襟裳岬、十勝平野

 

一人暮らしが始まってから、日本の夏の暑さを避けるように、毎年海外に出ていた。しかし、今年は出かける意欲が湧かず、ずーっと日本に居たのは、唯一人の姉が最終末期を迎えることになるのを、知らせてくれる不思議な力が働いてのことだったのだろうかとふと思うのでした。

 

姉の終末を見送り、一連のお別れの行事を終えて、あまり、それまで気の進まなかった北海道への旅の誘いにのったのは8月下旬のことでした。

 

例年のように富山空港から乗った飛行機には高校生の団体も乗っていて満席状態だった。到着した羽田へ出迎えてくれたのは、今回の旅を介助してくれる若い女性。彼女のことは、ちらっとブログにも紹介しているので、ここでは省略をする。その彼女が、「横浜までリムジンバスを利用すれば速いから」と言うので、その意向に従って京浜線では無く、バス利用で横浜駅に到着。少し乗り換えてにっぽん丸の出る横浜港大桟橋に着いた。

 

ニッポン丸に乗るのはこれで四回目となる私は、ゆとりの気持ちで乗船をした。

 

午後2時に出航した船は穏やかな三陸沖を航行して小樽へと向かった。船内では夕食の後のラテン系のタンゴの演奏を楽しみ、初日は終わった。

 

二日目はおはよう体操から始まった。楽しい指先運動、椅子を利用したフィットネス、タオルを利用したフィットネスと、運動不足をカバーするようなものを選んで船内イベントに参加してクルーズライフを楽しんだのでした。カジノゲームでは、競馬のゲームに参加して、少し儲けたり、外れたり、はずれ賞でマグカップを貰ったりと若い人と楽しんだ。船長主催のカクテルパーティでは、「すだち」の名前に惹かれて飲んだカクテルが一番アルコール度の強いものだったりして少しほろ酔い気分を味わった。ディナーの後は麻倉未稀さんのコンサート等、私の日常生活とは違う時間を持ったのだった。

 

そして第三日目、小樽に上陸、専用バスでの道内観光が始まった。

バスは札幌、千歳を横断して昼食の準備がされているむかわ町へ向かった。此処はししゃもが捕れる所らしく「四季の館」と言われる第三セクターで経営されているらしい場所でのお弁当だった。しかし、名物のししゃもは三尾くらいで、冷たくなった物が入っているお弁当だった。昼食後、アイヌ資料館に立ち寄り講演を聞いたり資料館を見学した。私は半世紀前学生時代に始めて北海道に旅した時は、確か白老でアイヌの家を訪れた記憶がある。だが、その頃とは大違いな立派な資料館だった。

そこからその夜の宿泊地、うらかわ優駿ビレッジ「AERU」に到着した。此処は草原牧場の中のホテルとして有名なのだと聞いた。広い建物の中で大浴場へ行くのも草臥れるくらい遠かったように記憶をしている。食事は朝、夕ともバイキングだった。

 

第四日目は朝食後敷地内の馬場で乗馬体験。乗馬も四度目の体験となる私、今回はちゃんと引き手もある乗馬ですからすっかり安心だった。ジムでの乗馬マシーンで馬の動きにつれて腰を移動することにも慣れていて、あのアイスランドでの引き手も無い恐怖の乗馬体験から見れば全くゆとりです。馬場を二周させてもらったのだった。

この乗馬体験の後、襟裳岬へと出発。「風の館」では風速25メートルを体験。森進一、島倉千代子の歌碑などを触って、次なる花畑牧場へ向かった。此処で昼食にホエー豚丼と言うのをビーチパラソルのような大きな傘の下のテーブルで賞味した。デザートにソフトクリームなど舐め、大騒ぎの生キャラメルをクール便で届くように手配したのだった。

 

此処から幸福駅に立ち寄り、帯広でのお菓子の老舗「六花亭」に立ち寄り、賑やかに買い物。次に鍋島公園に立ち寄った。日本庭園、ヨーロッパ庭園、芝生庭園などがあったように思う見事なお庭だったと言う記憶が残っている。盛りだくさんなこの日のスケジュールを終えて十勝川温泉第一ホテルに到着をした。

この日の夕食時に、始めて、今回参加したツア仲間の自己紹介が行われた。総勢25名の内、ほとんど顔見知りが多くて、このツアに始めて参加をした人は少なかったように思う。

温泉はお醤油を薄めたような色のお湯で、肌が美しくなる成分を含んでいるとか。まあ何処の温泉へ行っても言われるのだが。広い大浴場、露天風呂などでこの旅最後の夜を楽しんだ。

 

旅の最終日は大きな花時計「ハナック」のある十勝が丘公園を散策した。夏から秋への花の移し変え中らしく視覚でお花を見ることの無い私はすっかり、印象が無くなって、帰途の羽田空港で待ち時間の間、思い出そうとしてもなかなか思い出せない場所になっていたのだった。

その後、池田町ワイン城でぶどうの栽培からワインになるまでの行程等の説明を受け、試飲などもして城内のレストランでこの旅最後の昼食を摂った。

ぶどうの栽培も寒い土地なので、収穫が終わると木には土をかけて保護するなど、寒い土地での苦労話を聞いた。本当はワインの一本くらいお土産に買いたかったのだが、航空機を利用するので、セキュリティのことを考えて断念したのだった。

 

今回の北海道はガスがかかり、霧のような雨の日が多かった。しかし、傘を必要とするほどには降られず、まずまずの天候だった。食事は、船内の豪華な食事に圧倒されて、常に満腹状態のような日が続き、バイキングではあまり欲しいとは思わなかった。お肉類が柔らかく美味しく、海の物はほんの少しだったように記憶している。過去のクルーズで船酔いに悩まされて、もう船には乗りたくないと思っていた私だが、今回は穏やかな海で船酔いも無く、無事に旅を楽しむことが出来たのでした。

2009年9月

 

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