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十字路で立ち話(あるいはワッツニュー)
最終更新日:2023/07/01神仏問わず
供えるのは
みあかしと
線香の煙を
解きほぐす
結び目から
階段の上り
下りを通過
する身体感
手を上げて
下ろすだけ
の稽古始め
掻き入れて
掻き出せば
溶ける結び
糸が切れて
縫い直せば
縁の切れ目
山歩きなど
始めた頃の
開けた斜面
辺り一面が
石楠花だけ
の群生地に
登り下りを
忘れた様に
山歩きの虜
から逸れさ
させられた
腰痛や痔疾
宮澤賢治の
詩や童話の
豊かな幻想
老いて読む
石牟礼道子
に中空異景
夏鳥などの
飛来もない
梅雨時の庭
垣間見れば
健康だけが
大手振る巷
見たことや
触ったもの
でもないよ
ものうくて
かなわない
老体の囀り
知己の如く
慣れ親しむ
身体なのに
生きてると
生きるとの
隙間の呼吸
思ふからと
想ふからも
フをぬけば
フとくなる
重心をもて
余すように
掲げた鞘を
抜き身から
引き抜けば
遡り辿った
縮図を書き
変える縮地
左右を反転
させ続ける
扇状地の要
フを突けば
立ち上がる
浮力の中身
駒の並びを
祖父に習う
ふふふのふ
敵陣に入り
裏返されて
金に成るは
思いのうち
というより
想いのそと
負け続ける
相手想いを
祈るほどに
勝てなくて
自分思いを
願い下げに
思いのほか
より遥かな
老いた想い
買い物帰り
の庭に黒く
細かな流れ
屈んで見る
何回目かの
蟻の隊列に
道なき道を
数え進むは
誰の差し金
うっかりと
勘定しよう
ものならば
ミミズ千匹
蟻の門渡り
数の子天井
どこまでも
辿り着けぬ
お終いまで
春の野鳥が
飛び去った
梅雨入り空
雲の基底の
高さを測る
郭公が谺す
朝の屋根の
一枚一枚を
撫で返して
電線揺らし
羽搏き伝う
接続エロス
愚図り泣く
寝起き児の
ホバリング
風に流され
目覚め探す
ソナー打つ
見るほどに
敷き詰めた
中途半端が
刈り庭草に
飛び惑った
小バッタを
ゆきあたり
ばったりに
捕まえては
世迷い事の
手放し時を
数える夕暮
老いさらば
えるほどに
聞こえるか
祖父や母が
呟き漏らす
晩年の溜息
六月の雨が
木の芽時の
不調を洗い
刈り倒した
庭の植生も
浮き上がる
半世紀間に
移り変わる
雑草の変遷
西側に杉菜
東に蔓延る
稲科の雑草
草刈工具の
バリカンを
回転刃式に
飛び出した
昆虫を追う
一時もなく
対になった
政治の次が
身体になり
いつの間に
AIにとって
かわられる
なんて誰が
書き換えた
横書き姿勢
見返り姿も
艶めかしい
縦書き姿に
左翼であり
続ける姿勢
重ね合わせ
刈り集めた
ゴミ袋から
匂う枯れ草
薙ぎ倒した
だけの庭の
刈り残し跡
透かし見る
増殖された
草刈り作業
下駄履きの
足裏で探る
心地よさに
甦る和服の
着心地から
遠ざかった
商店街では
店仕舞いの
ラーメン屋
の後を追い
洗濯屋さん
肉屋さんも
主が消えた
HPのように
裏返された
カエルの腹
萎んだ庭の
草むらから
這い出した
蟻の隊列と
並走すれば
蠕動毛虫に
委託された
変態の拠所
乱射された
枝葉の影の
恋愛の雫が
映し出した
接写リズム
性欲の羽化
五月に夏日
柱4本と板
三枚だけの
背戸の雪囲
外す力なく
雑草の刈取
下駄履きの
老体に任せ
