十字路で立ち話(あるいはワッツニュー)
最終更新日:2019/01/02遅い初雪を
纏う庭木の
撓む雪吊り
重ね着やら
重ね夜具で
凌ない冷気
分け隔てず
枝折れ防ぐ
縄柱の高さ
打ち込まれ
雪に隠れる
地面の支え
無意識から
意識の間で
着込む空気
膨らむ程に
肌身離さず
前後左右へ
気付けない
隙間ならば
見逃しても
流れの中に
それ以外の
差異として
遣ってみて
寒さ知らず
冬の素肌寝
紐を巻かれ
雪吊り庭に
転がされて
薄物を纏い
暖気冷気を
気遣うなら
室内流れる
気流に靡く
産毛の濃さ
ありのまま
吹き抜けて
あるがまま
スカーフが
巻きとった
空気感から
抜けそうな
ゴム紐なし
ゆるい靴下
地産地消で
培う食欲が
育んだ食卓
旅する日常
行き来する
野生の内臓
身にまとい
動き抜けて
浮遊する場
分厚い本で
ヒトの起源
をなぞった
指先が描く
人という字
啄むように
翔び集まり
電線撓ませ
姦しい椋鳥
人が読める
自分だけの
明確な言葉
絡まり取る
紐のような
身体の隙間
気が乱れて
纏っている
空気の調べ
飛行船から
抜け出した
胴体と手足
背景を撮す
ドローンの
孤独な動き
静止画など
動画からの
撮りこぼし
一つ玉から
手指で摘む
手先の挙動
自撮りする
残像めいた
五体の虚像
数限りない
負い目から
気づく隙間
波板数えて
軒下の柱に
嵌め込めば
体の節々に
腰痛散って
背伸びの腹
置き石から
割れ瓦まで
持ち出して
場当たりに
地面の凹凸
埋め合わせ
切れ切れに
撚り合せる
針金の劣化
折々過ぎし
日暮し緩く
綴じ合わせ
モンク伝が
響き渡るか
木とガラス
吹き抜けて
キラリ輝く
飛行船から
洩れてくる
ジブリ展の
メッセージ
新しく開く
部屋の扉の
奥の手触り
覗き込めば
馬鹿を生き
るからくり
不可思議な
呼吸の体が
透けて見え
立ち騒げば
飛ぶ鳥など
落とす夢が
寝そべった
習慣に躓く
稜線の輪郭
跨ぎ超せば
内観の如き
形式を奏で
有為自然に
影を落とす
重心の飛翔
吊り上がる
高さを抜け
気付く盲点
俯瞰すれば
鳥肌立って
気化する窓
引き出しを
開けた間際
やもり逃げ
ひもじさを
閉じ込めて
伸びる腹が
餌を求めて
四足歩行で
逃げ回るか
屈み込んで
物陰伝いに
聞き耳立て
目線届かせ
二足歩行で
階段下りて
隙間を辿る
捕物気分が
腹這うまで
偶々ながら
定まったら
予定になり
母の庇護を
掻き分ける
手触りから
出生の轍が
未詳の体を
乗り継いで
見え隠れの
気付きやら
見落としで
誤り偏った
心身操作が
手枷足枷に
突き崩せぬ
身体坑道を
出し抜いて
Y字枝から
切り出した
枝振りの間
引き手なら
人差し指と
中指合わせ
不断の的を
質す上体が
張り巡れば
中指と離し
くっつける
薬指と小指
まとまれば
下半身から
すり抜けて
込み上げる
腰のあたり
間なしの間
字数で数え
看板の言葉
通りすがり
銀杏並木の
左右の濃淡
立ち止まり
振り返って
数えきれぬ
軒先の紅葉
落ち葉踏む
無数の影が
居合わせて
山茶花から
数珠繋ぎに
泡立草まで
揺れる薄が
山肌を掃き
清めて秋茜
歩くまえに
かたことを
喋りだして
何の努力も
した覚えが
ないのだが
四足歩行を
抜き去った
コンセント
掴まり立つ
家具の角を
切り落とし
耳目の先で
