♪モーツァルトのレクイエムを歌う

Midi ディエス・イッレ「怒りの日」

■2003/04/15
第15回市民音楽祭の合唱団結団式が行われた。 今回は区切りの第15回ということで、昨年中に既にモーツァルトのレクイエムと決定していた。
モーツァルトは第3回市民音楽祭で一度歌った曲とのこと。 レクイエムの中でも有名な曲とのことで人気も高いようである。
そうしたことも関係があるのだろうか、今回は団員数も大幅に増えて100名以上となったようだ。 団員の中にも、当時からのメンバーも多数おられるので心強いかぎりだ。
第11回から連続の参加であるが、これまでは団員数が80名前後で、やや寂しかったが、100名となればステージでも迫力のある合唱が歌えることだろう。
だが、男声の方は2声を合わせても20名ほどで相変わらず少ない。 合唱に限らず、趣味を人生を楽しんでいるのは、どうやら女性のようであるらしい。
ちなみに、私はバスである。本当は、かっこよくテノールを歌いたかったのだが残念ながら高音が出ない。パヴァロッティにはなれなかったのである。

会場では何人かの人に声をかけられた。約4ヶ月ぶりに耳にするメンバーの懐かしい声である。 よし、今年も最後まで頑張ろうという気持ちが一層強くなる。

モーツァルトのレクイエムは名曲とされている。メンバーのほとんどが知っているようだが私は一度も耳にしたことがなかった。いや、耳にしたことはあるだろうが、それがモーツァルトとは知らなかった。

今回のレクイエムに限らず、これまでに歌ったミサ曲も同様である。 毎年の結団式に出席して、会場に流れている曲を耳にして、「今年は、こんな感じの曲…」と初めて知るのである。

M先生の話では、モーツァルトは、このレクイエムをほんの短時間で書き上げた。 「モーツァルトをして神がレクイエムを書かせたとも言われている」とのこと。

棚の奥にしまい込んだままのモーツァルトのCDアルバムを探してみた。

あった、やはりレクイエムが入っている。 高ぶる気持ちをおさえながら早速聞いてみた。

レクイエムと言えば、合唱団に入って初めて歌ったケルビーニのレクイエムが心に残っている。 短調特有の重苦しい雰囲気の、まさに「鎮魂歌」のイメージの曲だった。

モーツァルトのそれは、レクイエムでありながらも比較的に心に素直に入ってきた。 私の下手な文章では書き表せないが、爽やかさと明るさを感じると書くと語弊があるかもしれないが重さは感じない。リズミカルでメロディーが柔軟で、かっこいい。 それでいて、壮大なドラマが連想される。200年も前の作品とは思えない新鮮さがある。

楽器やオーケストラでは表現できないものが、言葉に、歌に、合唱によって表現されているように思う。

それ以上のことは今の私にはわからない。 これから、合唱の回数を重ねる毎に、このレクイエムの素晴らしさを、更には、モーツァルトの心を少しでも感じることができればと思っている。

関係者の紹介の後、先ずは簡単に声ならしを兼ねて発声練習を行った。

講師のM先生から姿勢と発声方法などについて基本的な指示を受ける。

両足を軽く開いて立つ。 踵を内側に寄せるように力を入れて両足の内側から臀部を緊張させて構える。

胸を高く大きく張って堂々と構える。 口を大きく開ける。下あごを下げるのではなく、上あごを上げるようにする。

発声は喉に力を入れるのではなく、身体全体が一つの楽器として、太いパイプの中を声が通って来るように、会場全体に響かせるように発声する。

レクイエムと言えども顔の表情は決して硬くならず柔らかに…

長年にわたり合唱を続けてこられたM先生は声量が豊かで迫力がある。たった一人でも私達100人以上の声が出ているように思えるほどである。

30分ほどの発声練習の後、いよいよレクイエムに入った。 練習初日でもあり、第3曲のディエス イッレ「怒りの日」を少し読む。

最初は階名「ドレミファソラシド」で読む。私や初心者の方以外、 ほとんどが合唱のベテランメンバーで、楽譜を見ながら即座に読んでいる。

5年前に初めて合唱団に入った時、皆が、いきなり楽譜を読むのを目の当たりにして私は圧倒されたものだ。

これは大変だ。とんでもないところに入ってしまった。とても着いていけない。と思ったものである。

だが、心配はいらない。先は長いのだ。音楽祭までには7ヶ月もある。自分のペースでやればいいのだ。

少なくとも1日に一度はモーツァルトを聞くように心がけている。そうすれば、音楽祭までには200回以上も耳にすることになり、 オーケストラが、合唱が、レクイエムが自然と耳に残ってくる。

練習が始まっても楽譜を読むことのできない私は完全に出遅れてしまう。 たとえ点字楽譜があったとしても、私の点字能力では、それを読みながら合唱するというのは不可能だ。

練習の度にカセットを持ち込んで録音する。 翌日から、これを繰り返し聞き直して自分なりの楽譜をパソコンを使って作製する。

モーツァルトのレクイエム「テキスト楽譜」がそれである。 そして、カセットを聞きながら、このテキスト楽譜を参考にしながら歌を覚える。

次の練習日までに何が何でも覚える。そうすることで、練習日では、ところどころ音が外れながらもメンバーと一緒に歌えるのである。

幸いにと言うか今年はラテン語だ。昨年は初めてのドイツ語だったこともあり苦労させられた。 メロディーは時間の経過とともに自然に耳に残るが、言葉はなかなか口に出ないものだ。

ラテン語は過去3回歌っているので言葉に悩まされることは無さそうだ。もちろん意味などは全く分からない。かみしめる余裕も無い。ただひたすらに暗譜して歌うのみである。

私の合唱は今年もまた1から、いや、0から始まったのである。


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