▼梶木剛(一九三七〜二〇一〇)
初出・「梶木剛 追悼」(梶木剛遺稿集『文学的視線の構図』深夜叢書社二〇一一年五月刊)
著書・『斎藤茂吉』『夏目漱石論』など
吉本隆明主宰の雑誌『試行』の常連執筆者。梶木剛の結婚に際して吉本夫妻は仲人になっている。
▼小川国夫(一九二七〜二〇〇八)
初出・「小川国夫さんを悼む」(『群像』二〇〇八年六月号)
著書・『アポロンの島』『悲しみの港』など
対談集『宗教論争』(小沢書店)のほかに、「漱石が創った女たち」という対談がある。
▼清岡卓行(一九二二〜二〇〇六)
初出・「清岡卓行を悼む」(『群像』二〇〇六年八月号)
「詩人清岡卓行について」(『現代詩手帖』二〇〇八年一一月号)
著書・『清岡卓行詩集』『アカシヤの大連』など
『現代批評』同人。「言語表現としての芸術」「小林秀雄の現在」の二つの対談、座談会「映画・文学・批評」「現代詩一〇〇年の総展望」「戦後詩の全体像」「詩論とは何か」がある。
▼大塚睦(一九一六〜二〇〇二)
初出・「清冽な色彩と繊細な線に守られた前衛画家」(『大塚睦画集』いのは画廊二〇〇四年八月刊)
著書・『大塚睦画集』
吉本隆明は大塚睦をはじめ山下菊二や鶴岡政男など画家との交流があった。
▼川上春雄(一九二三〜二〇〇一)
初出・「川上春雄さんを悼む」(『ちくま』二〇〇一年一二月号)
「川上春雄さんのこと」(『詩の雑誌ミッドナイト・プレス』一四号二〇〇一年一二月)
著書・詩集『若い青年』自撰詩集『水と空』など
試行出版部を立ち上げ、吉本隆明『初期ノート』を編集発行。『吉本隆明全著作集』(勁草書房)『吉本隆明全集撰』(大和書房)などを編集し、解題を執筆した。吉本隆明の川上春雄宛書簡は『吉本隆明全集』(晶文社)第三七巻に全て収録されている。
▼本多秋五(一九〇八〜二〇〇一)
初出・「本多秋五さんの死」(『群像』二〇〇一年三月号)
著書・『「白樺」派の文学』『物語戦後文学史』など
座談会「戦争責任を語る」「批評の誕生」「平野謙ーその仕事と人間」「埴谷雄高ーその仕事と人間」「日本思想史と転向」がある。
▼島成郎(一九三一〜二〇〇〇)
初出・「「将たる器」の人」(『沖縄タイムス』二〇〇〇年一〇月二二日)
著書・『ブント私史』『精神医療のひとつの試み』
六〇年安保闘争を主導した共産主義者同盟の書記長。「トロツキストと云われても」という鼎談がある。
▼大原富枝(一九一二〜二〇〇〇)
初出・「偲大原富枝」(『群像』二〇〇〇年四月号)
「碑文」(「高知県長岡郡本山町寺家にある大原富枝の墓の顕彰碑」二〇〇〇年七月一日)
著書・『祝出征』『婉という女』など
吉本隆明の求めに応じて、東京・品川で開催された「いま、吉本隆明25時」でゲストとして講演している。
▼江藤淳(一九三二〜一九九九)
初出・「江藤淳氏を悼む」(『山梨日日新聞』一九九九年七月二三日)
「江藤淳記」(『文學界』一九九九年九月号)
著書・『夏目漱石』『成熟と喪失』など
『吉本隆明 江藤淳 全対話』(中公文庫)のほかに、「”知識人の責任”とはなにか」という座談会がある。
▼奥野健男(一九二六〜一九九七)
初出・「あの頃二人は」(『群像』一九九八年二月号)
著書・『太宰治論』『文学における原風景』など
『現代批評』同人。「映画・文学・批評」「技術者と哲学」の二つの座談会。ほかに「文学交歓」(未刊)という対談を行っている。
▼埴谷雄高(一九〇九〜一九九七)