定まらない
軒下の面影
見るまえに
触っている
しっかり感
さようなら
海の向こう
生まれ故郷
携帯を新調
しても探せ
ない岸辺で
笹舟静かに
老いた影を
乗せ放てば
底知れない
居着き忘れ
寝転がって
肘立て伏せ
揺れる船底
近く遠ざけ
木々を数え
木片を並べ
こんにちは
電線揺らし
群がる小鳥
剥がれ翔び
ふと屈めば
気落ちして
蹲るばかり
膕から肘に
通り抜ける
事故の欠片
歪みの淵に
放り出され
密室に晒す
傍観視線の
縁に添って
潜り抜ける
気の触りが
砕け散れば
尺取り虫に
名も知らぬ
鳥を濡らす
秋雨前線に
後先知らず
取り残され
技を見失い
暮らし培う
身体作法が
途切れても
殴り倒した
弟の兄から
やり返され
右へ左へと
逃げ回れず
引き返せず
震えあがり
重心が傾き
渦巻く独楽
開いた本の
頁から逸れ
た視線の先
積み上がる
ビル建設の
昇降機の中
陽だまりの
庭を掃けば
飛び出す影
箱の動きと
尻尾を繋ぐ
紐が輝いて
揺れる今が
塒を巻いて
透けて見え
蜥蜴の動き
箒の捌きで
掃き清めて
どこか違う
今朝の雨音
肌引き締め
棒切れから
木刀の反り
振り分けて
ズレと湾曲
移ろう日に
肉体あずけ
履き違える
歩き心地が
手に届けば
未踏の影を
踏み分ける
空気の流れ
密かに響く
渦を掴んで
身体の奥へ
満月見上げ
眺め数えて
字余りの影
忍び寄った
神無月から
見え隠れて
雲一つない
裸身が谺す
紅葉の谷筋
病葉浮かべ
静まり返る
カルデラ湖
行き止まる
老いの舟に
乗り合わせ
新月までに
反らす化身
抜き差せば
植え込みに
紛れ込めば
蜻蛉の目玉
陽だまりに
半身を拾う
温もりの影
山肌遠くに
風を聞けば
紅葉の囁き
動けないも
動けるのも
葉脈の裏表
学び過ぎて
見失いそう
変身と変人
井桁崩しで
入れ替わる
身の程の幅
古木を撫で
庭の年輪に
老いを聴き
噛みしめる
歯の衰えに
骨格を整え
腹八分目で
保つ筋肉の
運動と滋養
皮膚を叩き
眺め任せて
暴れ転べば
生きるから
死ぬまでの
内臓の波間
半身に浮き
沈む日々の
寝返り愉し
高く浮かぶ
雲の隙間に
楔を打って
定かならぬ
野鳥の影が
擦過すれば
日々の瞬き
手癖足癖で
狭まる思考
茶碗の縁や
グラス底の
汚れ落とし
窓際に寄り
覗き見する
蜻蛉の複眼
立ち消える
視野の枠を
広げ羽搏く
更新できぬ
PC使い覚え
指先辿れば
組んず解れ
遊び呆けた
小学裁縫室
中学課外で
薪割り肥桶
担いで疲れ
平安鎌倉へ
修学旅行で
逃げ出すか
捨てきれぬ
親子関係の
端っこまで
撫で摩って
摘み投げて
驚くばかり
秋風そよぎ
枯葉散って
振り解かれ
幹も露わな
倒木の影が
伸び広がる
公園歩めば
群がる鳩が
路を開けて
鼻先垂れる
重力の杖が
水面を撫で
餌を求める
錦鯉の口が
群がり寄せ
下駄代わり
杖を履いて
石山を歩き
稜線を揺り
動かす紅葉
山肌を降り
雑草に潜む
カマキリに
手足を縮め
前後左右に
強ばるほど
泣き叫んで
この前から
繰り返せば
この後まで
散歩道遠く
左右の膝と
膕が後押し
天使の輪が
スキップで
転げそうに
庭の一角で
樹木を揺り
動かす野鳥
デジカメで
追えば葉陰
素早く隠れ
全身を運ぶ
流れは凡て
重力の元に
僅かな間を
分身となる
土台が生き
行き来する
心が彷徨う
聖道と浄土
