十字路で立ち話(あるいはワッツニュー)
最終更新日:2017/01/02老いた猫が
数えている
煤払いの数
信も不信も
差し替えて
神棚下ろし
ここからも
むこうでも
どこかへと
キャッチし
パスしたら
スルーする
余白確かめ
間合い立ち
会釈したら
無意味から
年の瀬まで
生きる稽古
12月の雨に
眼鏡のまま
顔を洗った
二階の窓で
透かし見る
通学路から
手探りやら
足探りなど
手繰り寄せ
田植えから
稲刈りまで
体を割れば
肩を沈めて
振り上げた
杵で臼から
削り出した
空白を縛る
命の掛け声
落ち葉掃く
箒の先から
零れ落ちる
空白の手が
隙間を縫う
乱世と治世
在れば厭う
自然体から
人工物まで
背かれるほど
従うしかない
数ならぬ心身
見失われて
探し当てる
体の整え方
気体化して
縄文遺跡を
散策すれば
当たり前に
育てられた
大気や水中
抜け出して
生き延びる
翼や背びれ
のたうって
筒のように
くねらせて
這い蹲った
胎内記憶の
誕生日まで
くたばれば
学ぶことが
終わるのか
とりあえず
身体を脱ぎ
泳ぎ飛ぼう
冠した歯の
噛み合わせ
初積雪の朝
融雪装置が
消し忘れた
屋並の傾き
家を建てる
恥ずかしさ
隠す様式も
紛れ込んだ
住み心地と
引き換えに
丸投げする
雪捨て場や
屋根雪など
生え残って
傾く奥歯で
乱れる前歯
草臥れたら
落とし試す
電池のよう
無駄力使い
が抜けたら
内側の自然
揺さぶられ
抜け落ちて
スケルトン
間違い誰も
教えられぬ
問いかけに
忘れそうな
きっかけの
太りはじめ
気づかない
体内言語が
重さの中心
街歩きから
血脈見えぬ
病葉見据え
雨上がりの
舗道に濡れ
透ける葉脈
洗い忘れぬ
老いる肌の
背にシミも
年々新たに
春夏秋冬を
着飾る樹木
花木の間で
季節の華を
着替える女
時節を飾る
旬を並べて
手慣れた腕
朝の雷鳴を
追い払って
強まる雨足
行き届いた
剪定を翳す
庭の雪吊り
掌のように
引き絞った
居場所から
飛び去った
蛾が翻って
娑婆の模様
表に人間を
裏に身体を
縫い合わせ
避け得ない
縁に囚われ
二足の草鞋
砂利道走る
響きが残る
自転車の尻
舗装された
散歩道しか
歩けない靴
紐結ばない
靴で歩けば
よろける体
つま先から
かかとまで
掴まり立ち
娘や孫らが
立ち歩いた
畳の足跡と
立ち上がり
襖に落書き
届いた高さ
薄陽あたり
紅葉庭木が
背伸びして
雪吊り待つ
松の梢から
縄目の俯瞰
家屋に隠れ
近くて遠い
体感の裏側
挨拶をして
入る四隅に
視線届かせ
身体の影を
脱ぎ捨てた
言葉の殘渣
掃き溜めで
枯葉の型が
人体を模写
一夜すぎて
払い落され
黄葉の並木
大手を振る
ところまで
初心者の腕
その先まで
歩むために
使い込めば
振り放せぬ
思い込みで
仕切られて
内観すれば
潜り抜ける
心体と身体
在るがまま
為すまでは
内なる腕が
もいだ柿を
丸ごと齧る
子どもの手
皮を剥いて
縦切りした
種ぬき果肉
蔕を残せば
楊枝いらず
の食べ易さ
刃物使いに
手出し愚か
口出し不要
気づかされ
胸鎖関節を
無闇に辿り
吊るすほど
寒く乾いて
振り抜けば
日溜まりに
舞い込んだ
羽毛を集め
乾ききった
枯葉に編み
込んだ帽子
脱ぎ放った
晩秋列車の
車掌が合図
走り出した
両眼視野が
引き寄せた
レール幅で
息づかいが
打ち込まれ
上り下りの
行き違いを
繰り返せば
衣替えする
山肌も顕に
履き潰した
草鞋や草履
だけでなく
雪下駄など
登山靴やら
スキー靴が
