虫送りを終えて家にもどると母がちまきを作って待っていた。
ちまきも「ねはん団子」同様にうるちと餅米の粉を混ぜたもので団子を作る。
これを大人の中指ほどの大きさに丸めて3〜4枚の笹で包み、その上下を「えい草」とかいう植物のひもでしばって一個のできあがりとなる。
えい草なるものは田圃に自然に生えてくる。これを一度お湯に通すと簡単には切れないくらいのひもになるのである。
全てができあがると、できあがったばかりのちまきを一度熱湯に入れて茹でてから砂糖などを付けて食べる。
書物には「かやの葉」を巻くとありますが、村では笹の葉を使っていた。
年に一度、この時期だけのちまきだったが、ほのかな笹の香りのちまきが囲炉裏にかけた鍋で茹で上がるまでの僅かな時間が待ち遠しかった。