十字路で立ち話(あるいはワッツニュー)

最終更新日:2013/01/02

割り算(12.12.28)

130cmで30kgの
中2の剣士が試合で
狙うは小手か胴だけ

届かない面じゃなく
突きが使えていたら
勝率は良くなったか

L判用紙やハガキの
紙送りが駄目ならば
竹ひごでちょい突き

不調プリンターを
使い回すみたいに
ご老体での身体捌き

力まかせの動きこそ
疲労の元になるから
仕分け各部の動きを

小出しにした力なら
とりまとめるだけの
タイミングがすべて

匂い雪(12.12.25)

週末の寒い体育館で
駆け寄った女の子が
サンタを信じてるか
問いかけて走り去る

オリジナルで見直した
「三十四丁目の奇跡」に
サンタの小商い心得

久しぶりの夜の街が
眩しく老眼も忘れて
鍋を囲んだ忘年会へ

「ばなな」がユニクロの
CMで微笑むなんて
ちっとも似合わない
グローバリゼーション

昭和基地で久しぶり
降った雨はいったい
どんな匂いで濡らす

忘れた“うだわら”や
“とくまんぼう”など
雪下駄の歩き心地で
仰いだ空から匂い雪

家計簿(12.12.21)

積ん読が目立たないから
軽くて老眼にもやさしい
電子書籍端末を買ったが

手触りのない読書なんて
すてたもんじゃないけど
購買先の貧弱な電子書架

ネットで買った本やCD
そのほか購買先のログが
重複買いを防いでくれる

家計簿みたいな手帖に
老眼をしばたたかせて
書き入れる今日の入出力

費目のない〆みたいに
先月観た映画は43本
バド練習は今年で50回目
などとヨメに数え上げられ

今年最後の授業帰りの
車内で片手読書すれば
先が読めない電池切れ

雪模様(12.12.18)

散歩から帰って聴く
アナログレコードに
まじる柔らかノイズ

晴れ間を見計らって
例年の顔ぶれに加え
一人加わった縄がけ

挨拶が刷り込まれた
来年のカレンダーを
ドアノブにひっかけ

やや血の通った家族
でもないのに雪吊り
庭木を濡らすみぞれ

枝から空へと伸びる
縄目の頂きあたりで
一息ついている小鳥

雪へと変わる軌跡が
屋根に当って見事に
消えるまでが見ごろ

共倒れ(12.12.14)

初雪の風情など
通り越す寒波の
余波にくるまれ。

枝折れもなく
晴れ上がって
安堵する庭木。

枝々に積もった
重さを雪吊りで
円錐に分散させ。

五体を天空から
吊るしたような
体使いを夢見て。

冬場に音出しが
不調のAV装置に
必要な暖機運転。

体得できるまで
教えながら学ぶ
焼け石に水撒き。

雪明かり(12.12.11)

師走の序の口に
降り積もる雪で
深まる仄暗さが。

出遅れた道路の
融雪水のように
雪吊りが届かぬ。

庭の除雪初日で
痛めた腰も治り
庭木の雪落とし。

錆び付いた体も
鍛えるどころか
よく弛めないと。

わが家にしても
住み慣れるほど
修繕を積み重ね。

見知らぬ老いの
内側から探れば
違和感が頼りに。

破れ傘(12.12.07)

霙まじりの風に
糸が切れそうな
凧みたいに飛ぶ。

頭上の鳥の影が
後退するように
遠ざかる街宣車。

天井板が落ちた
トンネルの中で
声が嗄れて消え。

夜の体育館での
バド練習にまで
選挙屋が訪れる。

投票どうします
中休みの控室で
問われて答えて。

襟を立てて急ぐ
バス停の抜道に
裏返る傘の補修。

括弧(12.12.04)

背戸の雪囲いの
柱が短くなって
石や瓦をかませ。

体を括弧にして
問いを括ったら
はみ出す問いが。

田んぼを買って
砂利や土を入れ
間をおいたのに。

庭土が痩せたか
樹木が衰えたか
流れ去った盛土。

はめ込む枠板に
はめ込みにくい
反りやヒビなど。

屋根や外装など
修繕で持たせた
家屋に空き部屋。

溶ける魚(12.11.30)