藁靴替わり
足袋を脱ぎ
足指が掴む
川底の深み
浮上すれば
溺れさせる
スニーカー
着忘れても
紐で触れば
普段の着物
黙契のように
街路に訪れた
黄葉の佇まい
自然な風から
育まれた歪み
折り畳まれて
普通の風へと
放たれた葉が
血相を変えて
黄昏の調書に
書き込まれた
身の程知らず
悪しき習癖が
問い質されて
身動きすれば
導管の鼓動が
息づかいから
心の動きまで
半月見下ろす
人気もまばら
夕暮れの街中
気ままな明滅
手足休まらぬ
信号とネオン
手を膝に為す
箸置き咀嚼の
味わい知らず
歩きスマホの
位置情報から
思い手放され
漏れ聞こえる
疎らな静寂に
聞き耳打って
途切れる思い
忘れ果てれば
無念が気づく
山肌を下って
河原を跳んで
庭先に紅葉が
小さな枝葉が
宿った幹から
根付いた支え
天井から落ち
痩せヤモリを
軒下で休ませ
無から有へと
転がり落ちる
自然の呼吸で
盲蛇となって
枯葉かき分け
秋の岸辺まで
日溜りに響く
息遣いを残し
生き延びたか
元痔主なれど
寒さを和らげ
温水洗浄便座
金に縁薄くも
視力を補って
メガネ持ちに
鉢が大き過ぎ
試着し続けた
合わない帽子
心身に屯する
虚無と神とを
行き来したら
衰えつつある
第二の自然が
見えにくくて
祈りを冷ます
呼気を強める
未知なる自然
鳥と雑草が
入れ替わる
ホトトギス
カッコウの
真似をする
見取り能力
盗んだ巣に
散った胸毛
田植えどき
初音が響く
林の辺りに
偏ったまま
芋を焼いた
風に乗れば
歪んだ方位
物事と表象
繋ぎ分けて
盗み見れば
庭木の枝に
引っ掛かる
破れ落下傘
滅多に虫も
かからない
ホバリング
慣れ親しむ
軒端遊びを
抜け出して
竹馬が繋ぐ
両手両足が
地面を離れ
デコボコの
田舎道から
原っぱまで
初乗りした
自転車倒れ
転げ落ちて
叔父さんに
誘い出され
山葡萄採り
尾根を数え
秋風に紛れ
県境の谷筋
嘘っぱちの
処世技術が
まかり通り
崖際の木に
引っ掛かり
墜落しそう
垂れ枝掴み
引き揚げる
身過ぎより
ディランの
切れ切れの
歌いっぷり
遊び疲れて
投げ出され
錆びた輪金
埃をかぶり
うずくまる
木組みの場
残り時間を
解き放って
組み合わせ
驚きだけが
掴み取った
知恵の無念
庭のつる草
日がな一日
伸ばす手足
動かす度に
思い違って
無限の遠さ
秋の建築に
光や風など
濃淡を添え
傾く噴水の
しぶきから
逃げる蜻蛉
咲き揃った
コスモスが
川面に映え
河口に届く
まで流れに
皿を浸せば
陸の河童が
鯨や海豚に
劣らぬ動き
汽水域から
深層水まで
茫茫と漂う
鳴き声など
忘れ去った
螻蛄の前足
蟷螂の斧が
ギザギザの
弧を描いて
黄色い蝶が
迷路を描き
障子に透け
直射日光へ
抜け出した
蚯蚓の恐怖
違和の緒が
噛み切れず
吐き残され
触手を軸に
蟋蟀が織る
咀嚼の歯型
剪定された
庭木の根が
地中に伸び
聞き分ける
空から降る
エネルギー
樹液の中で
絡み合った
葉緑と揚力
重力に抗い
立ち枯れた
古木の年輪
光を奪われ
遡れなくて
立ち止まり
天に根付き
地上に残る
無尽の刻印
放課後には
秘密基地で
自然に塗れ
背丈の影が
裏山に透け
川原へ伸び
昼下がりに
寝そべった
土手の草叢
夏の昼宙に
見えていた
星屑の響き
老いてから
幼い彼方へ
ひき返せば
抗うだけの
第二の秘密
基地に紛れ
立ち止まり
鏡に映れば
木目が階段
しゃがんで
覗き込んだ
関節の裏側
手触りなく
聴きわける
耳のかたち
腕を伸ばし
打ちつけて
