十字路で立ち話(あるいはワッツニュー)
半身になり
振り返れば
半夏生の影
非対称へと
溢れるまで
立ちつくし
上から下へ
紐解かれて
常識の流域
気も高まる
変形譚なら
祖母の昔話
孫に着いて
引っ越した
祖父の同意
翻すならば
水平または
垂直に反転
樹齢不詳で
雨に濡れる
祖父の捨鉢
祖父を診た
往診医には
それっきり
閉院を知り
生老病死の
由来知らず
母の介護で
縁があった
訪問医とは
在宅養生の
話の続きも
聞かぬまま
等身大まで
生身を探す
自問自答を
庭の片隅に
咲くバラを
一輪挿しに
飲みさしの
ボトル近く
並べ置いて
異変を知る
ブドウ畠の
バラを遠望
雨に濡れた
重みで傾く
花弁が震え
梅雨晴れの
庭を横切る
戦後の履歴
落ち梅なら
拾い集めて
誰の手元へ
曇り空から
梅雨入りは
未だですよ
電線揺らし
囀る小鳥の
糞を避けて
虫食い葉に
やってきた
紫陽花の花
不揃いでも
季節ならば
あやふやに
すっぽりと
乱れた軸の
歪み和めば
非対称から
整ってくる
姿勢の葉脈
青雨に黒雨
変わる場面
違う身体に
動かぬ外側
盛んな内側
休憩に休息
見出されて
乗り込めば
矢面に立ち
思いを越え
降ってくる
善悪の判定
詩を詠めば
日頃の命題
かき消され
夢で出会う
私のいない
世界を見て
夜来の雨が
緑を濡らす
母の月命日
老いてから
春と秋には
京都を訪れ
神社仏閣の
観光を残し
アルバムに
母子一緒の
京都旅行も
介護の夢見
癒しお祓い
閉ざされて
書架の奥で
紙ヤケした
古都を読む
与謝野源氏
五月を捲る
接続詞から
始まる言葉
届けられぬ
瞳の奥へと
待ち合わせ
読みさしの
閉じた本に
隠した思い
幼少期から
見出せない
平穏に疲れ
座りこめば
擦り切れた
畳の縁まで
鼠を追って
青い蛇行が
六月を開く
赤や白や泡
ワインなど
飲み分けて
姿勢も和む
食卓を囲み
安堵の合間
草を毟って
庭に絶えた
半夏生の姿
巡る季節の
生きやすさ
探し求めて
立居振舞い
どんな形に
見初められ
四畳半から
母が見せた
介護の間取
六月の緑が
しっかりと
枝を張って
素晴らしい
発想を生む
出会を支え
半世紀過ぎ
扉を揺らす
誕生月の闇
胎内姿勢の
つながりに
別れを告げ
鰓呼吸から
切り替わる
恐怖の叫び
未熟なまま
自然の間に
果てしなさ
朝の街中で
振り返って
紫陽花咲き
玄関を出て
振り向けば
どちら向き
自転車でも
スキーでも
急停止なら
回りこんで
ホッとする
身体の傾き
無意識から
浮かび出た
寝相のよう
上下左右に
見回し探す
楽な姿勢が
五月なのに
暑さ勝りて
田植えの指
屈み込まず
苗を摘んで
泥をも掴み
踏み込んだ
棚田の枚数
足指で挟み
動き方など
数えるより
数え方から
手足を通す
衣替えまで
動態作法を
塗り替えて
動き動かす
お掃除ロボ
練習前にと
やりだして
半年もたず
一人飛びで
無意識から
自意識まで
三人以上は
大縄跳びで
足並み揃え
二人飛びに
気づいたら
足がもつれ
絡まっても
縄張りなら
三様の縛り
解けるよう
三本の縄の
重みを変え
宙に浮いた
クラゲなら
春の蜃気楼
浜辺を抜け
遠い幼子が
駆け寄って
革命期など
忘れ果てた
消費産業化
〈デモ以上、
テロ未満〉
見得を貼り
無人飛行機
浮かばせる
個人と国家
出現予報に
踊らされた
日々が霞む
蟻を追って
アフリカの
火山湖まで
藻に染まり
数えきれぬ
フラミンゴ
織り込んだ
人工都市の
夢を畳んで
出会うまで
仕草で紡ぐ
群遊飛翔図
雌雄を繋ぐ
