measurment

パワー計 周波数カウンター 信号発生器 アナライザー その他

最近のマイクロ波基板は完成度も高く、製作に際しては測定機もほとんど必要ないかもしれませんが、ミリ波領域に近くなるとやはりそれなりに必要となってきます。
また、SHF帯でも機器製作には測定機が有るに越した事はなく、最近はリセールやジャンクでもマイクロ波系の測定機を見かけるようになり、入手できる機会も増えて来ました。
懐に余裕がある方は、おかあさんにナイショで買うのもスリルがあって良いでしょう。  ``r(^^;)ポリポリ

ここで紹介するものは、私(JA9TYK)が実際に使用して来た物を中心にして簡単に紹介します。
北陸の片田舎のマイクロ波愛好家ですから、 こんな物でも結構楽しんできました・・・笑ってやってください。


パワー計(Power meter)

実は、私が本格的にマイクロ波機器(トランスバーター)を製作しようと思ったのは、JE1AAH/高見沢氏設計の10GHzのトランスバーターでした。
と言うのは、5GHzまでは当時マキ電機さんからout80mWながらトランスバーターが発売されておりましたが、まだ10GHzはどこからも市販されておらず、仕方なく自作しようと言う事になったのです。
それまでは、持っている物と言えばせいぜいマイクロ波ダイオードを使用した検出計と2.4GHzが測れるダイワのSWR&POW計が、唯一のパワー計と言えばパワー計でした。

今も使用するダイワのNS-669型SWR&POW計

しかし、これだけで10GHzのトランスバーターを作るのには無理が有るのですが、JH9CFT局に「10GHz程度は検出計だけで作れないと、イッチョンマエじゃないょ」と言われ「そうか・・・?!」と分けも判らずに納得したものでした・・・・hi

セプロン電子の三上さんから基板を分けてもらい、ハムジャーナルの製作記事とにらめっこしたのが懐かしいです。
最初は、まじめに検出計だけで製作したいたのですが、裏切ったのは私で、仕事で使用したことのある、HPのパワー計 HP432Aを手に入れる事にしたのです。

HP432A 432A用のサーミスタマウント

このパワー計はアナログですが、精度も高くそしてなんといっても価格が安いことでしょう。最近では本体が20kサーミスタセンサが15k程度でちょくちょく見かけるようになっています。(オークションなどを利用するともっと安価に手に入る事が有ります。)
432の前の430等に比べると断然使いかってもよく、この後の後継機435シリーズや436・437・438のディジタルパワー計も良いのですが、私はむしろ初心者の方にはこの432Aがお勧めだと思います。(ほんとにお勧めはHP435Bかな(^-^)/ ちと高いが・・・)
MAXパワーは10mW=10dbmですが、パワーATTを使用することで、結構なハイパワーも測定できますから不便は感じないはずです。
アナログですから指針の表示で微妙な調整には、ディジタルより重宝するくらいです。
センサーはサーミスタですから、熱に敏感ですのでハイパワーを突っ込んでセンサーを焼いた方もたくさんいらっしゃるでしょう。場合によっては復活も出来ますから、捨てないように(復活に過大な期待はしない・・・(^o^))
センサーもHP純正の物ばかりでなく、数社から同等品が出ていますが同様に使用できます。

HP純正のサーミスタマウント(1μW〜10mW) 太字はお勧め

モデル番号 周波数範囲 動作抵抗 SWR
478A 10MHz〜10GHz 200Ω  10MHz〜25MHz 1.75
25MHz〜7GHz  1.3
7GHz〜10GHz  1.5
8478B 10MHz〜18GHz 200Ω  30MHz〜100MHz1.35
10MHz〜30MHz 1.75
100MHz〜1GHz 1.1
1GHz〜12.4GHz 1.35
12.4GHz〜18GHz1.6
k486A 18GHz〜26.5GHz 200Ω  2.0
R486A 26.5GHz〜40GHz 200Ω  2.0
P486 12.4GHz-18GHz 100Ω 1.5
X486 8.2GHz-12.4GHz 100Ω 1.5

このパワー計は、社名がHPからアジレントに変わった今も販売されているようです。大変寿命の長い計測器の代表格でしょう。
さらに、校正器としてhp8477Aという機器が用意されています。
この様な校正器を利用できればFBでしょうが、アマチュア的にはOMさん等にお願いして、周波数とATTの性能を把握して、基準値の目安をメモして利用する事で十分です。

近年ディジタルのパワー計も入替え時期なのか、中古のディジタルのパワー計もよく見かけます。
その代表格がHP436でしょう。
このパワー計は、432と異なりセンターがいわゆるダイオードセンサーとなっています。HPの場合はこのセンサーが非常にいろいろと用意されており、センサーによっては110GHzまでの計測が可能となります。
これらのセンサーはhp8480系のセンサーと呼ばれており、HP436Aばかりでなく、437B・438A・70100A・E1416Aの各パワー計にも使用できます。

