団子

 

今年も又、生まれ月が巡って来た。昨年の誕生日はこれまでの人生で出会わなかった経験をした。

 先ず誕生日前日に、ロータリークラブでの卓話なる物を頼まれた際に、終わりに明日が誕生日だとつい、余計なことを口走った為に、主催者から交通費以外にお祝いと書かれた金1封を頂くというハプニングに出会った。勿論それを一人占めする気の無い私は、所属するボランティア団体の皆さんにささやかなお茶とお菓子を提供することで皆さんにもお裾分けをした。

 そして翌日、流氷ツアーに参加をするため、富山空港から羽田へと向かった。羽田集合時間に間に合わせる必要から羽田での前泊をしなければならなかった。空港でその夜宿泊するホテルからの迎えの車に乗ってからの私と運転主君の会話である。

 「お客さん、どちらから」「とやまです。」「富山はどちらですか」「高岡です」「氷見って知ってますか」「勿論、よく知ってます。」「私は学童疎開で氷見のお寺へいってました。」そこで思わず私は「まあ、同じ世代だわ」と叫んでいました。

 それからの車内は彼の疎開時代の思い出や私自身の疎開生活、高岡は焼けなかったが生家がデパートの隣だったために建物疎開にあって縁故を頼って城端に疎開をした話、運転主君は現役時代に勤務した会社の工場が城端にあり何度か行ったことがあるなどと話は弾んだ。

そこで私はホテルにはドンナレストランがあるかと聞くと、ビジネスホテルなので夜はレストランは開かないと言う。じゃあ私今晩何を食べればいいのかしらとつぶやくとホテルの近くにレストランもコンビにもあるからいくらもお供をしますよと彼は言ってくれた。

そこで私は1度ホテルに入ると億劫になるので、ホテルに着く前にコンビニへ寄ってもらうことにした。

その駐車場でつい又余計な口を利いて、今晩は誕生日なので何か美味しいものを食べようと思っていたのにコンビニのお弁当になっちゃった。と言ってしまった。彼はそれは何かお祝いをしなければねと言いながら私をコンビに内へ案内をしてくれた。お弁当を買ってレジをしている時に彼も何か買ってる様子なので夜食でも用意しているのかなと思いながら、車に戻った。

そこで彼がお祝いですと包みを手渡してくれたのである。中身は団子3兄弟のようなお団子が3本入ったパックを2箱もプレゼントをしてくれたのだった。

私はその気持ちが嬉しくて有りがたく頂戴した。

そして流氷ツアーから帰る際、釧路の空港で生チョコを準備し、後泊のホテルの迎えが又、同じ運転主君だったらお返しにしようと思っていると矢張り同じ人が羽田へ迎えに来てくれた。私は感謝を込めて生チョコを彼に進呈した。

彼ははにかんでなかなか受け取ろうとはしなかったが、どうにか受け取ってもらった。こうして旅をすると思いもしない楽しい出会いがあり一人暮らしの私も結構楽しい人生を送っている。

2003年2月

 

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