初出・「埴谷雄高さんの死に際会して」(『群像』一九九七年四月号)
著書・『死霊』『幻視のなかの政治』など
対談集『意識 革命 宇宙』(河出書房新社)、吉本隆明・秋山駿を聞き手とするインタビュー集『思索的渇望の世界』(中央公論社)のほかに、座談会「批評の誕生」「平野謙?その仕事と人間」「戦争と革命」がある。
▼宮田勘吉(一九二三〜一九九六)
初出・「別れのことば」(『増補 追悼私記』洋泉社一九九七年七月刊。未掲載で収録。執筆は一九九六年八月九日)
米沢高等工業学校、東京工業大学を通しての同窓生。
▼山口瞳(一九二六年〜一九九五)
初出・「『現代評論』の頃」(『サントリー・クォータリー』五一号一九九六年四月)
著書・『江分利満氏の優雅な生活』『男性自身』など
『現代評論』同人の一人。
▼小林平和(一九三七〜一九九五)
初出・「小林平和さんのこと」(『キリスト新聞』一九九五年八月五日)
キリスト教牧師。
▼谷川雁(一九二三〜一九九五)
初出・「詩人的だった方法」(『熊本日日新聞』一九九五年二月六日)
著書・『谷川雁詩集』『原点が存在する』など
『試行』創刊同人。「さしあたってこれだけは」「「情況」と「行動」・その他」の二つの鼎談と座談会「ゼロからの出発」「日本人の経験をめぐって」がある。
▼吉行淳之介(一九二四〜一九九四)
初出・「追悼にならない追悼」(『新潮』一九九四年一〇月号)
著書・『砂の上の植物群』『暗室』など
「第三の新人」を代表する作家。吉本隆明とは同年生まれである。
▼中上健次(一九四六〜一九九二)
初出・「中上健次氏を悼む」(『山梨日日新聞』一九九二年八月一四日)
著書・『十九歳の地図』『枯木灘』など
対談「文学と現在」、鼎談集『解体される場所』(集英社)。「いま、吉本隆明25時」という二四時間連続の講演と討論のイベントを吉本隆明・三上治と主催、その中で「そんな批評でいいのか」という対話を行っている。ほかに「現代における身体のイメージ」という公開の対談もある。
▼井上光晴(一九二六〜一九九二)
初出・「井上光晴の声」(『新潮』一九九二年八月号)
著書・『虚構のクレーン』『地の群れ』など
『現代批評』同人。「映画・文学・批評」という座談会がある。
▼今西錦司(一九〇二〜一九九二)
初出・「今西錦司とのただ一度だけの出会い」(『産経新聞』一九九二年六月一七日)
著書・『生物の世界』『生物社会の論理』など
吉本隆明を聞き手とするレクチャー・ブック『ダーウィンを超えて』(中公文庫)がある。
▼小山俊一(一九一九〜一九九一)
初出・「情況への発言ーさまざまな死ー」(『試行』七一号一九九二年五月)
著書・『EX?POST通信』『プソイド通信』など
『試行』に「カウラの死臭」「中野重治ノート」寄稿。
▼小川徹(一九二三〜一九九一)
初出・「小川徹の死」(『映画芸術』第三六二号一九九一年七月)
著書・『堕落論の発展』『小川徹の映画裏目よみジュウタン大爆撃』など
「戦争体験とアジア神聖帝国」「最近の映画について」「最近の映画をめぐって」の三つの対談と鼎談「芸術と現代」「オカルトの底部にあるもの」がある。
▼菅谷規矩雄(一九三六〜一九八九)
初出・「弔辞」(『現代詩手帖』一九九〇年三月号)
著書・『詩的リズム』『菅谷規矩雄詩集』など
