十字路で立ち話(あるいはワッツニュー)
最終更新日:2019/12/31年越しの花
に置き換え
下駄箱の上
搬送車から
診察台へと
体を移され
移動寝台を
CT捜査台へ
引き回され
救急対応で
身体見失い
数値だらけ
動かし難い
胴体を移す
手足の感触
利き手より
左側の手先
足先へ抜け
雪吊り縄の
結び目から
占う降雪量
話し言葉や
書き言葉が
現わせない
舗装道路の
隙間を縫う
雑草の時間
身を翻して
倒れそうな
踏み台の幅
壁を這って
煤払いする
掃除ロボが
張り巡らす
皮膚感覚が
目覚めれば
スレートの
小屋根から
響いてくる
ぶつかった
雨が凍って
霙になる音
素早そうで
見つめれば
ゆっくりと
溶けていく
物静かさに
際立つ隙が
捻りのない
水平からも
垂直からも
筒抜けなら
ありのまま
あるがまま
種苗が育つ
まっすぐな
時間を逸れ
膝を折って
祈る姿勢に
溜める柔軟
左右の耳で
切り替わる
子音と母音
間合いから
はみ出した
無音を枠に
話し言葉と
書き言葉が
双葉となり
身体が向き
合う方角へ
ひたすらに
ゴム動力を
モーターに
手作り遊び
鉱石よりも
真空管なら
ではの感触
手触り離れ
左右の耳で
際立つ領域
遊び疲れて
帰りくれば
内向する響
体の節々が
音を立てず
密かに回り
選択肢多く
決まらない
左右の調節
盗めなくて
途方にくれ
学べようか
気づく前に
習い覚えた
心身の柄が
染みついた
動きかたが
手枷足枷に
弱くなって
老いる喜び
得られたら
日常生活の
身体を盗み
出せようか
踏み抜いた
体を抜けて
身にあたる
冠雪際立つ
山並みから
照り返され
際限もなく
心地よさが
錯綜し続け
歪み果てる
一番病から
狂い咲いた
木瓜の花に
呪い数える
快感と不快
見極められ
行き来する
居場所なら
居心地良く
甦る身体に
訪れる姿勢
魚影微かな
淀みに浮き
漂う藁屑に
吹き過ぎる
風が寄せた
岸辺の足跡
散らばって
駆け抜けた
境内の奥で
藁履を脱ぎ
履き替えた
下駄で殴り
藁人形から
逃げ帰った
五寸釘の響
手の平深く
握りしめた
人文字の影
飼い猫から
教えられた
尻尾の先が
弧を描いて
家族ぐるみ
解き放たれ
非日常から
日常までの
螺旋を探り
乗ってみた
台の高さで
見きわめて
下駄を履き
帽子を冠り
何か羽織り
地面に隠れ
爪の先まで
ひた隠しに
舞台の袖に
覗くエラの
衣装が謳い
一音叩けば
技を抜いた
モンクの響
手の平から
説き解せば
男帯と女帯
鍵盤に書き
付けられた
視線の触覚
下宿先では
お寺に併設
した遊戯室
覚え忘れて
疲れにくい
動きの喜び
箸捌きから
見とどけた
体捌きまで
急須で決め
られた指の
かたちの謎
字画が同じ
書き順でも
違える拍子
皮膚に刻み
つけられて
剥がれない
優先順位を
消し込まれ
引き出され
握る各指の
角度までも
変えられて
茂り過ぎて
風に揺れる
竹藪の逡巡
大きく傾き
小さく戻る
風の跡先に
行き来する
わが体から
わが身まで
竹馬乗りで
後ろを深く
前には浅く
歩きだせば
傾きが整い
歩幅定まり
独りで乗り
下りできる
老いの坂道
裏表見えず
小鳥の降下
晴雨の隙間
目を外して
尻尾を掴む
感触の瞬き
翻った嘴で
摘んだのか
喋ったのか
仮縫い羽で
羽ばたけず
鉤爪を研ぎ
風土からも
普遍からも
遠ざかって
虹のように
掛け渡され
掴み損なう
