台風騒動

 

この夏のイギリス旅行は障害者別の旅を企画する会社のモノを選んだ。視覚障害者向きには年に4・5回の企画があるとのことを知りこれからも利用したいと思う。

旅は3組の夫婦、一組の父娘、それに単独で介助者をこの会社に御願いした私を含め4人の障害者とそれを介助してくれる人たちだった。ツアのご常連も何人かあり、楽しく旅は進行した。ところが帰国の為にロンドン、ヒースロー空港に着いたとき日本は台風なので出発を2時間半遅らせるとの知らせ。遅れて到着した成田では国内便は運休、最終のJRにも間に合わないことが分かって、はたと困った。

行った事のないホテルへは一人で行けない私の為にこのツアで他の障害者の介助役をした立川に住む女性が私に同行同宿してくれると申し出てくださったのはまことに有難かった。彼女は素晴らしい女性だった。このツアに参加を決めてからはあらゆる下調べをして、介助者としてその介助する人に細かな説明もなされているようだった。ヒースロー空港で飛行機が遅れて出発をすることが分かった時にも待ち時間を皆さんが楽しく食事をしながら過ごせるように取り仕切ってくれた。

 

今、旅の余韻を楽しみながら振り返って見ると3組のご夫婦も非常に仲が良くて労わりあっていらっしゃる。夫に障碍がある人が二組、妻に障碍のある人が一組だったが、私はとりわけ妻を支えていらっしゃるご主人に羨望を感じた。もし、私の相棒が生きていたとしても、ああは親切に私に接してはくれなかっただろう。私も夫につかえると言うタイプの妻ではなかったからおあいこなのかもしれない。羨望を感じるのはお門違いと言うものである。等と自己反省しながらまだ地に足のつかないような気分であの暑かったロンドンを思い出している。

 

2003年8月

 

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