ガイド

四人のガイド

バルト三国への旅では四人のガイドの説明を受けた。

最初の訪問国エストニアでは、この国の社会学を勉強したくて5年前にこの国へ来て、後4年間は勉強を続けたいと言う日本女性だった。いつも外国を旅して何処の国にも日本女性がガイドとして働いているのに感心し、日本女性の世界への進出に心強く思う。

次のラトビアでは、この国の女子大生がガイドをしてくれた。この年齢で難しい日本語をマスターしてガイドの仕事をするのだから相当な勉強をしたことだろう。難しい熟語なども心得てはいたが、矢張り経験が浅いのでぱっと言葉が出ず、こちらが助け舟を出さなければならないような場面も多かった。何しろ日本人自体がこれらの国へあまり来ていない中での日本語の勉強である。その意欲を買うべきだろう。

それに引き換え、リトアニアを案内してくれたガイドの男性は素晴らしかった。独学で漢字をマスターしてこの国の日本語コンクールで優勝したと言うだけあって日本に関する知識も素晴らしい。私は彼にどうして日本に関心を持ったのかを聞くと、彼の友人がお前の先祖は日本人では無いかと言われたからだと答えていたが何の手がかりも無い中、独学で漢字を学ぶと言うことはそんなに簡単に出来ることではないと思う。専門は化学と言い趣味として取得した日本語を活用してガイドなどの副業に夏の観光シーズンは励み、冬の暗い、寒い時期には博士論文を書くのだと話していた。この国の国鳥はコウノトリでコウノトリは赤ちゃんを持って来てくれるだけでは無くて春も運んでくれるのだと言うことを話していたが私たちが春を待つ気持ち以上に太陽の現れる春を待つ気持ちは強いのだろう。

達者な日本語でユーモアを交えて説明してくれるのは本当に楽しい。大学生は女子が7割で男子は3割だと言うのも男子には軍事訓練が8年間義務付けられているので、軍事訓練は筋肉には良いが脳にはあまり良くないなどと私たちを笑わせていた。

飛行機の乗り継ぎの都合で、コペンハーゲンで半日観光した時のガイドは日本女性。これはいかにもプロのガイドさんといった人でかつて私がデンマークを訪れた時に回った人魚の像や鹿公園、チボリ遊園地などを案内してもらった。

お天気は上々、気温も最高で25度C位にやっと2・3日前になったと言っていたがバルトの三国の涼しさから日本の猛暑に戻る間のワンステップとしてコペンハーゲンでの半日はもうけものだった。

このように今回の旅でもいろいろな出会いがあったがこの旅を介助してくれた人も良い人だった。ツア参加者14名の中にご夫婦が三

組あり、彼女はそれら仲の良いペアを見ながら、私に羨ましく無いかと聞くのだが、私は「ゼーン、ゼーン」と彼女の期待を裏切る返事をする可愛げの無い人間である。優しい彼女は単独参加の私を思いやって言ってくれるのだが余力のなくなっている私は自分ひとりで沢山なのである。

 

2004年8月

 

メールはこちら

ホーム