小一時間で
草いきれと
土の香りに
彼方の里山
時鳥を真似
て見せたら
早口言葉に
思い浮かべ
腑に落ちる
までの隙間
列車通勤が
快適だった
蒸気機関車
運命交響曲
乗り換えて
至上の愛へ
映画館抜け
土手を下る
針先の震え
流派知らず
聴き応える
流儀のまま
アドリブの
熱気と香が
個室を貫通
尖るビート
交差すれば
グルーブに
半日あまり
待ってから
捕まえられ
岐路に立つ
当たり外れ
など紙一重
現象だけが
存在に映る
鏡の部屋で
出生地から
零れ落ちた
垂線の揺れ
切株の様に
朝陽に枯れ
果てた水仙
立ち上がり
動ける様に
なれる広さ
軒下の陰に
妻が毟った
僅かな庭草
ゴミ袋へと
掴み取れば
散会する虫
寄合うより
雨宿りして
いた団子虫
五月連休に
鼻から喉へ
風邪が抜け
電気剃刀を
新調すれば
薫風剃り味
同じようで
違い繰返す
オノマトペ
青葉の裏を
透かし見る
五月の鼓動
端切れから
零れ落ちる
稚魚の躍動
膨らみ沈む
一期一会の
鰻の寝床で
抜き放った
成魚を放流
する竿の先
握らせたら
当たりまで
浮子の儘に
引き込まれ
弧を描いて
張りを合せ
五月の風に
肌けた山稜
陰る処女雪
アフター5
の漁港から
刻を翔けて
透かし見る
丘陵地辿り
Y字峡まで
座り込んで
写り込んだ
ライブ会場
覆い隠して
気持這わせ
封切り映画
傾く土手の
茂みを分け
帰巣の響き
前後左右へ
振り回して
溶かし込み
振り回さず
塗り潰して
破れ果てる
残響が谺す
グルーブに
巻き込まれ
蒸気機関車
を乗り換え
跨るバイク
混血地帯を
走り抜ける
雑食リズム
スゥイング
に紛れ込む
忘我と覚醒
枯れ落ち葉
捲った下に
蹲る幼虫が
艶やかかに
近づき過ぎ
ることなく
見ず知らず
踏みはずす
成熟の階梯
民家が覆う
泥汗に紛れ
ることなく
非宗派的な
街道外れの
悦楽を過ぎ
抜き返した
畦道を辿る
異形の風景
目紛しくも
春の寒暖に
もて遊ばれ
雑草蔓延る
庭の隙間で
離着陸する
紙飛行機の
羽ばたきが
縫い合わせ
田舎道から
郊外までの
肉体と身体
塗り変わる
風景の奥に
迷い込んで
見失なった
出自の果に
届かぬ触手
父の命日が
母の誕生日
に戻り寒波
居ない事が
当たり前の
父の不在が
呼び覚ます
対象の希求
を纏う日々
その違いが
分かり難い
肉体と身体
両者を繋ぐ
感覚を着る
人生の時間
切れ切れの
畏敬の念で
衣服の着脱
日頃の街で
覗く山並み
靄に隠され
操業停止で
晴れ上がる
コロナ渦中
毛勝三山の
稜線を辿り
薬師岳まで
見た事ない
空の蒼さを
覆う黄砂に
見え隠れて
青春の音楽
四月の破調
対象/表象
定まらない
内装と外装
冬を越して
老いに磨き
がかかった
庭木の根が
肌けた庭に
透けて見え
労働が叫び
考えごとが
宗教霊歌に
性欲が命の
律動にまで
昇りつめて
俯瞰すれば
蔓延る雑草
背戸の空地
埋れ果てた
切り株から
覗く雑食性
梅から桜が
もう花水木
へ三段跳び
括れた形で
駆け抜ける
春のリズム
遅咲き八重
桜を待って
満開の木瓜
掛け渡され
揺れて刻む
演者と聴者
柔かく弾む
楽器の奥へ
子を導いた
母の手から
飛び立った
郭公の夏へ
感じること
と感じ入る
ことの隙間
わかること
できること
その違いが
地図を読ん
でも歩いた
事にならぬ
していると
することの
場の生成で
