十字路で立ち話(あるいはワッツニュー)

最終更新日:2009/01/02

暮れ方に響く(08.12.30)

天井や壁の埃や蜘蛛の巣を払い
お鏡を供えたりしめ飾りを吊るし
それでもやっぱりいつもの取り残し。

手にしたり目についた物をついつい
見聞きしてしまうからいつも先送り
暮れの片付けを持ち越すひと部屋も。

鯖も鰤もカブラ寿司が美味くなり
年末特番の懐かしの歌謡番組を耳に
ひと風呂浴びてしまうようなもの。

映画館で「おくりびと」を観てないが
さそうあきらのコミックで読んだからか
野焼きで棺から起き上がった驚きの人影。

図書館が休館中で書店へ新刊探しに
街中へ出かけて眺めたエコリンクに
賑わいとざわめきが滑る広場の響き。

中沢新一『鳥の仏教』が掌に温かく
気温が下がってきた電線に群がった
鳥団子の囁きに耳をそばだてる歳末。

言葉にならない(08.12.26)

一昨日で校下のバド・クラブも
短大の授業も冬休みと思いきや
中学女子バド部活は年末年始も。

練習メニューの合間の休憩中に
コートサイドでうずくまる部員の
手元をのぞいたら年賀状の追い込み。

いまある手応えではわかりようもない
上達した感触を自分の中の他人が先取る
俯瞰視線と交叉するところへ届きますように。

どうしようもなくひどい家庭育ちの
悪夢から覚めたらもっときびしい現実が
待ち構えていたりした中学生の姿は遠くへ。

小学生のとき観た「オズの魔法使い」に
中学生になって観た「サムソンとデリラ」に
最近になって観たI.ベルイマンの「蛇の卵」も。

綱渡り芸人が呼吸する命の糸を渡れるか
いつも時代はおあつらえ向きじゃなく
とっておき待ち受け画面は映画的時空に。

壊れたテレビ(08.12.23)

昨日の荒れ模様が静まり返って
うっすら雪化粧した朝の屋根を
鴉の群れの影が横切る禍々しさ。

どうにか学期をやり過ごした一服か
帰宅組の学生服とすれちがった夕暮れ
くわえ煙草が様にならない通学路。

経営難で募集停止に追い込まれた
企業経営を教えるLCA大学院大の
学長が中教審の会長だったなんて。

叩き付ける雨風にビニール傘が
壊れても離さないタバコ火が濡れ
煙に巻かれる学びそして働くこと。

退職時の餞別を当面の生活費に
退職金を食いつぶしながら借金も
蓄えもない歳末を抜けて年金暮らし。

とうとう壊れたアナログテレビを
デジタルに買い替えたら大掃除も
済ませていないリビングが明るく。

読み違い(08.12.19)

窓の向こうで山並みが銀紙細工に
放射冷却された朝空に聳え立って
無償に意味を抜かれていく週末。

100万部売ったベストセラー作家が
さぞモテるだろうと合コンに出かけ
誰1人読んでくれていなかったとか。

テレビの時間枠とか新聞紙面の字数に
収まりきらないところで売れてからや
モテたあとの物語がどうなっているの。

ペットが亡くなった喪中挨拶状が
出回るくらい人と人との関わりに
飢えているか満足しきっていそう。

今年のロボット大賞になったみたい
買い慣れた二足歩行ロボットで戯れ
意思にも力みにも頼らない動きに。

相手がいて自分がいる関わり具合に
遠く自分から離れて眺める第三者が
加わる三角関係に追い込まれる余地が。

雑談@体育館(08.12.16)

先週末は生憎の空模様で流星群や
満月を眺めたりするような散歩も
やれなかったり何となく閉塞感が。

昨日は寝起きの西空に朝立ちの月影が
今朝は地表の熱気が天空に抜けきって
東の空に処女雪の山肌が聳え立ったり。

肌寒い夕方の中学校の体育館での部活なども
まずコートの内外をめぐるシャトル置きから
フットワークなど手や足による了解と働きかけ。

進路をめぐる三者面談が気になる年頃に
伸び盛りの手や足で道具の使い方を覚え
関係づけられる領域を確かめる歩き方に。

肚を異性に頭を自分に胸を社会に開き
手と足で消費と生産を繰り返す身体性を
拡張し続ける触覚や嗅覚から聴覚や視線が。

狭苦しい言葉や行為を裏打ちしている
沈黙を読み込んだ言葉に出会えるよう
見聞きし読んで身体作りトレーニング。

枯れ葉カラカラ(08.12.12)