果てしない
距離を消す
隔たり僅か
自転車降り
歩く地べた
躓く夏疲れ
秋の重力に
傾く日差し
弧を描いて
寝込むほど
腰の奥まで
書き込まれ
もがき歩く
日々の岸辺
生かす重し
傾く納屋の
漬物樽から
転がり落ち
叱りながら
爪先立った
祖父の罵声
枝葉まみれ
見えてない
幹の不安に
抜け出して
立ち尽くす
転ぶ体付き
普段着から
よそゆきに
着替えたら
知と性との
縺れを解く
動きの体感
付きまとう
我ならざる
影の体位で
文字を描く
尻の骨から
首筋の骨へ
無風なのに
影が揺れる
秋の日差し
成り行きや
計画からは
見通せない
向きを変え
群れて動く
小鳥や小魚
生きる術を
見失ってる
都市空間に
問いかける
謎の響きが
モンクから
ユーモアや
笑いならば
努力なしに
刮げた尻に
転び痣だけ
数えながら
入浴させる
母と転んで
怪我を避け
六畳の畳で
転ぶ稽古が
介護の節目
浅い呼吸で
掴まり立ち
歩いた段差
杖を放して
へたり込み
軋む車椅子
空をも掴む
会話をした
床に凹みが
垂れる稲の
穂先が描く
右肩下がり
左から右へ
上から下へ
重さで描く
頭と身体に
二股かけて
揺らぐ常識
ストレスの
偏在を凌ぐ
喜びの体感
伸筋と屈筋
入れ替わる
字体の感知
捨て去って
体内自然の
声を聞けば
私的都合に
満たされた
泡立ちから
有り合わせ
ぶら下がり
ゆらり揺れ
糸を引いた
蓑虫が喰い
荒らす動き
身を退いて
見届ければ
飛び出せる
窓口ならば
どこまでも
像の無い間
抜き忘れた
露草に宿り
天地映す露
路傍で鳴く
子猫の肌に
秋風の吹き
持たざるか
持てざるか
平等の裏表
蝶の路から
一刀両断に
零れ落ちて
皮膚に包み
隠され宿る
内臓の動き
家出しても
帰ってきた
飼猫の骨格
見据えても
届かぬ奥に
生きる初歩
枝葉ばかり
揺れ動いて
見えぬ幹に
しがみつき
動かぬ抜殻
老の根っ子
気も効かぬ
間柄ならば
骨身に学ぶ
肉体脱いで
転ぶ空気が
手指の角度
避けられぬ
生老病死を
占う予報円
進路予測に
見えぬ余波
撫で合わせ
余念のない
昆虫少年や
植物少年時
手足の数に
羽の枚数を
重ね合わせ
絵合せする
模様を探す
不明の図鑑
何を何処で
感じるのか
捲れない体
指先で試す
飼育箱から
標本額まで
挟み置いた
新聞紙から
葉脈が透け
蝉時雨など
掻き消して
弾ける川面
葦の茂みを
駆け上った
脛の擦り傷
撓み具合が
日々違った
手製の釣竿
浮き沈みを
嗅ぎ分ける
にぎり具合
老婆の手が
餅を拵える
臼の底から
握って開く
指の先まで
見透かされ
バリカンで
庭の夏草を
刈り取れば
電動鎌鼬が
塒を巻いて
掘り起こす
切れ切れの
妖怪話から
人攫いまで
生きた蝮を
身包み剥ぐ
くねった指
腑分けする
手付きから
はみだせば
仕分けして
繋ぎ止める
未知の図鑑
心気一転も
地べたから
転がり落ち
背に腹など
変えられる
かどうかも
尻から首へ
訊いてみる
背骨の動き
指を合わせ
抜けた腰に
まとう内臓
胴体着脱の
接点を質す
部位の角度
鍛えられぬ
身体が働く
親子通路で
掃き寄せた
落ち葉から
揺れ覗いた
若木の葉を
撫でて鶯の
さえずりが
折られても
立ちあがる
古い照準器
兎追いかけ
つまづいた
四六のがま
木通の蔓に
からまった
羚羊の瞳に
こめられた
