飛行機嫌いだった息子


長期出張の為、息子が海外へ旅立った。約二十五年位前、彼が小学校四年生の春休みに初めて羽田から富山へ帰る飛行機に彼を乗せた時、当時は飛行機の機体も小さく、当日の天候も悪かったので私たち母子共ひどく酔ってしまった。私は大地に足がついたとたんに元気になったが、彼は家に帰りついてもまだゲボゲボの状態ですっかり飛行機嫌いになってしまい、その後沖縄で開かれた海洋博覧会に行こうと誘っても、僕は飛行機に乗らずに泳いで行くと言っていた彼が今、アメリカ大陸の空を大きく南北に飛んで年末まで帰らないと言う。そして来春には家族を伴って海外勤務につかねばならないと言う彼に私は時の流れを感じる。そしてラジオから流れてくる世界の今日の天気に耳を傾けながら、任務を終えて無事帰国する彼を待つばかりである。

1996年11月 

 

 

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