地方分権と地方の憲法



日本の将来において、地方分権の重要性については異論のないところとなった感があるが、果たして国民の思うところに納るのであろうか。

地方分権推進委員会ができて、幾つかの地方都市で市民の声を聴く会が催されているようであるが、ここでどれだけ建設的な意見が汲み上げられ、生かされていくのだろうか。

というのは、多くの国民にとり現在の地方分権論は観念的というか、情緒的というか、明確なヴィジョンなしにムードとして語られ、政局や他の大事件が起きるたびにジャーナリズムにより目先を変えられてしまう。すべてが推進委員会(改革に後ろ向きの労組代表もいる)と官僚まかせになっていて、ガス抜きに終わってしまうのではないかと危惧されるからである。

地方分権とは各地域が独自に憲法をもつこととの主張を日本では耳にしない。政治家、ジャーナリズムそして評論家たちの思い込みの程はその程度なのだろうか。本気で改革を訴えるなら、この程度のベクトルは必要であろう。

大学の政治学や法学のゼミなどで、学生達に出身の都道府県の憲法私案を作らせる、そういう教官はいないだろうか。ドイツやスイスその他連邦制の各州の憲法を比較検討しながら、市民と政府、議会と行政、財政と税制、中央と地方などの有り方をシステムプログラムとしての憲法案に凝縮させていく。

日本の殆どの大学では、ただの構内電話と自前のサーバーでインターネットは使い放題である。吉崎暢洋氏のリンク集などを通じて各国の、或いは地域の憲法が比較的容易に入手できるようになった。
そうした中で防衛なども他都道府県との集団的安全保障が一国の軍隊という結果になるかならないか、これからの日本を担う学生たちに考えさせる。そうして考えられた、いろいろな憲法案をマスコミが取り上げると同時にホームページで公開し、より強い改革のベクトルを形成していけないだろうか。

民主主義とは連邦制とする国々の行政全般、財政、選挙、司法などなど、民主的コントロールのシステムについて、国民的レベルで比較検討し議論すべきではないだろうか。単なるガス抜き、骨抜きに終わらせないために明確なヴィジョンとしての「憲法=システムソフト」作りを提唱する次第である。



このような取り組みをしている大学等があればリンクしたいのですが。
また、連邦制の国々の州など地方の憲法の情報もお寄せ頂ければ幸です。

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