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地方分権・財政権・議会解散と建設的不信任・「戦う民主主義」を確固とする司法等々、第二次世界大戦の敗戦により戦勝国の監視下で作られたもう一つの憲法典であるドイツ基本法は「この国のかたち」を考え直す上で欠かすことのできない参考例と思われる。
(ドイツ基本法の制定は直接軍政統治の米英仏にベネルックスを加えた6カ国監視の下に行われたと言えよう)
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一部の専門学部関係者だけでなく、インターネットのリンクなどを通じて、広く手軽にこの憲法典を参照し日本国憲法と比較できるようにすることは、戦後ドイツの政治システムに関心をもってきた者の使命ではないだろうか。決して一部の人間のアクセサリーであってはならない。
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この基本法が他の諸法律ともども、このような私的なサイトではなく、ドイツ連邦政府により公式日本語訳がなされ、公的にインターネットで配信されることを願うものである。
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HTMLの構成はザールブリュッケン大学にかつてあった独仏対訳版にならった。公式英訳を加えた3カ国語対訳としたため、左右対訳から上下の対訳とした。
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日本語訳については
西 修 訳(成文堂『世界の憲法−正文と解説−』1971年初版)
初宿正典 訳(三省堂『解説・世界憲法集』1994年第三版)
永田秀樹 訳(有信堂高文社『世界の憲法集』1998年第二版)
を参照し永田訳をベースとした。
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日本語では「州」または「邦」と訳している Land あるいは複数形の Länder であるが公式英訳でも公式仏訳でも原語のままなので、「ラント」あるいは「諸ラント」としておいた。
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Bundesgesetz は参照訳の多くで「連邦法律」とされてあるのを「連邦法」とした。
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参考にした訳文には、先達が中央集権的な雰囲気の中で訳したものを踏襲したものではないか、と思われる「国防」などの訳語が散見せられるが、原文で「国」という概念とは直接的には結びつかないと思われるものの訳語からは「国」の字をはずした。日本人の意識での「国」の対語には基本法では「連邦」が用いられているように思われる。
(例:連邦国旗→連邦旗、連邦国防大臣→連邦防衛大臣。その他 verteidig や wehr などを含む単語など)
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取りあえず「国民」と訳されている Volk であるが、公式英訳では people と nation の2訳があり、逐次 people からは「国」の字を除いていくべきかと思う。
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