十字路で立ち話(あるいはワッツニュー)
最終更新日:2018/07/02浅い流れに
後退りする
影を追って
田畑を縫う
小川の岸を
潜り抜ける
ヤゴの影を
手掴みする
幼年の夏場
暑中稽古で
見つかった
虚弱児の力
底が抜けた
持ち前から
気づく姿勢
身体あって
失敗できる
負けず嫌い
狭霧の向う
出生地から
引き揚げて
葉脈透かし
葉裏に蠢く
毛虫の群れ
糸を引いて
地べたまで
堕ちてから
70年隔てて
一日が違う
尺取り虫に
刮げる体を
纏う空気が
身包み影に
孵化すれば
挙動天地に
阻まれるか
甍の向こう
稜線を彩る
残雪と新緑
日傘を映す
水田を渡る
空の風向き
鳴き声響き
立ち止まる
里山の雑木
下草を刈り
下枝おろす
汗ばむ肉体
痛み疲れを
拭き絞った
体内化声が
手拭い染め
体内図式を
占い乾かす
着古しても
飽きがなく
捨てられず
五十からは
何事も体の
声を聞けば
着流しから
抜け出せず
違和の臓腑
レジ袋には
紛れ込んだ
汚染物質も
波打際から
遠ざかった
魚を追う鳥
寝て覚めて
同行二人が
漂う波間に
相変わらず
ドアホンが
反応する猫
通りすがり
見つめたり
居座ったり
左右見比べ
体幹で振る
庭先の眺め
時計回りに
戯れ付いて
影抜く肘が
締め切った
扉を開いて
背に風受け
反時計回り
爪振り抜く
交差と結節
梅雨空低く
草ゴミ袋に
目覚める体
鉈と斧から
遠ざかった
薪割りの体
聞き取れず
体内に潜む
道具箱の声
気付かずに
吊るされた
稽古着の袖
着込む襟の
手癖足癖に
引き出され
肥後の守を
隠し持った
我が身一人
追い風から
老い風まで
吹き荒れて
向かい風を
背に受ける
妙技在りや
見分け難き
央に立ちて
尽きぬ自在
地を遠ざけ
引き寄せる
腕立て伏せ
齢を重ねて
墜落夢から
迷子夢まで
捻れ揺らぎ
螺旋に紡ぐ
影の結び目
だらしなく
しなだれて
果てる栗花
心の隙間に
降り積もる
塵芥に酔い
見聞きする
時空の外へ
蹴飛ばされ
味噌も糞も
解き放てば
芸能か狂気
命の沙汰か
鬱積の末か
二股の果て
狭まる視野
二度とない
天地の配慮
道を挟んで
咲き揃った
庭先の躑躅
月の裏側を
通り過ぎる
流星の波動
向かい風と
追い風から
刈り込まれ
身に覚えの
喉越し忘れ
弱腰ばかり
身元探しに
手練手管を
植え込まれ
年金制度や
生命保険が
一輪挿しに
京城を後に
釜山港から
博多港まで
続く列車で
遠ざかった
六月の海峡
切れ切れに
刈り上げる
母の言葉が
漏れ響いた
百姓仕事や
家事の合間
秘められた
遺影の裏で
五体投地に
出自極める
問いに応え
日々の稽古
風薫る庭先
通りすがる
猫や野鳥も
カメラから
逃げ去って
焦点ボケで
ホバリング
する昆虫も
写し取れず
風をまとめ
体を畳めば
空気の層に
天婦羅屋を
蕎麦屋へと
渡り歩けば
お手の物の
梯子酒から
天婦羅蕎麦
海辺の波が
洗い転がす
裸体の貝殻
閉じられず
剥き出しの
岩場の波濤
目を瞑って
見たくなる
映画の上映
掴みきれず
持て余さず
絶妙の間合
多様すぎる
言葉以外に
頼れる策略
補い合って
裏表極まる
出会い往生
下駄箱には
磨り減った
三文下駄が
花咲く前に
食い荒らす
芋虫の逆襲
葉裏に隠れ
節足を操る
場違いから
左右上下が
踏み潰され
切れる鼻緒
三つ指付き
