十字路で立ち話(あるいはワッツニュー)
最終更新日:2016/01/01小屋根や
植込みを
渡り消え
残された
子羊らの
初雪の跡
一コマで
刈り取る
非常勤務
誰からも
信頼され
ていない
1/4欠け
ケーキの
存在感に
忘れたら
塗り込む
初心の味
切り抜く
身体から
複製まで
数少ない
言葉での
やりとり
出かけて
見いだす
人称へと
心ならず
掛かった
技のよう
骨格まで
導かれた
足型の跡
歩き方が
成り立つ
姿勢の謎
短い日が
差し込む
床の間で
夫婦鷹が
羽搏きを
閉じ込め
腰に潜み
幹を掴む
脚の付根
児童期を
境にして
着物忘れ
結婚して
着こなす
松の内に
見えない
袖丈から
言葉溢れ
渦を巻いて
烏が水浸し
の空を埋め
読み込めば
推理が働く
ブラインド
個人文庫に
閉じ込めた
日本の養子
食み出さず
体いっぱい
美徳と悪徳
混迷を砕く
激流の闇が
船底を叩き
見逃された
厄災に絡む
無関心の病
枯れ枝から
病葉を抜け
葉脈の渇き
普段着から
抜けだした
暖冬の夜空
汲み上げた
季節外れの
遊覧船まで
形をなぞる
星座の影へ
加速すれば
体内深くを
擦り抜ける
探査船まで
今日を限り
改訂された
絵本の生命
戦国武将が
越えそうな
積雪薄い山
スマホ静寂
埋め尽くす
定期バスを
留学生らの
英語混じり
叫喚が埋め
川面を染め
暖冬模様の
夕闇に沈む
戦争を語り
消息を断つ
先人物書き
薪割りから
雪かきまで
一足飛びに
原住民なら
死に場所が
見極められ
自然と同化
したような
枯れ木へと
成長すべき
違和を刻む
波紋に隠れ
捲り返した
年輪で働く
知恵の外へ
消費の旅を
ゆきゆきて
植物の如き
導管を抜け
藍染の空を
獣のように
死者を畏れ
霰をはじく
庭の雪つり
消える音に
耳を澄まし
未聴を訊き
射竦められ
体内回路に
回避すれば
人馬一体へ
駆け抜けて
異類を営み
身体で数え
ない計算で
仕訳けられ
世にも稀な
文字使いが
紡いだ言葉
手作り極め
土塊を払い
虫食い削り
それぞれの
冬の野菜を
貰い受けて
新聞紙など
畳み直して
過ぎ越せば
手作りでも
中途半端な
櫂で操って
閉じた本に
隠した身で
街頭に群れ
網の目から
血を流して
神経尖らせ
通い慣れた
橋を渡った
午後の往復
水鳥一羽が
川面を叩く
土手を隔て
薄墨色めく
夕空を埋め
電線に群れ
羽ばたけば
黒い骸骨が
真っ暗闇に
貴種を流し
卑種を沈め
川沿いの街
路地裏辿る
足取り探す
町内案内図
波打ち際で
ヤドカリが
脱ぎ忘れて
水鳥が啄む
気後れやら
当て所なさ
週休二日で
働く価値が
消費価値へ
コンビニで
食いつなぐ
派遣労働者
家族からも
友人からも
切り離され
携帯電話が
人を新たに
デジタル化
右手のこと
左手のこと
お互い無視
足の親指は
反り返って
俯く指四本
突っ掛けと
スリッパの
はき心地で
階段の上り
降りが違う
足裏の感覚
無節操でも
構成各部が
協働すれば
出会い頭の
二体で育む
第三体から
散歩帰りを
待ち受けて
寂しい蜘蛛
広げた脚に
鈍い朝陽が
照り返して
昨日見つけ
網を破らず
庭の落ち葉
拾わないで
ありのまま
やり過ごす
ご近所から
紅葉便りが
密かに届き
元気な姿が
角を曲がり
網の彼方へ
シーズンが
終わっても
擦過音響き
試合前から
追いかけた
打球の行方
球場の外へ
