十字路で立ち話(あるいはワッツニュー)
最終更新日:2020/07/01今年は特に
蚊がいない
庭先を出て
自粛明けの
街中はじめ
体育館へも
マスクやら
消毒などが
常態の接触
半ズボンの
脛を擦った
ペダルの傷
放置すれば
共感しない
接ぎ木の技
老若問わず
健康よりも
好きな事を
天袋を覗く
手に触った
制帽に黴が
半島遥々と
持ち帰った
母の手から
幼少の頭に
冠った時の
亡父の感触
手が届かぬ
床の間飾る
亡夫の遺影
制服制帽が
包み込んで
見えない体
サイズ違い
知るほどに
程遠い体感
いつの間に
立ち消えた
庭の梅の木
祖父が漬け
母も漬けた
紫蘇の香が
体に沁みる
天日干しの
網目の記憶
難を逃れる
朝の梅干し
未だ忘れず
昼に炊いた
米の旨さに
見合わせた
顔から溢れ
体内に潜む
体感記憶に
蜘蛛を払い
愛でるほど
枝切りした
薔薇一輪を
花瓶の煙の
木に点せば
姿勢を変え
眺めが違う
視点の変化
ロボット化
した欲望が
張り巡らす
無責任から
垣間見える
世間的な層
何も見ない
集中力から
育つ観想力
一方通行の
世の動きに
かかわらず
春鳥が去り
はや夏鳥が
鳴き始めた
庭先を抜け
漕ぎ出した
買い物籠を
今日も充す
残り少ない
小商い店舗
生鮮食材を
妻の手並で
頂く食卓に
座る体から
抜け落ちる
渋滞や停滞
見上げれば
空を分ける
緑の万華鏡
外的時間が
触れ合った
樹木を隔て
内的時間が
導管を流れ
根付くまで
切り倒して
断ち運ばれ
振り上げた
斧が裂いた
隙間に潜む
髪切虫模様
飛び散った
樹液拭って
羽搏く言葉
おしりから
引っこ抜く
瞑想抜け殻
十年余りも
探り判らぬ
老体抜き身
松の枝から
垂れ下がる
蓑虫の揺れ
虚空めがけ
抜け駆けた
刀身の反り
ミクロから
マクロまで
計りきれず
扇形を描く
振り幅まで
動き納めて
積雪少ない
冬を過ぎた
庭に蔓延る
草花の常に
動きたがる
種子の形態
半世紀前に
田舎に捨て
置いてきた
山の動きも
忘れ去って
行方知らず
結果として
移動距離を
計る速度を
見失わずに
紛れ込んだ
体内時間が
庭を歩けば
透き通った
新緑の木陰
下駄履きの
素足からも
はみ出した
影を踏めば
張力満ちた
新緑の響き
擦れて揃う
中心のない
庭に散蒔く
種の由来を
今年も隠す
多様な雑草
土踏まずを
見上げれば
透ける呼吸
山登りやら
スキーなど
止めたのに
身体に残る
おにぎりや
酒の美味さ
自粛明けで
街中に出て
戸惑う眺め
透き通った
新緑の陰で
縮こまった
消費行動が
冷え込んだ
動きの描写
気取られた
都市生活の
必需と選択
出会い頭の
裏庭で鬩ぎ
合う蛇と蛙
柔らかくも
張り詰めた
互いの集注
両者が立ち
去るまでの
見切り時間
杖を右手に
庭木の傍に
立つ祖父が
山に向かう
農道で蝮を
一撃で殺し
後ろを歩く
孫に振向く
隙間もなく
県境の辺り
を跨ぐ風に
石楠花揺れ
重なり合う
水鳥の囀り
街中を流れ
淀みを漉す
直感力から
飛び立って
血を躍らせ
巡り滾らす
手足の隅々
踊りだした
主人が織り
なす息遣い
見つけても
引き分ける
相打つ相手
田舎からの
引越し以来
咲き続ける
庭のバラの
蕾が怯えた
ように折れ
萼から下が
無くなった
蕾の行方を
託してみる
フィルムを
張った小瓶
突きさせば
棲み分ける