ぜいたくにも、積み重ねて
使用しているHP436A
当局でもこんな事が出来る
時代になりました。  hi
HP8480系の
パワーセンサー

HP8480系パワーセンサー 太字はお勧め

モデル番号 周波数範囲 動作パワー SWR コネクタ形状
8481B 10MHz〜18GHz 1mW〜25W 10MHz〜2GHz  1.10
2GHz〜12.4GHz 1.18
12.4GHz〜18GHz 1.28
8482B 100kHz〜4.2GHz 1mW〜25W 100kHz〜2GHz  1.10
2GHz〜4.2GHz  1.18
8481H 10MHz〜18GHz 100μW〜3.5W 10MHz〜2GHz  1.20
2GHz〜12.4GHz 1.25
12.4GHz〜18GHz 1.30
8482H 100kHz〜4.2GHz 100μW〜3.5W 100kHz〜4.2GHz 1.20
8485A 50MHz〜26.5GHz
オプションで33GHzまで
1μW〜300mW 50MHz〜100MHz 1.15
100MHz〜2GHz  1.10
2GHz〜12.4GHz   1.15
12.4GHz〜18GHz  1.20
18GHz〜26.5GHz 1.25
26.5GHz〜33GHz 1.40
APC-3.5
8481A 10MHz〜18GHz 1μW〜300mW 10MHz〜30MHz  1.40
30MHz〜50MHz  1.18
50MHz〜2GHz   1.10
2GHz〜12.4GHz   1.18
12.4GHz〜18GHz  1.28
8482A 100kHz〜4.2GHz 1μW〜300mW 100kHz〜300kHz 1.60
300kHz〜1MHz   1.20
1MHz〜2GHz    1.10
2GHz〜4.24GHz   1.30
8483A 100kHz〜2GHz 1μW〜300mW 100kHz〜600kHz  1.80
600kHz〜2GHz   1.18
N(75Ω)
R8486A 26.5GHz〜40GHz 1μW〜300mW 1.4 UG-599/U
Q8486A 33GHz〜50GHz 1μW〜300mW 1.5 UG-383/U
W8486A 75GHz〜110GHz 1μW〜200mW 1.08 UG-387/U
8481D 10MHz〜18GHz 100pW〜10μW 10MHz〜30MHz  1.40
30MHz〜4GMHz  1.15
4GHz〜10GHz   1.20
10GHz〜15GHz  1.30
15GHz〜18GHz   1.35
8485D 50MHz〜26.5GHz
オプションで33GHzまで
100pW〜10μW 50MHz〜100MHz 1.19
100MHz〜4GHz  1.15
4GHz〜12GHz    1.19
12GHz〜18GHz   1.25
18GHz〜26.5GHz 1.29
26.5GHz〜33GHz 1.35
APC-3.5
8487D 50MHz〜50GHz 100pW〜10μW 50MHz〜100MHz 1.19
100MHz〜2GHz  1.15
2GHz〜12.4GHz   1.20
12.4GHz〜18GHz  1.29
18GHz〜26.5GHz 1.37
26.5GHz〜40GHz 1.61
405GHz〜50GHz  1.86
2.4mm
R8486D 33GHz〜50GHz 100pW〜10μW 1.4 UG-599/U
Q8486D 75GHz〜110GHz 100pW〜10μW 1.4 UG-383/U
8487A 50MHz〜50GHz 1μW〜300mW 50MHz〜100MHz 1.15
100MHz〜2GHz  1.10
2GHz〜12.4GHz   1.15
12.4GHz〜18GHz  1.20
18GHz〜26.5GHz 1.25
26.5GHz〜40GHz 1.30
405GHz〜50GHz  1.50
2.4mm

これらの、パワー計はメーカーから操作ガイド等が出ていますから、これらを手に入れて、正しい操作をして使用するようにしたいものです。 
また、HPだけでなく色々な計測器メーカーからマイクロ波パワー計は出ていますから、その計器に有ったセンサーを使用しましょう。アドバンテスト、アンリツなどのパワー計の中古も最近は良く見かけます。

※ パワー計は、振れやその表示の大きさに騙されないようにしましょう、あくまでトータルのパワーを表示しますから、目的以外の周波数を表示している事が良くありますから、注意です。
当方も、発振やIFの漏れを増幅してパワーが出たと、ぬか喜びしていて、カウンターに表示させたらとんでもない周波数だった事が良くありました。  ``r(^^;)ポリポリ


周波数カウンター(Frequency counter) 

