へぼ将棋

1998年6月

IBMの大型コンピュータ・ディープ ブルー等という化け物はともかくとして、最近では将棋ソフトも色々 あるようですから、もしかして既に OKI等のソフトを使って将棋を楽しんでおられる 方も数多いと思われます。
私はパソコン通信を始めて3年になりますが、只今、local netで将棋を楽しんで います。
そもそもは、bbs・掲示板に、”どなたか将棋をしませんか?”という書き 込みをみてメールを出したことがきっかけでした。

パソコン通信での将棋はメール交換で行っています。 もちろん、リアルタイムでの対局も可能でしょうが、メールの方が情報交換もできます し、何よりも、時間に追われないところが私は一番気に入っています。

でもこれは指し手がなかなか進まないのが難点でして、現在は1日1手という超亀レス となっています!

例えば朝8時に私が、先手7六歩と送ると、相手側は夜8時までにこれを確認して、 後手3四歩と返事を出します。で、こちらは翌日の朝までに確認して、8時に先手2六歩と送るわけです つまり、一手の考慮時間が最長で12時間もあるわけですね!

羽生名人をも上回る大長考です。もっとも、これでは本対局ではとっくに時間切れ負け将棋ですけどね。 秒読みに追われるプロ棋士に比べて十分すぎる考慮時間です。 (下手の長考 休むに似たり)でして… 

ですから、勝負がつくまでは2ヶ月位はかかりますね! 当然ながら、どこまで進んだか、どのような局面になっているのか分からなくなります。

棋譜はテキストファイルに記録して、時々は実際に駒を並べて確認するのですが、元来 横着な私はこれを怠り大きな見落としをすることが良くあります。

前回も、飛車の位置を一段思い違いしていましてあっさりと取られる運命となりまして… 思わず、(あぁっ ちょっとその手待った!)とメールしました(にこにこ) なにせ、”ヘボ将棋、王より飛車を可愛がり”の世界ですからね。

私が将棋を覚えたのは小学3年の頃だったでしょうか。 もちろん、回り将棋とか山崩しとかじゃなくていわゆる本将棋ってやつです。

あの頃、将棋と言えば坂田三吉、歌なら、村田英雄の王将でした(ん〜 かなり古い、歳が知れようというもの) 今は将棋なら羽生善治、歌は長山洋子の(たてがみ)でしょうか? ん〜、これも今や古いって!

当時は今のようにファミコンだとかミニ4駆なんてものは何もない時代でしたから、子供達は けっこう将棋で遊んでいました。 もちろん、最初はそれぞれの駒の動きなどは教わり ましたが、後は見様見真似で覚えたのだと思います。 (当時、僅かながら視力がありました)

周りの大人達も、特に大工とか左官といった職人さんは将棋の好きな人が多く、休憩時間 などでは駒を並べていて、私達の相手もしてくれました。 縁台将棋ってやつですね。今では落語の世界の話しですが…

夏休みには大工さんからもらった材木を削って将棋盤を作ったりもしました。今でも当時の思い出と伴に押入の奥で眠っています。 就職して暫く経った頃、将棋好きの私を思って母が送り届けてくれた思い出の一品です。

子供の頃の上達は早いもので、2・3年で大人の人といい勝負ができるようになった でしょうか。 しかし、今、思ってみれば、あの頃は誰も本を読むとかプロの将棋をみることはない わけですから、定石なしの自己流で、強い人の将棋を真似るというものでしたね。

新聞の将棋欄も時々読みましたが、定跡を知らない私には、プロ棋士の棋譜はさっぱり理解できませんでした。 もっとも、私の場合は今でも定石無視の将棋ですが…

そんな田舎者の 井の中の蛙が学校を出て憧れの大都会に出て2年目の夏に、よせば いいのにプロ棋士の主宰する将棋道場の門を叩いたわけです。 (やぁやぁ、一勝負たのもう)てなところでしょうか!!

たしか、その時の相手は小学校高学年の男の子だったと思います。(こんな子どもに相手をさせるとは、この俺をなめやがって…!)田舎者が熱くなったのは言うまでもありません。

勢い込んで臨んだ勝負も、やがて銀を取られ・金を取られ、いつの間にか角を取られ飛車を取られ…結果は言うまでもなく、負けたり・負けたりでして、あまりの情けなさと恥ずかしさと惨めさで自分に才能の ないことをいやと言うほど思い知らされました。 それからでしょうか、少しずつ本を呼んだりテレビを見たりして将棋を勉強?したのは

将棋は勝ち負けを決めるゲームですからもちろん相手に勝つことが重要ですが、私はそれぞれの駒に魅力を感じます。 王将から歩兵まで8種類の駒がありますが、それぞれに 守りの駒と攻めの駒としての 固有の動きがあり役割があります。中でも、(桂馬)は本当に不思議な駒です。 ”大手 飛車取り!”のように両天秤にかけることもできるし、何よりも目前の駒を無視して移動できる発想がユニークです。

一歩千金とか、歩のない将棋は負け将棋とか、桂馬の高飛び歩の餌食とか腹銀を打て とか…駒の特性を表す格言もたくさんあります。 一つ一つの駒の特長を会得して自分の手足のように自由自在に働かせることができたら どんなにか素晴らしいことでしょう。

将棋もオセロ同様に、盲人でも使えるように工夫がなされています。

将棋盤では縦横の線が僅かに盛り上がっていて、駒がずれないと同時に、その位置が確認できるようになっています。 また、駒の下部には点字が撃ってあり、何の駒か分かるようになっています。

それにしても、将棋は難しいゲームです。駒の動きも複雑ですし、局面の変化も早い。獲得した駒を自分の駒として何度でも活用できるなんて実にユニークです。他のゲームには類をみないのではないでしょうか。 それゆえに、楽しくて難解で奥の深いゲームなのでしょう。

現在の私の棋力は2・3級といったところでしょうか。 コンピュータを相手にすると疲れるものですから殆どしませんが、時々は小六の息子と勝負します。 まだまだ私の方が上で、かろうじて、(親の威厳)を保っています。


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