5.7GHz Band


HFは7MHz、VHFなら50MHzと言うようにマイクロ波入門は5.7GHzと言って良いと思います。                                             
5.7GHzは、SHF帯に属してますが、それまでのUHF帯とは異なった伝播を見せ始めるBandです。                                
2.4GHz帯の延長のような伝播ということで済ませられますが、実際に運用してみると「チョット違うんじゃないの」と感じることが出来ると思います。                                                 
一言でいうと大変「よく飛ぶBand」と言えます。

どこが、どう違うの?
ここからは、運用した経験上での体験談ですから教科書には書いてありません・・・hi
SHFは、見通し伝播だけと良く教科書に書かれていますが、アマチュアでは見通しが利かない所こそ、マイクロ波を利用すると考えても良いのかもしれません。

@高利得のアンテナが自分で簡単に作れる。
まず、このバンドからは空中線もパラボラ系のアンテナを標準的に利用する事が多くなり、たとえば、ホームセンターに売っている小さいラーメン鍋の蓋(20cm程度の物)でも、利得が18dbi程度取れます。
それも、ほとんど空中線までの減衰を抑えて、設置する事が出来ます。
V・UHF帯でこのような高利得のアンテナを高効率で(ほとんどの場合、長いケーブルのミスマッチで利用?)しかも安価(数百円)に利用することは困難でしょう。それが、容易に出来るのです。

 

A反射等が面白い
このバンドからは、効率の高い電波の反射を体験できます。
10GHz程では無いのですが、よく跳ね返ります。直接波にはかないませんが、この反射波を利用すれば思わぬ所とQSOが可能です。430MHz等ではとてもQSOできなかった所ともできる可能性は有ります。
その場合は、やはり径の大きな、さらに高利得の空中線を利用することで、その機会は大きくなるでしょう。
山岳回折・反射(ビル)
まず、第1に利用したいのがこれでしょう。季節によって、山に雪が積もっていたりと、その特性に大きな違いが出てきますから、自分の所から利用できそうな山を見つけておくことが大事です。庭に出て地図とにらめっこしてください。
Over Horizonといわれる、OH伝播を体験しましょう。
雲回折・散乱
以外に多く発生し、これによる伝播を体験できることがあります。
天候が悪くて、いかにもコンディションが悪そうな時ほど発生頻度が高くなります。
雨粒自身によっての反射や散乱とは考えにくいのですが、雲に含まれている水分が氷状の反射面となりこの伝播が発生するようです、反射する所が高いので到達する範囲も意外に広範囲に渡ります。
天候が悪いのに思わぬDXが出来た場合は、これかもしれません。
ただこの伝播には、やはりある程度の出力は必要で、1Wはほしい所です。
レインスキャッターと呼ばれるものは、この伝播と思われます。
また、アンテナに仰角(10〜20度程度の事が多い)付ける事により、より強い信号を得ることが期待出来ます。
当局のロケーションは、このバンドでは1エリア等とのQSOは1.2GHz帯では反射等を使っても無理なのですが、屋根の軒先に乗せたAnt(60cm)で関東方面と何度もレインスキャッターでQSOをしています。
ただ、信号は弱いですから、SSBモードでの受信が出来ることが条件の一つとしてあげられます。雨雲の位置や規模によってはFMでのQSOが可能な場合も有り、Es反射的な楽しみもできる様に成りました。可能な方は是非、固定でのQRVをできる様にしたい物です。
ダクト伝播
UHF等と同様にダクト伝播も頻繁に発生します。
このバンドでは、この伝播により1000km程度のQSOも十分可能で、大気の温度が高いときに発生頻度が高くなります。
この伝播にも例外がある様で、海水の温度や大気の温度の関係で真冬でもダクトによる伝播が発生します。
「ダクトが見える・・・・」というと 「えぇ」 と思われるかもしれませんが、よく移動していると、早朝など空気が澄んいでいる時間帯に、肉眼で大気の逆転層と思われる景色を見ることが出来ます。(これがダクトとは思いませんが・・・・・・そういう気分にはなれます。)

水平線より少し高い所にモヤ状に反転層が見え、この様なときは決まってダクト伝播も体験できます。
比較的低い位置に発生している逆転層のときは、アンテナに俯角(数度)をつける事で、より強い信号強度が得られることが多いようですが、ほとんどの場合水平のままで良いでしょう。

B意外に伝播路の減衰が少ないのかも
周波数が高くなるにつれて、減衰量が多くなるのですが、このバンド辺りまでは比較的緩やかなカーブで減衰するようです。10GHz辺りからはこのカーブは著しく右肩上がりになるのですが、伝播路長による減衰量は余り気にしないようにしましょう。
従って、ものすごい豪雨や降雪時以外ならば、ローカル同士のQSOにはまったく支障が有りません。
今まで、5GHzでQSOが出来て10GHzが出来ないことが有っても、この逆が起こった事は記憶に有りません。
しかし、1.2GHzと5GHzではその逆が発生する事が多々あります。

Cその他のファクター
プロでは長い間利用されてきたマイクロ波も、ほとんどの場合中継回線などの安定した信号を得るための設備であり、我々のような利用のしかたはされて来ていませんでした、またマイクロ波自体が容易に誰もが運用し得るような物でなく、ほんの一部(今でもそうでしょうが)の人達によって細々と比較的近距離で実験されていた現実があります。
現在のように、ある程度の局数の運用が全国的に展開出来るようになれば、上記以外の知られていない伝播の形態が無いとも限りません。
最近話題のRS(レインスキャッター)等もその存在は知られていましたが、QSOで実際に利用されるようになりました。
ビーコンやレピータを含め、一定期間を決めた実験が望まれる所でしょう。