遠くでは稲光と雷鳴が近づく雨の印し
どこからかパフユームが響いてきて
夕暮れのキャンパスに落ち葉が舞う。

名前も忘れかけたひとりのSEの面影が
教卓に向かう前の時間つぶしに座った昼時
閲覧室で見かけた見覚えのある後ろ姿よ。

システム更新作業真っ最中の彼が唖然とし
まさか学生相手に図書館システムの話など
当方の思いもよらない成り行きにびっくり。

午後の授業2コマをこなして話し疲れ
駅前の今年の夏に開館した図書館で寛ぎ
待ち合わせたヨメとクラブの忘年会の場へ。

聞けば酒場を開店して6年目を迎えた
六十代半ばのご主人のもてなしぶりで
久しぶり酒を酌み交わす愉しみが溢れ。

にじり寄る子育て働き盛りの中年クラブ員も
老後をどう毎日楽しく食いつぶせるかなんて
答えられる生活設計など持ち合わせていない。

越冬縄結び(08.12.09)

スキーショップに板を引き取りに行けたが
昨日の晴れ間にやってきた庭師が仕上げた
雪吊りの結び目に枝折れしない冬の約束事。

グローブを交えるなんて予想もしなかった
デラホーヤとパッキャオの対戦中継を観て
日曜は雪囲い作業をほったらかし先延ばし。

屋根の雪下ろしどころか雪折れするほどの
積雪予想もできないのに今年も庭の冬支度など
半端じゃなかった豪雪被害の後遺症とも違うな。

先細る暮らし向きの年中行事のひとつか
何かが足されたり引かれたりするでもなく
なんとはなし一年の落とし所を繋ぎ止めて。

最年少一億円ゴルフプレイヤーの物腰も
敬語が使えないボクシング三兄弟があって
ますます際立つようなテレビ的映像バランス。

どんな場面に立たされても今が一番と言い切れるか
“生きてるだけで丸儲け”のベテランお笑いタレントや
“生まれてきたこと”が一番嬉しい幼いタレント映像も。

やじろべえ(08.12.05)

デジカメで撮り損なった朝焼けが
瞬く間にかき消されて雷雨模様に
街路樹の紅葉も電飾に切り替わる。

あれはいったい何のニコちゃんマーク
火曜(12/2)の南西の空に懸かった
半月に乗っかる金星と木星の輝きに見とれ。

同じ頃に買い物帰りのヨメには半月の下に
二つの星がぶら下がって見えたようだなんて
北半球と南半球に別れて眺めたようなことを。

家に帰ったら昭和歌謡をはじめ61曲を
歌いあげた桑田佳祐ひとり紅白歌合戦の
テレビ中継のステージではじけた笑顔が。

“ジュリー”が還暦になって東京ドーム公演で
80曲を6時間かけて歌いきったそうだが
日常を折り返す祝祭の響きが伝わってきそう。

週半ばに落ちこぼれそうになった体調の晩も
紅葉列島を飛んだ多胡エアフォトグラファーの
NHKハイビジョン特集で食も進んだみたいに。

新婚もどき(08.12.02)

ひょいとカレンダーをめくればもう
立山連峰が霜月の雲深く錦繍を畳み
暮れる冬化粧の陰影を際立たせて。

はじめての死の感触が今だに手のひらに
なぜか隣家の暖かい火燵に横たわっていた
幼い頃の遊び友達だった女の子の冷たさ。

体育館でスポ少の小学生や部活の中学生らが
そして教室では学生らもその時々の旬の姿で
過ぎ来し方も行く末もわからない沈黙を刻み。

おふくろは80歳も半ばを過ぎてしまえば
何か食べたくなったら食事時になったり
寝たくなったらもう夜という沈黙に紛れ。

在るがままその時々の無意識に流され
怒ったり声を荒げて指導なんかしたがり
ああしろこうしろだなんてお節介焼き。

リタイアしてはじめて後払いされたみたい
遅れてやってきた新婚時間なども平穏無事に
山場の一つや二つ越えてゆければ儲けもの。

それにしても(08.11.28)

