四季の野鳥たち


鳥見紀行・・・県外への鳥見旅  





2017年6月4〜7日  ブッポウソウとノジコに会いたくて

 久しぶりの鳥見一人旅に出る。初夏の季節に新潟県の美人林周辺のブッポウソウとノジコに逢いたくて・・・、更に長野県のカヤノ平でブナ林をゆっくり廻ってみたい。コルリやゴジュウカラに出会えたらいいなぁ・・・。福井ではやや難しい種でもここならば普通に出会えることだろうから、どんな種に出会えるかが楽しみだ。
 6月4日6時40分に自宅を出発。教子が十分に気を付けてね、と見送ってくれる。事故はもちろん体調管理にも気を配りながら、気を引き締めて出発する。急ぐ旅でもないので一般国道をゆとり第一主義で走ることにする。高速道よりも周りの景色にも目を向けて・・・、11時前に新潟県に入りすぐに道の駅「市振の関」がありここで休憩だ。一般道はこれが良いんだ。道の駅やコンビニが適度に有って気ままに休むことが出来るし用足しもできる。おにぎりを食べてちょっと腹ごしらえをしてしばらくベッドで寝る。眼を閉じることはとても身体が休まるのだ。
 昔の難所で今は景観スポットの「親不知」から海岸線を走る。快晴の青い空に静かな水平線が美しい。昨年12月22日の大火があった糸魚川では、その焼け跡が生々しく残っている市街地を通り抜けてきた。新潟地震の大火を思い出した。天災とは言え忘れられない記憶だ。
 糸魚川から上越市を抜けると8号線からずれて松之山温泉地へ向かう。ゆったりとして静から田園風景の中から次第に里山に近づいてくる。大島村から松代町への道は、緩やかな渓流沿いに広葉樹の林が誠に美しい。野鳥の好みそうな場所で、ヤマセミやアカショウビンの出てきそうな場所である。こんな景色と緑を眺めながら松之山温泉近くになって、美人林の看板が目に入り、14:30に今日の目的地に到着だ。
 まず「森の学校キョロロ」に入ってガイドマップをもらう。20年前に来たときはこんな施設は無かったし、散策路なども忘れてしまっている。明日の朝に備えて美人林内のルートの下見だ。ブナ林の中を歩いてみると、巣穴らしきところからキツツキの幼鳥の声が聞えてきた。アカゲラだろうか?下薮が無いので近くのブナまで行くが顔を出してくれない。他のウォーカーもいて、親は警戒しているのだろう。明日の朝に期待しよう。
 林内を一回りして5時過ぎになりこの林の概略がつかめたので、ノジコの姿を求めて美人林から少し離れた松代町の方へ出かけてみた。田植えの済んだ棚田がありその周辺は広葉樹林の里山的環境が素晴らしい。福井とは違って圃場整備はされていないので、耕作放棄地がかなり目立っている。その林縁部の林ではノジコらしい声が聞えてきて、太い枝先にその姿をゲットした。局所的な分布だと聞いていたが、近くの松代ファミリースキー場や美人林の近くではこれほどの密度では確認できなかった。明日のチャンスに期待したい。
 ブッポウソウの情報は、出口君からの情報による観音寺の森を探してみることにした。手っ取り早く場所を確認するため、帰宅する職員が出てきたので聞いてみた。私を鳥見の写真キチガイと見られたのか、繁殖行動に入っているので場所は教えられない!ときっぱり断られた。止むを得ずナビ頼りでその森に出向く。民家の脇にあり水田と放棄地との混在地に入ってみる。「関係者以外は立入禁止」の小さな看板が目に付き、その脇道を辿ってみる。ブッポウソウの声も姿も確認できず、ちょっと不安ながら、この辺りに間違いは無いだろう…との確信をもって退去した。早朝ならばあの声に期待しても十分だろうなぁ。
 茜色の空になってきたので、ボチボチと夜の場所を決めねばならない。美人林の駐車場で夕食のパンとラーメンを作って食べてから森の学校の駐車場に落ち着いた。上弦の月が晴れた夜空に美しかった。9時も過ぎれば誰も来ないような静かな環境でゆっくりと時を過ごす。
 6月5日:夜明け前の3時、満天の星空が美しい。久しぶりに眺める星空だ。先ず北斗七星を見つけて方向感覚を取り戻す。ホトトギスにトラツグミやヨタカが鳴いている。薄っすらと明るくなり出すとヒヨドリにメジロ・クロツグミやキビタキの朝のコーラスが始まり出した。しばらくこのブナ林の夜明け感覚を満喫。美人林のトレックに出かけ、キツツキのヒナの声を確認するが親が出てこない。どうも彼らのエリア内に入り込んでしまったようで、申し訳ない気持ちが出てきた。この情景は福井でも何度か経験しているので、これ以上の接近と邪魔はしないことにした。
 アカショウビンの鳴き声が複数聞こえてきたが、沢のような環境が無いので探すのが難しいようだ。昨日は午後だったこともあり聞けなかったが、今朝の声で場所が判ればいいなぁと思いながら、1時間以上もその姿を求めて歩いたが見つからなかった。このアカショウビンも今回のメインテーマの一つにしていたのだが・・・、長野の場所で出会えるかも?