受動と能動
日々の体調
向き合うは
自分の身体
入り口から
出口までが
同じなのに
抜き差しが
ただならぬ
繰り返しに
呼吸が乱れ
分からない
止めどなさ
居るべき所
居るべき時
なすべき事
肉体からも
脳髄からも
かけ離され
精神からも
感情からも
遠い身体感
若葉以上に
澄み切って
際立つ山並
大陸からの
汚れ少なく
照り返す甍
各種生産の
操業停止が
もたらした
背景を望み
今年も巡る
田植え作業
子どもらの
遊び声なく
田植え機の
響きが谺す
空の隙間に
身柄を呈し
抜け切った
空の高みに
届く居心地
デジカメで
コデマリに
群がる羽虫
覗きこめば
相互に動き
触れ合わず
五円玉から
抜け落ちた
満月のよう
水辺の虫の
尻尾を縛り
飛ばしたり
ドローンを
狭い部屋で
紐付き飛翔
ランチなど
量が多くて
外食嫌いに
コロナ禍で
遠ざかった
懐かしい味
肉体的にも
身体的にも
裏返されて
表裏一体を
尽くす前に
寝返ってる
母が鶯嬢を
やった時の
候補者以外
投票自粛で
対応の型も
食傷気味に
ラジオやTV
ネットなど
本と一緒に
折り畳んで
庭に出れば
五里霧中の
風向きなど
見向きせず
眩しい新緑
柿の木から
落っこちて
床に伏した
明治育ちの
祖父は大の
医者嫌いで
ひたすらに
体内に篭り
生き治って
本当に旨い
と感じ撮る
料理写真の
シャッター
チャンスを
逃し続けて
手ぶれする
出会い頭を
決めかねた
逡巡からも
見放された
行き止まり
迷い忘れて
出来る限り
手間取らず
逸れ続ける
儚い焦点に
揺さぶられ
竹とんぼは
手を離れて
風まかせに
200g無い
無人機なら
電源入れて
手の内なる
操作機器を
扱う指任せ
はじめての
事態にでも
余裕の隙間
見きわめて
対応できず
成行き任せ
散らばった
それぞれの
離着陸地点
閉じた掌が
開くような
三角州の陰
獲物を狙う
鷺の静止が
貝の嫉妬に
揺らめいて
その背後を
喪失したら
露わになる
奥行きから
響く感触が
胸回りまで
弄る指なら
肋骨の隙間
貝のように
綴じ合わせ
挟む隙間に
新芽が香る
庭先を歩く
履き心地に
背伸びした
頭に触った
蜘蛛の歩み
草臥れても
歩き慣れた
足裏の傾き
図書館から
遠ざかった
巣籠もりを
窓際近くで
羽休めする
鳥に覗かれ
積ん読から
解き放たれ
体感に耽る
旧居の隣の
防火用水を
汲み出して
見え出した
生き物らを
眺めおろす
思春期来の
人と人から
距離を測る
振り被った
竹刀の角度
そのままに
打ちかます
体と体から
飛び散った
規則を離れ
流れ去った
法則の解体
ささくれた
家の中では
どんな歌が
聞こえたか
思い返せば
行き止まり
両肘ついて
抜け出せぬ
思案投げ首
掌を結んだ
三角形から
自在な構え
縫い繕って
腕を通せば
気持ちよい
姿勢を求め
異国の丘に
届く歌声が
人気のない
児童公園を
見下ろす雲
見上げれば
無意識から
意識へ開花
無生物から
生物へ隔て
られた枝葉
持ち堪えて
花開く迄の
足掻きから
変わりゆく
同じものを
飛び越せず
突き刺さる
退歩と進歩
胸突き八丁
穴あき銭で
切り取られ
古い鍵穴に
取り残され
出番を失い
そのままに
宛先のない
絵葉書から
広がる起伏
立ち所から
体幹に響く
重力に乗り
合わせたら
途轍もなく
広がる大地