普段は滅多に見かけない小鳥などが
天候が崩れる下り坂を見計らったように
いろんな群れに紛れあたりを飛び交う。

晴れ間に庭の草をむしり落ち葉を集め
続けて家の中の階段を上がり下り掃除など
やったはよいがシャワーの後にどっと疲れが。

心身をめぐり調べながら齢を経るには
身の回りから遥か遠く見えない彼方へ
それぞれ辿るべき段階の踏み場が頼り。

物語が紡げない現状から場当たり的に
やるしかないにしても探し物をいきなり
国会図書館で始め事後の出頭が警視庁とは。

水道も電気もネットも断ち切ったり
家財を処分し部屋を空っぽにしても
どこまで即身成仏の筋道が辿れよう。

あたりまえだったことがそうでもない
加齢にともなう衰えに段階なんかなく
ある日突然にやってくるようなものか。

名残り人(08.11.25)

水はけの良くない小学校の運動場脇の
薄汚いプールに飛来した鴨が戯れるように
連休三日とも薄ら寒い体育館に出かけた。

この秋に届いた小学校や中学校の同級会の
お誘いをいつものごとく辞退していたのに
送られてきた参加者の顔ぶれ写真に戸惑う。

見れば見るほど誰が誰やらさっぱり
おふくろより若い恩師の面影もぼんやり
半世紀を遡るレールの向こうが途切れて。

おそらくどこかで出会っても気づくことなく
行き違って赤の他人に紛れるしかなかろうに
同封されてきた当時の復刻文集の名前に覚えが。

ガリ版印刷されたページをめくり返し見れば
雑書きや詩文や寄書きからこぼれ落ちた風景が
日光写真のようにあぶり出されてきたりする。

雇い止めを食らった元仕事仲間が経営者に
転身したその後の順調な姿で訪ねてくれたり
誰彼なく生と死がブレンドされた日常に新酒を。

寝床替え(08.11.21)

“めっきり”を通り越すように寒く冷え込んで
初雪の昨日なんか昼に出かけたキャンパスでは
午前中は交通渋滞で開始を繰り下げた短縮授業に。

通常時間に戻ったコンピュータ教室の窓側天井で
点滅したり切れたままの蛍光灯がまだそのままの
寒々とした光景にお喋りが引きずられなかったか。

内側が傷んだウェストポーチを新調したばかり
週末三連休にデジカメ詰めてサイクリングなんて
暖冬予想も外れてあたりまえに乱れる山際の雲行き。

開館前の閲覧室で返却本の配架作業途中で気づいた
蛍光灯の交換時に書架の天井板の上に蔵書が何冊か
利用者の取り置きが紛失本の解除を遅らせたことが。

関節をポキポキ鳴らすようにトニー・フルセラが
皮膚の裏側から温めるようにビリー・ホリディが
響いてくるイヤフォンが寒いバス停で懐炉もどき。

夜明けをまっしぐらに稲光が駆け抜け
目覚めを揺さぶる雷鳴に叩き起こされたか
寝床も広い和室から狭いベッドへ模様替え。

秋のビート(08.11.18)

落ち葉公害を配慮したのだろうけど
市内の紅葉をぶった切ったみたいで
剪定された街路樹がなんとも味気ない。

某落語家の響きにも似た文芸評論家の
未発表講演音源CDが付録になっていた
文芸雑誌が近所の本屋の常備から消えたり。

つい身辺がごたごたしたりして遊べず
チューンナップを怠ったりしていたが
ようやくスキーを購入店に持ち込んだ。

自前でやったりしたこともあったのに
週一滑ったのが月一に間が開いたりして
手間ひまかけることも先細ってきたか。

切れたラケットのガット張りも途切れ
家の外装の掃除も縁側以外は手抜きで
使うたびに怠らないのは風呂掃除だけ。

三十数年ぶりにテレビでスタッフ・ライブの
どこまでも無造作にうねる8ビート映像に出会え
初物ウィスキーの香りで馴染んだグラスが目覚め。

折り返し日和(08.11.14)