畳み込まれ
骨格を伝い
響く速さを
写す三面鏡
人格も消え
心おどれば
白黒問わず
朝の窓際で
樹影見えず
木犀の薫り
見えだした
山脈の如く
立居振舞い
表層を洗い
深層を拭く
違和の正体
デパートの
屋上で社や
遊園地消え
跡地に佇む
巨大広告の
清涼飲料水
体、躰、體
どの身体で
飲み干せば
風雪を凌ぐ
夏を越した
庭木の剪定
枯れた樹が
吊るされて
撓むリフト
ワイヤーで
運び上げた
労働の日々
解き放たれ
待ち受けた
斜面の重力
第三の腕が
体軸を掴む
新しい捌き
長い腕から
振り下ろす
無形の霊力
栞のように
著者の頁に
挟み込まれ
読むことの
底を分かつ
生前と没後
ガキ大将を
追いかけて
製材所裏へ
大鋸屑から
拾い上げた
髪切虫の声
牛のお産を
やわらげた
納屋の藁束
隠し部屋で
飼い葉桶を
蹴飛ばした
剪定された
庭木の陰に
石灯籠など
抱え起こす
やせ細った
重たさから
松のように
根切りされ
出自を包み
濡れた筵で
縛りあげて
促す根付き
庭石の下に
埋められた
猫の鳴き声
遠い背戸に
残してきた
庭木も枯れ
すれ違った
曲がり角で
耳に残った
日々の死を
歌いあげた
四角い紙箱
パンドラの
箱のような
重さ軽さ?
木箱に詰め
川に流した
水族館の昼
鴉に襲われ
背後が怖い
朝の植物園
謝肉祭なら
動物園では
閉園後から
立ち寄れば
雷雨が洗う
窓際閲覧席
かろうじて
封じ込めた
歪んだ頁に
映り込んだ
雷鳴の如き
言霊が走り
労働の手が
とどかない
雨と雲の闇
稲妻走って
唸る琴線が
噛み砕かれ
数え切れず
強制された
不幸の彼方
刈り残した
草がゆれて
飛び立てば
夕日に輝く
空しい鞘が
とんぼ返り
人型一体に
敷き詰めた
マットレス
心にもなく
引き継いだ
身体の行方
掴み損ねる
個を超えて
彷徨う空に
昼夜違わぬ
方向音痴で
問わず語り
箱庭みたい
自宅二階の
窓際読書を
詰め込んだ
カバンを肩に
乗り込んだら
古本漁りが
車窓に映る
紙魚のよう
季語の手を
詠み込んだ
スキャナー
閲覧席から
町並みまで
短冊に刻み
活字で編む
栞を浮かべ
秋めく空へ
藪漕ぎ斜面の
土踏まずから
膝までの緩み
寒稽古の床で
うずくまった
素足の冷気が
布団の中まで
駆け込んでも
冷たい指先に
代掻きあとの
田の温もりで
ふやけるまで
長い呼気から
短い吸気まで
蛭が伸び縮み
足裏で交わす
気の流れから
取り残されて
海鳥が運ぶ
夏の息遣い
吹き抜けて
尾根を辿り
滑り落ちる
雲海の流れ
老いの坂道
きれぎれの
呼気と吸気
杖をついて
渡りきれぬ
三途の浅瀬
引き出しに
指跡残して
破れた聖典
写真立てに
はまらない
遺影の余白
机上に並ぶ
拾った石に
古い木の実
木彫り眺め
握り転がし
触り読めば
削り上げた
手のあとが
見えなくて
淀みがなく
途切れない
呼吸が整い
始まりから
終わりまで
継ぎ目なく
障害もない
受けで動く
明確な即興
消えかかった
踏み跡を辿り
雑木山の頂へ
平穏な最後に
救急車よりも
看取り医師が
落ち葉を掃き
見える墓石を
通路のように
介護の階段で
取り残された
未開封の便り
読みきれない
文字の時空に
折り重なって
書き残された
読経のように
降り注ぐ言葉
走馬灯浮かべ
八月の山から
海に届く流れ
上りと下りを
混ぜ合わせて
渦巻く濁りに
精魂と精霊が
前後入れ替え
分け入る霊性
漕ぎ続ければ
自転車も舟も
体に馴染んで
こぼれ落ちた
一滴の汗から
新しい立ち技
中州に居並ぶ
