富山一 決勝進出ならず 〜北國新聞より〜

全国高校サッカー 国見に0−1惜敗 【評】

 

攻守で「王者」ほんろう、1点に涙

 

「このメンバーでサッカーができて幸せです」

 ジュビロ磐田入りが内定しているFW西野が、名残惜しそうにピッチを見つめた。

 二年連続の『国立』

頂点を狙う4校だけに許された大舞台で富山一イレブンは

優勝候補の国見を最後まで苦しめ完全燃焼した。

富山一イレブンのほとんどは2000年とやま国体に向けて五年越しで強化を進めてきたメンバーである。

富山一の監督、コーチだけではない。

県内の若手指導が一丸で育て上げ、自信を持って送り出した逸材ぞろいだった。

 

 前半はアグレッシブな攻撃とそつのない守りで納得のいく内容。

「うちが中盤で長くボールを持つことができれば」という長峰俊之監督の思いを

MF北川、篠川が存分に表現した。

早いパス回しで国見の選手を翻ろうした北川は

「ワンツー、トライアングルと練習した通り。本当に楽しかった」

と自信がピッチに描いたボールの奇跡を振り返った。

 

 後半にはいるとサイド攻撃で国見に失点を許したが

GK金山は「得点されたあの1本以外はよく(ボールに)反応できた」という。

目を真っ赤にした加納主将は「互角以上の内容。勝ってもおかしくない試合だった」と充実感をにじませた。

 しかし、今大会無失点に終わったエースストライカーの西野は悔しさが先に立った。

 「点を取れなくて申し訳ない」

と自分を責めたが、涙は後悔からではない。

 六年間も同じチームで戦い、あうんの呼吸で自分にパスを送り続けてくれた北川、樫本、篠川らと

もう同じチームでプレーできないことを残念がった。

 「狙い通りのサッカーが出来た」(加納)

 「自分たちのサッカーを見せた」(北川)

心を通わせて一つの目標に向かった富山一イレブンは、晴れ晴れとした表情で国立競技場を後にした。

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