十字路で立ち話(あるいはワッツニュー)
最終更新日:2017/07/04釣れなくて
川面滑らせ
投げる平石
対岸めがけ
跳ね滑って
忍者の歩幅
数えきれぬ
水面走りを
繰り返して
あるがまま
沈み込んで
浮き上れば
流離うだけ
遠ざかるか
あるべき橋
手足骨格を
橋桁の様に
組み直せば
祖父を追い
分け入った
初夏の山道
老いてみて
潜り抜ける
既視感の森
老老介護で
呼吸法から
転び方まで
杖の一撃が
瓶に沈んで
蝮が揺らぐ
組み立てる
プラモから
遡行すれば
鍛える前の
足腰使いが
甦える足場
息を刷毛に
滑り降りる
小さな蟻塚
技を競った
一番病から
帰り着いて
外側ばかり
眺めていた
花弁の内側
ぶっつけた
膝小僧から
痛みが抜け
足袋が弾け
足首の裏を
流れ落ちて
手癖足癖が
重い体から
洗い流され
振りほどき
握り返して
扉を開けば
茂みの中に
飛び去った
鶯の鳴き声
跨ぎ乗った
陸奥山道と
バランス板
空耳に響く
時鳥の声の
不在を尋ね
山裾あたり
巡り来れば
木霊する滝
傾く岩場が
なまめいて
濡れ不揃い
ひび割れて
吸い込まれ
消え残れば
木漏れ日に
目を晦ます
花を手折り
振り返って
滑り落ちる
鼻先めがけ
結び分ける
落とした声
流れる視線
足袋を履き
足首を滑り
届く指先へ
弾きかえす
手旗信号が
宙に浮いて
跨ぎ越した
領域を渡る
微塵の行方
立ち竦んで
庭木の年輪
覗き込めば
宿り隠した
立ち姿から
枝ぶりまで
樹木構造が
井戸の底に
畳み込まれ
枯れて沈む
樹木の根を
響き放って
根こそぎに
汲み上げて
溶き解せば
見え透いた
馴染み形に
手足取られ
芥子粒まで
繰り出した
タコ糸の先
召し取られ
天と地まで
とどかない
浮き上がり
響く手触り
巻き上げて
丹田極めて
屹立すれば
反り返って
覗き覗かれ
宙返りする
凹凸万華鏡
足踏みして
跨り乗った
胴体が割れ
乗り換える
手足のまま
飛び出せば
乗りに乗り
見える空に
先立つ地面
両足で迷い
跳ね返れば
着地の骨格
庭草刈れば
老いた母の
草とる姿が
口ずさめば
古謡の想い
苔を残して
意識体から
感覚体まで
忘れされば
未だ知らぬ
草の根深い
伸びやかさ
ただならぬ
勢いだけが
毟り取られ
騙されても
立ち返れる
あるがまま
静止画には
収まらない
朝方の雷雨
増水激しく
二度渡して
振り返れず
立ち返って
掛け損なう
橋上の体感
流れるまま
見失ってる
川面を浮沈
両岸も遠く
川底見えず
知らぬ流れ
濡れ細った
枯れ枝から
伸びやかさ
下し過ぎず
外し足りた
去年の剪定
照り返して
若葉眩しい
五月の夏日
葉裏に潜り
忍び寄れば
アマガエル
川面の桜が
噴水の先に
ビル窓磨き
こっそりと
入れ替えた
写真立ての
埃を払って
自然時間を
立て掛ける
家主不在を
覆い隠して
絡まる蔦に
老老介護も
果てしなく
崩折れそう
納屋を出て
本宅へ帰る
無言の挨拶
家構えから
消え去った
心構えへと
持ちこたえ
届きそうな
体構えまで
意識された
技を無意識
に行う稽古
前倒された
夏日続きに
背伸びして
雌雄の鶏が
踏みしだく
恐竜の痕跡
艶めかしく
覆い隠して
そよぐ羽毛
蛙と蚯蚓を
闘わせても
止まぬ鳴声
刈り取れず
擦れ違った
夏草の傷跡
夏戸が軋む
建て付けの
隙間を抜け
軒下濡らし
入り込んだ
六月の雨に
青大将から
逃げた鼠が