床に浮かぶ
じゃんけん
後出しから
先出しまで
外し外され
庭の古木を
すり抜ける
宅配の気配
温もり残る
段ボールを
畳み込めば
配送経路が
読み込んだ
唄が聞こえ
後部座席で
指が奏でた
耳元の囁き
防波堤近く
倒れそうな
星空の抱擁
夜の躁鬱が
踊り違える
肉体と身体
消える前に
写し取った
テレビ画像
屏風の陰に
立ち尽くす
仏像の姿勢
どこまでも
踏み外して
あやまたぬ
蓋のような
U字路まで
掘り崩せば
十字路から
逸れ続ける
Y字路まで
正解のない
姿勢が保つ
半押しの指
当たり前に
あるような
せつなさが
行き帰りの
小道の角に
花咲く山吹
パスタの具
貰った筍に
貝柱を混ぜ
食器の汚れ
洗い落とし
積もる体癖
孫娘の背丈
六年に判を
押すように
知る知らず
生きる為に
生きるだけ
美術館近く
吹飛ばされ
脱げそうに
ビル風から
逃げ惑った
凧のように
鐔もろとも
襟足で抑え
帽子の感触
縮み上がる
手触り残し
脱力すれば
分散されて
換気高まり
爪の細胞で
リアルまで
弾き飛ばす
フィクション
庭の片隅に
揺れる鉄線
支柱を探し
富山湾深く
コロニーに
ホヤの仲間
立ち尽くす
非ぬ向きに
海山を透し
巡る40基が
時計草擬き
群がる展望
棹さす地に
体内深層が
解き放たれ
大口開ける
無数の命が
踊り食いに
芽吹きから
見放された
段作り柘植
老い知らぬ
粘膜鮮やか
幼年手触り
老母介護に
垣間見えた
老人の不在
痼りや歪み
凝りに痛み
体内蝕めば
気づいても
生活体感に
消し込まれ
快適快調を
探し求める
体内幻肢に
緑の三角が
夜来の雨に
濡れて萌え
横たわった
Y字路まで
遡行すれば
甘い香りが
立ち上がり
滑り降りて
辿る鞍部を
二股に抜け
括れ撓んで
支流を束ね
扇状地深く
潜む三角州
吐けば吸う
息づく丘が
目と鼻の先
酸性土には
蔓延る杉菜
裏庭を覆い
ふらつきを
踏み流して
気づく足裏
泳げなくて
後ろ向きに
水中を歩き
左手を差し
入れながら
混沌に塗れ
へその緒が
切れかかる
意識の端緒
無闇矢鱈に
絡みとられ
抜足に差足
幼い手には
持てあます
ラケットで
言葉の様に
裏表を使う
方便と真実
上下に向け
二枚舌にも
左右があり
動きはじめ
挨拶すれば
傾く天地へ
一番病には
犯されない
努力いらず
自問自答で
動き楽しむ
自然な体に
風邪をひき
体が緩んで
力が抜けて
新芽に兆す
樹木の剪定
年輪覗かせ
渡る板張り
木目に触る
逢裏感覚に
しゃがめば
下駄履きが
竹馬に代り
踏み上がる
作り付けの
木造階段へ
割り込めば
我ならざる
我の影踊る
薄暮中継の
試合画面が
消え落ちし
玄関口から
様子を伺う
辺りの停電
復旧しても
二階の窓で
雷雲確かめ
灯どころか
見上げても
星も見えず
ふらついた
命の輝きを
遊泳させて
銀河宇宙と
交信させる
霊性途絶え
これまでの
花付きさえ
厳しいのか
切り詰めて
老い咲かせ
庭師の剪定
季節外れに
狂う寒暖の
日々を縫い
蛙が鳴いて
花も開けば
虫も飛んで
去年までの
当たり前が
きつくなり
三和土から
上がり框へ
台を合わせ
残る紅梅の
小枝に小鳥
河岸へ花見
咲き揃った
樹影数える
遊覧船の手
母の胸から
見上げれば
赤子の目に
匂い立って
啄む花蜜の
花びら散り
水面に流れ