出かけた市内の街筋のあちこちで
薬師から毛勝岳へとたどる稜線の
連なりが深まりゆく秋をにじませ。

紅葉狩りを締めくくるような小春日和も
年寄り弱りで歩けなくなった人肌には
天日干しした布団で感じてもらえるか。

テレビで見かけた歩行支援ロボットだが
健常者の障害時だけでなく人が行き着く
老境を歩む心身の季節に届く全天候型は。

寝起きから始まる立ち居振る舞いを
着こなせなくなった身体が狭まった
日常をはみ出す老年の出口は如何に。

昨日みたいに上る満月と沈む夕日に
映える第二の自然に出会ったりする
帰り道がまたとない一日の終わりに。

その時々の身体を整え続けることに
上手いも下手もひっくるめどこそこで
止まらず何事も開いていくしかない。

寝覚めぬ夢(08.11.11)

秋風に舞った紅葉の輝きも一夜明ければ
濡れ落ち葉の艶っぽさとなって落ち着き
行き交う人影に混じり込むように沈んで。

山桜を淘汰したみたいなソメイヨシノが
紅葉した樹々には敵わないみたいに舞った
日本一西武球団の監督と投手の重さと軽さ。

井戸水の蛇口はしばらく出して洗顔を
温もりで目覚めたみたいに数十年あまり
使っていなかったわが家のガス配管暖房。

“オイルショック”の新築時に組み込んで
“金融ショック”の今頃になってようやく
とにかくローンを組まない暮らし向きで。

日本の首相がポロポロ入れ替わろうが
アメリカの大統領に誰がなったとしても
時価総額を追うしかない金融資本絡みで。

放っといても欧米化を追いかける暮らし
噛みしめる進歩の葉っぱの裏にも表にも
支えてきた幹にも制度疲労の虫食い跡が。

秋の陽射しに(08.11.07)

やりかけのことも放り出し自転車で
街中の秋の陽射しをふらふらかき分け
帰路を飛ばせば風で帽子も脱げそうに。

結婚前に十年余り続いた山歩きでは
帽子そのほか忘れ物は一度もないのに
繰り返したJRやバス通勤での置き忘れ。

昨日晴れた日中に帽子に鞄で乗り継いだ
がら空き路線バスが眠気を誘う暖かさで
いつもの停留所で降りたら頭がひんやり。

煩わしい遺失物係とのやり取りよりも
とりあえず走り去るバスを追いかけたら
赤信号で止まってくれ降り口扉を叩けた。

青信号に変わる前にご迷惑をすみませんと
急いで降りる背中にこちらこそ気がつかず
申し訳ありませんとおばさん運転手の声が。

乗降客の安全はもちろん手荷物だけじゃなく
被り物まで日頃の気働きを乗せたバスが去り
乗り越しかけた座席のぬくもりが帽子に残る。

逆さ柱(08.11.04)

住人が去り長らく空き家になっていた中古住宅に
明かりが灯るようになったり廃屋の空き地が
新築で埋まりつつある近所の眺めに移ろいが。

地べたを突き均し並べた石に造って置いた
日本家屋が掘った穴を埋め建てる構造へと
様変わりしてしまった居心地に馴染んだか。

かっては旬の鍋物に熱燗が嬉しくなる時節だが
この頃はリーズナブルなセットワインに混じる
テンポラリーニョやモンテプルチアーノ好みに。

半袖に短パンでワンプレイごとに歓声を上げ
連休の朝練でバドミントンを楽しむ低学年の
子どもらには肌寒さなんてどこ吹く風のよう。

ところが小学生も高学年になり中学生ともなれば
上手い下手を超越した元気な練習風景もどっかへ
置き忘れてきた初心者マークのように懐かしい。

過程を飛び越し結果や成果をあげつらう風潮が
行き詰まってくる一方でギャンブル性も閉ざされ
薄ら笑いにくるまれたような冷ややかさの底から。

挿げ替え(08.10.31)

