相性

 

ギリシアへの旅を申し込んだ時点で私はその地名、ギリシア神話の神様の名前など覚えることが出来ず、どんな旅になるのか心配だった。でも羽田からのリムジンバスで乗り合わせた女性から声をかけてもらい、彼女のご主人も視覚障害者になってはいるが、青森で会社を経営しているそうだ。そんな彼女が始めて成田空港から上海に留学している息子の所へ行くのだ、と言う話など聞きながら成田へ着いた。実はリムジンバスの降り口に迎えに出てくれるはずの人が私よりも遅く成田着の懸念があり、その場合は待つか空港警備員に宿泊ホテルへのシャトルバス乗り場へ案内を頼もうと思っていたのだが、彼女が親切に、自分はまだ時間があるから一緒に待ってあげましょう、と申し出てくれた。これは幸先の良い出会いで始まった旅だと心嬉しく思ったのだった。

ところが実際の旅にはトラブルが続き少し晴れない気持ちになったのだった。最初のトラブルは眼鏡の変形、次には膀胱炎にかかると言うトラブルだった。そのせいか折角のギリシアも大きな柱の残った神殿や遺跡の訪問に必至について歩くのが精一杯で楽しむと言う気持ちにはほど遠かった。いつもの旅では参加者の総ての人と会話を交わし、仲良しになれるのだが、今回直接言葉を交わした人は参加者の内、半分にも満たない状態だった。でも私なりの旅の楽しみ方はしてきた。
どの遺跡だったか忘れたが、高校生らしい修学旅行の一団の若者が、私の前を歩きながら、彼がただ一つ知っているであろう日本語の「サヨナラ」を私に向かって連発する、そこで私も大声で「サヨナラ」と返すと女の子の群れはキャーキャー騒ぐ。いずこの国も女の子はおしゃべり好きである。そこでは先生と生徒が同じように喫煙していると言うので、驚いていると、ガイドがこの国では政府が「煙草は体に悪いですよ」との注意はするが、後は自己責任で行動をするのだと言う。飲酒運転も営業車は禁じられているが一般のドライバーは自己責任で飲酒運転もするのだとかで、とても事故が多いそうだ。

ガイドお勧めのピスタチオの入った手作りのアイスクリーム、ヨーグルトに蜂蜜をかけてたべるのもギリシアコーヒーもとっても美味しかった。この国の夕食はどうやら夜の9時頃から始まり、朝は軽くコーヒーとビスケットくらいですませ。昼もかなり遅く食べるらしい。これは早寝、早起きが習慣の私にはきついものだった。しかし郷に入れば郷に従うのがならいである。
3万人が入れると言う野外のすり鉢状舞台でツア参加者の一人がイタリヤ語で歌曲を歌っていたが、彼女にとっては良い思い出になるのだろう。今回はいつもの旅とは違ったトラブルを抱えてのモノになったが旅にもいろいろなハプニングが起きることを実感するのだった。

 

2004年5月

 

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