秋茜が輝く
瞬間移動で
季節を繋ぎ
水蟷螂から
太鼓打まで
呼吸管比べ
石ころ一つ
ない水田に
映る膕の謎
脛に暖かく
足に冷たい
手植え作業
言葉少なに
風土を抜け
身体に回帰
手指を編み
虚空を掴む
空気杖握り
暗闇からも
鼓動からも
解き放たれ
身に覚えが
ない仕切り
からの出自
芽吹いたら
肌触り探す
双丘の初見
呼吸を分け
潜り抜けた
双葉の恐れ
究極の性に
委ねられた
庇護が全て
生死の膜を
張り巡らす
初源の欲望
焼き魚から
背骨を引き
抜くように
点が線へと
立ち上がり
螺旋に迷い
足裏からも
頭頂からも
等距離なら
小指の爪に
書き込める
目高の稽古
摘み上げて
八角形まで
辿った親指
捨て続けた
努力の跡を
振り回して
枯れ葉散り
揺れる幹の
地べた巡り
縦横いずれ
入れ替わる
選択と順序
繰り返され
日々の違い
読み込まれ
聴く耳から
話す耳まで
遠く近くて
改行からも
行間からも
呼吸乱され
身体書式も
書き変わる
体内宇宙へ
粉々に割れ
舞い上がる
欠片の蜻蛉
羽根震わせ
飛び移った
複眼の生死
雌雄仕分け
糸で結んだ
棒切れの先
山麓からも
河原からも
疲れ切って
当て所なく
日がな一日
傾き尽くす
揚力が誘う
矢のような
空洞の充満
体内覗いて
草臥れ誘う
襖入れ替え
見上げれば
強張り触る
冬の渡り鳥
切れる前に
取り替える
電球の殺戮
弱さからも
強さからも
遠ざかって
身一つなり
きってから
群れ逸れて
上手からも
下手からも
壊し壊され
繰り返され
引き返せず
立ち止まり
外されたら
追いかける
当たり具合
天動説から
地動説まで
数え上げる
身体生理が
納得しない
行き詰まり
触れ探った
空っぽまで
張り巡らす
内的自然に
橋渡される
外的自然も
明治生まれ
丸裸に近い
祖父の日常
洗い続けた
褌の長さに
巻き取られ
杖を手にし
佇む身体に
纏う作務衣
とりあえず
まかないは
有り合わせ
働きすぎて
老体目覚め
寝込む晩年
私服や制服
剥ぎ取られ
素っ裸まで
木洩れ陽に
見え隠れる
茂みの小鳥
揺れる枝葉
辿りついた
樹皮を伝い
梢を下って
導管を流れ
毛根に届き
天地閉ざす
途切れ目を
反転させる
最短距離を
起動させる
葉脈の動き
辿る衝突で
小きざみに
リラックス
輪を描いて
曇り空から
抜け出す鳶
手足で書く
批評家から
課せられた
対話に潜む
不文律まで
啄んでいる
職人の体を
裏返したら
透けて見え
言葉ならず
我ならざる
我に触れて
寛ぎ緩めば
漲る初動に
抱擁されて
身近すぎて
溢れかえる
無関心から
坊主気味の
河原釣りで
見えた昼星
常願寺川の
河川敷高く
低く群鳥が
椋鳥なのか
或いは鴉か
魚類めいて
皮膚を梳き
内臓にまで
黙視の響き
翻る体勢を
粉々に割る
飛翔する私
乗換えても
聴き飽きず
乗換えたら
磨り減った
ベルト回す
スピード感
聴き直した
体感像響く
LPからCD
アルバムが
自壊しても
途切れずに
綾取りした
最後の紐に
絡め取られ
解きかけた
指先に響く
心臓の鼓動
鴨居にぶら
下がってる
寝起き着物
左に寄せる
今日一日の
立居振舞に
ポイントが
穿たれたら
点のように
立ち並んで
挨拶を交す
仙骨と胸骨
井桁に極め
二枚歯から
一枚歯へと
履き替えて
組み替える
下駄の鼻緒
作り付けの
書架を離れ
裏庭を抜け
畦道を繋ぎ
小川を下り
泡立つ海辺