魚の種類の数を
国内自死者数で
泳がせてみたら。

身を切るような
ターンの仕方で
腕を振り抜ける。

受け身ばかりで
息苦しくなると
浮き身ができる。

向うと内からの
出会いで生じた
気が機となって。

体軸と切結んだ
挨拶ができれば
絶妙の出入りに。

老練海女が海で
人知れず数えて
繰り返す素潜り。

稽古(12.11.27)

陽当たりは紅く
日陰はより橙に
時雨が染上げて。

日毎に違う輪の
響きが共鳴する
井戸水の温もり。

数百本も棄てた
録画テープから
取残された映画。

見忘れた枝葉が
無心に腕を降り
弧を描くように。

打ち放されては
見つけた古巣に
帰り着くように。

無駄骨ばかりが
師を探し当てる
手前で費やされ。

人質(12.11.23)

朝方の障子に
ヤモリの手足が
くっきり透けて。

教室に質問力が
芽生えるまでは
木瓜が狂い咲き。

写真がよすぎて
とりとめのない
映画の独りごと。

心のありようを
推し量るような
北陸の空模様に。

冥想の手つきが
雲間に割り込む
凧糸を繰り出し。

貝殻のひと時が
体内に羽搏けば
しばし人質解放。

落葉前線(12.11.20)

木々の落葉が
幹を露にする
老いの立ち姿。

饒舌は横向き
沈黙は縦向き
彼方の茂みへ。

上り下りから
未知の果てへ
辿り終えたか。

聞慣れた耳に
新しい音楽は
届かぬままに。

年賀状よりも
手帖と日記に
書きなぐって。

黙した手形で
白紙に挿んだ
栞で開いた頁。

猟師(12.11.16)

真っ白に輝く
ハンチングを
冠った像の夢。

連夜の雷鳴に
追い出された
時雨の中休み。

窓に映り込む
新酒ワインの
今年の味わい。

冬着の在処も
仕舞い忘れて
髭も剃り落し。

輪になっても
背を向けても
銃弾を打抜き。

留守電に入る
受取り不明の
鳴り響く傷跡。

  • 英国内の図書館における目録データ遡及入力の状況についてRLUKがレポートを公表(カレントアウェアネス・ポータル) http://current.ndl.go.jp/node/22308
  • 国内の公共図書館における電子書籍サービスの動向(プレゼン資料)(ささくれ http://cheb.hatenablog.com/entry/2012/11/12/225625
  • 信州・おぶせまちじゅう図書館 http://machitoshoterrasow.com/obusedori.html
  • 学びて時にこれを習う(5)藩校文庫とその行方(みちくさのみち) http://d.hatena.ne.jp/negadaikon/20121112/1352728953
  • 京都学派アーカイブ http://kyoto-gakuha.info/index.html
  • 企画展示「日本と西洋?イメージの交差」の出展資料一覧を掲載しました。(国立国会図書館) http://www.ndl.go.jp/jp/event/exhibitions/1196027_1376.html
  • 一度は行ってみたい人気上昇中の世界の観光都市トップ10(GIGAZINE) http://gigazine.net/news/20121115-destinations-top-10/
  • E1359 - 情報行動に関する若手社会人と雇用者の認識のズレとは?(カレントアウェアネス-E No.226) http://current.ndl.go.jp/e1359
  • 【小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」〜世間に転がる意味不明】人はなぜグラサンで強気になるのか(日経ビジネス オンライン) http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20121115/239490/?mlt
  • 隠れ蓑(12.11.13)

    街中に下りて
    佇む紅葉から
    逃げ帰る冥想。

    三日坊主でも
    間引きされた
    日常性の滞り。

    昆虫や小鳥も
    寄り付かない
    庭で開く図鑑。

    本の病だなど
    どの手と目で
    聞き分けたか。

    撮り溜めても
    手製の画像の
    あてどなさに。

    今日の天気も
    昨日の体内の
    予報に崩され。

    秋の拳(12.11.09)

