十字路で立ち話(あるいはワッツニュー)


父性とは(25.10.17・金)

物心がつく
前に父親を
亡くしたが

いないのが
あたりまえ
だったのに

生計を共に
した家族に
先立たれて

見たことの
ない背中が
せり上がり

心許なさを
受け流して
秋風が吹き

残してきた
田舎の墓の
改葬を図る

真逆のミス(25.10.14・火)

延長11回に
2アウトで
満塁だから

Pゴロなら
チェンジの
はずなのに

救援投手が
焦ったのか
間に合わぬ

本塁に投げ
サヨナラで
敗戦投手に

PhとLAの
見応えある
地区の戦い

日米ともに
面白くなる
10月の野球

ひとり酒(25.10.10・金)

路線バスに
見放されて
恋しくなる

空いている
昼どき前の
ひとり外食

天ざるそば
ワンタン麺
のいずれも

欠かせない
冷か常温の
お銚子一本

独り住いに
似合わない
家での晩酌

週に一度は
ゆったりと
外呑みなど

バス停遠く(25.10.07・火)

十月からの
運行を気に
していたら

路線バスの
減便よりも
一気に廃止

街中などへ
出かけるの
も遠くなり

郊外を走る
幹線道路の
バス停まで

猛暑の夏や
積雪期には
無理な歩き

お出かけ用
定期券など
無駄になり

手入れ庭(25.10.03・金)

すっきりと
整えられた
庭木の剪定

夏を彩った
雑草なども
跡かたなく

祖父による
手入れから
受け継いで

扶養家族に
なぞらえる
庭木の姿を

年間通して
庭師の手に
すべて委ね

青々として
生い茂った
雑草懐かし

息抜き(25.09.30・火)

呼吸が気に
なるような
部分入れ歯

呼吸をする
とはどんな
ことなのか

考えないで
鼻歌などで
紛らわせば

なんとなく
整うように
なるようだ

時の流れに
乗っかって
心身一如に

言葉のない
空洞を充す
響とリズム

秋雨に(25.09.26・金)

そこそこに
落ちついた
空模様だが

暑さ疲れも
洗い流せば
秋のモード

ピアノから
ギターまで
耳を傾けて

コーヒーの
かおりなど
ききわける

伸び放題の
庭の雑草も
濡れそぼり

模様を描く
絵筆の様に
微かに揺れ

料理上手(25.09.23・火)

ハレやケの
料理を熟す
祖父は特別

不得手なる
自分の思い
違いだった

娘婿からは
訪れる度に
振舞われて

一年ぶりに
訪れた甥の
手作りなど

いずれとも
連れ合いは
アシストで

傍観してる
自分は頂く
だけの凡人

老い寄り道(25.09.19・金)

古傷の様に
見え始めた
手術の傷痕

痛みなども
忘れ去った
ようなのに

手術絡みで
生々しくも
思い返され

飲んでいる
薬にまさる
時の良薬に

それなりの
快復感など
も芽生えて

なにほどの
こともない
明け暮れに

出会い(25.09.16・火)

配信で聴く
音楽が増え
CDやLPの

出番が減り
手触り感が
薄らいだか

プレイヤー
で新譜など
聴くべきか

手触りなく
入手できる
新刊や新譜

聴きごろや
読みごろも
見えにくく

食べごろや
飲みごろに
気もそぞろ

夏を越して(25.09.12・金)

秋雨に紛れ
暑さも多少
和らいだか

いつの間に
伸びた髪が
むさ苦しく

庭の雑草も
伸びすぎて
見苦しいか

術後の体に
夏の暑さが
立ち開かり

食べること
適度な運動
日々を繋ぎ

虎の優勝と
石破首相の
退陣に陰り

休業カメラ(25.09.09・火)

ここ数年は
病気などで
引きこもり

散歩がてら
カメラなど
もご無沙汰

撮り下ろし
が飾れない
下駄箱の上

撮り溜めに
見飽きない
出来栄えが

見つからず
写した時の
手触りだけ

被写体探す
充電済みの
バッテリー

サ行改善(25.09.05・金)

抜けたのを
そのままに
していた歯

三本まとめ
義歯にして
落ち着いた

近所ながら
歯科通院も
一夏を越し

麺類なども
食べやすく
なったかな

食欲増進に
結びついた
気もするが

さしすせそ
など抜けた
感じもなく

快気飲食(25.09.02・火)

蝉時雨など
忘れ去って
耳にする虫

庭の雑草の
伸び具合に
秋の気配も

術後の心臓
六割がたの
回復ですね

夏に終えた
検査結果に
医者の言葉

老いぼれに
そんな力が
あるなんて

快食に快飲
久しぶりの
馴染み店で

その世に(25.08.29・金)

見覚えない
老婦人の声
朝のバス停

お連れさん
見えないね
と尋ねられ

半世紀以上
共に暮らし
別れの後も

命日に届く
フラワーが
匂うように

触らずとも
身の回りに
いるようで

亡きあとに
より際立つ
人となりが

球趣雑感(25.08.26・火)

ファウルで
粘ってたら
四球になり

なんてのを
よく見かけ
るようだが

20球目を
ホームラン
なんてのは

初めて見た
老練打者と
新人投手の

かけひきが
プロ野球の
TV中継に

球場で見た
名場面など
思い返され

老体操法(25.08.22・金)

