司 書 教 諭 講 習

☆★集約型・分散型情報源を利用した情報探索―『学校図書館メディアの配置』―★☆

平成12年8月10日(木) 富山大学総合情報処理センター及び経済学部端末室

 大学図書館では現在いろんな情報を調べる際のオンライン検索ツールとして、集約型情報源や、分散型情報源の利用ができるようなサービスをしています。実際にネットワーク接続端末を使ってOPAC、CD−ROMなどの集約型情報源の使い方や、それらを補ってくれるインターネット上の図書館関連情報としてどのような分散型情報源が利用できるかを演習します。

インターネット上の図書館関連情報とその利用


WWW(World Wide Web)ブラウザを操作して図書情報を調べる。

 「情報」や「文献」の「探索」に関するなるべく新しい本を求めているとします。
 とりあえずBooks.or.jp(http://www.books.or.jp/)の日本書籍総目録(Search Engine for Japanese Books)にアクセスして「情報」、「文献」そして「探索」の三つの言葉をキーワードにもつタイトルの書籍情報検索を試みてください。
 検索に利用したデータベースは1999年12月までに国内で発行された入手可能な書籍(57万点)が収録されているようですから、ヒットした書名で、TRC新刊書籍検索(http://www.trc.co.jp/trc-japa/search/trc_www.asp)を使い、最新版が発行されていないか確かめます。
 次に、NACSIS-Webcat(http://webcat.nacsis.ac.jp/)にアクセスしてどこの図書館にそのヒットした本が所蔵されているか調べてみましょう。
 このようにインターネットを利用して図書の流通(販売)や所蔵に関する2次情報サービスに手軽にアクセスして調べることができます。
 求めている情報源のサイトのURLが分かっている場合は、WWWブラウザのページを開く機能を使ってそのURLを入力し、直にその情報源にジャンプすることもできます。
 ネットワーク上に展開されるハイパーテキストのリンク機能を発揮して、分散型情報源の網の目を広げているWWWによる情報網の一端を「高屋敷の十字路」(http://www.fitweb.or.jp/~taka)の「アクセスポイント案内」から覗くことができます。たとえば、「アクセスポイント案内」の「図書館情報」でリンクされている「Evaluating Internet Resources - Bibliography(インターネット・リソース評価のための参考書誌)」や「Evaluating World Wide Web Information(WWW情報の評価)」(http://gemini.lib.purdue.edu/instruction/evaluation.html)といったページがあるように、インターネット上の情報源も「図書館メディア」として欠くことのできない情報源として定着しつつあるとはいえ、まだ電子ジャーナルを含む学術雑誌に掲載される論文のようにレフェリー制度というフィルターを透過していない情報として位置づけられています。
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「図書館メディア」の基本形と情報(資料)次数

 先ほどの「Evaluating World Wide Web Information(WWW情報の評価)」で眺めた「Essential Web Document elements」なる図に、電子媒体のみならず冊子体も含めた「図書館メディア」の基本形を読み取っておくべきでしょう。「Header」や「Footer」部分には、表題や著者(の所属、連絡先)などの責任表示に加えて作成あるいは改訂年月日そのほか参照情報などが含まれ、その「Body」が通知、説明あるいは議論そのほかを網羅した1次(原文あるいはオリジナル)情報(資料)としての「図書館メディア」の形式と内容を決定づけています。
■■■文献(情報)の基本構造■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■  ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓              ■
■  ┃  タイトル情報 ← 書名検索    ┃              ■
■  ┃                   ┃              ■		
■  ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛              ■  Header
■                     ┏━━━━━━━━━━━━┓ ■
■                     ┃著者情報 ← 著者名検索┃ ■
■                     ┗━━━━━━━━━━━━┛ ■
■  ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓  ■
■  ┃                               ┃  ■
■  ┃                               ┃  ■
■  ┃                               ┃  ■
■  ┃        コンテンツ ← キーワード検索        ┃  ■  Body
■  ┃                               ┃  ■
■  ┃                               ┃  ■
■  ┃                               ┃  ■
■  ┃                               ┃  ■
■  ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  ■
■                     ┏━━━━━━━━━━━━┓ ■
■                     ┃引用情報 ← 引用索引 ┃ ■  Footer
■                     ┃            ┃ ■
■                     ┗━━━━━━━━━━━━┛ ■
■■■■■■■■■■■■■■■■■文献(情報)収録媒体 ← 収載目録■■■■
  1. 「図書館メディア」の識別要素=書名、著者名、内容、引用
  2. 「図書館メディア」の種類=1,2,〜n次情報(資料)
  3. 「図書館メディア」の媒体=図書資料、非図書資料
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「図書館の構成」および「図書館メディア」の多様化

                 図書館の構成
 ┏────────────────────────────────────┓
 │    【書庫・資料室】         │     【閲覧室】    │
 │                     │              │
 │                     │              │
 │             【参考図書】  │              │
 │  【製本雑誌】             │              │
 │               【索引誌】 │              │
 │               【抄録誌】 │              │
 │  【図 書】              │              │
 │             【未製本雑誌】 │              │
 │                     ┻    【所蔵目録】    │
 │────────────┫【情報の高度化と媒体の多様化】┣───────│■
 │                     ┳              │入
 │      【図書館職員】        │    【利用者】     │口
 │                     │              │■
 ┗────────────────────────────────────┛
  1. コレクション+目録・索引+利用者=伝統的図書館サービス
  2. コレクション+OPAC+データベース検索+利用者=図書館情報サービス
  3. コンテンツ+コンピューティング・ネットワーキング+利用者=電子図書館サービス
    電子出版とPDF(portable document format)
                  図書館の利用

