携帯デビューはしたけれど

人並みについに、携帯電話を入手した。DoCoMo FOMAらくらくホン(F880iES

携帯電話なるものは一人暮らしには無用の代物と心得て、手を出さずにいた。その便利さは人との待ち合わせの際などに垣間見て、フンフンと少々羨ましくもあった。が、一人暮らしではいらないよ、と言い聞かせていた。
しかし、一人暮らしだからこそ必要なのだと言う人の言葉に踊らされてついに手に入れた。

先ずそのキーの配列がパソコンと違ってあまりにも滑らかでスベスベしているのに驚いた。どうにもキーやら何やら判別がつかないのだった。でも、何度か撫で回しているうちに、どうにか少し分かるようになった。それから、そのキーの機能を覚えるのに又悩み、どうにか電話番号を登録する段階までたどり着いた。

ここからが又、ひと悶着である。入力する際の文字は全く音声が出ないので、晴眼者にお願いしなければならないということが分かった。そして驚いたのは携帯を持っている人なら誰でも手伝ってくれるものと思い込んでいたが、そうではないのである。勿論機種にも依るのだろうが出来ない人が多いのだった。いわく、「そのようなことはかみさんにやってもらってるので出来ない」と言うおじさん、若くても出来ないという人もあった。そこで私は「何さ、使いこなしてる人って少ないのだな。それだったら私と同じじゃない。じゃあ、私少し頑張ってみようかな」と言う気持ちになったのだった。

ところがところがである。使用方法についての音声ガイドはまことに親切にしてくれるのだが、肝心の文字入力や変換に関しては全く音が出ないのであった。これではとてもメールは無理である。せっかく多くの機能を持った物を、手にしながら情けないこと、おびただしい。メールに関しては例文と言うものがあるので、それを利用して使うしかない。私の機種は、音声でメールが送れるらしいのだが、受けてくれる側が私と同じ機種を持つ人で無いと駄目だ言うのも、気に食わない。

私はカメラで写した物の色などを教えてもらうことにも使いたいと思ったのであるが、これも同じ機種で無いと出来ないことがわかり、いささか不満である。

でも、手に入れた以上亀さんのように遅い歩みでも少しずつ、この文明の利器を使いこなして行きたいなと願っている。目下は音声時計としてのみ働いてくれている。

 

2004年10月

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