四季の野鳥たち


空の仲間たち・・・日刊県民福井に連載



 4月から日刊新聞「県民福井」のコラム癒やしのページで「空の仲間たち」として,季節の野鳥について出会いの思い出や生態を,生息環境での自然を想いのままに・・・・.
1年間で8回の予定ですが,皆様に少しでも心和む癒やしのページになれば・・・と思っております.しばらくのお付き合いをお願いします.





3月8日  冬鳥ら北帰行の時季

 早や3月になった。久しぶりの大雪だったこの冬は、野鳥たちにとっても厳しかったに違いない。そんな冬を元気に乗り越えた冬鳥たちもそろそろ北帰行の時期だ。シジュウカラやカワラヒワなどの留鳥はもう繁殖期に入って、河川敷や郊外の公園の枝先でさえずりながら相手探しに懸命だが、アトリやツグミ、ウソ、カシラダカ等の冬鳥も懸命に餌探しをしているのに出会う。
 ヒレンジャクもそんな彼らに混じって飛んできてくれることがある。枝先に止まってくれたので、普通の野鳥だろうとあまり期待せずに双眼鏡をあてると、このヒレンジャクだったのにはびっくり。レンジャクの仲間には、尾の先が赤いのと黄色いキレンジャクの二種類いるが、彼らには毎年出会えるとは限らない。また「レンジャク」とは漢字で「連雀」と書き、「連なったスズメ」のように群れでいるのが普通らしい。

2013.03.29 足羽川で

 この日に出会ったのはたったの1羽だけで、もっと来ているのではないかと付近を探したが見つけられなかった。みんなとはぐれてしまったのだろうか?
 目の縁どりに顎の黒い模様と、はっきりとした冠羽の顔には歌舞伎の世界から出てきたようで、胸キュ〜ンになれるのがうれしい。街路樹のカナメモチやツゲの実を食べていることもあるので、街中でも要注意だ。
 河川敷ではシメにもよく出会う。草むらで餌探しをしていて、時どき枝に飛び移ってくることがある。ずんぐりした身体に太短い嘴と暖かそうな襟巻きをしていて、いかにも冬鳥という感じだ。この頑丈そうな嘴で、硬い木の実を割って食べるが、そんな実を探すのに河川敷や里山が適している。

2013.02.14  足羽川で

 シメの鳴き声は、こんな身体に似合わずか細い微かな声なので、アトリやカワラヒワなどに混じっていると、ほとんど聴き取れないことがある。やはり枝に止まった姿を見つけて確認するのが一番のようだ。彼らの群れを見ていると、遠い北国まで帰るのだからしっかり体力をつけて元気に帰ってほしいと願うばかりです。そして恋をして子育てをして、また晩秋にはここで元気な姿を見せてほしい。
 そんな想いで小さな春を探しながら堤防を歩いています。早春の野鳥との出会いも心温まる楽しいひとときです。長い間のご愛読、ありがとうございました。






2月1日 「美しさ 白銀世界 彩る」・・・オオマシコ・カケス

 2月ともなると朝夕は凍てつく厳寒の冬だが、陽射しがずいぶんと長くなって春はそこまで来ている感じがしてうれしい。そんな陽射しに誘われて山里の道をゆっくり見流していると、切り堀した斜面の草木に数羽の野鳥が群れで採餌しているのに出会うことがある。
 積雪のため餌が乏しいこの季節でも、斜面にはヨモギやハギ、ススキなどの草木、ウルシやリョウブ、カラスザンショウなどの灌木の実が残っていて、野鳥には春まで生き延びるための大切な餌なのだ。
 こんな環境にヤマガラ、シジュウカラ、ルリビタキ、ウソ、メジロなどが集まっていて、「もしかして・・・?」とわずかな期待をしながら探すと、オオマシコの赤い姿が視野に入ってきた。「うわぁーきれい〜!」と胸がときめいて、瞼の奥に焼き付けて、カメラでも撮りまくった。昨晩降った白銀の中で、枝先に止まるローズピンクの赤い鳥に感動して、心も身体も熱くなるから、これが鳥見の醍醐味で止められないんだなぁ。

