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十字路で立ち話(あるいはワッツニュー)
弁当を使う
職人さんを
縁側に上げ
吸物などの
もてなしが
立ち消えに
田舎を離れ
郊外暮らし
も三代過ぎ
近所馴染み
寿司屋から
お節料理も
今年限りで
味わえない
新年三ヶ日
冬場の買物
困難を回避
で宅配弁当
初雪解けの
雪吊庭木が
寒さに竦み
心を病んで
蹲る影から
伸び上がり
枯死で斬る
べき庭師に
待ちを掛け
二年が経ち
見事に蘇る
楓の古木よ
越えられぬ
壁は迂回が
とっておき
雪吊縄切り
天から降る
縄ばしごに
暖機運転を
しながら車
の除雪など
通りすがり
朝の挨拶を
交わす雪線
故郷に残る
桜町遺跡を
埋め尽くす
谷間の雪を
透視できる
体感接線を
獲得できる
春夏秋冬を
めぐる稽古
心の眼から
身体の眼へ
遡行の試み
老い坂道に
電光石火の
寒波来襲か
今・此処を
抱え上げる
茫然自失に
咄嗟に働く
何者かから
持ち堪える
破れ雨樋の
修繕も降雪
前日に完了
初雪まえに
眺められた
庭木の雪吊
予想に反し
滞りもなく
バスで買物
老化が進む
身体を網目
状に解せば
吹き抜ける
何かが通過
する響きに
囁き掛けて
ほぐされる
今ここの体
リアル過ぎ
れば過ぎる
ほどに滲む
虚構の様な
リアルから
逃れられず
カラ[空]だ
を等身大に
紐解く稽古
切れ切れが
千切れたら
絶え絶えに
買い物帰り
午後の空を
低空で南下
何だか変ね
山へ直行は
おかしいね
夕方のTVで
搭乗二人の
小型機墜落
アレだった
顔を見合せ
間違いない
意味もなく
目的もなく
過ごす日々
プラゴミ出し
を忘れそうに
日常が綻んで
なんとか出し
はたした帰り
道の達成感に
強張りがちな
緩んだような
体感の不思議
見えない体内
を観ることが
できるような
日常の稽古化
が必要になる
間合いがトれ
時間をホって
よりホんとう
に近づけるか
舗装道路を
砂利道へと
巻き戻せば
袖すり合う
仲が生んだ
無上の一時
腫れた唇と
擦り剥いた
膝頭の感触
やり手婆が
手引きする
温泉場の夜
ゆきずりの
事の次第に
射し込んだ
朝陽が奪う
気化熱から
緩む唇まで
老いに逃げ
込む若さの
あてどなさ
道なき道が
自由のこと
だとしたら
何かに逃避
する速さが
創造になる
生粋の疎外
なる励起が
引き起こす
社会的違和
と自然に対
する不思議
間で結ばれ
やわらかに
共鳴すれば
分からずに
些細な蒐集
当てもなく
纏まらない
仕訳に迷う
五感の迷路
兆す体感も
経験からの
距離感まで
味わいから
匂い揺らぐ
合わせ技で
聴き取れば
密室に晒す
エロス鏡像
砕き纏って
伸縮自在な
宇宙の塵埃
なめらかに
そそりたつ
仰角が導き
やわらかな
手が握った
俯角が誘う
弁を開けば
おくふかく
綾なす鞍部
絡み合った
味嗅聴視触
感に目眩く
乗り合った
縁の船縁を
生老病死の
波に洗われ
森羅万象が
訪れる岸辺
田舎を去り
引っ越して
半世紀過ぎ
正月二日に
集った場を
盛り上げた
庭付二階建
縁者たちも
鬼籍の人に
晦日に届く
お節料理も
途絶えたら
郊外移住を
飾る解放が
幻の時間に
気づいたら
此の世から
薄らぐ浄土
電池切れで
血圧測定が
途切れた朝
地球人口が
80億になる
TVニュース
