十字路で立ち話(あるいはワッツニュー)
物心がつく
前に父親を
亡くしたが
いないのが
あたりまえ
だったのに
生計を共に
した家族に
先立たれて
見たことの
ない背中が
せり上がり
心許なさを
受け流して
秋風が吹き
残してきた
田舎の墓の
改葬を図る
延長11回に
2アウトで
満塁だから
Pゴロなら
チェンジの
はずなのに
救援投手が
焦ったのか
間に合わぬ
本塁に投げ
サヨナラで
敗戦投手に
PhとLAの
見応えある
地区の戦い
日米ともに
面白くなる
10月の野球
路線バスに
見放されて
恋しくなる
空いている
昼どき前の
ひとり外食
天ざるそば
ワンタン麺
のいずれも
欠かせない
冷か常温の
お銚子一本
独り住いに
似合わない
家での晩酌
週に一度は
ゆったりと
外呑みなど
十月からの
運行を気に
していたら
路線バスの
減便よりも
一気に廃止
街中などへ
出かけるの
も遠くなり
郊外を走る
幹線道路の
バス停まで
猛暑の夏や
積雪期には
無理な歩き
お出かけ用
定期券など
無駄になり
すっきりと
整えられた
庭木の剪定
夏を彩った
雑草なども
跡かたなく
祖父による
手入れから
受け継いで
扶養家族に
なぞらえる
庭木の姿を
年間通して
庭師の手に
すべて委ね
青々として
生い茂った
雑草懐かし
呼吸が気に
なるような
部分入れ歯
呼吸をする
とはどんな
ことなのか
考えないで
鼻歌などで
紛らわせば
なんとなく
整うように
なるようだ
時の流れに
乗っかって
心身一如に
言葉のない
空洞を充す
響とリズム
そこそこに
落ちついた
空模様だが
暑さ疲れも
洗い流せば
秋のモード
ピアノから
ギターまで
耳を傾けて
コーヒーの
かおりなど
ききわける
伸び放題の
庭の雑草も
濡れそぼり
模様を描く
絵筆の様に
微かに揺れ
ハレやケの
料理を熟す
祖父は特別
不得手なる
自分の思い
違いだった
娘婿からは
訪れる度に
振舞われて
一年ぶりに
訪れた甥の
手作りなど
いずれとも
連れ合いは
アシストで
傍観してる
自分は頂く
だけの凡人
古傷の様に
見え始めた
手術の傷痕
痛みなども
忘れ去った
ようなのに
手術絡みで
生々しくも
思い返され
飲んでいる
薬にまさる
時の良薬に
それなりの
快復感など
も芽生えて
なにほどの
こともない
明け暮れに
配信で聴く
音楽が増え
CDやLPの
出番が減り
手触り感が
薄らいだか
プレイヤー
で新譜など
聴くべきか
手触りなく
入手できる
新刊や新譜
聴きごろや
読みごろも
見えにくく
食べごろや
飲みごろに
気もそぞろ
秋雨に紛れ
暑さも多少
和らいだか
いつの間に
伸びた髪が
むさ苦しく
庭の雑草も
伸びすぎて
見苦しいか
術後の体に
夏の暑さが
立ち開かり
食べること
適度な運動
日々を繋ぎ
虎の優勝と
石破首相の
退陣に陰り
ここ数年は
病気などで
引きこもり
散歩がてら
カメラなど
もご無沙汰
撮り下ろし
が飾れない
下駄箱の上
撮り溜めに
見飽きない
出来栄えが
見つからず
写した時の
手触りだけ
被写体探す
充電済みの
バッテリー
抜けたのを
そのままに
していた歯
三本まとめ
義歯にして
落ち着いた
近所ながら
歯科通院も
一夏を越し
麺類なども
食べやすく
なったかな
食欲増進に
結びついた
気もするが
さしすせそ
など抜けた
感じもなく
蝉時雨など
忘れ去って
耳にする虫
庭の雑草の
伸び具合に
秋の気配も
術後の心臓
六割がたの
回復ですね
夏に終えた
検査結果に
医者の言葉
老いぼれに
そんな力が
あるなんて
快食に快飲
久しぶりの
馴染み店で
見覚えない
老婦人の声
朝のバス停
お連れさん
見えないね
と尋ねられ
半世紀以上
共に暮らし
別れの後も
命日に届く
フラワーが
匂うように
触らずとも
身の回りに
いるようで
亡きあとに
より際立つ
人となりが
ファウルで
粘ってたら
四球になり
なんてのを
よく見かけ
るようだが
20球目を
ホームラン
なんてのは
初めて見た
老練打者と
新人投手の
かけひきが
プロ野球の
TV中継に
球場で見た
名場面など