私が初めて周波数カウンターという物を買ったのは、高校生のときにニキシー管で出来た50MHzまで計測できる物でした。
以降しばらく、カウンターなる物を触っていなかったのですが、1.2GHzをQRVするようになって最初に買ったのがYOKOGAWAのFC−863でした。

1.3GHz程度まで測れたFC−863

12Vのバッテリーで駆動できましたから、フィールドで現在も使用しています。しばらくは、これで十分で、事足りていたのですが、2.4GHzを運用するようになって、もう少し高いところまでカウントする物が欲しくなり結局財布と相談し、秋月のキットを作る羽目になり製作したのが秋月2GHzカウンターでした。
秋月のカウンターも最近は、プリスケーラー部が改良され感度もよく、4GHz程度までカウントする様です。

無理やりに3GHz近くまでカウントさせた秋月カウンター

これも、しばらくこれで満足していたのですが、だんだん自分の周波数の精度も気になり、低くても多少精度の良い比較校正用のカウンターが欲しくなり、ユニバーサルカウンターを校正用として使っていた事も有りました。

岩通のユニバーサルカウンター UC-7641

その後、プリスケーラー等で10GHz程度までは、計測できるようになったのですが、どうしても直読で優越感に浸りたいとの欲望に負けてしまい、手に入れたのがHP5343マイクロ波カウンターでした。

現在もメインカウンターのHP5343

このカウンターは、通常は26GHzまでなのですが、35GHz程度までカウントしてくれるようです。このモデルには、5342という18GHzまでの物も有りますが、これも24GHzはカウントします。
若干レベルは必要ですが、さすがにちゃんとした物は、動作にも余裕が有るようです。これらの機器には、オプションでパワー計の機能を持たせた物も有りますから、非常に重宝でしょう。

最近では、ジャンクでマイクロ波カウンターが出たり、知人から故障品として来た物を修理したりと、カウンターには困らなくなりました。

修理したTR521218GHz 流れ着いたHP5345A
opで40GHzまで可
メチャメチャ確度の高い
カウンターです。

修理したMF62D、精度が非常に良くて重宝している1台

カウンターコレクター状態ですが、実際は良い物が1台で十分です。また、精度を追求しないのなら、プリスケーラーも捨てた物では有りません。マイクロ波カウンターは現在でもチョッとしたものなら100K程度はしますからねぇ。

出来れば、-30dbm程度から20dbm程度までの信号に正確に表示してくれる物なら良いのでしょうが・・・・・・\(^^;)...マァマァ
くれぐれも、パワー計同様過大入力で損傷しないように注意しましょう。


信号発生器(Signal generator)

自作でトランスバーターなどを製作する場合、送信系は前述のパワー計やカウンターが有ればある程度の事は出来ますが、受信系を調整するとなれば、何か、信号源が必要になってしまいます。
先の10GHzのトランスバーターを作ったときは、ハンディ機の高調波1280MHzの8倍で10240MHzを聞いて調整したのですが、大よそは出来ても最後の微妙なところは、中々調整が難しい物です。
また、2GHz等の製作時は、数10メガの水晶発振回路を適当に作って簡易信号発生器にした事も有りました。これも安価で非常に有益な方法でしたが、10GHz程度になると極端にレベル不足になり、やはり何らかの方法を考えなければ成らなくなります。
そんな時には、やはりまともな信号発生器が欲しくなってきます。

これは、時々見るJRCの2GHzの信号発生器です。このSGは、
周波数範囲が狭く、F3信号源としての安定性にも少し欠けてしま
います。
帯域巾の広いモードでは良いでしょが、使い勝手が余り良くありま
せんでした。
内部を、改造する事で、安定度を増すか、限定したモードでの利用
には使用できると思いました。
購入するときは、よく考えて・・・

案外利用価値が有るのが次のような数世代前のSGです。次の画像は、アンリツのWG-211というVHF〜UHF帯(100MHz程度〜500MHz程度)に掛けてのSGと同じく安立でローカルのJA9SNG局から流れてきた、830MHz〜980MHzのSGです。
「な〜んだマイクロ波帯じゃ無いじゃないの」と思われる方も多いでしょうが、10GHz程度まででしたら、こんなSGの方がアマチュア的に便利かも知れません。
実は、それぞれ5GHzだと480MHzの12逞倍960MHzの6逞倍10GHzは487.62MHzの21逞倍(これは正直苦しいかも)853.33MHzの12逞倍が多少弱いながらも十分な信号源として取り出す事が出来ます。
本来のダイヤルのレベルとは異なってしまいますが、アマチュア的に使用するには、自分でテプラ等で書いておけばレベルの相対比較も出来ますから大変便利です。
インターネットのオークションでもこれらの古いSGの出品をたまに見る事が出来ますから、うまくすると格安で手に入れることが出来るでしょう。
もし、後者を見かけたら周波数にロックを掛ける事が出来、前者と比べ安定度が良く価格によっては買いかも知れませんょ、当方では大変重宝した機器の1つでした。(SNGさん有難うございました。 ・・・・(^.^)/ドモドモ)

