価値観

イラク戦争の始まった日に地元の空港を利用した。手荷物検査でペットボトルのミネラルウオーターが可燃物ではないかとリュックの中の物を全て男性検査院が広げてチェックをした。あまりいい気分ではない。最も帰国の際の羽田では靴の上からまで押さえての検査だった。

香港経由での路線だったので今流行の新型ウイルスによる肺炎を警戒して空港職員始め、旅行者もマスクをしている人が多い。到着したニュージーランドの法律は今まで訪れた国のものとはかなり違うようだった。12才以下の子供を一人で家に置いてはいけない。バスの運転手は昇降口で客に手を貸してはいけない。労働時間は厳しく守られ運転中でもその時間が来れば代わりの運転手がその場に控えて交替すると言った具合だった。個人的には親切な良い人たちだ。

後泊の成田のホテルで朝の食事をしていたときに、私は少なからぬショックを感じた。と言うのはこの度の旅行で2度目の付き合いになる添乗員がいつも親切にしてくれて何かと優しい声をかけてもらった。彼の母が夫を亡くして弟の家族と故郷で暮らしているので私を見ると母を思い出すとかで皆に親切な人だがとりわけ私には優しい声をかけてくれていたように思う。その彼がレストランのテーブルに一人座って食事をしている私の姿が寂しそうに見えると言う。そして相席をしてくれて何かと世話をやいてくれた。私はバイキングの時はウエイターに和食でとかそのときの気分である程度の注文を出して、後はみつくろって貰ったもので食事を済ます。会食や相客のあるのもそれなりに楽しいが一人での食事は気兼ねなく少々行儀悪く食べてもいいので気楽で好きである。でも、他人の目から見ると盲老女が一人公共の場で食事をするのは哀れみの感を与えるのだろうかと今まで感じたことの無い思いに打たれた。

そうだったらやはり、人目につかないようになるべく家で過ごした方がいいのだろうかといささか落ち込んだのである。

2003年4月

 

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