子どもの目

ある日曜日の朝、いつものように歩いていると、前方の2回部屋から子供の声が聞こえてきた。

(おーい、おじちゃん おじちゃん)と叫んでいる様子。

ん、おじちゃんって誰のこと。 辺りを見渡したが、誰もいない。 あっ、やっぱり俺のことかと苦笑いする

おじちゃん 何してるの、何を持ってるの、どうしてなのなどと、保育園児と思われる男の子がいろいろ聞いてくる。

どうやら、杖を突きながら変なおじさんが歩いて来るので気になった様子。

こうしたケースはそれほど珍しいことではない。 町中や公園を歩いていても、小さな子供が私をじっと見ていることに気付く場合がある。 子供の話し声とか、その場の気配から、その様に感じるのである。

そして、ほとんどの子供が、一緒にいる家族に尋ねる。

(ねぇ ねぇ、あの人どうして…) 小さな子供にすれば当然の疑問に違いない。 だが、同伴の大人達は、私達に対する気づかいも有るのかも知れないが、ほとんどの場合、はっきりとは答えようとはしない。

小さな子供には、(眼が見えない)という意味が理解できないかも知れないが、ありのままを、真実を教えて欲しいと思っている。

(散歩してるんだよ。) (おじちゃんは、眼が見えないからね。 こうやって、何かにぶつからないか、落っこちないか、トントンしてるんだよ。) 2回部屋の子供に返事した。

(ふーーーん)。男の子の、分かったような分からないような返事が返ってきた。

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