 ノジコの姿を求めて松代の里山へ向かう。とたんにあちこちからさえずりが聞こえ、局所的な棲息がはっきりしてきた。その姿は容易に見つけられ、腰を据えてカメラを向ける。ホオジロとは違って高い先端までは出ていなくて、幹に近い陰になるところでさえずっているのが多いようで、畦道を辿って近づいてみるとホオジロより警戒心が強いようだった。さえずっている時はかなり長く同じところにいて、一度確認すればその個体を追っかけるようにしてカメラに収めることが出来た。黄味の強い胸と白いアイリングが可愛くて、十分堪能できた。
 周りの放棄地ではヨシが生えていて、そこからはオオヨシキリの声が聞えてくる。こんな里山の狭いヨシ原にまで飛来するとは、福井での生息環境とは随分と違うもんだ。また、サシバが近くの雑木や電柱に飛来しているのが確認され、圃場整備が行われていない豊かな生息環境に満足だ。福井ではちょっと少なくなった環境に、その違いが大いに気になった。
 次いでブッポウソウの探索に出向く。水田の近くに細い電柱に架けられた巣箱はすぐ判った。農家の方が水田の畦の雑草刈りをしているが、こんな人里近いところで繁殖しているのが不思議なくらいだ。巣内の観察用にカメラも取り付けられている。「観察には20m以上離れて・・・」の看板もあって、それなりに見に来る人もいるようだ。
 それ以上離れた木陰からその状況を観察、間もなく2羽が近くの梅の枝に止まったり、そのポールや大木の枝に止まったりしている。巣箱への出入りも確認されたが、必要以上にそこに居ることはせず30分ほどで離れた。ブッポウソウの深い艶のある紺色の羽根に白い斑紋と赤い嘴。久しぶりの出会いにうれしくなったが、よくよく画像を確認すると背に細いアンテナと足輪が確認された。研究用のペアに間違いないようだ。無事に繁殖してほしい。
 松之山町美人林での目的も達成できたので、10:30に次の竜ケ窪へ出発する。自然林に囲まれた神秘的な池で、一時間足らずで着いた。こんな環境に生息する野鳥は美人林とよく似ているだろうが、一時間ほどの散策では昼ごろでありキビタキやクロツグミなどで案内書どおりの種は出てこないのが当たり前だ。霊水と書かれた水を水筒とペットボトルに調達して、近くの温泉施設で入浴と食事をして、まさしくゆとりの時間だ。13時過ぎに秋山郷に向けて出発だ。
 14時に津南町の秋山郷に着いた。秋山郷とは、数百万年前に噴火した苗場山の噴火台地が、河川により浸食された河岸段丘による渓谷らしい。その渓谷の入口に概略図の看板があって、左側の見倉ルートを行ってみることにした。ビューポイント1からは、対岸の柱状節理が壮大な絶壁となって見られ、植林が出来ないためか広葉樹林の台地となっている。谷底と両岸には小さな集落が点在しており、ここが生活の場とは思えないような山村をゆっくりと進む。紅葉の季節は雄大で最高の美しさだろうと思われた。
 この秋山郷は新潟県津南町から長野県栄村の切明温泉へと続いており、渓谷の突き当りだ。雑魚川林道から奥志賀高原へ抜けられるようになっているが、豪雪地帯での遅い春の今どきは果たしてどうなのか?スタンド聞いてみた。奥志賀高原からカヤノ平へは十分に通行可能だと聞いて安心、御礼に軽油40Lを入れてもらう。こんな山奥では地元の情報が最も安心できる。これでこの渓谷で寝る場所探しも兼ねて右岸左岸を一回りしている途中に、左岸の集落辺りで大きなレンズを構えている輩がいた。猛禽類ではないと思われこんな環境ではブッポウソウかもしれない。明日の早朝に確認してみたい。