話し言葉の
戒律が曳行
する乗合せ
行き来して
撓む書架の
書き言葉に
裏打ちされ
活字の森に
刻み込まれ
読み起こし
確かめ直す
物書く姿勢
老いに蘇る
掴まり立ち
眺めた背戸
移植された
庭木に吊り
上げられて
駆け登った
飼い猫には
記憶もなく
屋根裏から
鼠を追った
音沙汰だけ
血まみれの
鶏小屋から
逃げ隠れて
納屋の隅に
置き忘れた
幼年の手形
細い秋茜が
離着陸する
小屋根の庇
止まり直す
多層脚から
秋の傾斜が
波打っては
潜り抜ける
重曹的眺め
駅から近い
水族館では
クラゲ立ち
体内移動が
瞬間移動で
泡立つ隙間
多様ないま
ここに向き
合う非決定
庭草を刈る
たび感じる
虫の少なさ
祖父が捕え
捌き殺した
マムシの体
切り身でも
動いていた
真虫の居所
腹たち紛れ
虫の知らせ
刷り込まれ
未知に触る
身悶えから
虫のいい響
手の届かぬ
痒み増せば
戯れる老体
立体的だと
予期しない
夏の置土産
繁華街路上
山手線車内
公衆浴場で
蠢く皮袋に
呼吸困難な
小魚が群れ
食い荒らす
隅々までが
痺れ切って
免許証など
放棄された
ミクロ圏内
入り口から
出口までの
経過観察図
うな垂れた
一本を残し
刈り取られ
蒸し風呂の
跡形残した
夏の大車輪
暑さ控えの
墓参りから
抜け落ちた
線香の煙が
古い仏壇に
流れ着いて
呼び覚ます
目立たない
小さな葬式
中空に浮き
手指の間の
緊張と弛緩
島のように
化石が並ぶ
書店の片隅
船で渡った
浜辺に埋め
忘れた夏休
昆虫少年が
繰り返した
脱皮の稽古
暴れる魚の
鱗の躍動を
手掴みして
滑りを拭う
葦に隠れて
磨いた貝殻
生きていた
その名から
及ばぬ触手
庭木の陰で
蜘蛛の巣が
張り巡らす
待ち受けに
絡め取られ
立ち止まり
とりあえず
帽子を手に
払い落とし
山歩きから
登山までの
蘇る身動き
歳を重ねる
大変さから
正体を消し
老いてゆく
不自由さに
頷く隙間風
肉から骨へ
そして皮へ
鶏肉を捌く
箸使いから
壊れなくて
疲れにくい
五体に宿る
挙動不審を
見つけ出し
前後左右が
判別できる
体捌きまで
筋肉知らず
骨抜かれた
身体観まで
包み込んだ
衣食住へと
左翼裏返り
書架の埃も
静まり返る
豪雨の雨足
冠水に隠れ
廃校に沈む
同窓会案内
畦道を辿り
裏道を繋ぐ
迂回路探し
濁流を跨ぐ
木橋を走り
抜ける響き
門限過ぎた
校舎を飛び
越した石礫
乾く廃路を
辿り直せぬ
幼児の足跡
柿や栗の木
イチジクも
切り倒され
狭い裏庭に
どくだみが
円を描いて
悪臭を放ち
雑草も虫も
寄せ付けず
切り株には
西日を遮る
日々の名残
年輪ぼやけ
残る未熟が
予知する老
草いきれに
立ち竦むか
ひとり相撲
トタン伝い
蔓延る暑さ
ミシミシと
やがて登り
降りも拙い
乾いた階段
祖父背負い
老衰踏むか
余りの軽さ
水遣りする
枝葉に隠れ
枯死の一葉
脱ぎ去れば
指先が示す
今いる場所
膝と肘から
腰を介して
通す隙間風
老いの無駄
働きを洗う
庭に降る雨
刈り倒され
乾いた夏草
跨ぎ越して
魔女が夢の
少女や超人
が夢の少年
技ができて
術を成立さ
せる絵日記
書き留める
隙間もない
夏休みこそ
体内宇宙を
探る姿勢に
ひきこもる
梅雨明け後
三週間ぶり
和みの雨に
木造家屋の
木組み伝い
緩む関節を
吹き抜ける
大和伝来の
エネルギー
馴染まない
椅子を逸れ
しゃがんで