「表現研究は文学研究たりうるか」「言葉・映像・都市」の二つの対談と、青森県弘前市で開催された太宰治をめぐるシンポジウムで同席、その記録「いま、なぜ太宰治なのか」がある。
▼三浦つとむ(一九一一〜一九八九)
初出・「別れの言葉」(横須賀壽子編『胸中にあり火の柱』明石書店二〇〇二年八月刊)
「情況への発言1ーさまざまな応答ー」(『試行』六九号一九九〇年三月)
著書・『レーニンから疑え』『日本語はどういう言語か』など
『試行』の常連執筆者。座談会「戦争と革命」「苦悩する左翼」がある。
▼美空ひばり(一九三七〜一九八九)
初出・「天才だけが演ずる悲劇」(『TBS調査情報』一九八九年八月号)
代表歌曲・「悲しき口笛」「リンゴ追分」など
戦後日本を代表する歌手。
▼手塚治虫(一九二八〜一九八九)
初出・「テレビ的事件」(『TBS調査情報』一九八九年三月号)
著書・『鉄腕アトム』『ブラック・ジャック』など
戦後最大の漫画家。
▼昭和天皇(一九〇一〜一九八九)
初出・「天皇の死とテレビ」(『TBS調査情報』一九八九年二月号)
著書・歌集『おほうなはら』など
吉本隆明にとって、天皇と天皇制の問題は生涯を貫く課題であった。
▼磯田光一(一九三一〜一九八七)
初出・「情況への発言ーひとの死、思想の死ー」(『試行』六七号一九八七年一二月)
著書・『永井荷風』『思想としての東京』など
『比較転向論序説』を『試行』に連載。「日本的戦後のジレンマ」「文学における生と死」の二つの対談と鼎談「戦後文学白書」がある。
▼鮎川信夫(一九二〇〜一九八六)
初出・「別れの挨拶 弔辞」(現代詩読本『さよなら鮎川信夫』思潮社一九八六年一二月)刊
著書・『鮎川信夫詩集』『現代詩作法』など
「荒地」同人。共著『鮎川信夫論 吉本隆明論』(思潮社)、『対談 文学の戦後』(講談社文芸文庫)『詩の読解』(思潮社)『思想と幻想』(思潮社)『全否定の原理と倫理』(思潮社)の四冊の対談集のほかに、『討議近代詩史』(思潮社)をはじめ「詩は誰が理解するか」「何を目指すか」「日本人の経験をめぐって」「現代詩一〇〇年の総展望」「戦後詩の全体像」「詩論とは何か」「北原白秋の復権」「昭和詩五〇年をどうとらえるか」「超越性に向かう詩人の方法」など詩をめぐる鼎談と座談会がある。
▼島尾敏雄(一九一七〜一九八六)
初出・「島尾敏雄氏を悼む」(『山梨日日新聞』一九八六年一一月一四日)
著書・『出発は遂に訪れず』『死の棘』など
『現代批評』同人。吉本隆明には『島尾敏雄』(筑摩書房)という著書があり、対談「島尾文学の鍵」「傍系について」「鬼伝承」「平和の中の主戦場」の四つの対談のほかに、若杉慧をめぐる座談会がある。
▼黒田喜夫(一九二六〜一九八四)
初出・「情況への発言ー中休みのうちにー」(『試行』六二号一九八四年五月)
「情況への発言ー中休みをのばせー」(『試行』六三号一九八四年一一月)
著書・『黒田喜夫詩集』『詩と反詩』など
座談会「詩と政治の問題」がある。
▼ミシェル・フーコー(一九二六〜一九八四)
初出・「ミシェル・フーコーの死」(『京都新聞』一九八四年六月二九日)
著書・『臨床医学の誕生』『言葉と物』など
対談「世界認識の方法」のほかに、吉本隆明の「ミシェル・フーコーへの手紙」(『吉本隆明全集』第一七巻収録)がある。
▼橋川文三(一九二二〜一九八三)
初出・「告別のことば」(『ちくま』一九八四年二月号)
著書・『日本浪曼派批判序説』『歴史と体験』など