 見倉トンネル手前に広場があって、そこから旧道の散策路になっていたが今の時間帯ではちょっと無理なので、この広場で寝ることにした。すぐ近くには見倉の数軒の集落がありちょっと安心感が出てくる。暗くなった頃、運送トラックが入って来てエンジンを掛けたまましているのが気になり、近くの広場へ移動して静かな環境で寝ることにした。ヨタカやコノハズクに期待しているのだが・・・。
 6月6日:3時頃に目が覚める。満天の星空に感無量だ。遠くからヨタカやトラツグミ、ホトトギスが聞こえてきたが、コノハズクとジュウイチが出ない。これでは福井と同じだなぁ、と思いつつ夜明けまで頑張る。クロツグミやキビタキ、メジロなどの一般種が囀り出したので、次の何かを探しながら渓谷をゆっくり一周に向かう。ニュウナイスズメが電線に止まっていて、近くではその幼鳥も確認されたのは福井と違うところか。カメラマンがいた昨日の場所へ来たがそれらしい囀りも無く、ちょっとがっかりだ。対岸から寝た周辺の山腹を眺めて、もっと出ても良いはずなのになぁ、と素晴らしい森林環境に満足しながらも鳥種は普通なのか、たまたまこんな出方になったのかも・・・と、ちょっと後髪引かれる想いで長野県に入る。
 秋山郷の最奥の切明温泉から奥志賀林道を通ってカヤノ平に向かい8:00に着く。15年ほど前に来たことがあり、素晴らしいブナ林の中を歩いた思い出がある。福井では車を降りてすぐに歩けるような場所は無く、コルリなどとの出会いが楽しめるには相当の山奥へ入らないと体感できない。このカヤノ平ではそれが出来る場所で、朝のパンを食べてウォーキングスタイルで出発。
 懐かしい豊かなブナ林を爽やかな風を受けながら歩く。今まで聞きなれた声ばかりだが、何か一つぐらいは珍しい声は?しない。平日でもあり、季節的にもちょっと早めだから一人静に歩けるのは良いが、豪雪地帯だから散策路の案内板が壊れていて、目下補修中だった。北ドブ湿原まで行って帰りのコースを間違ったらしい。2時間近くも歩いて舗装道へ出てしまった。予定より1時間以上かかったが、ブナ林の散策を十分に楽しんだ。11時に妙高高原へ出発。
 妙高高原の笹ヶ峰から長野県小谷村へ抜けられるかどうか?が心配だったので、いもり池のビジターセンターへ寄り、情報収集だ。ここは県境のため除雪を行わず自然に通れるのを待つのが当たり前らしい。甥っ子のいる小谷村へ行きたかったが止むを得ない。ついでに遅めの昼食をして笹ヶ峰牧場へ15:30に着く。ここも良いブナ林でありゆっくりできる場所だ。ゴジュウカラやコルリ、クロツグミなどが近くで・・・。周辺を一回りして駐車場の一隅で時を過ごすが、笹ヶ峰の入口付近で道路樹木の伐採作業をしていて、夜中は通行止めになることから、もし何かの場合には出られなくなってしまうかもしれないので、杉ノ原スキー場まで下ることにした。そこの入口付近で泊まる。
 6月7日:3時半、天候が下り坂で風がかなり吹いていたので野鳥の声も聞こえず、ここから帰路に就く。静かなブナ林の環境をもう少し楽しみたかったが、いろいろな出会いがあって、十分な旅だった。市振の関で朝食と一休みして、13:00に無事帰宅できた。
  走行距離=900km  総経費=15,000円(内ガソリン代:8,000円)  安上りな旅だった。

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