聴き入れば
聴いている
ことも忘れ
ビートから
リズムまで
まとまって
マスクした
人で埋まる
バス車内に
ノーマスク
の幼稚園児
らが乗込み
中の誰かが
マスクした
婆ばっかり
マスクなし
の付き添い
が黙らせる
幸せの手前
迄はお金が
もの言うが
その先へと
連れだして
くれる縁結
口から入り
肛門までの
夢の抜け道
言葉足らず
覚えられぬ
内なる他者
同伴者だと
信じ込んだ
最愛の他者
庭の雑草や
樹木や虫が
絡み合う場
手入れした
祖父や草を
毟った母が
彼岸を巡り
他者離れて
立ち会うか
咲き始めて
雨に打たれ
地面に伏す
水仙が聴く
庭の足音と
球根の囁き
古き実家の
蓄音機から
聴き分けた
音と雑音が
幼い身体の
地図を描き
体験と妄想
のY字路を
夢見るまで
生き死にを
辞められず
発生し続け
開き始めた
花の下でも
覆われた唇
零への壱を
寸止めした
身体を観劇
何をしよう
何を話そう
として止め
相まみれて
踊るような
身体の隙間
吹き抜ける
音の響きが
反響すれば
混沌と生成
が渦巻いて
共振共鳴へ
素魚なのか
白魚なのか
何も食べて
生娘なのか
処女なのか
分からずに
60年代なら
夜の街角の
ライブハウス
巡り合った
山下洋輔の
トリオ演奏
あんなsex
してみたい
と呟いた女
さよならの
後の変態が
亀頭の夢に
申請書類の
屋根の破損
見取り図が
スラスラと
間取りほど
書き表せず
小屋根から
大屋根まで
の間に屋根
向きを違え
重ね合って
見えるのに
垂直視線を
使って立体
把握できず
俄仕立ての
ドローンで
大ジャンプ
明け方から
風雨が叩く
ガラス窓に
咲き揃った
隣家の白梅
千々に乱れ
釜で炊けず
鍋で炊けば
粥状にしか
仕上がらず
幼い手伝い
迷惑がられ
持て余した
粥状の心に
行き場失い
炊飯器から
竃を辿って
囲炉裏まで
老体の衰え
忘れさせる
入浴ならず
夢の中だけ
年齢不詳で
疲れ知らず
100歳近く
まで一人で
風呂を使い
医者いらず
老い果てた
仏間の祖父
明治初期に
生まれ育ち
死際も鮮か
薪火や炭火
を使う暮し
の型崩れが
途切れ果て
切れ切れの
夢のかけら
仮死の底に
とどかない
声を限りに
抱き上げる
浮力のなさ
我身の無力
冠婚葬祭で
隣り合わせ
た面影から
予想できぬ
揺れる訃報
謎を秘めて
梁と長押の
民家の作り
に絡む鴨居
晴れ渡った
朝空の風に
揺れる庭木
植え込みの
乾いた影を
湿らせる苔
埋め尽くす
緑の地肌に
張り巡らす
聞き覚える
里山歩きの
春先の鼓動
歩き回れば
対象化する
体内リズム
枯山水肌が
生命律動を
盗聴し続け
融け残った
雪を掻分け
伸びる水仙
虫から蛹に
そして蝶へ
変化の先で
生殖の春が
狂い咲けば
修羅の嵐に
警笛鳴らし
転覆間際の
蒸気機関車
溢れかえる
貨物と乗客
積み残して
何れ劣らぬ
判断停止の
路線を驀進
いい加減に
前歯が抜け
お茶漬けも
啜れなくて
サックスも
吹けないし
ギターなど
コード忘れ
動かない指
何もするな
と囁く谺が
身体を巡り
気のせいか
確かな物が
芽生えれば
バランスの
偏りからも
老いる力に
従うだけで
隠居暮らし
など出来ず
朝陽を遮る
ギザギザの
稜線越しに
凍てついた
両手の平を
灯明で温め
体の奥から
手を翳した
囲炉裏端で
布団を敷き
冬場を凌ぐ
幼児の記憶
かきもちを
叩き落とし