                【学習・研究・診療】
                    │
                    ↓
              ■■■  入  館  ■■■
               │          │           
               ↓          ↓          
            【希望文献】      【研究主題】
               │          │二次情報サービス等を利用
               ↓          ↓
           ┏所蔵あり【所蔵の有無確認】所蔵無し┓
           ┃      目録で探す      ┃
           ┃      直接,書架で探す   ┃
           ┃      カウンターで尋ねる  ┃
           ┃                 ┃
           ┃   ┏━館内閲覧        ┃
           ┃   ┃             ┃
           ┗━━━━━ 複    写       相互貸借
               ┃           サービスの利用
               ┗━館外貸出
                    │
                    │
                    ↓ 
              ■■■  退  館  ■■■
                    │
                    ↓
                【学習・研究・診療】
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インターネットの検索サービスの活用

 「検索の鉄人」大会の第1回優勝者が語るインターネット検索のポイント、「探したいサイトにたどりつくための七つの教え」(http://www.shikencho.com/iron/s20000127.html)を参考にして、実際に「サーチエンジン」を試してみましょう。(関裕司氏個人サイト「四軒丁(shikencho)」http://www.shikencho.com/)
 
検索心得  
 Yahoo!のようなディレクトリー型、そしてgooのようなロボット型それぞれを検索目的にあわせて使い分けること、検索条件は言葉でイメージがはっきりするように書き表してみてから、適切なキーワードをいくつか選ぶようにする。
 
 超初心者は、「検索サービスで楽々ネットサーフィン - 検索サイトを活用しよう - これなら簡単!インターネット活用術」(http://town.hi-ho.ne.jp/club/kaiho/easylist/4-1.htm)も見てくださいね。
 
 ときには、複数の検索エンジンによる同時検索が可能なメタサーチが有効な場合もありえます。いわばインターネット検索ツールの高度化、すなわち検索サービスの3次情報化がメタサーチ・サービスを産み出したといえましょう。
 
 例えば「RESEARCH DESK LISA」(http://nettool.style.ne.jp/search/)を使うと、 AND・OR・NOT・フレーズの条件を一括指定して、1回のキーワード入力で同時に多数のサーチエンジンで検索できます。
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探そうとする情報に見合った次数の情報源の利用

 ある程度習熟すれば、サーチエンジンによる調査も便利ですが、ここで図書館関連情報のリンク集を利用した調査を試してください。
 では、情報次数と情報媒体で仕分けをした図書館関連情報リソースのリンク集「情報探索デスク」(http://www.fitweb.or.jp/~taka/resdesk.html)を調査の入口として演習課題を解いてみましょう。(どのような順番でどのようなサイトを調べ、検索してまわったか各自でメモをしておいてください)
  1.  「青空文庫」では何冊が電子化され、どんなフルテキストが実際に閲覧可能か調べてみましょう。
  2.  「Project Gutenberg」では Shakespeare, William, 1564-1616の作品が何件電子化されているか調べてみましょう。
  3.  いわゆる「ポケモン騒動」はいつ起こったか調べてください。
  4.  共同通信が配信した吉本隆明氏と加藤典洋氏の対談記事を調べてください。
  5.  沖縄サミット(Okinawa Summit)が海外で報道されている状況を調べてみましょう。
  6.  「著作権]に関わる法令を調べてください。
  7.  フィジー(Fiji)の現状および概要を調べてみましょう。
  8.  学校図書館(school library)と司書(librarian)に関する英語文献を探してください。
  9.  「そごうの倒産」関連ニュースを調べてください。
  10.  アメリカの図書館(library)におけるインターネット(Internet)利用に関する最近の特許情報を調べてください。
  11.  入手可能な、司書教諭(teacher librarian)に関する和・洋図書を調べてください。
  12.  司書教諭(teacher librarian)に関するインターネット情報を調べてください。
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インターネットによる情報の探し方

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分散化する「図書館メディア」と必要な情報の充足率の低減を補うものは何か?

     
  1. 集約型情報検索サービスを高度化した横断的メタ検索サービスの実現。  
  2. 分散型情報源を主題別に一括検索できるゲートウェイ検索サービスの実現。  
  3. 手軽に原報情報を入手できる広域ILL制度の実現。
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電脳図書館(Wired Library)としてのコンテンツはどれくらいあるだろうか?

 インターネット(やウェブ)に馴染むようになって沸いてきた疑問の一つ。
 今日ウェブ上で公開されている情報はどれくらいの規模の図書館の蔵書に匹敵するのだろうか?
 インターネットの事はインターネットで探せ!というのが基本だと思って探していた答えの一つがハードカバーの訳本の中に見つかった。
 「端的に言えば、現代のとてつもない変化のスピードとインフォーメーション経済の今日的魅力は、インフォメーション・テクノロジーとインフラストラクチャの発達によってもたらされたものだ。インフォメーションそのものの性質や規模の基本的変化がもたらしたものでは決してない。実際にはこういうことだ。ウェブ上で公開されている静的なHTMLテキストの分量はほぼ百五十万冊の書籍に相当する。カリフォルニア大学バークレイ校の図書館には八百万の蔵書がある。同図書館にある蔵書内容の質の平均レベルはウェブよりもはるかに高いものだ。もしウェブ上の資料の十パーセントが「有益」なものだとすれば、約十五万冊の書籍に相当し、ボーダーズ(注/米国の大手書店)の一店舗の規模に近いことになる。しかし、「有益」なものの実際の数字はおそらく一パーセントそこそこで、これなら一万五千冊、つまりショッピングモールに店を構える書店の半分の規模た。」(『ネットワーク経済の法則』カール・シャピロ、ハル R・バリアン共著 IDGジャパン発行 1999年)
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「インターネット上の図書館関連情報とその利用」kyoshi@tym.fitweb.or.jp 2000.8.10