泡立草から
ススキまで
前景にして
立山連峰を
写す途端の
電池切れを
嘲笑うかの
ように鳴く
ハシブト鴉
デジタルに
振り回され
老いの寝首
庭先に出て
和む日差し
肩先に止る
アキアカネ
口先寄せて
吹けば飛ぶ
上唇の働き
消し去った
五体の揺れ
欲求と欲望
潜り抜けた
目合いから
抜け出した
身体の認知
ならぬ認識
加齢と老化
架橋できぬ
身体化の謎
秋深まりて
大地に還る
エロスの涙
夜具の裾に
食み出した
温もりの肌
香る局面を
辿り合って
縺れる情が
激りたった
身体の緒で
結び合えば
懐かしくも
行き交う生
命の躍動感
駘を知らぬ
喪失感から
萎れる男根
持ち堪える
こと自体で
耐えていた
在りし日の
65歳離れた
祖父の歳月
手伝いした
孫の手から
推し量れず
足手纏いが
お互い様の
餅搗きまで
入れ替わり
擦れ違いに
交差すれば
かけ離れた
歩み寄りが
年齢を隔て
庭で絡んだ
網の目から
抜け出せば
伏せた椀の
稜線に響く
ハイハット
吐き出した
秋の吐息に
紅葉の隙間
揺れる身体
決めかねる
自立と自律
スイングを
叩き出され
グルーブに
さらわれて
時の細波の
遥か彼方へ
木々が戦ぐ
里山を抜け
祖父に習い
木を伐って
薪割りして
暖をとって
田畑耕して
収穫物など
川で洗って
掘り抜いた
井戸水使い
煮炊きして
散居村から
なめらかに
街道を抜け
見下ろせば
平野が消え
沈む空と海
雪面を踏み
掴めなくて
止めた滑り
漕ぐように
踏めないで
別れた走り
ふらつけば
四足歩行の
幼児に遡行
握りしめた
勃起力から
翔び立って
漲るような
身体捌きで
解けるのか
立つことや
腕を挙げる
仕組みの謎
雄を漁って
猛暑の夏を
凌ぎきるか
剪定された
庭木の枝に
しがみつき
蟷螂の腹が
年季を数え
偏食を呼吸
ひもじさが
当たり前の
囲炉裏端で
食べさせた
ふかし卵の
祖母の腕前
母や嫁でも
およばない
ふわふわ卵
凹凸のある
干上がった
川底の記憶
石が穿って
飛び跳ねて
削り取られ
多面体から
線状球面の
透視図の空
無数の支点
結ぶように
張り合わせ
宙に浮かべ
外側からも
内側からも
行き来して
眺められる
懸垂曲線へ
歯科医から
治療の前に
血圧診断を
初診医者が
下す高血圧
の御墨付き
血液学会の
基準と違う
民間伝承の
数値の間で
揺らぐ老の
主観的真実
生きてきた
姿勢が保つ
身体的真実
生き死にが
自然ならば
老衰も道理
引っ越しで
背戸に移植
した無花果
柿や栗など
50年過ぎて
跡形も無く
苔が生えた
切り株まで
覆い尽くす
雑草刈りも
ままならぬ
高齢化身体
縁も所縁も
切れ切れの
原っぱなら
仏壇向きの
花を育てる
積りもなく
庭木や雑草
刈り整えて
虫も鳴かず
一掃された
蜘蛛の巣に
絡まる寂寥
頭の中だと
自ら生まれ
独りで死に
庭の静寂も
人手による
束の間なら
生き死にも
人手なくは
明滅しまい
輪廻の網の
目揺らして
身体吹抜け
庭の眺めが
茂り放題の
雑草や庭木
例年の如く
やってきた
業者で一新
蟻地獄から
薄羽蜉蝣へ
飛翔したか
庭師四人が
一服してる
地面を覆う
半世紀前の
祖父の手に
なる剪定歴
良い悪いも
絡め合わせ
る老い均衡
迷い込んで
見上げれば
梢が仕切る
空の隙間を
俯瞰すれば
鳥人の滑空
数人ならば
話し合える
と言えるか
苦手な二人
