日本三霊山の一つである霊峰立山の麓、富山県立山町芦峅寺に、かつて全国から悩める女人が参集しました。'06年9月17日、白装束で朱塗りの橋を渡るその伝統の行事が『癒し』の行事として現代に再現されました。
江戸時代までは、霊峰立山は山岳信仰の山であり、山中に地獄や極楽浄土のある『あの世』の世界と考えられてきました。男性は登山し下山することで、死後の浄土往生が約束されましたが、当時は女人禁制であったことから、芦峅寺の閻魔堂、布橋、姥堂を巡ることで、男性の立山登山と同じように浄土往生を約束するものでした。
全国から集まった女性参拝者は、閻魔堂で懺悔の儀式を受け、この世とあの世の境界である布橋を渡り、死後の世界に赴きます。そこには立山山中に見立てた姥堂があり、堂内で天台宗の儀式を受け、受戒し、血脈を授かり、死後の浄土往生が約束されます。
江戸時代に積極的に女性の救済を掲げることで支持を受けたこの布橋灌頂絵が、癒しを求める現代女性の精神的救済として今に蘇ったものてす。