赤い無意識
立ち騒いで
解れた糸を
番の飛翔で
染め分けて
新緑激しく
立ち騒げば
家鳴りして
産道抜けた
空気呼吸に
恐れが谺し
過呼吸など
呼び覚ます
境涯に迷い
止まる枝を
聞き違えた
鶯の初鳴き
空耳ぬけて
生存予見の
地獄耳まで
響き連なる
存在倫理を
刻みこんで
連休明けて
未だ聞かぬ
鶯や雉など
ツバメ飛ぶ
代掻き田に
山肌映して
遠い講演で
ダイカキと
響いた声に
模造紙など
三度ばかり
枚数を数え
つなぎ目を
丹念に読み
返す日々に
連鎖させた
関節が繋ぐ
動きを畳む
最盛期でも
映画館から
遠かったが
思惑が囲う
妄想の闇の
狭間の無形
膝を曲げて
尾てい骨で
しゃがんで
稽古せずに
立てる謎が
能力の死角
恥じらえば
伝統技能や
武門が開き
虚しくとも
音楽ほどに
浮きがかり
標本を探し
野山を歩く
虫眼鏡から
エロ目線で
春画を集め
スクラップ
電脳広場の
架空の闇で
星座を探し
裏返された
望遠鏡覗く
虫の手触り
図鑑からの
獲得視線で
分類すれば
脱皮の域を
限界にする
展示室探し
春の車窓を
緑の滑りに
艶出しされ
水かさ増す
夕暮れ前の
街中の川縁
引込み線に
置き忘れた
手触りなら
頭を埋めて
身動ぎない
番いの水鳥
写り具合も
眺めないで
再会の宴席
散会までの
瞳と言葉を
集合写真に
揺らめいて
山肌を隠す
折り紙細工
狭い糊代を
折り返して
畳み直せば
雪崩の跡を
綴じ込んだ
雪渓の傾き
鞍部を辿る
行きがけの
浮力に溺れ
紙から竹へ
飛行機雲を
架け渡せば
引き抜かれ
往路を分つ
重力の在処
木立を抜け
渡り鳥らが
季節を畳み
山川草木が
内臓感覚を
際立たせて
手渡された
山菜が匂う
濃い山影が
落ち葉から
木の根まで
さしこめば
聞こえくる
色文字響く
渓流の眺め
釣り上げた
魚の動きが
点描する句
散り際から
芽吹きまで
否定の嵐が
生活身体が
書き損じる
違和と同致
言葉の裏に
打消す速さ
発語を連ね
動きを繋ぐ
関節が否を
解き放てば
関わりとの
別れだけが
暮らしの証
自然治癒の
歯車が働き
痛みも消え
二枚貝が開く
速さで消える
砂地の模様に
孤島に止まり
弛緩と緊張を
繰り返すだけ
風が迎え入れ
転変する波が
収束する岬は
忘れ去られた
小指の記憶で
探る胎内記憶
囲炉裏端なら
湯飲みに注ぐ
お茶の手応え
漬け物を摘む
指使いならぬ
箸の使い勝手
老いを重ねた
親指が出会う
人差し指まで
踵から手首へ
回内と回外で
管を巻いたら
折り曲がった
腰付きの手で
拾う桜の枝が
抜身のように
空に向かって
解き放たれる
自在な裏表が
掴みとられた
散り際の感触
仕上げの握り
次第で変わる
指先の切れ味
出戻り寒波が
花びらで編む
筏を通り抜け
姿勢を試して
際どい安定に
居着けなくて
的をめがけて
引き絞ったら
間髪の間合い
気づくことを
放棄している
達成感のなさ
触れない水が
描いてみせる
水かきの動き
動機で埋めて
掘り返される
無意識の井戸
石礫の叫びが
暗雲を割って
堕ちてきたら
小鳥が軒先で
春の嵐を避け
揺れる電線に
封印を解けば
切り結ばれる
交差する凹凸
意味と価値の
双葉が伸びて
同一性障害に
身構えるから
今日が一番に
綴られるだけ
旬の貝を剥き
味わい尽くす
身がままなら
日差しと陰の
折り目を探す
季節の縫い目
縦にまとまり
横に働くなら
遠くの風見鶏
風向き次第に
畳んだ風信を
折り紙細工に
背伸びし散り
止められない
梅の木の剪定
横っ飛びなら
枝から枝へと
花に落ち着き