    名残も跡形も
    残さないのが
    今どきの学祭。

    2ヵ月の練習で
    4ヵ月に15回の
    ラウンドを闘う。

    1回こっきりで
    相手が入れ替る
    リングで向合う。

    行き届きすぎた
    中等教育の影で
    見えない間合い。

    セコンドもなく
    観客一人いない
    パフォーマンス。

    ジャブも届かず
    フットワークで
    探すカウンター。

    雲間から(12.11.06)

    這い上がって
    網戸の真中で
    動かない蝸牛。

    荒れ模様でも
    へばりついて
    生死も分らぬ。

    午後の晴間に
    冠雪の山裾の
    紅葉が途切れ。

    県内河川流域を
    Googleマップで
    なぞる空模様に。

    自転車走行で
    試すみたいに
    頁を行き戻る。

    村松昭が描く
    俯瞰絵本で見る
    「たまがわ」流域。

    吹き溜り(12.11.02)

    陽が射す窓側に
    吸い寄せられる
    秋の女体の深み。

    刈り込みすぎた
    街路樹の末路に
    哀れな掃き溜め。

    衣服を脱ぎ捨て
    街中の水族館で
    泳いでみないか。

    不揃いの水槽に
    規格品の魚しか
    泳げないなんて。

    目を閉じたまま
    ばたつく手足で
    触れる彼方まで。

    響きを嗅ぎ分け
    傍だてる何かを
    聞分けるように。

    枯葉そよぎ(12.10.30)

    右半分が禿げる
    夢見で目覚めて
    気づく冷込みに。

    鳴声からそれと
    聞き分けられる
    小鳥の所在なさ。

    真面目な装いを
    消極的な選択で
    裏張りするのは。

    読みとどまらせ
    想いを釘付ける
    ビラ一枚の行方。

    授業に出るより
    いい事があれば
    病欠などないさ。

    虫食いだらけの
    葉っぱの隙間に
    羽搏く鳥の声が。

  • Kindleで購入した電子書籍は、実はユーザーのものではない(WIRED.jp) http://wired.jp/2012/10/25/amazons-remote-wipe-of-customers-kindle-highlights-perils-of-drm/
  • CSS組版ブログーーEPUBやCSSと日本語レイアウト、XML組版、AH Formatterについて http://blog.antenna.co.jp/CSSPage/
  • [図書館][筑波大学][エレクトリック]Klis Radioを聞いて図書館系勉強会に行こう!(かたつむりは電子図書館の夢をみるか) http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20121028/1351421903
  • 委員会パワー(Ojinsky's Kiteland) http://matz-hitmatz.blogspot.jp/2012/10/blog-post_28.html
  • 「豆腐825円」「初鰹8万5800円」ーー江戸時代の物価早見表が面白い(ねとらぼ) http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1210/25/news108.html
  • スイスの美術館 「トラディショナルアート」をこぞって収集(swissinfo) http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=33779626
  • 【小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」〜世間に転がる意味不明】物言いは“すべからく”上品に(日経ビジネス オンライン) http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20121025/238594/?mlt
  • 《松浦晋也「人と技術と情報の界面を探る」》原子力発電を考える(第14回)電力事業の歴史を追う??発電事始めからアトム・フォー・ピースまで(PC Online) http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20121025/1068262/?set=ml
  • 近道(12.10.26)

    一夜の雨上がり
    初冠雪の山並を
    下る紅葉の吐息。

    午後の日差しが
    鶏頭を吹き撫で
    裏道に影を運ぶ。

    バス停を間引き
    誰か聞漏らした
    秋の管制官の声。

    老女教師は疲れ
    駐車場の学生は
    行先を決めかね。

    シャッフルした
    朝晩の冷込みに
    着込む冬の産声。

    陽が陰るまでに
    今日の停車場の
    待合室で一人旅。

    愉しい兜虫(12.10.23)