アンリツ WG-211SG アンリツ 900MHz帯SG

さらに使い方もなれたら、次の段階にステップアップし、まともにGHzの信号源が欲しくなってきます。
シンセサイザ方式の信号発生器が次のターゲットでしょう。まずは、1GHz程度のSGと時間的に信号を走引させるスイーパー機能を持った物も検討の余地が有ります。
本当は、この辺の機器はアマチュアにはもったいないのでしょうが、人間上を見るときりが有りませんょ。
HPやアドバン・アンリツ等には、50GHz程度までのSGも販売されていますが、新品だとチョッとした家が建ってしまいます・・・・o(^o^)oワォ!
この辺になると、程度の良い中古やリセール品で十分ですから、あなたの大蔵省(財務省だった)と相談して検討してください。(ほとんどの場合は却下されます・・・・hi)

1GHzまでのSG LSG211Wiltron 2GHzスイーパー


スペクトラムアナライザー(Spectrum analyzer)

こんな便利な物がこの世に出来たのはいつの頃でしょうか??
OM各局が「スペアナ・スペアナ」と念仏を唱えるように、スペアナと言う言葉を良く聞いていたのいたのですが、自分が持つまではこの機械の便利さが良くわかりませんでした。
マイクロ波帯で使用できる物は、価格も大変高価で中古でもチョッとした物は、車が買えてしまいます。
趣味でこの計測器をお持ちの方や、検討されるような方はほとんど「キの字」の方でしょう。 。。゛(/><)/ ヒィ
しかし、とうとう私も数年前から「キの字」の仲間に入ってしまいました・・・・hi  でも「なんと便利でしょう」・・・・「うぅ  うれしい」と最初は思ったものですが、最近はその感覚も麻痺してしまい、当たり前になってしまいました。
パワーも一目瞭然・周波数も判るし、目的信号か不要信号の発振なのか、画面を見たら一発です。
もぅ、なんでもかんでもスペアナに頼ってしまうようになってしまいました。・・・・・・・・・・それまでは、勘とハッタリで製作していたのに腕が落ちた
メチャ高価なのですが、電源の入ってる時間が1番長い測定器になりました。
アマチュアがスペアナ購入の目安はいくつか有るでしょうが、マイクロウェーバーに限って言えば

・バンドエッジでも良いから24GHzが見える(引っかかる 23GまでとなっていてもBandエッジで見える)
・外部ミキサーが使用できる
・スパン巾が広くてリニヤスパンとログスパンの切替が出来る
・外部ミキサー使用時の目的ヘテロダイン信号を確認する機能が便利か否か
・ピーク値が確実に表示される(中古の物や校正が掛かってない物は、目安として利用する。)
・価格が安い(何と言ってもこれが一番ですが、安物買いのナントカにならないように・・・・)

等を考慮して購入を検討した方が良いでしょう、安いに越した事はありませんが、価格も価格でしょうから安物買いのナントカにならないように・・・・

私の腕前(元々技術は無いのだが)を
落とした、R4136 スペアナ君
しかし、よき伴侶としてもうしばらくは壊
れないでと思うこの頃である。

どこかに最新型が落ちてないかなぁ・・
誰か下さい・・・・・hi
ミキサー無しで50GHzが見たい。

その他(other)

マイクロ波で遊んでいるとその他オシロなども触りますが、私はなんと言っても実験用電源をその中に含めたいと思います。
電源は、12Vさえ取れれば良いのですが、製作に際しては、電圧と電流を表示できる物がベターです。
電流容量は1A程度でも良いのですが、0.1Aオーダーを表示できる物(0,01Aが判ればなお良い)が良いと思います。(出来れば容量は3A)
電圧は、出来れば0V〜30V可変が望ましく、正負の切替(デュアルトラッキング式)やメモリーで電圧が記憶できる物なら尚良いでしょう。
実験用電源は、電流の大きさに比べれば少し高価と思われるかもしれませんが、絶対の必需品と思っても良いかもしれません。
必然的に、この様な電源が欲しくなってきたら、もう相当の腕前になっているでしょう。
私などがお教えする事は、なにもございません・・・・・M(__)m

ケンウッドの実験用電源
これで十分
HPの電源と菊水の
実験用電源
意外と安く手に入りました。

その他FETなどの電圧を測る場合には、ディジタルのマルチメーターが有れば便利です。テスターでも十分で良いのですが、FETなどは正負の電圧が掛かっており、テスター棒を入替えるのが面倒です。
ディジタルの場合−表示になるだけで、メーターの逆振れなどの心配も要らず、必要と思われます。・・・・・なまくらなやつだなぁ