雪折れしそうもない街路樹の柳が剪定で
丸坊主にされた町並みが寒々と見えたり
顔を洗う井戸水も手に温かく触るように。

内蔵HDが壊れたノートPCが問題なく
外付け起動ディスクで使えていたのに
数ヶ月で動かなくなったのはどうして。

リコールで問題のHDを製造元へ返品して
中1日置いて軽四が普通車になったみたい
容量が大幅アップされた製品が届いたが。

元通り復元した外付け起動ディスクで
立ち上がらないままなのはひょっとして
壊れた内蔵HDが邪魔をしているのだろうか。

簡単に本体をばらして取り出せるかどうか
おぼつかないが何もそこまでしなくとも
なぜか不完全で扱いにくい代物と縁が切れぬ。

150憶えたネタから30は演じられるが
あとの120はどうなっているのだろうと
脳科学者に尋ねた落語の師匠の笑い顔。

薄ら寒く(08.10.28)

連日乱高下する株価のような雲行きの
隙間からのぞいた毛勝三山の稜線から
谷筋にかけての初冠雪に気づいた週明け。

いつも小屋根の上で網を張ってる蜘蛛が
真ん中から端っこに下りてきて風雨に
震えながら飛ばされないようしがみつく。

日差しが戻るといつの間にか定位置で
景気の回復を待つみたいにじっと待つ
姿がヨメの目にもとまったようなのだ。

年金生活レベル暮らしの雑音みたいに
退職金目当てに連日のように鳴り響いた
マネーゲーム勧誘電話もぴったり止んで。

地上デジタル放送とアナログ放送では
電波の速さは同じでも生番組がズレるように
子どもらの世代とは生活感が食い違う。

戦後の貧乏が当たり前みたいに物心を
つけてもらったおかげで生活レベルを
落とすことなどわけない所帯持ちでも。

抜け殻(08.10.24)

昨日は夏日で汗ばむ外出になってしまい
今日は叩きつけるような雨音にかき消され
どんな季節を過ごしているか見失いそう。

バス車内で落とした小銭の分だけ料金を
差し引いてもらう運転手と折り合う姿が
降り立つただ・いまの停留所を通り過ぎ。

自分のいま・ここもあやふやなのだろうが
さまざまな時・所で向き合う人それぞれの
ありのままの姿がどうにも分からなままに。

さてもiPodや携帯やワンセグTV&ラジオなど
愛憎半ば持ち歩く小物を身体から外さないと
教卓に座れないというか向き合えないようで。

その場に邪魔な夾雑物を取り除いたりして
新しい動きができる距離が作れるかどうか
やってみないことにはいま・ここで縛られ。

どうにも不自然な動きになってしまった
外付けHDの扱いを持て余し処分の保留を
解除するように不良品交換案内が届いたり。

老いる食欲(08.10.21)

週末にバーベキューに群がる子どもらの
食欲につきあって丘陵地のバックヤードから
眺めた紅葉の山々も霞んで見える好天続き。

2階の窓の手すりに干した布団が揺れ
窓際のソーラー・サイクルは疲れ知らず
見上げた空にゆったりマグリットの雲が。

老い縮んだおふくろにはお寿司が秋の
食欲を誘うのかしきりに食べたそうだが
出前を取ったばかりじゃそうはいかない。

親子二代に渡って食材を仕入れる手つきや
日々の仕込みから目の前に並べる心遣いまで
それとなく伝わる近所のお店への出入り。

わが家の外食で当たり前に続けてきたことが
何だかとても得難いことのように思えるのも
遠隔化する生産と消費を蝕む食の汚染のせいか。

儲けることしか知らない会社の胃袋は
満腹知らずのマネーゲームで着膨れし
立ち位置を顧みる隙間を抜けられるか。

夕焼けY字路(08.10.17)

紅葉狩りに誘い出されそうな日中の
陽気も朝晩はベストを着込むように
季節の感触と肌触りの隙間に移ろい。

ノートPCと一緒にデジカメそのほか
何を写そうという当てもない重さを
ショルダー鞄で体にまとわりつかせる。

道具や荷物の担ぎ方動かし方は身体を
他人のようにどう用いるか試しながら
体得できても人生の歩み方となると?

乳幼児期から思春期をへて青壮年期へ
申し分なくレッテルを貼られ色分けられ
じっとしていられない端境期に潜む節目。

厄年のように避けられない喜怒哀楽の
通り抜けの積み重ねを我が身の置き所に
いかに上り下りできるるようになるか。

ハンドルのある自転車はままならず
一輪車なら自由自在に走り回れたり
人それぞれの走行距離は測れなくとも。


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