    再生音と椅子の
    居心地の悪さに
    躊躇した2回目。

    再生装置も良く
    ゲストの演奏が
    音楽談義の目玉。

    ギター1本での
    ビートルズ魂が
    CD3枚に溢れ。

    昨夜来の雨風が
    静まりかえって
    忘れたなにかを。

    耳が届きにくい
    暮らしの隅々で
    聞漏らした音を。

    Sgt. Tsugei's
    Only One Club
    Bandが甦らせ。

    街を編む(12.10.19)

    遠出した宿に
    ラジオは無く
    TVとLANが。

    横糸で編んだ
    大阪を素通り
    縦糸の街歩き。

    元気なころの
    お袋が旅した
    京都に別れを。

    渡る神通川に
    散弾銃でも余る
    鳶の群れが舞う。

    隊列を組んだ
    椋鳥の止り木
    みたいな街並。

    向い風に乗る
    アキアカネの
    余力の向うへ。

    秋ぶら散策(12.10.16)

    姫路城改修見学に
    兎角上から目線で
    見たがる風潮など。

    彫り物を見上げて
    さて縁の下ならぬ
    屋根の下の力持ち。

    左甚五郎の力士が
    待ちかまえていた
    書冩山圓教寺歩き。

    研修同期30年来の
    数少ない同窓会に
    お別れして京都へ。

    街中登場水族館は
    イルカ芸の未熟も
    好感度を高めてた。

    三月書房が並べる
    書棚を読眺めたら
    漫画博物館で休憩。

    仕舞った(12.10.12)

    ドスンと響いた
    まだ明けやらぬ
    縁側のあたりで。

    残暑を抜け出た
    伝書鳩のような
    訃報がぶつかる。

    老い猫が病んだ
    後を追いかけて
    初秋の棲家まで。

    木犀が匂い始め
    老妻はひたすら
    句を書き残して。

    去り難きを肩の
    冷えのごとくに
    娘二人に読ませ。

    詩人の後を追い
    天井の星を祭る
    秋燕となったか。

    速贄(12.10.09)

    鉢植えに水やり
    東西の窓を開け
    家に風を通せば。

    屋根の結露消え
    百舌が狙い定め
    電線から急降下。

    書捨て通信文に
    人違いのような
    自分の忘れ姿が。

    曲がり消えたか
    見えなくなった
    消息が一人芝居。

    不義理が植わり
    放棄を肥やしに
    齟齬の蔓が絡む。

    追いかけ曲がる
    角から飛び立つ
    鳥の声も聞えず。

    天気雨(12.10.05)

    秋雲の影が撫でる
    バス停で見かけた
    老女にスルーされ。

    和図書の整理など
    仕事の手ほどきや
    土曜の午後の映画。

    駅前映画館で「豚と
    軍艦」を奢られて
    もう半世紀以上に。

    人違いでも他人の
    そら似でもいいが
    思いがけぬ出会い。

    挨拶など交わせず
    バスを降りられた
    後姿に確信が揺れ。

    2ヵ月ぶりに入る
    講義棟は女が匂い
    秋の陽射しに雨も。

    抜け筏(12.10.02)

    庭木の葉陰から
    蝶が羽ばたいた
    起源に川の流れ。

    雲間に渡された
    稜線の割れ目で
    跨ぐ源流あたり。

    橋桁が見下ろす
    架橋されたいま
    ここの流れだけ。

    左岸を河口まで
    自転車を走らせ
    右岸を上る帰路。

    沢歩きに川沿い
    ドライブ疾走に
    峡谷鉄道の眺め。

    拾い集めつなぎ
    合わせただけが
    流れのすべてか。

    島の宗教(12.09.28)

    秋の陽射しを滑る
    番のトンボの羽が
    光り輝く空の高さ。

    近づく台風予報の
    予測進路を裏返す
    逆さま日本近海図。

    尖閣諸島や竹島の
    領土問題は中国や
    韓国との主権争い?