オオマシコ 2013.01.28 福井市島寺町


 オオマシコは北国から日本の中部以北に飛来する冬鳥だが、その年によって来ない冬もあり、バーダー憧れの野鳥のトップクラスに入るほどだ。私も数十年前には冬の軽井沢まで探しに行って、初めて見たときの感動は今も忘れられない。福井では数年に一度しか見られない珍しい種になるだろう。
 こんな想いに酔っている林では、カケスが「ジャー、ジャー」と鳴きながら飛んでいるのが見つけられる。カケスは一年中こんな身近な林にいるカラスの仲間で、ゴマジオ頭に翼の青と白の細かい斑があって、飛ぶと白い斑とともによく目立つ。こんな美しい羽根なら記念に一枚欲しいなぁ、と想いを募らせている鳥仲間もいるくらいだ。

カケス 2011.01.30 大野市 六呂師高原


 林の中を散策していると、この美しい羽根が散らばっている場に出くわしたことがある。おそらくオオタカなどの猛禽類に襲われたのだろうが、厳しい弱肉強食の世界を見せつけられたようで、懸命に生きている彼らに思いを寄せたひとときでもあった。カケスは雑食性で主にドングリなどの木の実を食べているが、厳冬の冬は彼らにとっても厳しい季節で、餌探しもままならないだろうがしっかり生きてほしい。
  厳しい冬にも近場のフィールドを歩いて、そこまで来ている小さな春を探しに出かけてみてほしい。きっと心温まるものが見つかるから・・・。





12月21日 「北国から飛来の冬鳥たち」・・・オオバン・タゲリ 

 本格的な冬の季節になると、平野部の農耕地や河川流域に足が向いてしまう。はるばる遠い北国から来たカモ類など水辺の野鳥との出会いが楽しみだ。このカモ類に混じって泳いでいるオオバンによく出会うことがある。
 オオバンは真っ黒い身体に嘴から額にかけて白いのが目立つクイナの仲間で、河川の岸辺付近や用水路が流れ込む付近などで見つけることができる。北陸地方ではクイナ類はとても少ない種類だが、このオオバンだけはここ数年の間にとても増えてきている種で、北潟湖や三方湖の周辺では、40〜50羽の群れで浮いているのも見られ、時には岸に上がって採餌していることもある。大堤や日野川などでも普通に見られるようになった。

オオバン 2017.11.26 三国町大堤で


 自然界で野鳥が減少しているとも言われている中で、オオバンがこんなに増えているのは餌となる水生昆虫が増えているからとも言われているが、はっきりした理由は分かっていない。北国で繁殖している冬鳥だから、北国の生息環境が変わってきているかもしれないが、こんな群れに出会うと、生まれた北国の世界を想像してみるのも楽しいものだ。こんなに増えたのなら他の野鳥も多くなってほしいと思うのは鳥好きだけだろうか
 こんな平野部を見流していると群れで飛んでいるタゲリに出会うこともある。チドリ類の仲間で後頭部に長い冠羽が目立ち、背中には緑色や淡紅色の光沢のある羽根できれいな野鳥だ。群れで頭上を飛んでいる時は、身体と翼の下面の白と黒のパターンがはっきりしていて、すぐにタゲリだと分かる。冬枯れの田んぼに下りていると、田んぼの土色に溶け込んで見つけ難いが、雪が降って白くなると簡単に見つけられる。雪の田んぼでジーっと佇んでいるタゲリに出会って、今日の餌は捕れたんだろうか?と聞きたくなるくらいだ。

タゲリ 2012.01.31 福井市波寄町で


 このタゲリも冬鳥だが、その年によって飛来数が変化することが多く、なかなか出会わないこともあるので全体的な増減は分からないが、遠い北国から飛んできて、ここで厳しい冬を元気に過ごしてほしいと願うばかりだ。
 この冬は雪が早いような気がするが、北国の冬もきっと早くて厳しい冬になったのだろうか?凍てつく大地では餌が採れないので、どんどんと南下してくる冬鳥を探して、その数が例年より多いか少ないかを見てみることも大事かもしれない。そんな想いでこの冬も寒さ対策をしながらフィールドに出てみては如何だろうか。