咥え落とす
子鼠が震え
張り付いた
青畳の隙間
閉じた歯を
抉じ開けて
真珠を探し
背戸の川で
鼠捕り籠を
浸し見れば
ひくひくと
ピンク色に
もがく鼻先
食べ分けて
毛虫が這う
葉脈の食卓
日々新たに
皮膚感覚で
着替えたら
体幹が通り
掃除も楽な
居所の設計
手癖足癖で
縛られたら
動き続けて
意にならぬ
呼吸を整え
身体を筏に
内に潜って
泳げるまで
気化すれば
雨に濡れた
新緑が乾く
街中を抜け
青葉彷徨う
Y字路から
袋小路まで
歩む歩幅で
投げ入れた
手触りから
跳ね返った
時空の枠に
浮かぶ表象
有りの儘の
未経験から
謎の形式へ
差し込まれ
立ち上がる
花の違和が
何か食おうか
としていたら
何も食えない
何も食わない
ままでいると
何も食べれず
これ食べよう
とするだけで
これを食えて
あれ食べよう
とするだけで
あれを食えて
あれもこれも
めぐり食えば
いつの間にか
食べ永らえる
生き心地から
食べられそう
緑なす陰で
人方ならぬ
稽古の名残
跡形もなく
しゃがんだ
夢の腐葉土
振り落とす
幹の年輪を
枝葉が隠し
根深く潜む
拘りが育む
持続の巧妙
いつどこで
間違ったか
問い続けて
煮詰まらず
煮崩れない
得意技まで
始まりから
終わりまで
仕切られず
意味の通る
訳文よりも
原文の調べ
折れやすい
柿の枝から
萌える囁き
奥深くまで
差し込まれ
蠢く擬態を
絞りあげて
共鳴させる
オノマトペ
触手絡ませ
辺縁隈なく
響き交わす
日差しから
木洩れくる
爆音の葉裏
逃げ込んだ
運河の底に
水鳥の足跡
佇む水辺に
吹き寄せる
流木の残骸
一笠一杖が
山間深くで
途絶え果て
谷筋を穿つ
谺のような
説法と聞法
無事息災も
扇ぎ扇がれ
木の葉隠れ
萌える饒舌
揺れに揺れ
言葉もなく
立ち竦む場
隅から隅へ
馴染ませる
檻の隙間を
はみ出して
崩し溶かす
ありふれた
定形の力が
破く型紙に
動き続ける
呼吸姿勢で
演じた失態
収め転じて
片付けられ
まだ見えぬ
知り合った
同性の森で
迷ったなら
食の技まで
馴染む店に
連れ出され
見過ごさず
場の細部に
拘り過ぎず
背骨正して
手足休める
舌触りから
見えずとも
自在になる
食卓の来歴
潜り抜けて
指なき手に
もて遊ばれ
乱れ飛んだ
春一番には
無数の中心
一まとめに
包みあげた
春の体調が
呼び込んだ
安全柵から
解き放って
五体すべて
無分別まで
まとめ上げ
忘れ去った
受動からも
能動からも
見放されて
繋ぎとめる
数行の基本
通い続けて
覗き読んだ
木と鏡の森
漏れる声を
引き出せば
ヤモリから
釣り上げた
イモリまで
体幹が働き
浮き上がる
四肢が辿る
時間の手足
潜む胎内で
圧縮された
数億の時間
気づく体が
稽古すれば
死の淵まで
もう二度と
登攀しない
遠くの山々
水面に散る
母の最期を
花筏が覆う
眼鏡橋から
遠ざけたり
近づけたり
渡りきれず
橋げたから
ぶら下がり
手を尽くし
取り落とす
流れのまま
観るものの
音に聞こえ
逆巻く渦底
喉のあたり
裏返された
手ほどきか
響き具合で
姿勢を正す
音楽室から
引き返した
廊下の端で
扉が閉まり
聞き慣れぬ
楽器の様に
呼び戻され
立たされる
S字姿勢が
保てなくて
逃げ隠れる
迷路の様な
声を追って
雪吊り杭の
抜き跡から
芽吹き始め
落盤事故を
塞ぎきった
恐怖の実層
埋められて
