十字路で立ち話(あるいはワッツニュー)
端っこから
辿り着いた
老いの慰み
四月ならば
エリオットの
残酷な仮面
啄木に詠む
老いて病み
いと悲しき
老いぼれて
馬車を引く
高村光太郎
返答などが
出来ないと
言う場合も
間違っても
気づくなら
凄いことに
田舎住まい
軒端あたり
で見忘れた
祖父の庭の
陰性と陽性
手入れされ
躑躅や松の
飛び石伝い
無いと在る
カラダから
身体までの
行き帰りに
杖を携えて
立つ祖父を
白黒写真に
縁側を背に
足裏に響く
根刮ぎ體型
庭の雑草が
賑やかなり
まるで初夏
咲き急げば
木瓜と桜が
隣り合わせ
どちら側の
所為でなく
自他ともに
生きのびる
虫と植物の
絡み合いに
道無き道を
辿り尽くす
視覚と聴覚
型から入り
抜け道探す
鶯の初鳴き
過ぎて観る
今年の冬の
寒暖乱脈に
出来損なう
約束すれば
何れ反故に
真空地帯を
見間違えば
逆立しそう
持ち越せば
違えるだけ
乱れる徒花
手はじめに
日々の物事
弾むごとく
陽射し伸び
消されゆく
自在な選択
止むを得ず
はじまった
一人暮らし
くつがえす
不意打ちの
地震の揺れ
部屋の隅や
納戸などに
使い切った
石や管球の
アンプほか
エッジ破れ
スピーカー
卓上PCに
ノートPC
処分すれば
身軽な春を
買えるかな
通院と薬局
終えた後の
春の息吹に
菜の花揺れ
水仙が聴く
蝶の囁きに
染っている
路傍沿いで
眺めている
白木蓮から
辛夷までの
違いのなさ
花弁や萼の
違いなどが
秘められて
生きること
裏がえして
生きている
死に別れが
縁の切れ目
Sバークが
唄うドント
ギブアップ
オン・ミー
履き替えた
明るい色が
桜に似合う
散髪の手が
なつかしい
はさみの音
空気を入れ
今は居ない
乗り手の脚
髪を切るか
いっそ花見
か踏み迷う
黄色が白へ
当たり前が
ほんとうは
当たり前だ
と思わずに
いられるか
自分に何が
起こるのか
ではなくて
起こったら
どうするか
対処が肝心
当たり前を
当たり前と
見過ごさず
手つかずの
日々の配慮
を忘れずに
日々新たに
手を合わせ
花を供えて
普段着など
畳まれ方に
居た堪れず
そのままに
眺めるだけ
着替えても
起き抜けに
確かめ合う
手の温もり
できるかな
今日1日が
保てるかな
口癖だった
遠ざかる日
あざやかに
寒暖乱れて
庭の芽吹き
立ち迷って
ランダムな
壁紙写真に
懐かしい姿
手放せない
古いPCにも
隠れていて
何もかもが
一緒だった
ようなのに
料理だけは
違っていて
今更ながら
気づいても
三度三度の
食の手習い
物忘れなど
ぶりかえす
紅梅の寒さ
ガラクタの
PC機器など
梱包済ませ
配送業者に
渡した後で
入れ忘れた
申込書類が
4枚ともに
机に残って
やり残して
跡形無くす
片付け忘れ
経緯などを
詫状にして
メール送り
それとなく
庭木揺らす
日溜まりに
一番仕事で
庭の雪吊り
外されて春
文庫本なら
装い新たな
詩人の一冊
結婚を前に
飲み屋でも
本屋までも
ツケを全て
払い回った
懐かしい女
くぐもった
声と肌触り
瞳も濡れて
近親者から
懸案などが
順調との話
微かながら
背中を押す
出がけの風
暖かすぎる
バス車内に
乗客少なく
図書館でも
人はまばら
地震の余波
葉書一枚を
出し忘れた
間抜けでも
春キャベツ
ホタルイカ
買い忘れず
鬱気味な冬
空き地には
黄色い花が
手先や足の
色目などが
定まらない
身体の縺れ
抜け出せば
春になるか
旬の物など
白木の一枚
板の寿司盤
北風の便り
舞い降りた
渡り鳥から
温かくなる
風に乗って
帰る頃には
自分自身も
よく分らず
まして相手
だってそう
だと思えば
暗中模索が
お互い様で
気が楽だが
思いがけず
分り合えた
なんて事に
遭遇したら
自分の中の
他者が驚く
奇遇なのか
口中に含む
水まで綻び
伸びやかに
季節感なら
足踏みして
梅の花持ち
日がな一日
誰かと話す
事などなく
買い物など
の前後には
HTML編集
朝は味噌汁
昼と夕べは
グラス酒に
好みワイン
更新し直す
老来の再来
読み書きに
聴くことも
リフレッシュ
湾曲気味の
道に気づく
よろめき感
出逢うまで
わからない
あうべき人
立ち止まり
橋上からの
地震の名残
手渡された
赤ん坊から
ほとばしり
言葉もなく
抱き留める
命のリズム
咲いて見て
から分かる
雑草の花に
左回りから