11月16日「山麓に下りて餌探し」・・・ヤマドリ・コガラ

 晩秋ともなると、冷え込んだ朝は県境の峰々が白くなって雪の便りが届くのでは…と気になる。林道が雪で通れなくなる前に秋の名残りを探しに行くのも楽しみで、青空に映えるムラサキシキブの実を見つけたり、クマノミズキの枝先がサンゴのようになっているのを見つけると、渡って来た冬鳥の絶好の餌となっているのが分かる。
 厳しい冬がそこまで来ている静かな林道を見流していると、深山から山麓へ下りてきている野鳥たちによく出会う。ヤマドリもその一つで、長い尾をピンと伸ばして目の前を横切って行くことがある。その親の後からこの春に生まれた子供たちが慌てて藪へ逃げ込む。身体は殆んど同じ大きさに成長しているがちょっと短めの尾が目印だ。

ヤマドリ:2002.10.31 大野市モッカ平


 ヤマドリは日本固有種であり、古から短歌などに詠み込まれているが、キジと同じ部類に属しているものの、あまり目立たず何となく存在感が薄いように思う。ヤマドリは滅多に鳴かないこともその一因かもしれないが、その代わりに背伸びをして翼をバタバタさせて音を出す「ホロ打ち」をする。春先に山菜取りに山へ入ると、すぐ後ろで「ドドド…ッ」という音を聞いたことのある人も多いことだろう。びっくりして振り向くと、ヤマドリがこちらを見つめていて「な〜んだ、ヤマドリかぁ〜」とホッとしたものだ。
 11月15日からは冬の狩猟解禁となる受難の季節で、出会ったヤマドリも無事に春を迎えられることを祈りたい。この時こそ存在感を示さなくてもいいんだよ!
 こんな晩秋の林道で出会うコガラも冬を前にして深山から下りてきた野鳥だ。木の葉が木枯らしに飛ばされて寒々とした小枝の先や枯れた草の先で、餌が少なくなる冬を前にしっかりと食べておこうと実や種を探している。
 白い身体に黒いベレー帽を被ってとてもお洒落な野鳥で「ピチジュジュジュ」と仲間と会話しながら枝移りしている姿が可愛い。同じ仲間のヒガラやヤマガラなどと一緒に身近に感ずるひと時だ。

コガラ:2005.11.25 勝山市法恩寺林道


 初夏には深山で恋をして子育てをして精一杯楽しんできたのに、雪の季節は平野や河川敷などで懸命に生きているのだ。同じ野鳥でも夏鳥は餌が無くなる秋には南へ渡るが、コガラなどの留鳥は冬もここでしっかりと生き抜く力を持っているのだ。
 晩秋の林道では、懸命に生きている野鳥たちに出会えることが、もうすぐ冬だなぁと心配している自分を元気づけてもらっているのがうれしい。







10月12日「応援したくなる狩り」・・・ミサゴ・キンクロハジロ

 タカ渡りの季節もピークが過ぎて、林道でその出会いを堪能した人もいれば、イマイチだった仲間も多い。タカの仲間でも海辺で一年中出会えるタカにミサゴがいる。林道で満足な出会いが無かった人は、今度は海辺へ行ってみたらいいかも?
 ミサゴは、魚を餌としているタカで、オオタカやクマタカなど山のタカ類とはちょっと違う。海辺から大きな河川の近くで出会うことが多く、狩りも水面に浮いてきたボラやススキなどの大きな魚を狙う。そのハンティングは豪快で、上空から水面に突っ込み、鋭い爪で魚をワシヅカミにして岸辺の枯れ松へ向かう。両足を前後にして魚を掴み、目線の高さで飛ぶ姿は格好いいなぁ!。魚が跳ねているもの見えるし、必ず頭を前にして掴んでいるのには感心させられる。近くの枯れ松まで運んで頭に噛り付くと、やっと魚は動かなくなってゆっくりと食べるのだ。