狩猟民から
農耕民へと
跨ぎ越すか
内回りから
外回りへと
寝返る風に
出る庭先に
目を揺らす
雑草の茂り
乾ききった
蝸牛の殻を
踏み潰せば
陽炎の揺れ
皮膚を伝い
耳の蝸牛が
下駄履きの
左右の傾き
聴き分けて
左手先導く
体差し入れ
擦り抜ける
春夏秋冬を
舌と歯でも
嗅ぎ分けて
虫も少ない
猛暑の庭に
ハグモの巣
葉陰を辿り
聴きわける
導管の響き
地中深くへ
根を震わす
宇宙の指先
重力に抗し
巻き上がる
揚力と葉緑
枯れ果てる
好奇心から
追い越され
引きこもる
身体に纏う
老化の兆し
職を辞めて
身の程など
定まらずに
寝起きの空
の色までも
むき出しに
養生すれば
歩き回れる
身体の震え
譫妄の拳が
壁を打った
日々の残響
抱き留めた
後ろ姿から
抜け落ちて
拾い集める
骨の欠片に
問いかけて
暑中稽古の
頁の隙間に
挟み込まれ
庭に訪れた
野鳥の動き
追いかけて
猿と人との
息を詰めて
間を拡張し
立ち上がり
前後左右に
分節化され
何処へでも
転ぶ自由に
もて遊ばれ
二足歩行が
行き当たる
呪文の響き
咲く花鉢に
水遣りする
左右の腕前
落花を拾い
捨て去れば
動きの欠片
鼻紙を投げ
込む途中の
的を繋げば
左肘付近が
敷く軌道を
乗り換えて
井桁に折れ
曲がる様に
揺れる右肘
ワイン注ぐ
左腕の震え
的を探して
聴き溜めた
音源ばかり
繰り返して
馴染むまで
問いかける
絶対音感に
身寄りなく
わからない
方法だけが
取り残され
流れ着いた
身体に転び
上下左右に
聞き耳立て
身に覚えの
問いかけに
飛び乗って
どこまでも
静止できず
杖を両手に
一本歯下駄
尻に敷けば
滑り落ちる
外野芝生席
スキーから
自転車まで
左回りから
背もたれも
要らなくて
半身座りに
杖が頼りで
車椅子など
知らぬ祖父
在るだけで
身内に籠る
手の平返し
蜘蛛の巣に
庭木の枝葉
枯れかかり
折れ曲がる
枯死の枝に
渇く樹齢が
老い揺蕩う
肉体と身体
の隙間から
不思議にも
生きのびる
無上の朝に
引き継いだ
合掌と体操
左半身から
抜けそうな
腰痛や痒み
何れ側から
曇天逆さに
生え揃った
梅雨寒から
百名山巡る
三点支持の
足の踏み場
逸らさない
受け答えの
稜線を跨ぎ
雲海に浮く
影の身体が
透ける層に
綴れ織りの
怠け勤めが
はみ出して
前後左右に
不意が操る
その場限り
体内に潜む
感度を覆う
無意識の鱗
取り違える
カタバミと
クローバー
薪割りから
草刈りまで
身体が捻れ
朝起きから
半身になり
左右を占う
踏み出せば
優先させる
段差の一歩
食べ易くも
鯵の開きの
左片身から
自問自答を
繰り返した
遠い夏休み
川釣りから
帰り蜘蛛の
巣を書写し
雨の庭から
手折った枝
模写すれば
川に触った
目の動きを
手が覚えて
迷子の鶏が
蚯蚓の巣を
啄むように
引き写した
餌食う魚が
恋の自画像
端っこから
見失いそう
中心はどこ
雨の隊列を
追いかけて
街の外まで
ピンボケの
郊外の空を
見上げれば
脱色された
雲の穂先が
濡らす肌の
裏側で泳ぐ
うろ覚えの
小魚の名前
身体を啄む
交点と接点
街中水族館
抜こうにも
子供の力み
抜けなくて
疲れる前に
止めるから
出会えない
後手に手を
組んだまま
椅子に靠れ
背中で押す
手甲震わせ
動く指先に
仰向けなら
組み敷いた
両腕両足に
掌合わせて
指先残せば
アーチ状に