見失ってる
土器の幸福
身丈に添う
順風満帆を
掴み損ない
入江が囲む
干満を計り
浅瀬を渡り
寝そべった
島影に休む
脱臼した鳥
七年ごとに
体の組織が
入れ替わり
ネット検索
エンジンで
見損なった
村の記憶も
残ってない
卒業文集に
鼻つまんで
ブリキ屋の
亜鉛の匂い
触ってみる
台風の日の
足の切り傷
転びかけた
囲炉裏端で
灰神楽の熱
飾り付けた
冬写真より
春に向かう
出会いから
芽生えまで
飾りたくて
新4年生の
新入団員に
挨拶代わり
身体の中に
見つけよう
小さな仲間
ラケットを
握った腕の
長さを問い
呼び名順に
使い分けて
稽古を始め
残雪少ない
山麓を下る
雪解け水が
冬の体調を
解すように
滴り落ちて
できなくて
わからくて
一気呵成に
咲き揃った
紅白の梅の
枝切りの技
切り詰めた
引用の跡を
引き受けて
絞り込んだ
深みを覗く
息継ぎから
大工仕事や
鍛治仕事の
作業小屋に
居座ったら
軒遊びから
飛び跳ねて
外遊びなら
鉄屑拾いや
薪運びまで
蕨採りやら
野蕗までも
束ねて売り
泳げなくて
潜ることが
出来るなら
呼吸を整え
体を浮かせ
言葉を探す
筒のように
内へ外へと
呼吸を通す
猫の目線で
渡り歩けば
季節の舌が
閉じ込める
春を破って
広がる宇宙
手づくりの
探査船から
舞い降りて
閉めた襖で
試してみる
星空投影機
親元を離れ
関係づける
時間を探す
狭い庭でも
雪つり外し
広がる空に
お別れ会の
子どもらが
花壇を描き
根こそぎに
生え変わる
声と眼差し
母の領域を
すり抜けて
靡く後ろ髪
手を拱いて
寄り添えば
間に合わぬ
気がつけど
通り過ぎた
花盛りどき
雪解け水の
流れを追う
融雪溝から
蹴落とした
上達しない
足音が響く
信と不信の
合わせ鏡に
居付いた姿
問い詰めて
解った手に
騙される腕
解き放った
妄想めいた
内側の動き
逆立っても
翻る魚群が
体内で反転
取り組もうと
踏ん切りつく
待ちぼうけに
急ぎすぎても
正解不正解に
けつまずいて
食べたい時が
賞味期限とは
何時か解らず
数分だったら
とんでもない
集中力の子供
努力も習慣も
積み重なれば
惰性に溺れて
心身を極める
自然に預けた
骨肉が争って
滑らないで
三月を聞く
土踏まずに
かいな返す
潮渦巻いて
半島の辺り
右腕でない
さん付けの
似合う人が
実はどこと
掘り返せば
根っこだけ
尋ね歩いて
菜の花から
卯の花まで
口ずさんだ
手毬唄から
薫る更地へ
避けようか
逃げようか
2月の風見
一億中流の
仕分け先が
差別と詐欺
競り合いに
入り込んで
向き合えば
敵が近づき
止める力が
擦り抜ける
動きの技が
我を消して
成り立った
事実無根が
歴史的にも
物語的にも
解けるまで
知恵の輪が
転がり始め
幼少期から
老年に至る
思案投げ首
手を返せば
達磨転がる
心身一如に
空を切って
身を投げる
殺意までも
二の腕深く
折り畳んで
羽交い締め
撮り逃した
梅に鶯鳴く
先駆け花弁
2月の雪が
窓辺の光と
影を追って
融ける前に
欠けた穴を
探し出して
誰かにしか
聴こえない
音楽が鳴り
誰かが読む
一言一句で
沈黙が溶け
降り止んだ
晴れ間から
透明な骨が
詩を響かせ
書を画いて
宇宙のはて
外遊びから
弾き出され
プラモ作り
乗り出して
かいな返す
取り組みに
潜り込んで
切り離して
繋ぎ直せば
隠れていた