    スイートスポットは
    ラケット打面に無く
    ゲームコート空間に。

    静観している米国は
    国家という衣で包む
    宗教戦争と見なすか。

    身体が捌ける空間に
    くまなく準備された
    有効打撃面を使って。

    首ったけ(12.09.25)

    傾いた陽射しに
    窓際のソーラー
    サイクルが黙り。

    秋分の日を界に
    寒暖バランスが
    逆転したみたい。

    卯月妙子が描く
    「人間仮免中」の
    読後に過換気が。

    異常と正常など
    境界領域を分つ
    首ったけボビー。

    イエスの方舟の
    消息を知らない
    千石イエスの姿。

    接して漏らさず
    夢の中の恋人と
    ひもとく養生訓。

    破れ網戸(12.09.21)

    夏から秋への
    変わり目など
    見失ったかな。

    季節を詠えず
    暮らしを壊す
    力が過ぎるか。

    饒舌と寡黙の
    露出が際立ち
    読解が彷徨う。

    試行が思考の
    ペダルを踏む
    流域サイクル。

    唄えなくとも
    弾けなくとも
    音楽は愉しい。

    釣り止めても
    捕えたら放し
    どこまで深く。

    手の流域(12.09.18)

    鮭漁の網で鰤が
    引き揚げられる
    立秋間近な北洋。

    考える魚の海が
    残暑で興奮して
    浮かぶ漁船の舵。

    勝ち負けだけに
    囚われて試合に
    興奮してしまう。

    受け身の身体を
    沈め力を抜いて
    試合で考え続け。

    でこぼこペアが
    猛暑の体育館で
    いち枚の切符を。

    目的化しきれず
    意識化できない
    息心地の破れ目。

    手ほどき(12.09.14)

    日が短くなったら
    サングラスに帽子
    忘れた残暑の夕暮。

    散歩の足で覗いた
    ネタ魚も握り手も
    夏バテしたみたい。

    付き添ってへばり
    そうな体育館でも
    子どもらは元気だ。

    真夏日や猛暑日が
    あたりまえの夏に
    生まれ育ったから。

    床にまであふれた
    本などを整理して
    処分できない取説。

    滅多に出かけない
    シャッター銀座で
    活躍する四十代が。

    苔の閲歴(12.09.11)

    刈取り終えた田で
    夜来の雨が9月の
    猛暑も刈取ったか。

    庭木の剪定作業の
    残り屑も洗い流し
    草ひとつない庭土。

    老果てる手前まで
    雑草を生やさない
    母の手になる苔は。

    下をはじめとした
    介護で分断される
    暮らしから別れて。

    庭に苔も生えない
    二人暮らしになり
    草も庭師に刈らせ。

    刈り込まれ過ぎて
    久しく花を見ない
    紫陽花を辿る書誌。

    庭の間尺(12.09.07)

    遠い山肌とは違い
    屋根の上は素足が
    熱くて顔も火照る。

    剪定ついでに草も
    刈り込んだ庭師の
    手並みを広角撮影。

    木の太さと間隔も
    田舎の庭を間引き
    移植して40年越し。

    祖父に連れられて
    作業の手伝いなど
    山道も忘れ去った。

    庭を見て思う山の
    南斜面の杉の間を
    すり抜ける陽射し。

    自転車跨ぎ庭先で
    森林と海をつなぐ
    川の流域を走った。

    囲炉裏話(12.09.04)

    群れなすことない
    赤とんぼが窓際で
    羽を休めるように。

    過ごし易い暑さに
    戸惑ったみたいな
    不調が吹き過ぎて。

    漁解禁前に食べた
    カニのように網に
    かかることもなく。

    作業がきつい頃の
    祖父と不耕起冬期
    湛水農法はどうか。

    思いもよらぬ話が
    出来たりしてたら
    どんな三反百姓に。

    堆肥や土作りなど
    習い覚えた結目も
    消えて元に戻せぬ。

    庭枯れ(12.08.31)

