新金沢市議・渡辺 満 氏の意見

ご意見有難うございます。

先ず、所得税の源泉徴収が近代市民意識の低さにつながっているとの説ですが、確かに納税意識、担税意識につながることになっているかも知れません。しかし付加価値税がフランスから起こった一つの原因は担税意識が強すぎる余り、何からか取らなければならないので導入されたと聞いたことがあります。調べてみないと分かりませんが、確か15%だったと思います。要は国家は国民からいかにうまく税を取り上げることに知恵をしぼるかということなので、納税方法そのものが民主主義に大きく影響する様には思えません。むしろ日本の累進課税による高と低の所得層が平準化されていることを考えれば私は是認するところです。

大前さんも熱心に言っておられる地方分権ですが、ある意味では賛成ですが、ある意味では反対です。賛成の趣旨は貴殿と同様であるのであえて書きません。反対というよりも考えなければいけない点として、一つは地方自治体に日本全体を良くするというマクロ的視点があるのかという点です。自分の県さえ、自分の市さえ良ければ良いという考え方が強い様に思え日本の為に本当になるのかと心配しているのです。例えば白山麓の自治体に白山を任せてしまえばあっという間に開発される危険性があります。(つまり利権にからんだ中央のボスが地方に分散し中央より不勉強で地縁血縁に弱い官庁役人が政治家に牛耳られる)

東京都が2信組の問題で大いにゆれました。信用組合は都道府県が大蔵省から管理を含めて事務委託を受けているものです。しかしながら問題が起きれば国に責任をおしつけてゆく。私はこの問題をニュースで見ながら未だ地方分権は熟していないと感じました。勿論、地方独自の文化や街づくりの為にもその方向性は支持しているのです。

地方選挙の比例制導入は小生は明確に反対します。何故なら国政は政党政治であり、また議院内閣制ですからそれは良いと思います。また一昔前の参院全国区などは候補者を国民は知ることは不可能に近いのですから、地方選挙は国の方向をどうこうというのではなく生活する住民が良い生活環境を得るというのが根本です。そこには政党的理念とかいったものではなく候補者個々を選ぶものだと思うからです。勿論ご指摘の様に系列選挙に対する意見はその通りだと思いますがそれはそれで問題視すればよいのです。

校下単位のドブ板選挙については小生は是とします。先術した様に市会議員は生活環境を良くするという大切な使命があり、それはその地域に住んでいるからこそ実感できる問題点を市当局につないでゆく。またすぐ傍らに議員が居るから住民は議員を通して市当局に要望し易いという利点があるからです。この様な活動を通して市会議員は地域に密着するというのは決して悪いことではないのです。
当然この事ともう一つ市を将来どうするかといったビジョンを議員は持つべきです。この市全体を見渡すことができなければ片肺飛行といっても良いと思います。

スイスのバーゼルにチバガイギという大きな化学工場があります。バーゼルはスイス、ドイツ、フランスにまたがるライン川沿いの町です。スイスは生水が飲めるけれどもドイツでは飲めないのです。ジュネーブはフランスの国境近くにある市です。ジュネーブから約20q位のフランス側で原発計画があったそうです。これはスイスの猛反発で止めたのですが、これは国と国との問題ですが地方分権は日本の中に国境を引く様なものです。またこれ程のことは先ずないと思いますがシンボリックな例です。地方分権は良いことばかりではないと思うのです。

渡辺 満


この後に、「悠々会討議レポート」その他に目を通して頂き、「イヤー、洗脳させられた!」のコメントを頂戴した

民主主義の学校である「税」と
地方分権そして選挙
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