鳥が飛び立つ
花火の後の空
竹を削って
ひごに紙を
張り回せば
はみだした
余白に沈む
遠い登山図
生き延びた
小商いから
ご来光まで
霊山登山に
導いた闇を
纏ったまま
女人禁制の
尾根筋から
藪を漕いで
小刀を頼り
刻む谷筋に
麓の灯りが
冬の岸辺から
雪かきをして
夏の浜辺まで
泳げないから
日記のように
舟をつないで
裏から前庭の
夏草を刈って
人称の航海へ
無人島向けの
読書記録やら
プレイリスト
見聞き目的や
努力の限界に
縁がない堆肥
微熱くねらせ
闇を縫う光が
宇宙へ抜けて
夢のように
猫が咥えて
持ち帰った
何ものかの
肉の塊から
転がり出た
手の骨格で
漉いた紙に
刻まれた跡
飛び跳ねる
文字の影を
摘み損ねて
めくり返し
めくり戻す
指の隙間で
挟み込めば
尻尾を振る
言葉の虹が
田畑の脇を
駆け抜けた
猟犬が吠え
羽ばたけば
群れの中の
一匹みたい
拾ってきた
猫の欠伸に
出迎えられ
狩猟採集に
明け暮れた
県境の裏山
飛び越せる
夏の海峡を
泳ぐように
土器の欠片
繋ぎ合わせ
狩人の時空
暑さ呼吸し
姿勢正して
夏草の揺れ
バス停高く
羽搏く鷺が
飛び去れば
同じ仕草を
できるだけ
引き延ばし
ゆっくりと
持ち越せば
やってきた
遅延バスの
ドアが開く
のり心地に
初心目線で
立居振舞う
身体の隅々
伸び具合に
むしり跡が
残る庭の草
四畳半から
老母の影が
転がり出て
試してみる
腕立て腹筋
逆立ちなど
無残な名残
曝け出した
六畳の畳裏
覆う強張り
力みを解す
カーペット
耕し損ねた
身体を畑に
蒔き直せば
剣や槍など
登った脚は
過ぎ去って
帽子掛けに
裏返された
鳥打ち帽子
板の間から
畳の上まで
老いを担ぎ
浮きが三分
沈みが七分
泳ぎ知らず
裏返っても
剥がれない
甲羅の素性
古登山靴に
夏山越した
履き心地が
耳を当てれば
ガソリンカー
の遠い響きに
夜の藁人形を
射抜いた針が
五寸釘の太さ
レールに並べ
鉄橋の下へと
潜り込むだけ
稲田を揺らし
轟音走り抜け
乱雲の向こう
拾い集めれば
潰れ鈍く光る
手裏剣の重さ
夏の大掃除の
干し畳の裏に
残された傷跡
ガラクタで
満杯だった
オモチャ箱
転がり出た
胡桃の艶に
残る手触り
三八式銃の
弾丸らしき
潰れた信管
日本刀から
指揮刀へと
刃文が伝へ
母が残した
父の遺品に
面影も無く
衰え握力で
触るほどに
父性握れず
まるで別物だよ
クラシックから
タッチに買換え
どう操作すれば
シャッフル再生
できるか迷った
1分あたりなら
心拍60〜80回
呼吸16〜20回
の健康成人では
最高血圧120位
体温は36度前後
に素早く戻れる
息遣いで緩んだ
快適姿勢で聴く
異常から正常へ
機器との隙間で
自由な行き来が
二階の窓へ
這い上がる
朝方の蝸牛
夜を呼吸し
闇に寛いで
姿勢を保ち
そそり立つ
襞で撫でて
動き続けた
庇の彼方に
野鳥の姿が
目を光らせ
強風の折に
網戸に貼り
ついたまま
昨年の殻が
跡形もなく
剥ぎ取られ
蒸し暑くて
寝苦しい夜
の寝返りで
ミステリー
の転がった
殺傷死体に
仰向けから
うつ伏せの
逆卍寝相で
背に腹など
厚みの違い
変わり果て
メタボ腹も
裏返されて
ぺちゃんこ
眠る脳細胞
掻き分けて
はみ出す謎
見え隠れの
夏の野鳥を
探す雲間で
鳴き声から
姿を探せば
図鑑に消息
湿った床で
怪我で転び
重いモップ
引きずれば
聞こえ来る
家族の不在
書き損じも
ただならぬ
老いの行末
逆らわない
身体使いで
何に逆らう