にっぽん丸 世界遺産 小笠原クルーズ('18.5)


人生の一区切りとして、家内を連れて舟旅に出た。私自身は学生時代に貨客船で太平洋を横断したことがあるものの、家内は初めての船旅である。

5月13日(日)16時、神戸港中突堤ターミナルに。今日は家を出た時から雨に降られていたが、神戸に着いた頃から一段と雨脚が強まった。
 18時出港。淡路島を右舷に見て夕食。グルメで有名なにっぽん丸の食事を6日間食すと、下船時にはさすがに2人とも2〜3キロは太ってしまった(笑)。
 食後、スーツケースから衣類等をタンスに整理して、ようやく落ち着くことができた。
 今夜のステージは、ピアニスト斎藤雅広さんとオペラ歌手家田紀子さん、松村英行さんによるピアノソロとオペラのアリア。迫力ある演奏と圧倒的歌唱力を間近で堪能した。
 これから毎夜、ステージではマジックショーやバンド演奏が催され、どのステージも一流のショーで、時間を忘れさせてくれる。
 さて、いくら大きな船といえども怖いのは船酔いである。船酔いしていては、おいしい食事や楽しい時間もあったものではない。このため、乗船するなりフロントで酔い止めの薬をもらい、その日の夕食前と翌朝の2回服用しておいた。おかげで快適な旅を楽しむことができた。

5月14日(月)今朝も雨だが、回復傾向にはあるらしい。午前は森拓也さんから小笠原の自然について講演を聞き、午後は写真家の中村風詩人さんのスライドを使っての講演を聞く。
 その合間のお昼には、高さ100mにもなる絶海の奇岩孀婦岩(そうふいわ)を見る。周りに何もない大海原に突き出た巨岩で、2,000mの深海から垂直にそそり立つ奇岩は不思議でもあり驚きだ。
 夕方には、鳥島を見る。アホウドリの島として有名で、島の山頂は常に雲がかかっている。

孀婦岩(そうふいわ) 鳥島

5月15日(火)早朝は小雨混じりの天候だったが、小笠原父島・二見港に入港する頃には青空が広がってきた。にっぽん丸は岸壁に接岸できず、沖のブイに係留されるのだが、係留作業をはじめ岸壁との連絡、ボート遊覧などは地元漁民の大切な収益になっているようだ。
 ボニンブルーと呼ばれる青く澄んだ海が気持ちよい。夕方の出港時は、世話になった漁民の皆さんが、サブちゃんの演歌を流しながら外海近くまで見送ってくれる「見送り船」のサービスが感動的。

二見港のにっぽん丸 父島の隣にある南島 宮之浜

5月16日(水)小笠原からさらに南下し、早朝に南硫黄島を周回し北に航路を転じた。
 朝食の頃、先の大戦の激戦地の一つ、硫黄島に至る。島の特徴の一つである擂鉢山が目に入ってきた。大半が100mほどの台地上の島だが、火山島のため地熱が高く、いたるところで噴煙を上げている。自衛隊の基地があり、関係者以外は立ち入り禁止だ。汽笛の合図で黙とうをする。
 お昼頃には北硫黄島を周回、夕方、西之島に至る。昨年の噴火で西之島と西之島新島が一体化し、噴火前の約9倍以上に大きくなったとのこと。

南硫黄島 硫黄島(擂鉢山) 西之島

5月17日(木)今日は一日360度海のパノラマを楽しむ。船長が航海士に「イルカを探せ」と指令を出したそうだが、デッキスポーツで遊んでいた午後1時頃、船内放送で「発見!」の知らせがあった。イルカの動きに合わせ、にっぽん丸も蛇行航行し我々を楽しませてくれたが、1時間ほどが限界で帰路に着くとの放送があった。
 乗船中は、乗組員たちによるアイデアあふれたもてなしに、時間を忘れて満喫した。

イルカ 船長との記念写真


5月18日(金)目を覚まして外を見るともう和歌山沖である。朝霧の中、周りには自衛艦、貨物船、漁船などが見える。予定通り9時に入港下船。
 下船してから神戸、大阪など、少し観光してから帰ろうかと計画していたが、疲れが出てきたのでお昼頃早々に帰途に就いた。