小さな旅

 

 行楽の秋、私も小さな旅を二つしました。一つは地域の障害者のグループと太田の自然休養村へ芋掘りに、もう一つは大阪の府立体育館で開かれた「96体操フェスティバル」に出場者の一員として参加してきました。芋掘りも障害者仲間と助けあいながら楽しいものでしたが,本人の性格かそれとも優しすぎる家族に囲まれての生活の結果か、自分で出来る事もせずに人の手ばかりをあてにしている人を見ると何か寂しい気がしました。自分で出来る事はできるだけ人手を煩わせずにするべきではないでしょうか。

体操は見ながら学ぶ事の出来ない私のために、新しい動きをマスターするために手をとり、足をとりしながら教えて下さる先生には本当に嬉しく、目の不自由になった今も続けてこれました。そして体操祭にも一緒に参加しようと誘って下さる仲間と、共に行って来ました。日本各地から集まった老若男女が演ずる実技や色鮮やかなコスチュウムを見る事は出来ませんがそれぞれの音楽はしっかりと聞く事ができ、そのリズムに合わせて動きたい衝動に駆られます。私は導引養生功という中国体操を四分三十秒に短縮したのを各地から来た人達と演じて来ました。広いフロアで大勢と共に気持ちよく動いていると心も広々となり、とかく井の中の蛙になりがちの自分をリフレッシュさせた様でとても嬉しく思って帰ってきました。

1996年10月 

 

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