正しいより
気持ちよく
求める姿勢
庭の日差し
浴びながら
花を覗けば
カメラから
電池切れの
瀬戸際など
きそわない
今年の春の
咲き具合に
剪定絡みで
優劣などを
気にしない
祖父の目が
摘み取った
枝葉の記憶
死去されて
こそ甦って
くる立ち姿
何番目かの
春の訪れを
告げるのか
風の節々が
揉みしだく
竹やぶから
飛び立った
花の香りを
指折り数え
親指を胸に
届かせない
あしらいに
潜む戒律を
人差し指で
頭に知らせ
背と腹から
皮膚までを
残りの指で
猫の顔など
目もくれぬ
三月の天気
だだ漏れの
国会中継が
汚す室内で
鳴り響いた
雨風の音に
急かされて
撮り溜めた
過去10年を
振り返って
十数枚から
飾る写真を
入れ替える
荒んだ棚を
吹き払った
儚い空気で
言葉足らず
余計なこと
言い募って
祖父の口を
飛び出した
入れ歯の音
言われても
その通りに
やってみて
駄目ならば
言われた様
にしなくて
もっと駄目
な事になる
しかなくて
混沌極まる
身体感覚を
持て余して
打ちつける
霰が砕けて
溶け去った
COVID19
関連報道が
埋め尽くす
庭の雑草に
消え残った
荒れ模様を
死刑判決の
テロップが
洗い流して
不要不急が
居座ってる
無観客席も
切り取られ
歪んで整え
はみ出され
真夜中でも
揺れの先に
目覚めたら
察知しても
目覚めない
身体の層に
投げ出され
響き渡った
危機の投網
止めてなお
止められず
止むまでに
止まらない
止め方から
止めること
出来なくて
出来るまで
出来るまま
窓際の庇を
掠めて翔ぶ
水鳥の囁き
初源を探し
水面を掻く
雲の流れに
揺れる葦と
倒れこんだ
傾斜の結目
上流と下流
尽きるまで
押し流され
後ろ向きに
しがみつく
父の背中は
母の背後に
隠し通され
渦巻く始原
下駄履かず
着物の袖を
通さなくて
寒さに感け
おろそかな
部屋の掃除
単純極まる
身体動作を
繰り返せば
無に帰した
耳栓で聴く
身体の雑音
手足の上げ
下ろしから
こだわりが
抜け落ちて
さかさまに
立位の拘り
世界なんて
我が身一つ
背負えずに
どう手足を
良い体勢に
動かし探し
産道抜ける
危機的層の
内と外側で
寝技で絡み
絞り尽くす
滑空摩擦熱
揺り籠から
一つの長い
墓場までが
心臓が一つ
肺が二つで
整えられて
電線に群れ
止まり騒ぐ
不吉な影も
突然の霰に
滑りそうで
不安な道も
ドローンで
俯瞰すれば
制御可能な
身振りから
背後からの
攻撃を躱す
手足の上げ
下ろしから
習慣の癖を
抜け出せる
見切り型で
退歩すれば
小学生なら
ではの体の
使い方から
試合終えた
内臓の声が
聞こえたり
勝ち負けで
肚の痛みに
目を逸らす
肩に増して
手首や肘が
力みすぎて
床を叩いた
ラケットの
グリップを
脇の働きが
居着かない
スィングで
手をつなぎ
小指を絡め
どこまでも
別れた折の
手洗いから
ここだけの
五本の指が
夫々交わす
内緒話まで
親指は胸に
人差し指は
頭に囁けば
上へ下へと
背筋を質す
中指が問う
肩を撫でて
肚を座らせ
答える薬指
一夜積りの
重たからぬ
雪の足跡を
振り返れば
思い出した
二度寝の夢
褒めたりも
貶したりも
しないのに
身に覚える
着こなしが
当たり障り
しないのが
長続きする
抜き差しで
絶頂のない