満ちる動きが
鳴き合わせる
贋作の呼吸で
理科室から
抜け出した
人体模型が
手を振って
在来線から
新幹線まで
入れ替わる
俯瞰視線で
描く扇状地
ヒトの体が
隠し持った
系統図から
校舎の窓に
汲上げられ
張り出され
言葉の影を
なぎ倒して
通過する橋
営業停止の
スキー場に
積もる新雪
父性が埋れ
閉ざされて
読めない頁
崩れ落ちた
未踏の壁に
刻み込まれ
手足を掛け
身を細めた
日々の隙間
装丁された
言葉の扉が
開け放たれ
覗き込めば
降伏しない
流今の斜面
庭先で鳴く
春の制服を
着込む動き
庭木に訪れ
花ボタンを
はずす小鳥
胴体と頭を
交差させる
欲望のY字路
俯瞰視線で
手足が動く
胴体の高度
解き放たれ
五感が働く
開放値まで
張り渡して
引戻される
枠組みまで
いずこでも
春陽が誘う
帆柱が立ち
写し取った
風穴めがけ
帆布を張り
編みたての
仕分け紐で
海図を綴じ
風を頼りに
抜身で辿る
航海の行方
描く呼吸を
合わせ鏡に
噛み合えば
一筆書きも
向かい風に
乾き上がり
村祭りでの
打上げ後に
花街行きが
温泉街では
やり手婆に
手ほどきを
夜学教室で
四十八手の
透かし絵も
25時間目の
イメージが
途切れたら
リタイアに
描き尽くす
画像の焦点
暈けるまで
高度を稼ぐ
視線で綴じ
雪中花芽が
徒手空拳の
乱れ打ちか
出会い頭で
先急ぎ過ぎ
出遅れても
集合写真に
間に合って
一斉飛跳ね
打ち急ぐか
当て待ちか
狙い外れて
気づいても
体を割って
待ち受けて
散る間際に
一花咲かす
気合の枝葉
雪解けの跡を
裏庭に残して
ほろ苦い香り
滝壺の虹から
川底を攫って
冬の夜を埋め
高所恐怖症は
当て所のない
片道切符から
乗り合わせた
競争相手なら
生きる手立て
戦う姿勢から
ぶら下がって
もがく足裏で
着地どころを
掴むに掴めず
羽ばたく足跡
咳き込んで
破れそうな
冬の障子に
影絵のまま
全身骨組み
塗り込まれ
死の寝相を
書き換える
介護手続き
性の誇りを
吹き払えず
刷毛を探し
体壁を潜る
整体の手も
及ばぬ内奥
穴だらけの
未知の内へ
触れて外へ
泳げないのに
飛び込んだら
誰もいなくて
夏休の午後の
土手で釣果を
刻んだ釣竿に
震えるような
河川敷を抜け
葦の茂みまで
バスを降りて
漁港の突堤へ
弄る海原へと
潮目から逃れ
滑落や雪崩の
難を免れたり
峰から河口へ
新たに書込む
流域に埋もれ
やりようもなく
途絶えてしまう
不意の死の訪れ
掃除ロボットや
PCのOSならば
アップグレード
どうしようなく
もがきつづける
日々の繰り返し
使い古す老体が
向き合う介護に
悔悟や達成なく
乳胎児期を経て
屈折した青春を
埋葬できようか
伴走しようにも
ゴールなど無く
寄り添うだけに
乗り合わせた
人型のホバー
クラフト浮遊
泡立つ航跡に
見え隠れする
魚影を追って
飛び込んだら
健全と病まで
吃水が表した
鬩ぎ合う生と
死が織りなす
海図の領域へ
不安や恐れに
浮き沈みする
未決の船窓で
組み合ってる
偶然の事実と
共存する忘却
雪上散歩から
滑走するまで
雪深さを学ぶ
積雪3mでも
後ろ足交差で
兎が駈け抜け
季節と交感し
踏み込む板が
融通無碍なら
空を区切って
輝く帯が結ぶ
水平線の彼方
個の来歴から
世界の果てへ
幻想の架け橋
宇宙への階を
上り下りする
言葉の玉手箱
立春過ぎれば
キーボードの
タッチも変り
雪女が喘いだ
からだ言葉で
本音が芽吹き
雪男が齧った
あたま言葉の
建前で囲って
一夜交じりの
雪空いっぱい