花筏擬きに
広がる曇天
踵で立てば
尾底骨から
喉仏へ抜け
貧乏暇なし
過ぎ去りて
持て余した
万歩計から
抜け出せど
動き回れず
閉じ込める
血圧計から
計り知れず
一触即発の
サービスに
追い回され
逃げ込めば
どこまでも
引き戻され
引きこもる
我が身から
食み出して
立ち騒いで
浮き泳げば
波打つ体内
五体に響く
母の鼓動を
吸い込めば
横断歩道に
転がり出た
出生走馬灯
無重力から
いまここに
吐き出され
極められた
無造作から
解き放たれ
手足絡まり
底吐く動き
もたついて
寒の戻りの
上り下りを
交差させて
白梅を追い
かけるでも
ない紅梅に
鳥の影一つ
寄り添わず
雨上がれば
お辞儀する
二の腕深く
揺れ芽吹き
樹間を這う
虫を追って
躊躇う樹液
立ち昇れば
声を限りの
導管の節々
着心地まで
立ち止まる
鴨居に着物
ゴム短靴も
知らず遊ぶ
筒袖に下駄
藁草履から
はみだした
踵で踏んで
鶺鴒の尾に
狙いをつけ
辿った畦道
薬缶を傾け
注ぐ番茶に
摘むお握り
努力もなく
箸で捌ける
夕暮れ御膳
糸に吊るし
風まかせに
揺らしたり
抜けた歯を
仕舞い込む
幼年の手先
擦り傷から
野山の遊び
めくり上げ
出会い頭の
蚯蚓と蛙は
塩でまぶし
犬の交尾に
水をかけて
はしゃいで
鼠を狙った
青大将には
目くらまし
雪吊りから
解かれても
縮んだまま
お腹緩めば
背筋伸ばす
接ぎ木の跡
好きになり
伸び広がる
上手の枝に
咲き急げば
無駄骨まで
手折られて
手放せない
幹を流れる
無駄が楽し
孕まれても
気づかない
どんな種に
鼻風邪で磨く
皮膚と骨の間
筋肉の季節感
伸筋と屈筋が
時を彷徨えば
手持ち無沙汰
雪解け河原に
突っ立ていた
名無しの木屑
絡みついては
削ぎ落とされ
順次生の細波
持ち帰っても
素性分からず
磨きあげれば
ぼんやりだが
透けて見える
人型の動きが
雪解け水が
潜り抜ける
斜面の響き
埋もれても
溜め込まず
流れ去れば
立ち所まで
滑りながら
整う骨格に
纏わりつく
内臓記憶が
競りあがり
借り靴では
馴染めない
履き具合も
吹き消して
老いと衰え
乗せて春風
母体を離れ
天と地まで
管を響かせ
流し込んで
溜め込まず
筒のように
喉元過ぎて
しのばせる
爪先までも
古式泳法で
閘門を経て
古希の躰に
くいちがう
間合いから
立ち位置が
膝が抜けて
腰が浮けば
首筋に目処
空を掴んで
根を張った
枝振り老木
冷たく触る
陽射しから
逃れる様に
ポキポキと
散り落ちて
残雪の寝床
取り替えた
祖父の鉢を
仕舞い忘れ
幹を握って
揺さぶれば
堆肥型抜き
突き崩せば
古希の形で
しゃがむ股
床の間には
掛け忘れた
青春の名残
ご当地人の
乗り降りに
混じりこむ
鈍行列車を
乗り継いで
移ろう季節
海峡大橋に
跨ぎ越され
連絡船の錨
雑巾掛けと
草むしりを
繋ぎ合わせ
肩甲骨まで
股関節から
這いのぼる
抜き膝
抜き腰
羊水が
抜けて
恐れて
重圧に
這って
舐めて
伝って
掴んで
摘んで
叩けば
棒から
円まで
描いて
解らず
難しく
破むく
窓際までも
謎のように
降り積もり
日常慣らし
知らぬ間に
刷り込まれ
処女雪など
戯れならぬ
非常識にも
惑わされて
除雪絡みの
身体捌きを
崩されても
纏った紐に
質されつつ
考古模様を
染め直せば
