■5月22日。 レクス トレメンデを歌う。
4: トゥーバ ミルム「ラッパは高らかに」 6:レコルダーレ「思い出したまえ」
第4曲と第6曲はソリストが歌う。したがって私達の出番は無い。
今更にしてではあるがプロの声は素晴らしいと思う。朗々と歌うCDのソリストの声に惚れ惚れと聞き入ってしまう。
M先生がレッスンのたびに言われるように、声そのものが一つの楽器のように聞こえてくる。
ベースは低く太く力強く、テナーは明るく高くかっこ良く、アルトは優しくふくよかに温かく、ソプラノは高く美しくカナリヤの用にである。
発表会で私達合唱団と競演していただけるソリストノ声を間近に聞けると思うと胸が躍る。
第5曲のレックス トレメンデは、わずかに22小節の短い曲である。
「モツレク」 モーツァルトのレクイエムをこのように言うらしい。
メンバーの間で時々、このモツレクという言葉を耳にしていた。
モツレクが… モツレクの…と言った会話だったが、当初は何のことかわからなかった。
「もつれる」と聞こえていたからである。
リズムの速い曲ではラテン語の歌詞が「もつれて」歌いにくいということかと思っていた「爆」
あまりにも有名なモーツァルトのレクイエムの俗称であり、今ばやりの短縮語のようである。
レックス トレメンデはモツレクの中で一番短い。14曲全てがレクス トレメンデのように短い曲であれば覚えるのも楽なのだが…
♪レクス トレメンデ マジェスターティス 恐るべき威光の王よ。
♪ターン タターン タターン タターン タターンタタンタン。
歌い出しの3度の「レーックス」の短調の和音の響きが力強い。それに続く前半は王様の登場を思わせるような特徴的なリズムの繰り返しである。
16分音符や32分音符の短い音を、正確にリズムに合わせて言葉を付けるところが少し難しいが、同じパターンのリズムが続くので比較的歌いやすい。
♪サルヴァ メ フォンス ピエタティス 慈悲の心で私を救いたまえ。
最後は曲調が変って美しく優しい祈りのメロディーに導かれている。
階名で言えば、わずかに「ラ ソ ラ シ ミ」の4音だ。短調特有のメロディーと言えばそれまでだが、展開の変化が実に巧みで歌っていて心地いい。
前曲のディエス イッレの激しさとは対象的な優しいメロディーだ。
カトリックならずとも思わず手を合わせたくなる音の響きである。
改めてモーツァルトの感性と技術に脱帽である。
■5月29日。
レックス トレメンデを中心にレッスンがある。長く伸ばす音では、最後まで緊張感を保ったまま美しい声を響かせるように。高音にジャンプするときは、その直前の音を丁寧にしっかりと…
前奏の2小節の間に、M先生はピアニストに対し「もっと重く、もっと重く」と強く指示を出していた。
重い音を出すためには、お尻に力を入れることと手首の使い方が重要とか。
このことは、ピアニストのみならず、そのまま私達歌い手にも当てはまることにちがいない。
とは言っても、週に一度のレッスンで発声するだけの俄仕込みでは、なかなか合唱の声にならないのである。