よりも三人
デュオより
安定しない
トリオ演奏
の流動感が
行き詰れば
耳を狂わす
悪たれ聴衆
生まれ変わ
り続ける僕
たちなんて
ラジオから
聞こえくる
9月の雨に
ジャズLPの
サボテンの
ジャケット
収録された
CDセット
通販で発見
半世紀前に
中古LP屋で
眺めて以来
入れ替わる
身体感覚も
漢字の変遷
吹き払った
筈の庭木の
蜘蛛の巣に
引っかかり
破風や樋を
眺め揺らぎ
宙に浮けば
身体に谺す
白日の眼華
再び帰らぬ
脈絡を綴り
抜ける感性
横書きから
縦書きへと
改まる稽古
逃げないで
通り抜ける
隙間の進化
鳴き声静か
庭を覗けば
夜来の台風
こすり器も
やすり器も
濡れ果てて
雌を呼べぬ
暴風雨圏内
の雄の行方
自給自足が
破綻すれば
三種の貧乏
相対的でも
要扶助的や
経済的でも
括れなくて
生命/存在
脅かす貧乏
見上げれば
紺碧の空に
輝く星と雲
夢かと凝視
すれば天井
眺める身体
S.ワンダー
聴き込んで
水族館巡り
G.デッドに
踏み込めば
ペダル漕ぎ
老いるほど
に先細った
五感の行方
神出鬼没な
間接稽古で
進化の節々
DL試聴で
お皿に焼く
迷子のLP
アナログと
デジタルを
聴き分ける
感情などは
身体に拠り
決まるのか
身体感覚の
感応決める
エネルギー
交換の場が
成り立てば
心情も交換
空から抜け
場を安らぐ
身体遊泳へ
見えなくて
ルンバの音
這いずれば
ゴキブリの
尻尾が描く
瞬発逃走力
バッタから
逃げる孫を
追いかけて
すれ違えば
交差体験も
最初と最後
食欲より質
に置き換え
一口サイズ
老若違えて
口内感覚が
感応の場に
冬場の着雪
モール電線
朝陽に跳ね
柳腰を辿り
膕を弄れば
未踏の曲線
前腕無くし
上腕で描く
弧の崩落面
織り込まれ
相反運動が
統合された
身体運動に
気付かずに
過ごした体
空っぽから
空っぽまで
埋め合わせ
腑に落ちて
探ってみる
内臓の在処
返せなくて
歳月の隅に
言い残した
言霊の響き
掬い上げる
身のこなし
正解もなく
自己主張も
執着も無く
思い通りに
ならなない
覚悟の果て
聴こえくる
第一言語と
母語との間
床から畳を
飛び越えて
掃除機から
持ち替えた
草刈りバリ
カンを櫂に
伸び放題の
庭草越しに
虫譜を聴く
崩れかけた
厠の壁から
抜け出せば
コオロギや
ゴキブリの
艶っぽさに
およばない
ゴミ掃除の
ロボット音
両手の指先
両肩に置き
両肘を回す
内臓の通り
解れる様に
抜けきって
動かす身体
意識すれば
行動小さく
始まっては
終っている
くりかえし
狭まる程に
手がかりの
形もなくて
遠出少ない
行動範囲に
穿つ老い先
覚えもなく
気がつけば
歩きはじめ
棒のように
握りしめた
鉛筆の手で
当てもなく
書きなぐる
落書き以前
覗き見れば
縺れ線から
弧を描いて
面を区切る
直線が伸び
波打つ紙上
横書きから
縦書きへと
手当り次第
懐手に響く
小鳥の鼓動
日毎に聴き
ゴミ出しの
朝方の涼さ
揺れる雑草
バリカンで
刈り取れば
暑さ極まり
感染者数も
マスク着用
も世界一に
身体感覚も
放棄姿勢の
マスクマン
口唇動かし
息苦しさを
謎ってみる
右から左へ
時計回りと
反時計回り
巻合わせて
木登りする
大蛇の動き
双手で縄を
幹に回して
駆け上がる
蛇腹の様に
絡み合った
男と女の襞
寸法合わず
届かなくて