    半月ぶりの雷雨なら
    枯れそうな庭の木を
    叩き起こしてくれよ。

    古木や老木の見分け
    つかずの夕暮れには
    薮蚊を避けて水やり。

    枯れてしまった葉に
    まだ生きている葉が
    混じる枝や幹が濡れ。

    庭師が切倒しそうで
    なんとなく待たせて
    数年で持直した木も。

    生き死になど法律で
    縛ろうなんて誰かの
    夏休みの宿題なのか。

    いのちはずかしとも
    “荘厳なる死”が弔う
    唄声にかき消されて。

  • 読者も出版社も喜ぶ「最適解」――林信行が語るiOS版「電子書籍 GALAPAGOS」のインパクト(ITmedia eBook USER) http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1208/30/news002.html
  • 博物図譜とデジタルアーカイブ V(武蔵野美術大学 美術館) http://mauml.musabi.ac.jp/museum/archives/1459
  • クリエイティブコモンズのInstagram画像を検索するサービスが一夜にしてできるまで(ライフハッカー[日本版] ) http://www.lifehacker.jp/2012/08/120828find_i_am_cc.html
  • 中二病の発症年齢は14〜18歳、さらに中二病の症例を6つに分類、そして中二ポーズを表現するための分析と理論、その実践について(GIGAZINE) http://gigazine.net/news/20120824-god-eater-chuu2-cedec2012/
  • Europeana(オンラインで読もう:google booksだけじゃない)(外大生におすすめのサイト) http://www.tufs.ac.jp/blog/is/g/mono/2012/08/europeanagoogle-books.html
  • AWSのアーカイブサービスGlacier、記憶媒体はテープ?(@IT) http://www.atmarkit.co.jp/news/201208/24/aws.html
  • The ProQuest(R) Graduate Education Program(図書館情報学関連分野の教員・大学院生にデータベース等への無料アクセスを提供するプログラムを開始) http://proquest.com/en-US/aboutus/advocacy/gep.shtml
  • Webコピーは削りすぎくらいがちょうどいい。検索エンジンのようなWeb読者は「要点+箇条書き」で攻めよう(MarkeZine[マーケジン]) http://markezine.jp/article/detail/16117
  • 2万発の花火が夜空を彩る秋田大曲の「全国花火競技大会」フォト&ムービーレポート(GIGAZINE) http://gigazine.net/news/20120826-oomagari-fireworks-night/
  • 違法ダウンロードに刑事罰、DVDリッピングも違法へ(PC Online) http://pc.nikkeibp.co.jp/article/trend/20120807/1058942/?set=ml
  • 【小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ?世間に転がる意味不明】スッキリ!する話に潜む毒(日経ビジネス オンライン) http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20120830/236185/?mlt
  • 夏の書誌(12.08.28)

    火傷した郵便受けを
    感知したかのように
    揚羽蝶がギクシャク。

    食荒らされ抜け殻の
    葉脈を繋ぎ合わせた
    書物を解体する手腕。

    1945年8月15日に
    魚津で迎えた夏日を
    書き綴った書誌便り。

    30歳代を経てからも
    80歳代の講演にまで
    夏の沈黙を問い続け。

    亜熱帯みたいな夏に
    生まれた子どもらは
    あの夏の暑さ知らず。

    軍国青年が称名へと
    辿った路線ルートが
    まだはっきりしない。

    絵日記(12.08.24)

    海辺の暮らしで日焼け
    した肌に書き込まれた
    切断も読めない先行き。

    縁遠い孫娘の夏休みの
    工作やロボット遊びに
    快適おまかせ空調機が。

    どこを探しても猛暑の
    日記なんて書いてない
    実家で過ごした夏休み。

    戦中生まれの幼少から
    青春そして壮年を経て
    老年へと社会が移ろう。

    テレビの暑さ報道など
    寝苦しさの手本が書く
    狂った体感の残暑見舞。

    違和と背中を合わせて
    波長が響き合う街並に
    書き込まれた栄枯盛衰。

    無駄飛脚(12.08.21)

    週末の街中で目立った
    “とやコン”Tシャツは
    ステキどころかカテキ。

    思春期の出会いだから
    合わせすぎることなく
    一生を棒に振ることも。

    60年代英国音楽事情を
    日本在住英国人二人の
    夏の夜の音楽談義にて。

    パイプ椅子の居心地に
    差引かれてあまりある
    またとない楽しみ方が。

    今の日本に一番必要な
    レボリューション譜で
    〆たプレイリストから。

    サイン本やDVDを求め
    ロビーでの聴衆の列や
    ロンドンでの暴動まで。

    乗り換え日和(12.08.17)