駆け出して
取り損ない
捕球姿勢で
野次を拾い
投げ返せば
届きそうな
始球式では
呼吸を整え
芝生席から
ずり落ちて
広がる視野
木を数えて
分け入れば
木霊を聞き
割って入る
桐の花匂う
裏庭の日陰
学校帰りに
通り過ぎた
映画館から
連れ帰った
身包み剥ぐ
夢見る半身
一刀両断の
手ほどきを
祖父の姿に
絵と心情を
繋ぐ会話も
切り刻まれ
ベンチから
忍び寄った
不審な問い
間引かれた
行く末から
取り出され
問いかけが
雑踏に紛れ
掻き消され
空の言葉が
立ち位置に
差し戻され
通り過ぎて
振り返った
信号の明滅
傾く西空に
別れを隠す
帰路の挨拶
有明の月に
寝起き姿を
浮かばせて
漕ぎ出せば
素手で交す
挨拶の岸辺
♂と♀との
ビットから
編まれた幻
母の揺籠で
掴み取った
匍匐の手足
距離を掴み
形を舐める
異数の組手
結ばれては
解きほぐす
紐に縛られ
秋の虫の声が
途切れそうな
枯葉だまりに
自己嫌悪する
数え切れない
着メロの響き
危うい残量を
モニターする
夕暮れの車窓
不安定ならぬ
立ち位置から
振り返るには
模倣しかない
とっておきの
ローアングル
一つしかない
入り口からは
見えない出口
玄関先では
モニターが
触手を休め
影を舐めて
塗り上げる
日差しから
横切る猫や
宅配に紛れ
木犀の香り
吐息で貼る
紙飛行機の
安定姿勢で
脱ぎ忘れた
下駄履きも
竹馬からも
かかと先が
下駄箱深く
刻み込まれ
蜜柑の皮を
剥くように
ひもとけば
軸の握りに
息も乱れて
姿勢も崩れ
急須で注ぐ
指づかいに
なだめられ
文字の林を
細かく捌く
和紙の麓で
指を染めた
墨を含ませ
切り込む刃
言葉の樹を
削り起こす
筆遣いまで
咲き乱れる
コスモスの
河原に埋れ
川面を叩く
釣り糸から
鮎の煌めき
秋祭りから
遠のいても
匂う襟足が
脚を解いて
橋の袂まで
川面を渡り
群がる鳶が
輪を描けば
橋桁が揺れ
水音を裂き
突き刺さる
夕暮れの光
壁際から
振り向く
窓際まで
秋の午後
手を休め
机の向き
座席から
出席簿が
印刷され
ID漏れの
足音から
はみだす
疑問符が
識別子の
誘い水に
指を洗い
手を変え
縄を編み
幹竹割の
股間から
十文字に
宇宙まで
解き放つ
シャトル
放物線を
手放せば
ジグザグ
縁を繋ぐ
関節技で
躾けられ
気付かぬ
病原菌の
体内抗争
縄張りが
息遣いを
締め上げ
カモシカに
秋の山道で
遮られたら
木陰からは
のっそりと
ヒキガエル
狭い洞窟に
ぶら下がる
蝙蝠の気配
樹木の陰で
ムササビが
夜を待って
飛翔夢から
墜落夢まで
繋ぎ合わせ
還り道探す
止り木なら
天狗の団扇
新しい靴で
裏山めがけ
けり込んだ
秘密基地に
遅れそうな
古い楕円球
グランドを
横切ったら
見咎められ
怯えそうな
革靴を脱ぐ
裸足の反抗
釦の眼から
脱げそうな
窮屈な制服
止めに入る
部長の言に
同郷の響き
古網戸から
メッシュを
剥ぎ取れば
人差し指と
親指からも
見放されて
棒を掴めば
たわむ腕の
自在な手首
身体操法の
序破急から
起承転結へ
指が互いに
反り返れば
足で掴める
四足歩行の
記憶を辿る
柿の木登り
巻きとれば
抜け落ちる
夏庭の残水
観覧車から
電子書籍へ
張り巡らす
中秋の頁に
手足を緩め
耳を澄まし
障子越しに
カマキリの
影が動けば
時空を染め
秋の収穫が
