10号)のような展望が語られるところに、情報サービスの担い手としての現在がある。
インターネットによる図書館の情報サービスのツアーを試みてきましたが、地べたの図書館利用の場面では、まずさまざまなメディアで提供される2〜3次資料(情報)を使って、探し求めている資料(情報)の書誌事項を確かめ、その所蔵の有無をOPACその他で確かめてから、目的とする雑誌掲載文献などの1次資料(情報)そのものにたどりつく流れが、一般的な情報サービスの基本線となっていたよね。
それぞれの図書館が収集する資料(情報)の書誌情報と所蔵情報をコントロールし、そのコレクションの利用に導く高次化情報を加工するのが情報管理業務であって、それとは逆向きに、蓄積された資料(情報)に付加された高次化情報を低次化するように運用し、利用者が求める資料(情報)にアクセスできるようにするのが情報サービス業務になるんだよ。
サービス目的に添って収集した資料(情報)のコンテンツを高次化する付加情報をどう加工し、運用面でいかにその高次化された付加情報を低次化することによって、必要なときに求める資料(情報)に到達できるようにするか、これこそが図書館の情報サービスを管理するポイントとなる。