A warm-hearted worm

みみず 「ここんとこ、息苦しかあないかい?」
おけら 「そりゃあ、あんたみみずだからさ。」
みみず 「そうじゃないよ、オレが言ってるのは。
      こころの問題さ。」
おけら 「こころ?何さ、こころって。」

みみず 「何さって・・・例えばだよ。
      オレは前に進むために土を食べて、土を食べるために進んでる。
      土を食べることと、前に進むことは同じなのさ。」
おけら 「うん、いいじゃないか。」
みみず 「違うんだよ、それが。
      出会っちまったんだよ、みみずに、しかも正面から。」
おけら 「へぇー、そんなこともあるんだね。
      で、よけて通ったんだ。」
みみず 「できないんだよ、それが。
      オレたちには目がなくても前はあるのさ。
      いや、前しかないんだよ。よけられないんだよ。
      それで決めたんだ。
      どっちかが土になろうって。」
おけら 「えっ!?できるの、そんなこと?」

みみず 「ああ。小さいころ、おばあちゃんに教わった。
      呪文があるんだよ、みみずには。
      でもやさしさってやつがないと、土にはなれないんだって。
      だから、しばらくそいつと相談してさ、
      2匹いっしょに呪文を唱えたんだよ。」
おけら 「・・・。」
みみず 「オレは土になれなかった。
      だから、オレはやさしさってやつを食べて生きてる。
      ここんとこ、前に進むのが苦しいんだ。」
おけら 「・・・みみずってやつも大変だな。
      でも、お前あれだよ。
      みみずは土の中に生きてこそ、みみずじゃないか。
      そういえば、こないだも見たよ。
      夏の日差しの中、土から出ちまったみみずを。
      そいつあ、望んで出たんだろうけど、あれはひどかったよ。
      むしろ、みみずは土に守られてるんじゃないのか?
      みみずは幸せものだよ。」

みみず 「そうか・・・そうかもな。
      ところで、やさしさって何だ?」

2001.1.27


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