2015.09.18:福井市福井新港で


しかし、このように狩りがいつも成功するとは限らない。水面に突っ込んでも何も持たずに飛び出してくることも多いようで、確率は40〜50%ぐらいだろうか?逆に悲劇は、魚があまりにも大きすぎて水中に引きずり込まれてしまい、命取りになってしまう事もあるらしい。彼らも命がけで生きているんだなぁ…と思うと、見ているだけでなくて頑張れ!と応援したくなるもんです。
 こんな水辺での楽しみは多くのカモ類に出会えることだ。カモ類にも水に潜れない淡水ガモと潜れる海ガモの2種類に大別される。海辺の近くでは潜って小魚や海藻を餌とする海ガモが多いのは当然だが、水面に浮いている餌を食べる淡水ガモも少なくない。このように餌の種類や採り方によってお互いに棲み分けているのも野鳥の世界だ。今日は海ガモの一種でキンクロハジロを紹介したい。黒い体に脇横の白いのが目立つが、眼が黄色で後頭部から垂れ下がった冠羽があるので識別は簡単だ。

2001.02.11:若狭町三方湖で


 海ガモというものの県内では、北潟湖から三方五湖などや足羽川や日野川などの、海から離れた河川上流部でもよく出会い、九頭竜ダム湖や小さな用水池でも見られることがある。「えっ、なんでこんなところにいるの?」と思わぬ出会いを楽しみ、鳥仲間には「あんなところのキンクロがいたよ!」と情報交換して、絆を深めてみたい
 秋が深くなるにつれて北国から多くの冬鳥が渡ってきてくれるので、寒さにも気遣いながら水辺の自然を楽しんでみましょう。





9月7日「秋の渡り」で南方へ・・・ツツドリ・ハチクマ

 9月ともなると澄んだ青空にほうきで掃いたような雲が見られ、周辺の山並みよりも先に秋が感じられる。夏鳥が南へ帰る渡りの季節になって来た。
 彼らは春に南の国から渡って来て、日本で子育てする種もあれば、更に北国まで行く種もあるが、この夏を精一杯楽しんできたことだろう。そして再び南へ帰る季節になったのだ。彼らには国境が無いからパスポートもいらないし・・・、いいなぁ、私も見知らぬ外国へ行ってみたいなぁ。

ツツドリ  1996.09.07;福井市飯塚町で


 そんな彼らに会いたくなって、河川敷の堤防を見流してきた。川原のオニグルミの枝には毛虫が群がっていて、それを餌にしながら一休みしているツツドリに出会った。初夏には里山に生息していて、竹筒を叩くような「ポン・ポン・・・」と鳴くのですぐ分かるが、秋の今は鳴かないので姿を見つけるしかない。ツツドリは毛虫が大好物なので、河川敷や堤防の桜並木へ来ることが多い。一休みしたら元気に帰ってよ・・・。
 秋の渡りと言えば「タカの渡り」も見逃せない。ハチクマやサシバ、アカハラダカなどは渡りをするタカ類で知られているが、彼らも初夏に渡って来て秋に南へ帰る習性がある。日本列島を南下するタカの群れに会いたくて、見晴らしの効く林道で待ち受けているのだが、これも地形により上昇気流の発生する場所や天候に左右されたりするので、こんな場所を探すのも楽しからずや・・・・。

ハチクマ  2016.09.26:福井市宇坂大谷で


 日本では愛知県伊良湖岬、愛媛県佐多岬、長崎県五島列島等が有名だが、県内ではそれほど有名な場所は無いが、嶺南の小さな岬や海岸沿いにある山々でそれなりに見られる。そんな標高700mぐらいの林道で出会うハチクマやサシバなどにはドキドキするから嬉しい。澄み渡った青空をスーッと流れるように飛ぶ姿が一つ、また二つ、と次から次と見つけられると、退屈しないから不思議だ。
 通常の探鳥では、タカを十分にゆっくり見られるチャンスはとても少ないから、この渡るタカを目線近くで、翼や尾の羽紋までじっくりと見られるのが魅力なのだ。これを見分けることで、種別、雌雄、幼鳥、成鳥を識別できれば、自分の識別レベルが判るというものだ。鳥仲間とワイワイと言いながらこんなやり取りをするのが「鳥キチ」だ。
 こんな林道にいると、タカだけでなく南へ渡るヒタキ類やツグミ類の小鳥にも出会うが、風雨に見舞われ、休めない海原を無事に渡ってほしいと願わずにはいられない。






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