手詰まりで
自然に左へ
動く流れに
乗る身体魂
探し続けた
ジャズ喫茶
の片隅から
歩き続けた
ライブ演奏
の高原まで
詰め込まれ
消え去った
初発の響き
躍る旋律を
挟み込んだ
クッション
聴き忘れて
研ぎ澄ます
刹那の狭間
V字で弾む
グルーブに
組み込まれ
年金生活の
の内と外で
劣化する知
無意識働く
もう一人の
私の身体力
ワクチンで
悲喜交々の
マスク社会
鬩ぎ合いも
究極的には
自然治癒力
罹るときは
罹り罹らね
ば罹らずに
罹ったらば
如何様にも
経過させる
青大将の舌
透かし見る
夏戸を這い
木虫籠抜け
繋ぎ止める
飛脚の噂話
宗教勧誘に
紛れ込んだ
無類の縁談
叩き出した
畳の埃まで
紛れ込んだ
障子の隅に
こびりつく
家訓の名残
見え透いた
擬人化など
届かぬ大気
万年筆など
高嶺の花の
孫にくれた
使っていた
のも知らぬ
祖父の矢立
コピーして
よく眺めた
良寛の筆跡
流れを奏で
居着かない
滝に打たれ
秋の収穫に
添えられた
叔父の毛筆
筆と墨壺が
いまを消し
跡形を残す
出会い時を
失したから
読み惜しむ
誤配された
初見の輝き
復元できず
世間が流す
噂話が彩る
先入観から
テクニカル
ライターの
その後の姿
PC雑誌から
ツイッター
への変身譚
本当の事を
書きあげる
詩の極地へ
炎天下まで
這い出した
蚯蚓の行方
堆肥を積み
摘み出した
川釣りの餌
酸性の皮膚
耕し続けて
田畑に通い
後半生総て
土壌に働き
かけた祖父
宅地田畑を
売り飛ばす
孫に添って
住み替える
新築家屋へ
庭木も引越
立つよりも
歩くような
座右の姿が
屋内を歩き
回りながら
僅かな段差
柱に掴まり
持ち上げる
老弱の喜び
辿り着いた
腰から下を
消し去れば
辿々しくて
果てしない
歩きの境地
無念無想に
歩きだせば
太古の観想
相性が叶う
住み心地は
井戸の水位
田舎家では
祖父の影が
井戸に溢れ
洗い流せば
体と道具の
使い方など
感覚できず
追体験から
かけ離れた
動きの型に
回帰できず
模索の調べ
自在に形や
流れを変え
私淑の伴侶
真っ直ぐに
老い残って
いまここに
溌剌ならぬ
身体感覚の
生きにくさ
さっきとは
いまになく
これからも
先はいまに
なくいまの
いまもいま
ないところ
かいくぐる
刹那的現在
感覚できず
経験の中の
身体的再燃
見た事ない
刃を渡った
蝸牛の動き
居合わせて
発砲音聞き
地に伏せず
脊髄反射も
銃社会から
ほど遠くて
ラベル無し
透明瓶など
識別できず
産業社会の
情報次数の
高次化から
揚力余って
不時着する
零次情報源
庭の古木が
上下に左右
前後に揺れ
炎天で働く
人影も揺れ
無言の老体
少年が青年
を過ぎ壮年
そして老年
百歳になる
直前に逝っ
た夏の身体
片道切符の
交換と交感
喘ぎ語らず
綿棒で拭く
黒い痰汁に
飲み込まれ
引き揚げた
村の学校が
いじめの場
老体夫婦に
外界自然が
暑いいじめ
老化による
体内自然の
不都合など
身体が宿す
いじめじゃ
なかろうか
生きる限り
いじめから
逃れられず
幻想行為と
現実行為が
絡まる実践
前倒された
暑さに揺れ
庭の半夏生
書いてきた
筆跡を覆い
隠す右手裏
半身になり
左手の先が
未知のまま
手付かずの
これからが
広がるだけ
老化現象の
不具合など
治せなくて
あるがまま
経過させる
体内自然に