障子張り

 

 生活様式が変わる毎に省略を続けて来た年中行事の中でどうしても省略の出来ない事に障子張りの作業がある。我が家は古い木造建築であるからその障子の数は非常に多い。腰に布の張られた物、ガラスのはめ込まれた物、さんの細くこまかい物から大きくあらい物など多種多様にある。クーラー等使わなかった時代、私はこつこつと季節に合わせて少しずつ張り替えた。視覚障害者となった今、一人でこの作業をする事は不可能となった。そこで我が同居人に出馬を願わねばならない。まず私が綺麗に水洗いをして張るばかりにしてから糊つけと紙のカットをして貰う。それからはめ込み、何しろ古い家なのですんなりと治まらない箇所がいくつかある。そのような場合は私が敷居の上にのり手で鴨居をしっかりと持ち上げその間に戸をはめ込んで貰う。これらの作業を二人のスケジュールをにらみ合わせ水仕事の冷たく無い季節に家を二ブロックに分けてやらねばならない。水洗いは私の主なる仕事だが張るときは私は手もとをつとめるに過ぎない。後何年この仕事が出来るかしらと思いながら今年もやっと年中行事を終えたのである。1996年6月 

 

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