『現代批評』同人。対談「太宰治とその時代」、鼎談「すぎゆく時代の群像」がある。
▼小林秀雄(一九〇二〜一九八三)
初出・「小林秀雄について」(『海』一九八三年五月号)
著書・『様々なる意匠』『無常といふ事』など
吉本隆明は『近代日本思想大系 小林秀雄集』(筑摩書房)を編集し、「解説」を執筆している。
▼小野清長(生年不詳〜一九八一)
初出・「後記」(『試行』五七号一九八一年一〇月)
文献堂書店店主。
▼J・P・サルトル(一九〇五〜一九八〇)
初出・「死のサルトル」(『現代思想』一九八〇年七月号)
著書・『嘔吐』『存在と無』など
吉本隆明は『心的現象論』(『試行』連載)や「触れられた死」(『死の位相学』潮出版社・序文)などで言及している。
▼対馬忠行(一九〇一〜一九七九)
初出・「情況への発言ーひとつの死に関連してー」(『試行』五三号一九七九年一二月)
著書・『スターリン主義批判』『天皇と明治維新』など
鼎談「反スターリニズムの周辺」がある。
▼遠山啓(一九〇九〜一九七九)
初出・「遠山啓さんのこと」(『海』一九七九年一一月号)
著書・『数学入門』『文化としての数学』など
長井・江崎特許事務所への就職を斡旋。『言語にとって美とはなにか』(勁草書房)に推薦文を寄せている。
▼平野謙(一九〇七〜一九七八)
初出・「断章ー平野謙についてー」(『文藝』一九七八年六月号)
著書・『島崎藤村』『芸術と実生活』など
鼎談「戦後文学白書」をはじめ座談会「戦争責任を語る」「批評の誕生」「”知識人の責任”とはなにか」「埴谷雄高ーその仕事と人間」「日本思想史と転向」「左翼文学」がある。
▼竹内好(一九一〇〜一九七七)
初出・「竹内好の死」(『文藝』一九七七年五月号)
著書・『魯迅』『国民文学論』など
対談「思想と状況」、討議「62年の思想?吉本隆明著『擬制の終焉』をめぐって」がある。
▼村上一郎(一九二〇〜一九七五)
初出・「哀辞」(『磁場 臨時増刊 村上一郎追悼号』一九七五年五月)
「情況への発言ーきれぎれの挿話ー」(『試行』四三号一九七五年六月)
著書・『明治維新の精神過程』『東国の人びと』など
『試行』創刊同人。鼎談「「情況」と「行動」・その他」がある。
▼三島由紀夫(一九二五〜一九七〇)
初出・「情況への発言?暫定的メモ?」(『試行』三二号一九七一年二月)
「檄のあとさき」(『新潮』一九九〇年一二月号)
著書・『花ざかりの森』『仮面の告白』など
吉本隆明『模写と鏡』(春秋社)に推薦文を寄せている。
▼岩淵五郎(一九二七〜一九六六)
初出・「一編集者の死と私」(『週刊読書人』一九六六年三月一四日号)
「情況への発言ーひとつの死ー」(『試行』一七号一九六六年五月)
吉本隆明『模写と鏡』『高村光太郎〈決定版〉』(ともに春秋社)の編集を担当。『試行』の校正も手伝っていた。
▼岸上大作(一九三九〜一九六〇)
初出・「無題」(岸上大作『歌集 意志表示』白玉書房一九六一年六月刊帯文)
「岸上大作小論」(岸上大作『意志表示』角川文庫一八七二年五月刊解説)
著書・『岸上大作全集』など
岸上大作の遺書「ぼくのためのノート」の中に吉本隆明に関する記述がある。また吉本隆明の岸上大作宛書簡も残っている。
▼吉本政枝(一九二二〜一九四八)
初出・「姉の死など」(『龍』一九四八年三月号)
宿沢あぐり編「吉本政枝 拾遺歌集」(『続・最後の場所』四号・五号掲載)がある。
(2019年4月10日刊)