体内ロボが
起き出して
取説のない
独り相撲が
稽古代わり
老いた体の
廃品利用を
見せた祖父
短パンに
半袖でも
寒くない
調節器が
子どもに
あるのか
殴られて
きな臭い
体壁から
内臓まで
命が綴る
春夏秋冬
目覚めて
眠るまで
喜怒哀楽
小さくも
心踊れば
身も動く
読み過ごし
たみたいな
図書館から
デパートの
本屋の棚へ
読みかけた
どこまでも
手つかずの
文字の羅列
急き込んで
書棚を渡る
書き手から
橋渡されて
立ち止まる
読み手まで
掛け違えた
眼鏡の奥で
交わす挨拶
空を明るく
舞い落ちて
まといつく
払い落とす
傘の重さが
すりぬけて
分厚い本の
頁の底まで
くり抜かれ
融雪水滲む
雪面に残る
活字の足跡
指で綴った
複本の背が
立ち並べば
櫂のように
撓む書棚を
漕ぎ分ける
自在に滑る
下肢が働く
爪先と踵先
安定と不安
定が交わる
土踏まずで
計った様に
打ち飛ばす
上肢の内碗
対の幻から
這い出して
擡げた首筋
幻の鉢巻が
抜け落ちた
腹の底から
見えだした
三本尾根が
交わる頂へ
幼年の耳に
刻み込まれ
織り込まれ
祖母が語る
忘れがちな
昔々語りが
跡形もなく
消え失せた
思春期まで
綾取りやら
折り紙など
狭まる起点
お終いまで
仕上がらず
歪みもつれ
初源の形に
解けるまで
揺らせるか
吹き荒れて
振り返った
冬の金縛り
目と耳とが
出合うのは
どんな時空
白昼夢から
臨死体験へ
違いの識別
見て盗めば
言葉だけが
ひとり歩き
区別できる
名付け親が
生む意識の
鼻から耳と
目へ抜ける
脇道の退化
庭の枝雪も
軽々と落ち
雪吊柱叩き
見えてきた
幹に連なる
枝ぶりから
落雪に映り
折れ曲がる
腕の一振り
肘から先を
スコップに
腕を奮えば
二の腕から
肩先超えて
振り出され
外れた弧が
際立たせる
選ばれた弧
藁履脱いで
竹スキーに
履き替えて
裏山深くで
構えてみた
背の空気銃
覚えた字の
活字を込め
狙いを消し
鎮める肩に
吊るされた
両肘の裏表
兎飛び跡を
追いかけた
紙の斜面に
見え隠れる
字体を残す
祖母の昔話
屋根の裏を
覗き込んで
凍りついて
落雪を待つ
迫り出した
屋根の傾斜
冬鳥の尾が
軒端を掠め
絶え間なく
聞き耳立て
家鳴り前に
浮き足立ち
零れ落ちる
氷柱の雫に
日差し透け
帰属すべき
冬の井戸を
穿つ無重力
猫と鼠から
一飛びする
鶏と鼬まで
屋根裏から
鶏小屋まで
血まみれに
空を切って
飛び散った
力みと遊び
生み落とす
訳知り顔の
卵とともに
喉もとまで
問わず語り
こみ上げて
引き絞った
夜の帳裂く
寝覚め空砲
車窓の様に
作り付けの
壁区切り棚
戻ってみる
雑誌架には
手触りだけ
閲覧列車が
差し掛かる
吹き溜まり
摘み食いし
重ね整えた
活字に埃が
運転席から
覗き込んだ
引き込み線
撓む書架で
切り替わる
読書信号機
街灯が切れ
雪明かりも
無い年越し
所在無げな
庭の雪吊を
束ねる柱が
幹のように
差し掛ける
投網の冬空
駐車場には
迷い込んだ
一羽の鷺が
車すり抜け
羽撃いては
広さ確かめ
捻った頭が
羽毛の隙間
体内奥深く
緩い靴下で
慣れた足を
足袋に入れ
古仕立ての
着物を纏う
脛が嫋やか
身体に残る
田舎正月の
筒袖に下駄
白足袋から
草鞋までの
祭りの春秋
男と女とで
育む季節が
織りなす綾
脱ぎ置かず
衣紋掛けに
伸ばし眺め