思い返され
気温が低い
朝のうちに
ペダル踏み
足指の握力
ハンドルを
握る握力も
弱くなって
掴み損ない
取り落とす
たまさかに
蹴つまずき
そうになり
身をこなす
不自由さが
きっかけで
あれこれと
試しながら
綴る身体へ
はるか昔に
孫遊び用の
買い置きが
見つかって
組み立てる
ロボットの
小さな部品
細かいネジ
を扱いかね
小さい活字
薄い印刷の
読みずらさ
電子書籍で
拡大すれば
読みやすく
逆らえない
見る操作や
指遣いなど
霹靂雨やら
集中豪雨の
線状降水帯
タクシーで
買い物した
連日の猛暑
押し流され
たみたいな
束の間の涼
夏バテ気味
の食欲など
取り戻して
晴れ間には
虫交換済み
自転車乗り
買物済ませ
無事生息を
ライン通知
独り住いに
三人掛けの
マットなど
忘れていて
今はいらぬ
と思っても
やがて来る
頼れるもの
など失われ
身体と心は
真逆の求め
方をするが
身体感覚は
その間隙を
埋める働き
経験の中で
こそ分かる
求める感覚
庭木も騒ぐ
久しぶりの
雨脚の通過
今度は前輪
空気抜けで
乗り損ない
傘をさして
出かければ
雨もあがり
蒸し暑さに
日傘代わり
さして帰る
昼下がりに
蝉も鳴かず
雨跡も乾き
夏の手錠が
引用された
頁は何処へ
地震や津波
そして台風
の天変地異
体調などに
なんらかの
影響が及び
買い物など
外出しても
へばりそう
呼び水して
動き出した
新調ポンプ
井戸の底で
狂いが生じ
てきたのか
半世紀前の
掘削構造を
問われたが
数日前には
快調だった
後輪に漏れ
パンクより
へたった虫
の点検交換
する暇なく
ママチャリ
に乗り換え
行き帰りに
蝉時雨など
無縁の熱風
買い物帰り
を出迎える
虫なき庭に
ひらひらと
迷い込んで
何処へ消え
じわじわと
暑さを増す
午前の一時
熱いカップ
なみなみと
冷めるまま
飲み干せば
涼しくなる
身体の基層
保冷庫から
取り出した
ハウス蜜柑
半冷凍した
バナナから
トマトまで
内蔵の層も
冷ややかに
午後の一時
老朽化した
家の水回り
トラブルで
止まっても
数時間後に
自然復旧し
たポンプの
交換する間
もないのに
引き続いて
水洗トイレ
も壊れたか
取り急いで
メモを探し
状況を話す
電話依頼の
業者の手際
に期待して
梅雨入りも
梅雨明けも
暑さの彼方
二階の書斎
壊れ動かぬ
ブラインド
随分古くて
代替品など
見つからず
取り替えた
カーテンで
遮光すれば
程よい暗さ
程よい空調
もたらされ
老いた体に
大きすぎた
窓外の眺め
入院してて
覚えのない
昨夏の猛暑
そのせいか
一際堪える
暑さこの頃
細りがちな
食をつなぐ
ワインなど
適度に保つ
冷やし加減
室温涼しく
心地よくて
身体に響く
音楽なども
ゲロッパの
J.ブラウン
夏に響かせ
先を思うと
うんざりな
季節なんて
夏に生まれ
夏に逝った
家族を想う
半夏生から
芙蓉までの
佇まいから
鮎の唐揚げ
から塩焼き
までの香り
引っ越して
有り余った
母との別れ
心から溢れ
委ねられた
無意識の闇
居つかずに
日々を送る
手の温もり
調子悪くて
あたりまえ
のようでも
老体ならの
過ごし方を
楽しむには
よく食べて
良き睡眠が
何よりだが
好きだった
ビールから
見放されて
発泡ワイン
に移行した
嗜好の変化
老いてなお
変わらない
音楽の好み
微妙に違う
家の二つの
階段の勾配
退院直後は
階段を上る
のもやっと
回復しても
なんとなく
不安が残り
転ばぬ先の
杖みたいに
手摺り設置
デザインを
同じにして
もらったら
触るだけで
無くなった
勾配の違い
娘夫婦から
お祝いにと
誕生日の宴
独り住いの
夕べに訪れ
手料理から
ケーキまで
取り揃えて
もてなされ
よく冷えて
喉に美味い
発泡ワイン
揚げ物など
腕を上げた
美味しさに
妻の料理を
思い出して
飲み干せば
半期ごとの
立ち話頁の
更新作業も
二十五年で
五十回目を
数えるなど
バカの一つ
覚えみたい
な単純作業
生き延びら
れた半年が
冴え渡れば
過去の話を
掘り起こす
アクセスに
書き忘れが
老いの印を
呼び覚ます