夏風邪

 

夏風邪をひいた。久しぶりの夏風邪で油断をしていて常備薬を切らしていることに気がつかなかった。単なる風邪だと自己診断しておとなしく安静に努めて治そうと思った。3日間は無気力になり、咳き込むたびに気管がびんびんと痛む。誰かにSOSを出して薬を買ってきてもらおうかと何度も思った。

その度に、たかが風邪では無いか?皆さんそれぞれの生活があるのに、予定を狂わせてはいけない。私さえ我慢をすれば人には迷惑をかけずにすむのだから、とひたすら時間のたつのを待った。

そして次のヘルパー来宅の日を向かえ、買い物に出たついでに常備薬も求め、風邪は一段落したように思っていた。

ところがどうやら右足の太ももの辺りが風邪のひき始めの頃からピピッとした痛みが走ったがその辺の骨や筋肉を触ってみても少しも痛まない。時折ピピッが来るけど心配するほどの痛みではなかった。それが、風邪の治りがけにちょっと見るとブツブツした突起物が群れを作ったように出来ている。

これはちょっとおかしいのではないかなと、一応皮膚科の診察を受けることにした。これも緊急の場合だったのでヘルパーの利用は無理と思って、いつも利用するタクシー会社に「病院の受付まで連れて行ってくれる運転手さんに来て欲しい」と申し込んだ。ここでの診断は即、帯状疱疹と診断され、それも小火ではなくて火事になっているとの診断だった。抗生物質の飲み薬を処方してもらって帰宅した。

それから指示されたように八時間ごとにカプセルの薬を飲んで週末を送った。

これはかなりきつい症状が現れ始めて、患部は痛むし頭は重い。どうにかその苦しい時を過ごして次の予約の日に受診した時、医師は峠を越えていると診断してくれた。

だが私の頭は重く気分は優れない。その間に会った友や知人に今回経験した話をすると、皆「言ってくれれば、いくらも手伝いをしたのに」と言ってくれる。

その中に一人だけ違った言い方をする人があった。私は迷惑を掛けたくないから自分で耐えていたと言ったのに対して「貴女は、人から頼まれると嫌だなと思うから、他人もそう思うだろうと遠慮をするのだ。自分は、頼まれても嫌とは思わないから人にも簡単に頼みごとをする。」というのである。

これはちょっとショックだった。ものの受け方の違いを痛感させられた。

私は頼まれごとで自分の出来ることは少しも嫌だとは思わずに、役に立ちたいと思う。ただ、人には出来るだけ迷惑は掛けたくないとの思いは強い。人生いろいろだけど、ものの受け取り方もそれぞれにあるのだなと感じた出来事だった。

2004年6月

 

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