気温が低い
朝のうちに
ペダル踏み

足指の握力
ハンドルを
握る握力も

弱くなって
掴み損ない
取り落とす

たまさかに
蹴つまずき
そうになり

身をこなす
不自由さが
きっかけで

あれこれと
試しながら
綴る身体へ

手指稽古(25.08.19・火)

はるか昔に
孫遊び用の
買い置きが

見つかって
組み立てる
ロボットの

小さな部品
細かいネジ
を扱いかね

小さい活字
薄い印刷の
読みずらさ

電子書籍で
拡大すれば
読みやすく

逆らえない
見る操作や
指遣いなど

暑中中休み(25.08.15・金)

霹靂雨やら
集中豪雨の
線状降水帯

タクシーで
買い物した
連日の猛暑

押し流され
たみたいな
束の間の涼

夏バテ気味
の食欲など
取り戻して

晴れ間には
虫交換済み
自転車乗り

買物済ませ
無事生息を
ライン通知

三位掛け(25.08.12・火)

独り住いに
三人掛けの
マットなど

忘れていて
今はいらぬ
と思っても

やがて来る
頼れるもの
など失われ

身体と心は
真逆の求め
方をするが

身体感覚は
その間隙を
埋める働き

経験の中で
こそ分かる
求める感覚

通り雨に(25.08.08・金)

庭木も騒ぐ
久しぶりの
雨脚の通過

今度は前輪
空気抜けで
乗り損ない

傘をさして
出かければ
雨もあがり

蒸し暑さに
日傘代わり
さして帰る

昼下がりに
蝉も鳴かず
雨跡も乾き

夏の手錠が
引用された
頁は何処へ

記憶も薄れ(25.08.05・火)

地震や津波
そして台風
の天変地異

体調などに
なんらかの
影響が及び

買い物など
外出しても
へばりそう

呼び水して
動き出した
新調ポンプ

井戸の底で
狂いが生じ
てきたのか

半世紀前の
掘削構造を
問われたが

虫も不調?(25.08.01・金)

数日前には
快調だった
後輪に漏れ

パンクより
へたった虫
の点検交換

する暇なく
ママチャリ
に乗り換え

行き帰りに
蝉時雨など
無縁の熱風

買い物帰り
を出迎える
虫なき庭に

ひらひらと
迷い込んで
何処へ消え

暑さ忘れ(25.07.29・火)

じわじわと
暑さを増す
午前の一時

熱いカップ
なみなみと
冷めるまま

飲み干せば
涼しくなる
身体の基層

保冷庫から
取り出した
ハウス蜜柑

半冷凍した
バナナから
トマトまで

内蔵の層も
冷ややかに
午後の一時

業者選び(25.07.25・金)

老朽化した
家の水回り
トラブルで

止まっても
数時間後に
自然復旧し

たポンプの
交換する間
もないのに

引き続いて
水洗トイレ
も壊れたか

取り急いで
メモを探し
状況を話す

電話依頼の
業者の手際
に期待して

齢相応に(25.07.22・火)

梅雨入りも
梅雨明けも
暑さの彼方

二階の書斎
壊れ動かぬ
ブラインド

随分古くて
代替品など
見つからず

取り替えた
カーテンで
遮光すれば

程よい暗さ
程よい空調
もたらされ

老いた体に
大きすぎた
窓外の眺め

暑さ凌ぎ(25.07.18・金)

入院してて
覚えのない
昨夏の猛暑

そのせいか
一際堪える
暑さこの頃

細りがちな
食をつなぐ
ワインなど

適度に保つ
冷やし加減
室温涼しく

心地よくて
身体に響く
音楽なども

ゲロッパの
J.ブラウン
夏に響かせ

蟹座の縁(25.07.15・火)

先を思うと
うんざりな
季節なんて

夏に生まれ
夏に逝った
家族を想う

半夏生から
芙蓉までの
佇まいから

鮎の唐揚げ
から塩焼き
までの香り

引っ越して
有り余った
母との別れ

心から溢れ
委ねられた
無意識の闇

居つかずに
日々を送る
手の温もり

暑さ徒然(25.07.11・金)

調子悪くて
あたりまえ
のようでも

老体ならの
過ごし方を
楽しむには

よく食べて
良き睡眠が
何よりだが

好きだった
ビールから
見放されて

発泡ワイン
に移行した
嗜好の変化

老いてなお
変わらない
音楽の好み

老い手摺り(25.07.08・火)

微妙に違う
家の二つの
階段の勾配

退院直後は
階段を上る
のもやっと

回復しても
なんとなく
不安が残り

転ばぬ先の
杖みたいに
手摺り設置

デザインを
同じにして
もらったら

触るだけで
無くなった
勾配の違い

会食日和(25.07.04・金)

娘夫婦から
お祝いにと
誕生日の宴

独り住いの
夕べに訪れ
手料理から

ケーキまで
取り揃えて
もてなされ

よく冷えて
喉に美味い
発泡ワイン

揚げ物など
腕を上げた
美味しさに

妻の料理を
思い出して
飲み干せば

歳月重ね(25.07.01・火)

半期ごとの
立ち話頁の
更新作業も

二十五年で
五十回目を
数えるなど

バカの一つ
覚えみたい
な単純作業

生き延びら
れた半年が
冴え渡れば

過去の話を
掘り起こす
アクセスに

書き忘れが
老いの印を
呼び覚ます


ご意見・感想:keikichi111i@mac.com

「高屋敷の十字路」に戻る