    バスとJRとタクシーの
    乗継ぎ往復墓参りだが
    昼までに帰宅は初めて。

    二人ともにやることと
    なすことがもたついて
    当たり前みたいなのに。

    2コマ続きの授業でも
    あいだの10分の休憩が
    どうにも使い物にならず。

    履修生のほぼ半分から
    課題がレポートされず
    時間講師も失格みたい。

    カメラを意識させない
    映画やコマ割りを感じ
    させないマンガの良さ。

    身体とその運動などは
    つなぎがぎこちなくて
    コマ落としになりがち。

    お盆便り(12.08.14)

    墓の掃除なども
    しておいたよと
    娘からの電話が。

    ご無沙汰してる
    甥からメールで
    残暑見舞いなど。

    先送り見合わせ
    消費増税法案が
    成立したばかり。

    米びつの中味は
    生産者から直に
    買い取ることも。

    知人からもらう
    夏野菜ときたら
    市場商品に優る。

    いくらなんでも
    自転車で獲りに
    行けそうもない。

    縁側交錯(12.08.10)

    か細い蝉の声に
    不発の夏が沈み
    葉裏で虫が交尾。

    採集の当てなく
    いち早く半袖と
    短パンに着替え。

    虫喰いだらけの
    葉脈で交錯する
    差異の時空間へ。

    宇宙の果てから
    狭い庭を探して
    薮蚊の針の尖で。

    データが増えた
    デジカメ画像を
    捌くプログラム。

    隠れ位置情報を
    読み取る庭木に
    鳥の声が止まる。

    炎天望遠(12.08.07)

    地鉄沿線に佇む
    真夏日の午後の
    廃屋姿の無人駅。

    公演会場はどこ
    ポケットナビが
    導く日傘のヨメ。

    墓参りに歩いた
    夏の裏山道への
    序の口みたいに。

    アンコール曲の
    短いブルースに
    夏のエピソード。

    吉本青年が泳ぐ
    敗戦の海辺から
    八月の岸辺まで。

    本の山裾を辿り
    ねずみホテルの
    炉端の夜が明け。

    夏枯れ(12.08.03)

    冬場に傷ついた
    月桂樹が猛暑を
    越えられないか。

    熱気冷めやらぬ
    夕方の庭木への
    井戸水撒き空し。

    失格ペア続出し
    バドミントンで
    無気力試合とか。

    青旗が白旗へと
    ロンドン五輪で
    柔道の勝敗捌き。

    コスパを追求め
    やせ衰えてきた
    成果の体落とし。

    海や山から遠く
    涼を求めながら
    隣街のライブへ。

    無言旋回(12.07.31)

    暑さをかき混ぜる
    ヘリコプター音に
    夏山遭難救助の影。

    前期末授業を終え
    学生が出しそびれ
    未読レポートの山。

    元司書時間講師も
    勤めたことのない
    学生も図書館音痴。

    本が好きだからと
    最低賃金の年収で
    持ち堪えられるか。

    わけわからなさに
    賭けてみせようか
    食い違う音痴ぶり。

    未読の夏を読切る
    冊子の欠落を補う
    郵便受け内の無言。

    迷走譜(12.07.27)

    暑い庭先に出れば
    虫食い葉に群がる
    番の昆虫の忙しさ。

    数年前に交代した
    真新しい政権への
    期待感も枯れ果て。

    遅延発車してから
    蛇行運転のあげく
    市バスを乗り捨て。

    日本丸の船頭らも
    市内バス運転手の
    似顔絵の額の中に。

    期末最後の演習で
    ネット障害になり
    戸惑う教室の乱れ。

    高値の鰻の後追う
    穴子を素通りして
    土用の丑に鱧など。

    夏の挿話(12.07.24)