稽古着にも
合わせ手の
引き具合を
聞き分けて
川釣りから
抜け出した
兎道の仕掛
飼い犬嗅ぐ
獣跡を辿る
気配の斜面
借り受けた
空気銃でも
届かない的
手製の弓矢
投げ出せば
山菜に届き
遠い里山に
遡行するか
川面の雪が
浅い新雪を
左右に滑る
分け目まで
気分がいい
右回りから
淀む左回り
スキップで
抜けきった
凍結迂回路
真っ直ぐに
ありのまま
普通なんて
骨格の数で
立居振舞う
分からなさ
すんなりと
動画静止画
切り分けて
干し柿から
干し芋へと
行き来する
幼児の手が
舐め触った
動きの余剰
腸骨を櫂に
仙骨を舵に
腰椎を翼に
母の骨盤を
手足で触り
音で確かめ
参道辿って
二拍一礼で
膝を合わせ
匍匐をやめ
しゃがんで
掴まり立ち
結び目から
逃げ回って
絡み合った
腰紐が包み
込む感触に
骨盤の輪郭
仏壇に手を
合わせ終え
箸を動かし
春夏秋冬の
姿勢を質す
立居振舞い
身のほどに
祖父の口癖
公界知らず
骨格辿れば
幼児期抜け
産道の彼方
寒い晩には
素肌寝して
寝違えたら
産熱効果も
取り違える
和洋肌触り
股抜けする
老いと衰え
噛み分けて
若齢化から
老齢化する
超スポーツ
海豚に跨り
抗ってみる
自然体の腰
乗り出した
胸郭の渚に
漲る境界力
悴む手にも
融雪水なら
温かく触り
路線バスが
踏み固めた
圧雪道路を
歩けるのか
動けるのか
踏み迷って
努力の形に
揺れる人影
凍った舗道
母の手から
離れる子が
嬌声響かせ
書棚の間を
動き回れば
興味尽きず
火の力から
水の力まで
抱き合わせ
雪庇踏めば
夏の女から
男の伏流水
すけこまし
マジカルに
治山治水を
豪族の娘が
高貴の男に
かけた謎を
庭木の梢に
届くように
引っ張って
眼で覚えて
耳で忘れた
呪文の素顔
背中越しに
眺め下ろす
手指の記憶
駅から家へ
探し当てた
歩数知らず
西の河原に
佇む影から
東の尾根へ
掛け渡され
解け流れた
喘ぎ声から
拾った猫に
家出を託し
風呂に入れ
膝から肘を
絡めた擦傷
舐め残して
見上げれば
腐海に傾く
ゲレンデに
破れ傘さし
日々積もる
人工雪舐め
滑り返せば
無駄な努力
踏み抜いて
声の鋳型を
溶かし込む
脈打つ鼓動
生き死にも
力み過ぎて
はずれくじ
おまけなら
人工生命の
到達点まで
デパ地下の
食材の多さ
戸惑う身体
丁稚奉公で
習い覚えた
祖父の料理
米俵を軽々
屋根雪下す
身体捌きも
見失ったら
きれぎれの
食材宅配便
レシピ本も
渋滞させる
今日の積雪
行儀作法が
輝く星座の
消化宇宙へ
畳部屋から
庭先までの
素振り響き
めいっぱい
さびしさが
舞い散って
声の歩幅を
掘り当てて
削り起こし
握りしめる
手解き難い
棒切れの先
打ち交わす
性と暴力の
間合い歪み
撓み尽くす
磨崖半ばに
肩幅を保ち
神輿担ぎの
空の青さに
捕らえられ
散歩疲れが
覆い尽くす
倦怠の窓辺
漏れ聞こえ
会話交わす
屈筋と伸筋
絡み合った
杭と坑から
言葉の火花
身構え炙り
出す日々の
夜の虹から
目覚めれば
心踊りだす
別人もどき
一年ぶりに
袖を通した
身体を晒す
鴨居を伝い
綻ぶ家訓を
纏う衣紋掛
振り下ろす
薪割り斧に
稜線が谺し
雑巾掛した
床を踏んで
打ち交わす
唸る凧糸が
引き寄せる
釣糸の体感
家禽を狙う
鼬の気配に
体幹を弄る