初めての介助者

出逢い

今年もいくつかの出逢いと別れがあった。最も嬉しかったのは夏のカナダ旅行の時、私の介助役を引き受けて下さったMさんとの出逢いである。今回の旅は自由行動が多いので介助者を連れて来て欲しいと言われたとき心当たりの友に声を掛けたが皆返事はノーだった。

困っている私に大阪在住の従姉妹が紹介してくれたのがMさんだった。中学教師を定年でやめた後、日本語を教えに半年間アイルランドへいってきたという彼女と成田空港で初対面の挨拶を交わした時、障害者に接するのは初めてという彼女の肩にはかなり力が入っているのが私の手に伝わって来たので、力を抜いて下さる様にお願いし同行して貰った。

一週間はとても素敵な日々だった。Rの発音がとても綺麗だと褒めた時、「ホームステイした家の子に、朝から晩まで直されたのよ」との事だった。お陰で私も心強い旅が出来、同行人達から三十年来の友人の様に見えると言って下さったのはとても嬉しく、地元で介助者を見つけられなかった不満は消し飛んだ。

そしてこの旅ではもう一つ心に残る人があった。大企業の管理職の立場にある人なのに私と同じ立場にたってさりげなく細やかな気配りをして下さるのは本当うに嬉しかった。障害者である私はとかくひがみっぽい気持ちになりがちなのだが上から見下した態度でなく、対等の立場で接して下さる人には心から感謝したくなる。

 

1996年 11月

 

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