火鉢で炙り
置き炬燵に
仕舞い込む
温もりの顔
稼ぐことで
飼い慣らす
身体の癖に
踊らされて
歪んだ様な
老い暮らし
二度寝癖が
掻き消した
寝起きの声
バランス板
や道のく山
道に乗れば
思い出しも
かなわない
体内的響き
板の間から
畳敷きへと
誘い出され
言葉を追い
身体が越さ
れた時代に
縦書きした
指と横書き
指の交差点
それぞれの
距離を掛け
合わせれば
停滞と深化
を跨ぎ越す
考える時間
吹きすさぶ
修羅の風と
水晶の風が
弄ぶ方角に
逆らい傾け
影を脱いで
仰向け転び
めり込めば
居着き届く
無意識から
押し出され
る名辞以前
在りし日が
明滅すれば
過ぎし季節
発光すれば
シナプスが
織り成した
言葉以前が
共振しだす
テンション
スイングに
共鳴すれば
震える意識
昆虫少年や
植物少年に
性的な目覚
など生活が
里山離れて
移ろう郊外
自然と社会
の合間から
身体の季節
反時間的な
芸術表現に
現を抜かし
非社会的で
非家族的な
逃避の淀み
新築土地で
掘り当てた
井戸水融雪
朝空に凍る
東の稜線に
刺さる月が
ゴミ出した
帰り道では
溶ける朝焼
幼老隔てず
歳月数えて
月との距離
望遠鏡より
双眼鏡での
輝く立体感
拡大されて
凍りついた
消雪水の跡
行き違える
マスクして
ゴミ出す影
地球温暖化
も嘘みたい
寒さ続きに
痺れた指で
叩きまくる
カウンター
宮澤賢治が
書いてない
ジャズ体験
L.ヘルンが
聴き逃した
ジャズ発祥
ジャズの死
が取り沙汰
され数十年
幻の履歴が
彷徨う体に
響き渡って
目に見えず
感知すれば
寒波に悴む
小さな動き
で目覚める
身体感覚が
見えぬ物を
見る事から
自覚する事
こころ動く
空間が開く
時間を稽古
習慣化から
定型化した
五感の進化
降り始めて
庭を埋める
雪下の新芽
起き抜けに
下り気味の
ミとソとシ
朝飯に聴く
煮え立った
味噌汁など
気付いたら
選びようも
ない生と命
産湯の器は
何だったか
聞き覚えず
民家の因習
に弄ばれる
実在感から
鯰や害虫や
蜘蛛などの
下降と上昇
同じ屋根の
下といえど
家族はいつ
いかなる時
本当に出会
うのだろう
事を起こす
行動化とは
意思でなく
切迫化した
当人其の者
に起きるが
行動化する
無意識下の
焦点化とは
いかにして
どうやって
起こるのか
街道沿いに
村の悪童が
通りすがり
棒切れ手に
引っ掻いて
打ち鳴らす
嵌め殺しの
木虫籠の響
遠ざかれば
吹き抜ける
風に揺れる
音楽の木が
弾け散った
演奏形態の
消長の導管
巨大すぎて
観えなくて
触り続けて
数十年前の
退職後だが
妻が打鍵し
靴の空箱に
並べ詰めた
LP目録から
聴き忘れた
ジャズ演奏を
振り返れば
三千数百枚
タイピング
の有り難さ
入手したり
聴いた頃の
雰囲気など
生々しいが
CDとなると
心もとない
ゆっくりと
庭の陰りが
等速で動き
時を刻むが
時間を計る
デジタル化
持ち越した
柱時計から
零れ落ちた
体内時計が
狂った様に
掛け損なう
軒下越しに
傾き揺らぐ
老いの小道
光に習って
家の内外を
慌て騒がず
賀状挨拶を
止めてから
随分経つが
届いたのに
返信するの
もお終いに
新年の花を
飾る気にも
慣れなくて
ブログだけ
テンプレを
お正月向け
人それぞれ
の価値感が
本来の物語
だとしたら
物の観法が
崩れすぎて