雨女

今年、ギリシア、バルト三国を旅した時に知り合った人たちと奈良で会う話が持ち上がった。橿原に住む人が強く私をも誘ってくださるので一人で京都まで出かけ、そこへ迎に来てくれた人たちと合流して楽しい時間を過ごして来たのだが、私は自称「雨女」である。それに加えて今年はやたらと日本に上陸する台風が多くて、今回も日本列島をうかがっている台風に向かって出かけた。予報どおり車中から雨になり、目的地に着いたときは風は無かったが雨がかなり降っていた。その中を橿原神宮、飛鳥の石舞台など見学。奈良に向かって走り、大仏を見るのを楽しみにしてきたと言う今回岩手から来たご夫婦と4人で奈良公園と大仏様などを見学してホテルに入った。

この夜は季節の松茸の土瓶蒸しなど和食で旅の思い出などを肴にしておしゃべりに興じたのだった。

翌日は台風が再接近をするとの予報なので岩手からの参加の御夫婦は予定を変更して、早い新幹線で帰郷された。これはまさしく正解で、後飛行機は休航、新幹線は不通などのトラブルが続出したので、台風より一足早く移動されたのは幸運だった。

私は厚かましく橿原に住むHさんのご好意に甘えて、彼女の家に一泊を決め込んだ。台風が接近、接近と言うので外出は控え、彼女の家にもう一人近くに住む友も加わり談笑にくれた。再接近と言われる割には風もそんなに強くなくて「どうなんでしょうね。」と言った感じでその夜は終わった。

翌日は台風一過と言うほどの上天気では無かったが雨も上がったので「お里、沢市」で知られる坪坂寺へ案内をしてもらった。奈良と言うのは、流石に地名を聞いても由緒ある名前、昔習った歴史の深い山や古墳の名前がポンポンと飛び出してくる穏やかな盆地であることが感じられるのだった。午後のサンダーバードで帰る私を京都駅まで送ってもらい、そこで台風の影響がひどかった富山からの車輌の都合で列車に大きな遅れが出ているのを初めて知った。

そしてどうやら、今回の一人旅は無事に終わったのだが高岡駅から利用したタクシーの運転手の話で当地はすごい風で瓦は飛ぶ、杉の木は倒れるで、生きた心地はしなかったと言うのを聞いて私は奈良へ台風を避けに行ってきたようなものでは無いかと思ったりした。初めて携帯電話を携えて出発をしたのであるが、車内での携帯電話はマナーモードでとか。かけるときはデッキで利用するようにとの車内アナウンスを聞きながら私などはフラフラデッキへ行ってまで電話をかける気も無いしと思っていると、結構呼び出し音は聞こえるし、話している声も聞こえる。皆さんあまり、車内アナウンスを守っていないのが分かった。

 

2004年10月

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