五体に響き
体内を抜け
飛行機雲が
角度を決め
滑空距離が
短くなった
離陸と着陸
遅ればせの
同じ手順が
繰り返され
風まかせの
赤トンボに
先を越され
並外れでも
低空飛行が
保てるなら
無芸徒食の
航続距離で
昼夜を跨ぎ
不時着する
芸を頼りに
擦れ違えば
振り返れば
あっという
短かさだが
いまここに
佇む影なら
長く伸びて
飢餓からは
免れ得ても
空腹からは
法も国家も
常識までが
有為転変で
善悪いずれ
模倣の渦が
弄ぶ身体へ
はみ出して
腹が据わる
きっかけが
風まかせに
なだらかな
お椀が揺れ
鞍部が開く
稜線を辿る
未読の足跡
意識された
ダム放水に
無意識の虹
飲み水から
溢れそうな
災害と事件
因果の果て
腑に落ちず
迷路の呼吸
周回遅れの
幼児性なら
父親代わり
常願寺と神通
両河川を又に
自転車で駆け
張り巡らした
ルートを編み
ハンモックに
透けて見える
ペダルの軽重
扇状地の傾き
仰ぐ山肌から
降りる紅葉が
身体を染めて
枯れ葉の舟で
散歩代わりに
漕ぎ出す流域
高齢化の窓を
揺らす眺めに
拭き取る言葉
昼にスキーや
サイクリング
夜はバドなど
あたりまえに
していた体を
しまい忘れて
忍び寄られた
他者と交わす
挨拶も知らず
軽くて重たい
飲み残された
ボトルの中味
頂きますから
ご馳走様まで
締め括る介護
ありがとうを
朝夕繰り返す
畏れのように
過ぎし夏の
掌を返せば
葉裏の響き
無さそうな
隙間からも
調べが漏れ
共感せずに
反転しない
他者の訪れ
寂しい宿に
灯をともす
旅立ちの声
有り得るか
有るべきか
架橋できる
頂を極めて
呼吸すれば
緩む身体像
築数十年を
巡り越した
佇まいにも
庭木剪定で
癒されてる
夏の疲れが
住居からも
身体からも
明かされず
振り返って
語られない
老いの消息
短い来し方
日々重なる
一日の深さ
ご老体まで
季節で測る
違和に耐え
昨夏の凪を
忘れていた
船出のよう
生活視線が
張り巡らす
デモの分散
ベルト締め
タオル結び
ヘルメット
遠い戸棚に
置き忘れた
身分証明書
家を離れて
職場からも
離陸できて
俯瞰視線で
身包み剥ぎ
声を挙げて
細く長くても
太く短くても
枯れてからに
親鳥の魅力が
雛鳥の庇護を
呼び寄せたか
離別してから
親心子知らず
関係の網の目
朝に眺めても
夕べになれば
堕ちてしまう
庭先の芙蓉を
掃き集めれば
夏の虫の死骸
釣り上げれば
水と餌が描く
糸と釣竿の弧
一輪挿しから
抜き忘れてる
回転翼の枚数
ウレタン製の
模型飛行機で
滑走路を試し
夏休み工作に
用意したまま
未開封のロボ
届かなかった
書架の絵本の
改訂版が出て
やり直せない
書き直せない
生命のもつれ
2枚と3枚で
飛ばし比べた
原っぱの不在
電線に群がり
稲穂のように
鳩首を揃えて
山地から下る
アキアカネの
飛来を待つか
再開発新駅の
賑わいを抜け
山地の墓参で
黒と金の線を
思い出させた
ハグロトンボ
猛暑の中休み
夕方の散歩で
寄り添う風に
吹き寄せられ
羽根を休めて
留まれ秋帽子
出かけるまで
出かけてみて
出かけなくて
変わらなくて
変わるまでも
変われないで
関わらないで
関わっている
関わり知らず
差があっても
差がついたら
差がなさそう
触れたようで
触れないまま
触れ過ぎたら
めくれそうで
めくられない
親子世代相関
