四季の野鳥たち


空の仲間たち・・・日刊県民福井に連載



 4月から日刊新聞「県民福井」のコラム癒やしのページで「空の仲間たち」として,季節の野鳥について出会いの思い出や生態を,生息環境での自然を想いのままに・・・・.
1年間で8回の予定ですが,皆様に少しでも心和む癒やしのページになれば・・・と思っております.しばらくのお付き合いをお願いします.





11月16日「山麓に下りて餌探し」・・・ヤマドリ・コガラ

 晩秋ともなると、冷え込んだ朝は県境の峰々が白くなって雪の便りが届くのでは…と気になる。林道が雪で通れなくなる前に秋の名残りを探しに行くのも楽しみで、青空に映えるムラサキシキブの実を見つけたり、クマノミズキの枝先がサンゴのようになっているのを見つけると、渡って来た冬鳥の絶好の餌となっているのが分かる。
 厳しい冬がそこまで来ている静かな林道を見流していると、深山から山麓へ下りてきている野鳥たちによく出会う。ヤマドリもその一つで、長い尾をピンと伸ばして目の前を横切って行くことがある。その親の後からこの春に生まれた子供たちが慌てて藪へ逃げ込む。身体は殆んど同じ大きさに成長しているがちょっと短めの尾が目印だ。

ヤマドリ:2002.10.31 大野市モッカ平


 ヤマドリは日本固有種であり、古から短歌などに詠み込まれているが、キジと同じ部類に属しているものの、あまり目立たず何となく存在感が薄いように思う。ヤマドリは滅多に鳴かないこともその一因かもしれないが、その代わりに背伸びをして翼をバタバタさせて音を出す「ホロ打ち」をする。春先に山菜取りに山へ入ると、すぐ後ろで「ドドド…ッ」という音を聞いたことのある人も多いことだろう。びっくりして振り向くと、ヤマドリがこちらを見つめていて「な〜んだ、ヤマドリかぁ〜」とホッとしたものだ。
 11月15日からは冬の狩猟解禁となる受難の季節で、出会ったヤマドリも無事に春を迎えられることを祈りたい。この時こそ存在感を示さなくてもいいんだよ!
 こんな晩秋の林道で出会うコガラも冬を前にして深山から下りてきた野鳥だ。木の葉が木枯らしに飛ばされて寒々とした小枝の先や枯れた草の先で、餌が少なくなる冬を前にしっかりと食べておこうと実や種を探している。
 白い身体に黒いベレー帽を被ってとてもお洒落な野鳥で「ピチジュジュジュ」と仲間と会話しながら枝移りしている姿が可愛い。同じ仲間のヒガラやヤマガラなどと一緒に身近に感ずるひと時だ。

コガラ:2005.11.25 勝山市法恩寺林道


 初夏には深山で恋をして子育てをして精一杯楽しんできたのに、雪の季節は平野や河川敷などで懸命に生きているのだ。同じ野鳥でも夏鳥は餌が無くなる秋には南へ渡るが、コガラなどの留鳥は冬もここでしっかりと生き抜く力を持っているのだ。
 晩秋の林道では、懸命に生きている野鳥たちに出会えることが、もうすぐ冬だなぁと心配している自分を元気づけてもらっているのがうれしい。







10月12日「応援したくなる狩り」・・・ミサゴ・キンクロハジロ

 タカ渡りの季節もピークが過ぎて、林道でその出会いを堪能した人もいれば、イマイチだった仲間も多い。タカの仲間でも海辺で一年中出会えるタカにミサゴがいる。林道で満足な出会いが無かった人は、今度は海辺へ行ってみたらいいかも?
 ミサゴは、魚を餌としているタカで、オオタカやクマタカなど山のタカ類とはちょっと違う。海辺から大きな河川の近くで出会うことが多く、狩りも水面に浮いてきたボラやススキなどの大きな魚を狙う。そのハンティングは豪快で、上空から水面に突っ込み、鋭い爪で魚をワシヅカミにして岸辺の枯れ松へ向かう。両足を前後にして魚を掴み、目線の高さで飛ぶ姿は格好いいなぁ!。魚が跳ねているもの見えるし、必ず頭を前にして掴んでいるのには感心させられる。近くの枯れ松まで運んで頭に噛り付くと、やっと魚は動かなくなってゆっくりと食べるのだ。

