私の師匠は、Mさんと言う現在70歳代の女性で、その先生は秋田民謡の梅若梅清(うめわか・ばいせい)であり、更に、その師匠は三味線名人の朝野梅若(あさの うめわか)先生である。
つまり、私は名人の曾孫弟子という事になるのである。
三味線を聞くだけならCDなどで楽しむ事もできるが、やはり、生の三味線は全くちがう。
ましてや、本場のプロの音には心を揺さぶられる。心にしみてくる。
僅かに数回だけだが、梅清先生の生音を聞かせていただいたことがある。
プロの音には一音一音に何か意味があるようだ。
小さな音、細かい音、優しい音、柔らかな音、強い音、硬い音、大きい音……
また、それらの音やリズムには(キレ)というものがある。
更には、弾き手の気迫と言うかエネルギーを強く感じる。
特に津軽三味線では、そのダイナミックでリズミカルな音の奥深くに、奏者の感情が色濃く表現されているように聞こえる。
だからこそ、鳥肌が立ったり、泣けてきたりするのではあるまいか。