遣り方こそ
あたりまえ
這い上がり
乗っ越しを
見下ろせば
膝立ちした
陰影の窪み
から匂った
名も知らぬ
山の名前が
崩れ落ちて
揺れる双丘
滑り降りて
潤う麓まで
逆巻く脈が
谷間の底で
掴み取られ
剥がれ落ち
触り降りる
山頂の眺め
屋敷森から
聞き取れぬ
字数が飛散
西方からも
屋根に届く
不審な足音
お祓い詞が
日差し傾く
軒先を離れ
村から町へ
行き着いて
不在の耳に
後生だから
聞き取って
忘れないで
消えそうな
古民家まで
吹き抜けて
危ぶまれた
冬季国体の
ご当地開催
気象予報に
インド洋の
海水温低下
北寄りから
偏西風路が
南下すれば
新雪ならぬ
神雪降らす
冬の寒気団
風に乗った
渡り鳥なら
足裏の泥が
遥か彼方の
ウィルスを
持ち運んで
未明からの
混沌とした
脱出もどき
兄弟姉妹が
母体までの
接触障碍で
織りなした
擬似音階を
上り下りて
家族からも
地域からも
剥きだされ
話し言葉や
書き言葉に
はならない
親兄弟など
不在届けが
奏でられて
竹製ならば
張りやすい
ラケットが
スチールに
変わったら
変形しがち
原型に戻す
横糸の張り
加減が微妙
メッシュを
張り巡らし
探る体内に
無意識まで
居着かせた
力みや歪み
気づかない
不気味さに
崩れる姿勢
聞き忘れた
士盛り前の
田んぼの声
敷地に立ち
ぐるり廻る
日差しから
風向きまで
春夏秋冬に
耳を澄まし
設計前から
身体が住む
立地と対話
満たされぬ
家族構成の
容れ物なら
日々新たに
身体素性を
組み替えて
寒の針先が
駆け巡って
光る蛍烏賊
片肺飛行の
音響機器が
不時着して
浜辺の闇へ
聴覚が騒ぐ
部屋の片隅
遺産を争い
寂れ果てた
散居村の跡
縺れ合って
手繰れない
親兄弟の印
二人の間で
確かな性が
際立つ響き
靄のかかる
トマト畑で
齧った夏休
畝の間から
湧きあがる
旨さの体感
休み明けの
部活剣道を
始める前に
身もて余す
庭の掃除や
農作業まで
老体向けに
貰い受けた
ひいらぎに
じゃこなど
噛み締めて
小魚仕様に
塩や味噌の
貸し借りに
おすそ分け
引っ越しの
挨拶だけの
隣近所から
支え合った
影や形など
見失われて
中途半端な
身体を癒す
隙間の行方
滞ったまま
判別できぬ
初見と未知
手前味噌で
抜き差しも
ならぬほど
出番のない
雪吊り縄と
融雪ホース
表と裏から
届けられる
天気予報図
二分法じゃ
分からない
風の変り目
吹きすさぶ
立ち位置の
危うさから
果たすべき
本来的なる
課題の追求
神ならぬ人
姑から嫁に
活き映され
暖冬の空を
占っている
雲の切れ目
滑り止めて
よみがえる
滑走感覚は
抜け出した
生活体から
普通体まで
行方不明の
自然体から
問い返され
内臓探れば
湧いてくる
興味と意欲
指先までの
形ある力と
精霊力の間
下駄を履き
動き変わる
正月の着物
乗り込めば
目を見開く
自覚自省に
誘う他者が
際だったら
空(から)だ
いまここに
あたいなく
立ちすくむ
空っぽから
果てしない
命がけまで
あてどなく
さ迷い尽す
様変わり身
曇る寒空に
輪を描いて
翔び去る鳶
偶然の輪を
待ち受けた
夜回りの鷹
安定すべき
不安定から
ぶら下がる
蝙蝠の喉を
擦り抜けた
初詣の境内
ふらついて
躓く時空に
羽搏く瞑目
見えだした
瞬間が動く
場となって