2015.09.18:福井市福井新港で


しかし、このように狩りがいつも成功するとは限らない。水面に突っ込んでも何も持たずに飛び出してくることも多いようで、確率は40〜50%ぐらいだろうか?逆に悲劇は、魚があまりにも大きすぎて水中に引きずり込まれてしまい、命取りになってしまう事もあるらしい。彼らも命がけで生きているんだなぁ…と思うと、見ているだけでなくて頑張れ!と応援したくなるもんです。
 こんな水辺での楽しみは多くのカモ類に出会えることだ。カモ類にも水に潜れない淡水ガモと潜れる海ガモの2種類に大別される。海辺の近くでは潜って小魚や海藻を餌とする海ガモが多いのは当然だが、水面に浮いている餌を食べる淡水ガモも少なくない。このように餌の種類や採り方によってお互いに棲み分けているのも野鳥の世界だ。今日は海ガモの一種でキンクロハジロを紹介したい。黒い体に脇横の白いのが目立つが、眼が黄色で後頭部から垂れ下がった冠羽があるので識別は簡単だ。

2001.02.11:若狭町三方湖で


 海ガモというものの県内では、北潟湖から三方五湖などや足羽川や日野川などの、海から離れた河川上流部でもよく出会い、九頭竜ダム湖や小さな用水池でも見られることがある。「えっ、なんでこんなところにいるの?」と思わぬ出会いを楽しみ、鳥仲間には「あんなところのキンクロがいたよ!」と情報交換して、絆を深めてみたい
 秋が深くなるにつれて北国から多くの冬鳥が渡ってきてくれるので、寒さにも気遣いながら水辺の自然を楽しんでみましょう。





9月7日「秋の渡り」で南方へ・・・ツツドリ・ハチクマ

 9月ともなると澄んだ青空にほうきで掃いたような雲が見られ、周辺の山並みよりも先に秋が感じられる。夏鳥が南へ帰る渡りの季節になって来た。
 彼らは春に南の国から渡って来て、日本で子育てする種もあれば、更に北国まで行く種もあるが、この夏を精一杯楽しんできたことだろう。そして再び南へ帰る季節になったのだ。彼らには国境が無いからパスポートもいらないし・・・、いいなぁ、私も見知らぬ外国へ行ってみたいなぁ。

ツツドリ  1996.09.07;福井市飯塚町で


 そんな彼らに会いたくなって、河川敷の堤防を見流してきた。川原のオニグルミの枝には毛虫が群がっていて、それを餌にしながら一休みしているツツドリに出会った。初夏には里山に生息していて、竹筒を叩くような「ポン・ポン・・・」と鳴くのですぐ分かるが、秋の今は鳴かないので姿を見つけるしかない。ツツドリは毛虫が大好物なので、河川敷や堤防の桜並木へ来ることが多い。一休みしたら元気に帰ってよ・・・。
 秋の渡りと言えば「タカの渡り」も見逃せない。ハチクマやサシバ、アカハラダカなどは渡りをするタカ類で知られているが、彼らも初夏に渡って来て秋に南へ帰る習性がある。日本列島を南下するタカの群れに会いたくて、見晴らしの効く林道で待ち受けているのだが、これも地形により上昇気流の発生する場所や天候に左右されたりするので、こんな場所を探すのも楽しからずや・・・・。

ハチクマ  2016.09.26:福井市宇坂大谷で


 日本では愛知県伊良湖岬、愛媛県佐多岬、長崎県五島列島等が有名だが、県内ではそれほど有名な場所は無いが、嶺南の小さな岬や海岸沿いにある山々でそれなりに見られる。そんな標高700mぐらいの林道で出会うハチクマやサシバなどにはドキドキするから嬉しい。澄み渡った青空をスーッと流れるように飛ぶ姿が一つ、また二つ、と次から次と見つけられると、退屈しないから不思議だ。
 通常の探鳥では、タカを十分にゆっくり見られるチャンスはとても少ないから、この渡るタカを目線近くで、翼や尾の羽紋までじっくりと見られるのが魅力なのだ。これを見分けることで、種別、雌雄、幼鳥、成鳥を識別できれば、自分の識別レベルが判るというものだ。鳥仲間とワイワイと言いながらこんなやり取りをするのが「鳥キチ」だ。
 こんな林道にいると、タカだけでなく南へ渡るヒタキ類やツグミ類の小鳥にも出会うが、風雨に見舞われ、休めない海原を無事に渡ってほしいと願わずにはいられない。






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