蛍が舞い散り
行方知らずの
性器が出逢う
アワワ語結び
植物入力でも
変換できない
動物出力なら
降り止まない
雪空に尾長の
一筆書き飛翔
庭木を揺すり
避け損ねたら
背中で流して
積み上げたら
撒き戻らない
白黒フィルム
立位の極みで
汲上げられた
融雪水の動き
奇麗さっぱり
屋根雪一枚の
跡形も無くし
無心に羽搏く
気力のままに
立ち動けるか
夜明けの空に
貼付けられた
句読点が三羽
!マークなら
驚きの滑りの
今年の初滑り
プロならでは
試して分かる
技あり手入れ
ドローンなら
XYZ三方向を
操作しながら
飛去った跡を
GPSの受信で
追尾する方位
体内時空計を
飛び立たせて
空撮できたら
余りにも短い
接触で決まる
球技の制御に
身動きならぬ
私でない私の
動きが邪魔に
真剣に学ぼう
とする遅滞に
噛み合う歯車
今に取り戻す
技の手掛りが
遅れに隠され
瑣末を棚上げ
臍の反対側へ
回り込むまで
蹴り込まれた
無意識の輩に
打ちのめされ
記憶のなかの
尋ね人放送が
呼覚ます名前
語源を探して
近代史を畳む
怠けた手付き
縫い合わせて
着込んだ衣を
脱がせた体毛
墨の種類など
使い分けても
躰の処し方が
紙にかすれて
纏わり付いた
動きの跡にも
字体となって
書き残された
書体が手懸り
女であること
からは自由な
おばさん化や
若気の至りの
化けの皮冠る
おじさん化で
人間をやめた
ヒトでなしの
ご老体化など
面白くもない
可笑しさなど
犬も食わねど
とどのつまり
一昨日までは
受身の無分別
踏み抜いたら
無類の光さす
明後日の舞台
1月の空には
西の破れ目に
東の書き込み
多種多様なる
モグラ叩きで
穴ぼこだらけ
心が破綻して
食み出したら
危険物扱いに
1日24時間で
1年365日も
扱えない恐怖
拠ん所なくも
捨て去られた
空虚を呼吸し
見出す空地へ
動きだせれば
抜け出す力に
ご覧なさいよ
スキー日和に
腰痛だなんて
バランス板や
道のく山道で
踏み迷ったら
強張る姿勢が
揉み解されて
足裏に抜落ち
意識語りから
無意識語りへ
腑分けされて
書き込まれた
物語を編めば
身体が紡いで
本当の話など
老いの手前で
未知数の明日
冬物野菜の
高騰を染め
まな板模様
薄らいでも
七草粥なら
見分けるか
食材などの
知識を刻む
包丁の知恵
昨夜のシチューに
今日の調理パンと
通販の赤ワインで
淡い昼時を
温もらせて
綾なす食卓
明日の献立
未明の手に
滲むレシピ
言葉以前の
体内旅行が
覚束なくて
這い回って
内臓が唄う
覚えも無く
追い出され
行住坐臥に
居着くだけ
何処へでも
拡散すれば
舞い戻って
言葉を覚え
乳胎児期を
見失ったら
生涯かけて
振返れない
未踏の出自
棒読みして
見開く度に
読み尽せず
殻に戻せぬ
割れた卵の
温もりの襞
好悪に尖る
拝み取りの
抜き差しで
交叉すれば
押し広がる
生存の証が
元に戻れぬ
出生の襞を
抜き取られ
繰返す型を
衝き動かす
花心に体液
年を越した
雪融け水が
屋根を洗い
雨樋の底を
通り過ぎる
氷河の記憶
削り込まれ
巻き戻され
有無も無く
差し迫った
大股開きの
暮しの鞍部
身体に潜む
壊滅された
原生林の跡
神話の裏で
病物めいた
語りが砕く
ネット回線の
着雪を解放つ
庭先の陽射し
むき出された
ケーブルから
孵化した落雪
舞い上がった
あてどなさに
うめつくされ
一夜明ければ
滅びの先行く
軒端のつらら
埋め尽くされ
雪原に突刺す
孤独な切っ先
溶け落ちずに
弧を描く影で
遅らせるだけ