十字路で立ち話(あるいはワッツニュー)


分け目(18.01.19)

背中越しに
眺め下ろす
手指の記憶

駅から家へ
探し当てた
歩数知らず

西の河原に
佇む影から
東の尾根へ

掛け渡され
解け流れた
喘ぎ声から

拾った猫に
家出を託し
風呂に入れ

膝から肘を
絡めた擦傷
舐め残して

逆さ水母(18.01.16)

見上げれば
腐海に傾く
ゲレンデに

破れ傘さし
日々積もる
人工雪舐め

滑り返せば
無駄な努力
踏み抜いて

声の鋳型を
溶かし込む
脈打つ鼓動

生き死にも
力み過ぎて
はずれくじ

おまけなら
人工生命の
到達点まで

剥離(18.01.12)

デパ地下の
食材の多さ
戸惑う身体

丁稚奉公で
習い覚えた
祖父の料理

米俵を軽々
屋根雪下す
身体捌きも

見失ったら
きれぎれの
食材宅配便

レシピ本も
渋滞させる
今日の積雪

行儀作法が
輝く星座の
消化宇宙へ

身動き(18.01.09)

畳部屋から
庭先までの
素振り響き

めいっぱい
さびしさが
舞い散って

声の歩幅を
掘り当てて
削り起こし

握りしめる
手解き難い
棒切れの先

打ち交わす
性と暴力の
間合い歪み

撓み尽くす
磨崖半ばに
肩幅を保ち

隠れん坊(18.01.05)

神輿担ぎの
空の青さに
捕らえられ

散歩疲れが
覆い尽くす
倦怠の窓辺

漏れ聞こえ
会話交わす
屈筋と伸筋

絡み合った
杭と坑から
言葉の火花

身構え炙り
出す日々の
夜の虹から

目覚めれば
心踊りだす
別人もどき

軒遊び(18.01.02)

一年ぶりに
袖を通した
身体を晒す

鴨居を伝い
綻ぶ家訓を
纏う衣紋掛

振り下ろす
薪割り斧に
稜線が谺し

雑巾掛した
床を踏んで
打ち交わす

唸る凧糸が
引き寄せる
釣糸の体感

家禽を狙う
鼬の気配に
体幹を弄る


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