    朝のオスプレイ報道に
    イチロー移籍の文字が
    割って入った数時間後。

    マリナーズで輝いた
    12年間を脱ぎ換えて
    ヤンキースの右翼に。

    一瞬の脱皮姿を庭で
    見かけること少なく
    若葉は繁り蝶影なし。

    草むしりから撤退し
    介護保険や税金など
    むしられっぱなしに。

    葉が食い荒らされた
    枝を見つけ殺虫剤を
    吹きかけても届かず。

    肩の痛みも消え去り
    左右とも腕を高々と
    挙げられただけだが。

    接続毛虫(12.07.20)

    人も車も間遠になる
    照り返しに割り込む
    紙切れが舞い下りる。

    ヘタウマな句読点で
    区切られた文体には
    デモもシカシもない。

    梅雨明けに飾られた
    スポーツカーを眺め
    今日の乗り換え先へ。

    夏期学会人で満杯の
    街空高く北方気団が
    南方気団とぶつかり。

    寒暖2枚の揚羽蝶が
    鉢植えにへばりつき
    花の文脈を読み上げ。

    路線バスに乗り込む
    妊婦がお腹をさすり
    遮断機の開閉を待つ。

    夏人形(12.07.17)

    庭の雑草をよそ目に
    屋内でじっと過ごす
    猛暑日の掴みどころ。

    挙足取りに明け暮れ
    触ることも忘れ去り
    垂流しの思わせぶり。

    手触りだけが残って
    閉鎖されたサイトの
    写真の置き所が失せ。

    撮り損なわないよう
    既にある大切な事を
    掴み損なってばかり。

    節電の夏が近づいて
    窓を開け閉めしても
    隣人は見えにくいが。

    共有できそうでいて
    身近すぎて掴めない
    からくりが仕込まれ。

    梅雨に唄えば(12.07.13)

    模型飛行機と見まがう
    真上の鷺の羽搏きから
    梅雨空が透けて見える。

    額紫陽花に不時着した
    行方不明の涙のように
    脱ぎすてられた燕尾服。

    J.カサベテスの映画の
    まとわりついて離れぬ
    息遣いから下車したら。

    横へやってきて小声で
    尋ねられた質問に答え
    真向かいの小物を忘れ。

    動脈と静脈の分岐点で
    J.ガルシアの手が紡ぐ
    文体の間で気付いたが。

    雨に舞い飛ぶ蝶の絵が
    撮れないからといって
    図鑑のページで肩代り。

    高嶺の花(12.07.10)

    草むしりも暑さ負けの
    庭に草花を先延ばして
    仏壇の花が途切れがち。

    映画の邪魔になってる
    横線入り液晶テレビの
    修理代より安い投影機。

    なんで二の足を踏むか
    映像や音のケーブルの
    繋ぎ換えが面倒だから。

    PCで眺めるだけだが
    撮り溜め写真の中には
    印刷したいのもあって。

    過換気体質が抜けても
    暑くなるほどに少しの
    運動で息切れしがちに。

    日々の愉しみを数えて
    予想外の心身の齟齬に
    出会ったりする時節に。

    余人知らず(12.07.06)

    路線バス窓外を急ぐ
    自転車乗りになんと
    無帽の人が多いこと。

    顔の擦り傷の角度で
    ヘルメット着用なら
    あるいは防げたのに。

    教室で質問してくる
    学生のほとんどだが
    教科書なんか読まず。

    吉本追悼特集雑誌の
    書誌事項を採集して
    掲載文は見残しがち。

    猫々堂主人の数頁が
    まるで弔辞のように
    響き渡るではないか。

    深く遠い御霊前には
    宿沢氏の著書年表が
    吉本アーカイブズへ。

    素足往来(12.07.03)

    近所で梅の実が落ち
    物置の屋根に当って
    よそ見する聞き耳に。

    湯上りを待つ枝豆と
    ビールのように響く
    遠い天日干しの夏が。

    ヨメの顔の擦り傷も
    7月のカレンダーを
    捲ったみたいに治る。

    蒲団からハミ出した
    手足が畳に涼を求め
    夜具は薄物に替わり。

    晴れ間に風を通した
    廊下や縁側や階段は
    素足でストレッチを。

    草臥れてきた皮膚で
    仕切られた自然から
    自由自在な行き来へ。


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