稲穂を濡らす
雨の静けさに
滲む夏の縄文
アフリカ的な
自然体が開く
自由な暮らし
夢見る前から
聴くも語るも
身体をあずけ
繰り返される
いま・ここの
足踏みに迷い
身の丈で習う
直立歩行から
四つ足の記憶
狩猟と定住へ
明暗を分けた
郷愁の空間に
夏の噴水越し
ビルの窓磨く
人影託す命綱
幼児を抱く
母の散歩の
影を濡らし
携帯を耳に
営業マンの
足跡が乾き
遠ざかれば
田舎の夏の
庭の水撒き
震える手で
組み立てた
鉱石ラジオ
有線越しに
聞き逃した
音楽を探す
連日の降雨
予報外れに
雨乞い散水
葉裏震わせ
蝶の羽化が
削り出され
羽ばたけば
放水の影が
虹色に濡れ
少年の手が
埋め残した
身の置き所
思春期歪む
破砕帯から
冷たい炎が
炙り出した
身丈で図る
共感滑走路
目立たない
冬の雪かき
夏の草刈り
春蒔き種を
収穫の秋に
空高く放ち
SNSの網に
蔓延る虫を
衛星で察知
既視感漂う
未明の空に
夏の通し柱
削り出した
櫂を操って
富山湾まで
演じきれず
浮かんだら
記号みたい
虚弱児でも
夏が好きな
過去形の朝
ロボットに
リビングの
掃除を任せ
イチジクや
柿に栗など
跡形もなく
茗荷を残し
生い茂った
背戸の草刈
虫が隠れる
草いきれに
弧を描いて
水を撒けば
匂う砂利道
夏の逃避行
夏草刈りで
追いたてた
昆虫の行方
虫捕り網に
絡め取られ
われを忘れ
標本ならぬ
スケッチが
虫籠代わり
走行距離を
忘れるまで
描き写して
つまされた
身代わりの
季節列車が
運ぶ体調の
個室で問う
痛さ悲しさ
浮上したら
覚えてない
夢のかけら
朝の儀式で
組立て直す
生身スーツ
落とし込む
肩で開けば
肋の落下傘
ヨメが賄う
朝の食卓を
骨盤で支え
風を便りに
乗り込めば
手足で漕ぐ
舳先が揺れ
浅深問わず
昼の船着場
猛暑で花が
萎むように
紙袋が破れ
苦しい時の
神頼みから
解き放たれ
車椅子から
転がり込む
診察ベッド
ストレスが
見当たらず
問診途切れ
誕生でなく
出会いでも
欺かれたら
気づかない
トラウマが
ストレスに
70年を経て
夏に枯れた
盆栽の枝振
道路を隔て
咲き揃った
芙蓉の翳り
二つ重なり
吹き寄せる
予報円から
風雨に晒す
気圧が示す
体調の行方
鉢を割れば
ねじれ果て
絡む根っ子
夜陰に紛れ
地に堕ちて
割れた理念
幻の庭師が
緑濃くなる
庭木を整え
権力の枝に
強いられた
自由と恣意
見回す限り
緩んだ箍の
桶の不自由
強制された
関心或いは
無関心から
バラバラに
動く手足が
連結し得る
構図が破れ
時空の壁に
穴を開けて
乗ってみろ
促がされた
自転車小僧
稲刈り終え
農機具屋の
単車に跨り
駐在を避け
人気のない
初体験試走
草も枯れた
通学路へと
突っ走って
農道へ曲り
切れないで
突っ込んだ
刈田の畔を
倒れそうに
乗り越えて
新緑を占う
盆栽が残す
謎のように
持ち越され
日々振舞う
自らの不明
天井桟敷に
ぶら下がる
立ち位置も
垂直回転で
逆様になる
夕焼け写真
渡れそうで
掴み損なう
雲の手触り
鞍部に立ち
見渡す限り
初登頂の夢
乗り手なし
自転車でも
倒れず走る
砂利道から
草っ原へと
併走したら
追い越され
取り残され
思春期から
掘り当てる
呼水で洗う
姿勢の渇き
飲酒喫煙に
女遊びから
癒されても
身体に潜む
逃げ水から
溢れる体位