一つだけの
怒を鎮めて
夏山と海を
描き分ける
夏の字画に
想いを込め
舞う身体を
上下に分け
浜辺の恋が
山小屋まで
運ばれたら
上の空から
降りそそぐ
夢中の音楽
聴き分けて
モノとコト
成りすまし
座持ち良い
臼の角度で
擦り合わせ
好きなもの
嫌いなもの
どっちでも
標本にして
仕分けたら
眺めて捨て
地面を掴み
引き寄せて
遠ざける朝
大地を背に
担ぎ上げた
身軽い呼吸
前へ後ろへ
膝行すれば
解ける生身
左右へ別れ
半身と半身
脇目へ潜る
飛行機雲が
夕を横切り
遠ざかれば
消え残って
体を撫でる
夏の悲しみ
閉ざされた
夏障子越し
美しく過ぎ
着物を縫う
亡き祖母の
淡い居住い
格子戸抜け
存の角度が
畳み込まれ
へその緒に
消えない響
織り込まれ
水撒く残暑
庭木震わせ
蜩の鳴いて
夏蝉の姿も
温帯性から
亜熱帯性に
寝そべった
褐色の肌に
抜け殻の汗
体躯を運ぶ
手足の向き
不向きの影
面と向かう
衝突を避け
脇に入れば
浜辺の流木
貝掘り当て
寄せて返す
蚊がいない
庭の水撒き
夕立代わり
飛び跳ねる
虫も少ない
背戸の草刈
蛭に吸われ
むず痒い脛
夏の川遊び
引き上げた
ブッタイの
小魚除けば
タガメより
水カマキリ
タイコウチ
呼吸管探し
老いた金槌
放つ吹き矢
光る蜘蛛の
巣に絡まる
揚羽蝶の羽
生身の遥か
彼方に揺れ
逃げ水の音
擦れ違った
出会いから
生じる螺旋
浅瀬を覆う
蜉蝣の動き
敵わなくて
叶うほどに
深みに嵌る
半身の流域
試し試され
深まり弾け
角度の掌が
暑さ凌ぎの
庭の昆虫を
見忘れても
捲り上がる
昆虫少年の
田舎暮らし
原っぱまで
飛び立った
ヤゴの背で
泳ぎ知らず
乾きあがる
水底の匍匐
選び取った
動き難さが
閉じ込める
図鑑を開き
一息つけば
手指の窮屈
切れ切れの
木陰伝いに
朝方の散歩
氷が組んだ
スクラムに
注ぐ命の水
戦後詩人の
詩の一行が
彩る熱帯夜
竦む身体に
鳥肌立った
祖母の語り
蚊帳の中に
置き忘れた
幼年の体感
聴き見つけ
出会う味で
鍛える嗅覚
夏の田舎は
甚平の孫に
作務衣の爺
不真面目を
着込んだら
脱げるまで
内臓感覚を
頼りに蛙と
昆虫の相撲
老いてから
体内出会う
弥次郎兵衛
日々の勤め
手指足指が
口より達者
内臓感覚が
口答えして
飛び跳ねる
外骨格から
内骨格まで
幼年を巡り
差し入れた
手指の先で
弾く図鑑に
閉じ込めた
原っぱから
昆虫が逃げ
移り住んだ
庭先に張る
補虫網破れ
葉を見分け
食性が違う
毛虫と成虫
バス待ちの
暑さ凌ぎに
足指蠢かせ
からだまで
届かぬ手先
字体の如く
枝葉が隠す
幹の手触り
覚えた字画
生きそびれ
引き返せず
名残の体型
女手に絡む
出生届けの
余白の沈黙
絡み合った
綾取りから
抜けぬ躰で
衣食住貫き
見え隠れの
人体出入り
組み合った
コトを拾う
入れモノを
平面図から
組み立てる
場所を探し
聴き漁った
書きかけの
譜面や図面
天地を繋ぐ
通し柱から
響く微振動
日々を立ち
あげるだけ
繰り返せば
日毎夜毎に
ままならぬ
再現に再演
庭木が揺れ
蝶も揺れる
覗き窓越し
ためらいに
ズレを浮べ
しゃがんで
ペダル踏み
街中抜けて
広場を探し
路面電車と
路線バスを
繋ぐ遊園地
見える体に
出会い頭の
見えない体
気持ちこめ
ありのまま
従う身体に