差し入れ

 

嬉しいことに、私には食べ物を時々差し入れてくれる何人かの知人、友がいる。一人暮らしの食卓を思いやっての事だと感謝している。私は昔から物を沢山作る癖があり、家族が少なくなった頃、作りすぎだと苦情を相棒によく言われた。まして、今一人分の食事となると、おままごとの様なことになるので変わったことはするのが億劫になるし、煮物は沢山作ってお互いの相乗効果で美味しくなると言うこともあるのだが、食事作りはおざなりになりがちである。それを皆さんがフォローしてくださる。下さる人は、それぞれ先ず、電話でこんな物作ったけど食べる?と聞いてくれる。私はすかさず「食べる、食べる」と返事をする車を運転する人は、「じゃあ、下に降りていて」と言うことになり、私はエレベーターで降りて玄関で受け取る。又、運転の出来ない人は運転手役のご主人を車の中に待たせて私の部屋まで運んでくれる。

内容を説明しなければとの思いやりからで、私は待っているご主人にすまなく思う。

かくして私はいろんな家のいろんな味を賞味する機会に恵まれている。特に旬の物はそれぞれの家庭の味があり楽しい。今年も春一番のフキノトウ味噌を早々と味わわせてもらった。これは、頂いた「ねはんだんご」をトースターの天板に並べて焼き、付けて食べるとまさに季節の味である。

昨年の夏、私の現役主婦の頃は沖縄でしか口に出来ない、と思っていたゴーヤを最近はこの地方でも家庭菜園で作る人が多くなったのか、ゴーヤーチャンプルにしたのを頂いた。美味しかったと言うと食材そのもののゴーヤを下さり、貰った私もチャンプルに挑戦して何とか食べられる物を作ることが出来た。

そろそろ竹の子が出る季節になるが、これも煮物や竹の子飯になって私の食卓に登場する筈である。先日もスーパーで小鰯が沢山売っていたので鰯の酢入りを作ったからと烏賊と大根、里芋を一緒に煮たのとを届けてくれた人がある。かくして私の食卓は頂き物で潤い、私のエンゲル係数は低位置で止まり(これは少しオーバーかな)文化的な生活を享受している。

 

2004年3月

 

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