右回りまで
違う速さで
心神喪失が
一回転して
心身一如に
賽の河原で
踏み迷った
我執の彼岸
頚椎降って
腰椎までの
並列痼りに
陸奥山道を
踏み替えた
バランス板
出会うまで
わからない
会いたい人
手折り届く
枝梅が散り
急ぐ卓上で
浦島状態の
PCが環境に
取り残され
新規購入の
NBの画面が
老眼に合う
設定なども
老来に迫る
手習い始め
寒暖めぐる
回転木馬が
止めどなく
ピントなど
合うはずも
無い季節感
一人暮らしに
ようやく慣れ
ひとり外食も
図書館を後に
夫婦で訪れた
店に足が向い
躊躇いがちに
頼んでしまう
定番メニュー
なぜか麺類に
合わせ頂いた
日本酒の銘柄
フロア担当に
知り覚えられ
言わずもがな
なのに困るは
一本か二本か
定まらぬ独居
面々の計らい
なんてことを
身体で受止め
二月の寒暖が
乱高下すれば
体調も戸惑い
庭の日陰から
とり残されて
溶け忘れても
除雪時の体で
後ろ下半身の
二面の三角形
スコップ握る
両腕が連動す
る三角形の面
膕がみちびく
左右の三角の
面を重ね歩き
きつい寒さ
折り畳んで
夕べの食卓
温もってる
グラスから
溢れる泡に
優しすぎる
執着転じて
我儘にまで
煩わしさに
挟み込まれ
遠ざけがち
感性を奪う
現実認識が
変わる経験
内側からも
外側からも
手放す幻想
登り降りや
滑走などが
遥か彼方に
縁が切れる
身を探れば
老来の自覚
覚束なくて
體の隅々が
物言いたげ
拾いあげて
言葉にする
ひとり問答
思い返せば
家族ひとり
それぞれに
稽古が試す
点と線から
面通しまで
屋内と戸外
そして個別
暖房の部屋
寒暖の差が
ありすぎて
戸惑う立春
読み書きと
聴くことに
収斂しがち
崩壊寸前で
立ち返った
揺れと擦れ
埋め合わせ
ができない
隙間風まで
吹き曝しの
庭木を繋ぐ
雪吊りの縄
切り花でも
真冬ならば
持ちのよさ
生涯を終え
浮き沈みを
飾る虚と隙
蚯蚓なのか
もしかして
ボウフラか
蠕虫表現を
読み損なう
見間違いか
登り下りを
分かち合う
真逆の狭間
遣り繰りも
何も無くて
それっきり
五体の端で
乗り掛かり
重なり合う
三角翼から
左右別々に
地面を離れ
在る私から
思う私まで
分身と別人
同じ肉体に
分け隔てず
助け合って
身体と心が
上下隔てず
重なり合う
身体捌きで
在り続ける
楽し身の術
一点集中に
なりがちな
感情の流れ
あっちから
こっちへと
線のように
行き来する
窮屈さから
逃れ歩けば
気にしない
日常歩きを
雪道に刻み
目移りする
散らばった
足跡を消す
技も基本も
体力もない
身体の性能
遊び疲れて
引きこもる
体内感触を
呼び覚ます
畑仕事など
忘却の彼方
LPとCDを
聴き比べた
余暇の変遷
日常を穿ち
漉き込んだ
共稼ぎ家庭
木々を斬り
背戸の空地
そのままに
散乱した本
元に戻さず
積み上げて
安全装置を
目安に新調
ガスレンジ
料理始めに
欠かせない
道具なのに
食材買わず
調理済みで
お茶を濁す
出来ること
から始める
だけなのに
意力と当為
間遠くなり
戸惑ってる
老い身体に
探し求める
出来ること
親指が上で
掌の平野を
囲む山々が
北陸線から
津幡駅にて
七尾線へと
乗り換えて
幼少の折の
温泉湯治旅
翳す左手が
地震により
崩されたか
倒壊家屋の
下敷きから
漏れ聞こえ
潰されない
無形流れる
富山湾の底
二か月余り
療養暮らし
から抜けて
底をついた
食欲なども
戻ったかな
宅配お菜や
ワインなど
より美味く
年明け薄い
裏日本的な
一人暮らし
影絵の様な
当て所なさ
余震の揺れ
レコードの
再生音楽が
やたら新鮮
融雪歩道を
踏み誤って
滑りそうに
見えにくい
現実を生き
ようとして
はからずも
言葉だけに
左右される
間違いから
水含む口で
脱け出せる
違和の時に
急かされた
したいこと
すべきこと
強度を質す
粘着を呼吸
侘び住居に
落ち込まず
飛躍もない
年の始めを
揺るがして
この大地震
吹きつける
一寸先が闇
だからこそ
普通でいる
ことの凄さ
は何処から
乱れようが
荒れようが
負けないで
いまここの
ここからを
身体が決め
幼少の頃に
祖父の後を
追いかけた
里山歩きが
長じる頃は
低山歩きに
踏みしめた
田畑を抜け
山岳までの
気づかない
地殻の響き
計り知れず
身体を覆う
無意識的な
リセットが
更新させる
風景観から
身体観まで